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離職防止のアイデア・施策集。本当の離職原因をつきとめるヒントも

公開日

この記事でわかること

  • 離職が組織に与える影響
  • 厚生労働省の調査からわかる離職の原因
  • 原因別離職防止のアイデア・施策
目次

少子高齢化で採用のハードルが上がっている昨今、従業員の離職防止は人事にとって大きな課題です。この記事では従業員の定着を妨げる原因の解説、離職防止の具体案を紹介します。

離職は本当に防止すべきなのか?

離職は企業の新陳代謝の一環ともいえます。企業体質と合わない人材の離職はある程度、許容する必要があるでしょう。無理矢理引き止めても、モチベーションの低下した従業員が能力を発揮して成果を上げられるかというとそうとは限りません。また、やむを得ず離職した場合でも、その後の採用や異動により組織によい効果を与えるケースもあります。

とはいえ、従業員の離職は組織に対してさまざまな影響を及ぼします。

たとえば、ほかの従業員のモチベーション低下。離職が増えると、既存従業員は自社にネガティブな印象を抱き、さらなる離職につながる恐れもあります。採用・育成コストの増加も無視できません。

また、突発的な人員不足では、業務領域の異なる部署から人を補填し、それによって空いた穴をさらに別の部署から補う「玉突き人事」が発生しがちです。玉突き人事のリスクは以下でも紹介していますが、従業員のキャリアパスを中断するだけでなく、企業に対する信頼度の低下を招きます。

企業の新陳代謝は突然の離職ではなく、定年退職や本人の前向きな意向によるものなど、円満かつ計画的な事由であるのが理想でしょう。

離職防止のために、本当の原因をつきとめる

退職時の面談だけでは本音は見えない

離職防止のためには本当の原因をつきとめる必要がありますが、退職時の面談のみで原因を把握するのは難しいでしょう。職場への不満が理由の場合、気を遣って上司に伝えない可能性もあるからです。

従業員の本音は直接のヒアリングだけでなく、「退職サーベイ」で引き出す方法もあります。以下の記事では「一身上の都合」の先にある本当の理由を集計した結果、入社前後のギャップ改善につながった例を紹介しています。

厚生労働省の調査からわかること

従業員へのヒアリングやサーベイ実施前に、ある程度原因の予測を立てるのも方法の1つです。

厚生労働省は「令和3年雇用動向調査結果の概況」にて、令和3年の転職入職者が前職を辞めた理由を公表しています。

「その他の個人的な理由」や自主的な退職ではない「その他の理由」を除くと、男性でもっとも多い理由は「職場の人間関係が好ましくなかった」で8.1%女性は「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」で10.1%となっています。

転職入職者が前職を辞めた理由別割合

ただし、上記の結果は全体平均です。年齢や性別によってボリュームゾーンは変わります。

男性の転職入職者が前職を辞めた理由別割合

たとえば男性の場合、「20〜24歳」「55〜64歳」では「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」が最多に。「25〜29歳」層では、「給料など収入が少なかった」が14.8%とトップになっています。

女性の転職入職者が前職を辞めた理由別割合

一方で、女性の場合、40歳以降になると「職場の人間関係が好ましくなかった」ために離職を選ぶ人が増えています。

なぜ若手が定着しないのか。どうして中堅層が辞めてしまうのか。自社の課題となっている層の原因に注目して改善策を考えるのも一案です。

(出典)令和3年雇用動向調査結果の概況 - 厚生労働省

【原因別】離職防止のアイデア・施策

ここからは原因別に、離職を防ぐアイデア・施策を紹介していきます。

(原因1)職場の人間関係に不満がある

人間関係の不満が原因の場合、不満を感じている人がどの部署にいるのか、どの程度の人が不満をもっているのかを明らかにするのが先決です。

具体的な対策としては従業員へのサーベイ実施がよいでしょう。調査の結果、人間関係に対する不満度が高い部署などが見つかったら、より詳細な原因究明のため個別のヒアリングを進めましょう。

特定の個人に改善点が見つかった場合は、その従業員にフィードバックします。また、不満を感じている人、あるいは不満の対象者の異動を検討するのも1つの手です。

(原因2)労働条件に不満がある

労働条件の不満が原因と見込まれる場合も、従業員へのサーベイを通じてどの部分が問題か調査します。

待遇や労働環境など、考えられる理由はさまざまですが、いずれも慎重な対応が求められるでしょう。

たとえば給与が原因の場合、単なるベースアップでは一時的な解決にしかならず、不満が再発する恐れもあります。従業員の不満を根本から解消し、モチベーションを維持し続ける仕組みづくりが大切です。

そのためには人事評価の透明性を確保し、自身の待遇や評価が客観的にわかるような工夫が必要です。評価が報酬に反映される流れが明確になれば、勤務態度やリテンションの改善が期待できるでしょう。

人事評価がブラックボックス化している場合は、評価制度自体の見直しが必要です。以下の記事では人事評価制度の作成方法や成功例、ワークフローがわかる資料を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

