“社員のやる気を引き出す”人事労務部が推進するクラウド活用で柔軟な基盤構築【SmartHR Agenda#2 レポート】

働き続けたい組織となるために、企業はHRテックをどのように活用しているのか。企業の担当者から直接事例をうかがい、視聴者とともに考えるオンラインイベント「SmartHR Agenda #2 〜HRテック活用事例に学ぶ働き続けたい組織〜」。

SmartHR導入事例講演Ⅳでは、国内外で2,000教室以上を展開する(株)やる気スイッチグループ 人事労務部の小木田健氏と、株式会社DX Labo CEO 田中ライカ氏を迎え、複数のHRクラウドサービスの運用や多くの外国籍の従業員が活躍する会社の人事について、パネルディスカッションの模様をお届けします。

【パネラー】

株式会社やる気スイッチグループ 事業サポート本部 人事労務部 労務課 小木田 健氏

2013年に社長付運転手として秘書室に入社。運転業務をメインとして、総務業務(各種オリエンテーションやグループウェアシステム設定をメイン)を担当。その後、人事・組織関連業務、勤怠管理業務を担うことから、労務課に異動。現在は、勤怠管理に加え人事管理、人事労務システム管理などを担当。

株式会社DX Labo CEO  田中 ライカ氏

単なるツールの切り替えやデジタル化ではなく、本質的なDXを全社にどう根付かせていくのか、TechnologyxUXの両面を重視した独自の施策を展開する。とくに、Google Workspace の利活用を得意とし、データ、クラウド、AIといった新しいIT技術を通じて企業文化・風土の変革と企業の競争優位性を確立する方法について、Enterprise企業向けにさまざまなセミナーに登壇。

株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー 佐々木 昂太

UCLA 数学科卒業後、コンサルティングファームに入社し、DXを基軸とした事業戦略~組織改革、アナリティクス、業務改革などのプロジェクトに従事。2018年よりSmartHRに経営企画として入社し、新規プロダクトの立ち上げから既存プロダクトのグロース、現在はPMM組織のマネージャーを担う。

各部門の課題を解決するため「スピード感」を重視

佐々木まずは、やる気スイッチグループさんの人事労務の体制やシステムの全体像からおうかがいします。

小木田さん上の図は、弊社の人事関連部門を抜粋したものです。人材開発室という採用部門と事業サポート本部があり、その中に総務部、人事労務部、情報システム部があります。

私が在籍する人事労務部では、オペレーションや制度評価の企画運用、グループ全体の運用を統括して、全事業の労務を担っています。SmartHRの運用を含めて、運用する各部署がそれぞれシステムの管理を行い、情報システム部でデータ連携やインフラの構築などを推進しています。

佐々木:続いて、人事システムの全体像についてご紹介いただけますでしょうか。

小木田さん:もともと人事管理の「人事奉行」と給与計算の「給与奉行」は導入していたのですが、各分野で必要と思われるシステムを選定し、さまざまなクラウドサービスを導入しています。

佐々木:各クラウドサービスはどのような順番で導入されたのでしょうか?

小木田さん:まずは、勤怠管理のシステムの「KING OF TIME」、その後、採用管理の「HRMOS採用」や研修管理の「Leaf」、1番新しいところではエンゲージメントの「MOTIVATION CLOUD」を入れました。「SmartHR」は最近導入しました。

佐々木:クラウドサービスも進化し、各領域でいいプロダクトがありますよね。1つのシステムですべてカバーするのではなく、複数のシステムを運用するが故の課題はありましたか?

小木田さん:皆さんも同じような感覚を持たれていると思うのですが、やはりシステムごとにデータの抽出方法や入れ方が違ったりするので、その連携が大きな課題になっています。

ライカさん:多くの人事系サービスを導入されたどのような目的や背景の考え方がありましたか。

小木田さん:1番の目的は、各現場の課題を解決するため、スピード感を持ってデジタル化に取り組むことでした。たとえば、弊社は塾を運営していますので、現場では紙やExcelの運用が根強く残っていました。少しでもその業務負担を軽減したかったので、導入スピードを意識したのです。

統合パッケージは、1年半とか導入まで長い期間がかかってしまうこともあるので、スピード感を重視して、それぞれの現場の課題に応じたクラウドサービスを選定してきました。

ライカさん:私は技術顧問の仕事をしていますが、社内のITを導入する際は、グランドデザインをきちんと描くことが重要だと考えています。例えば、導入後に、システム間の連携や自動化がうまくいかずに、手動の作業がそのままになってしまうこともあるからです。ただし、要件定義や計画に何年も時間をかけるのではなくまずは小規模で始めてみて、うまくいかないことがあれば軌道修正しながらどんどん改善する。最後に全社展開する、といった柔軟なアプローチが必要だと考えています