(原因3)会社の将来に不安がある

自社の将来性への不安も離職原因の1つです。将来性には経営状況だけでなく、事業を通じた社会貢献の有無など、企業の存在価値が盤石かといった観点も含まれます。

これらは経営目標やパーパスの周知など、自社に対する理解の促進で解決できる可能性があります。そこでおすすめなのが近年注目されている「OKR」です。

図表:OKRについての説明

OKRは「Objectives & Key Results」の略称で、大きな目標(O)とその達成に必要な成果指標(KR)を設定する管理手法です。一般的には企業全体の目標達成に向けて、経営層、各部署、個人とトップダウンでそれぞれの目標や成果指標を設定します。会社のパーパスと自分の役割が一連の流れとして理解できるだけでなく、「大きな目標に向かって頑張ろう」とポジティブな雰囲気も生じやすくなります。

結果として企業全体の活気も増し、将来への不安の軽減も期待できるでしょう。

OKRの導入事例や具体的な設定例は以下の記事でも紹介しています。

(原因4)仕事内容に興味が持てない

仕事内容への興味関心が薄れてしまうと、モチベーションも低下し、離職につながる恐れがあります。

対応策としては、以下の2点などがあげられます。

  • 現状の業務に再び意欲を持ってもらう
  • 興味が持てる業務へ配置転換する

業務姿勢の改善には、上司との1on1などをとおして、パーパスの共有、本人の希望と会社の向かう先がマッチしているかなどを丁寧にコミュニケーションしていきましょう。現在の業務が本人のキャリアにどうつながるか、意向と合うようにマネジメントしていくことが重要です。配置転換に関しては、本人の希望が反映される制度などを検討し、本人のスキルが活かされ、よりよい成果につながるポジションが見つかるよう促すのがよいでしょう。

従業員の「選択」を制度に組み込んだ成功事例については、以下の記事でも紹介しています。

ただし、配置転換業務は人事労務担当者にとって大きな負担。離職防止対策のために、別部署の労働環境が悪化してしまうのは避けたいところです。作業効率向上には、手軽に配置シミュレーションや組織図修正ができるツールの導入も検討しましょう。以下の記事では効率的な業務フローを実現するSmartHRのツールを紹介しています。

それでも若手の定着率が上がらない場合は

新規学卒者の3年以内の離職率

新卒の3年以内離職率は事業所の規模・業種によって開きがありますが、厚生労働省のデータを見ると、従業員数の少ない企業ほど新卒の定着率に課題があるといえそうです。

(出典)新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します - 厚生労働省

令和3年雇用動向調査結果の概況」では、20〜29歳の離職理由として比率が高かったのは「給与などに不満がある」「労働条件に不満がある」の2つ。これらの解決が若手の定着率改善のカギを握ります。

たとえば、就職後、最初の1〜2年で大きく昇給したり、初任給を上げたりする企業もあるようです。

また、人事と若い世代で、理想の労働条件にギャップがある場合もあります。これらの希望は口に出しづらい面もあるため、匿名アンケートなどを活用して吸い上げるのも1つの手です。

下記の記事では新入社員向けサーベイの実施例を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ツールを活用し、水面下の不満を把握しよう

退職希望者が本音を伝えてくれるとは限りません。本当の理由は伏せて、一身上の都合と一括りに告げるケースもあります。

離職を未然に防ぐには、既存従業員の隠れた不満を把握する必要があります。

以下の記事では、SmartHRの従業員向けサーベイ機能を活用し、本当の課題をつきとめた事例を紹介しています。

SmartHRの従業員サーベイ機能は手間なく回答できるため回収率も高く、実施企業からは「従業員から耳にしていた情報とは全然違う結果が出た」との声もありました。また、データの一元管理により、課題の可視化や分析も可能です。手早く次の施策を打ち出せます。上記で紹介した事例では、従業員サーベイの利用により、「なにか相談したら変えてくれるかもしれない」という期待感につながったそうです。担当者は「期待されないまま退職される事態を防ぎ、なにか伝えてみるかという気持ちに変わればよい」と語っています。

ネガティブな意見は、課題を明らかにするための貴重な声です。しかし、従業員にとって反対意見の主張はハードルが高く、企業への期待感がなければ声をあげてもらうのは難しいでしょう。だからこそ、日頃から従業員の声をヒアリングし、迅速に意見を反映する姿勢が必要です。ツールを活用し、企業全体で定着率の高い環境をつくっていきましょう。

お役立ち資料

休職・離職を防ぐために「組織」と「個人」両軸での対策が必要な理由

FAQ

  1. Q1. 離職原因として多いものはなんですか?

    A.定年などの会社都合や「その他の理由」を除くと、男性では「職場の人間関係が好ましくなかった」、女性では「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」が最多です。

  2. Q2.

    離職防止のアイデアはありますか?

    A.離職の原因に応じて、適材適所の人材配置や人事評価制度の見直し、OKRの導入などを実施します。離職防止ではなにが原因となっているのか、綿密なヒアリングにもとづく調査が必要不可欠です。

  3. Q3. 離職原因を特定するために、よい方法はありますか?

    A.既存従業員の隠れた不満が離職原因の特定や解決につながります。調査には匿名でのアンケート機能や調査結果の可視化、分析機能が付帯したツールの利用が効果的です。

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