やる気スイッチグループさんは、複数のシステム導入をされていますが、少しでも早く現場の業務負担を下げるという目的を持って、スピード感を重視して取り組まれた点が素晴らしいと思います。

佐々木:ちょうど視聴者の方からも「クラウドサービスだらけですごいですね」というコメントがありました。従業員を6,000人ぐらい抱える企業において、クラウドサービスをこれだけスピーディーに活用されているのは、弊社のユーザーさんの中でも希有です。システム導入は、スピード感とグランドデザイン、本質的なDXをやっていく上でバランスが大事なのですね。

HRクラウドの活用とSmartHR運用方法

佐々木:続いて、やる気スイッチグループさんにおけるHRクラウドの活用、SmartHRをどのように活用し、運用されているのか、といったお話をうかがいます。

小木田さん:目的としては、内部統制の強化と人事オペレーションの効率化、DX推進を掲げて進めました。その当時は、「誰がどうやって更新するんだっけ?」という人事マスターデータの更新ルールが不明確だったので、それをどう解決していくかが課題になっていました。

その解決策として、各分野に特化したクラウドサービスをフル活用し、柔軟かつ強固な人事マスターとオペレーションを構築していきました。

どのシステムも、それぞれの分野に特化したものを選んでいますが、SmartHRの場合、導入までのスピードが速いこと。何よりも、UI・UXがどのシステムより見やすく、わかりやすいこと。これが最終的な決め手となりました。

弊社の場合、アルバイト従業員も含めて全員がHRクラウドを使用します。年齢層も幅広いので、わかりやすさ、見やすさは何より重視し、SmartHRを選定しました。

ライカさん:事務系のツールは使いにくかったり、わかりにくいこともありますよね。従業員にとって少しでも使いやすくして、わかりやすくしてあげるために、UI・UXを重視されたのは素晴らしいと思います。

導入スケジュール

佐々木:どのようにしてSmartHRを導入されていったのか、スケジュール感についてもうかがえますか。

小木田さん:2021年6月に正社員・アルバイトを対象として給与明細の配布から始めました。同じ時期に、まずは正社員から入社手続きの運用も開始しています。

その後、10月~11月にネイティブ外国籍社員向けの運用準備を始め、SmartHRの操作説明をしたり、テスト運用を行いました。11月~12月の年末調整では初めてアルバイトまでの運用を実施しました。2022年3月には運用機能を拡大して、契約社員、アルバイト、パートまで含めて3,000人ぐらいの契約更新をSmartHRで対応しました。

すでに運用しているところもあるのですが、今後は、申請機能の運用開始、退職手続き、アルバイト・パートの入社手続きもSmartHRで対応して、広げていきたいと考えています。

佐々木:導入の順番については、何か議論がありましたか?

小木田さん手をつけやすいところ、わかりやすいところで、正社員から始めていきました。アルバイトの場合、自分たちが直接コミュニケーションを取れなかったりするので、まずは社内にSmartHRを浸透させることを考えながら進めました。

ライカさん:外国籍の従業員の方がこれだけいらっしゃる日系の会社はなかなかないので、他社にはないご苦労もあったかと思います。英語がネイティブの従業員へのケア、手続きプロセスや内容がきちんと伝わるための工夫に力を割かれているのは、従業員体験(EX)観点からも非常に良いなと思いました。

アルバイトの契約手続きの効率化・工数削減に繋がった

佐々木:HRクラウドを活用して、どのような効果がありましたか?

小木田さん:アルバイトの入社手続きを効率化し、工数が1/6まで削減できました。以前はExcelでフォーマットを印刷して、本人がサインをして、さらにそこにハンコを押して、それぞれ保管する、という作業に30分くらいかかっていました。

それを教室長が更新確認と契約内容の説明だけで完結できるオペレーションにできたので、単純に1人あたり5分程度に縮められたので、工数を大きく削減できたと思います。

ライカさん:契約の手続きは煩雑になりがちなので、入社手続きができるだけ少ない負担でスムーズに実施できるのは、非常に重要だと思います。SaaSの活用によって、これまでの工数を圧倒的に削減することで、職場での早期の立ち上がりに役立つような、別なオンボーディングのプログラムに時間を当てることもできます。これまでの工数から1/6まで削減できたのは、素晴らしい成果ですね。

小木田さん:年末調整もアンケート形式にして、アルバイトの方々からも「すごくやりやすい」という声をいただけました。弊社は年齢層が幅広く、スマホではなくガラケーを使っている方もいらっしゃいました。多少苦労したこともありましたが、最終的には従業員全体に広げられたので、達成できたと思っています。

佐々木:年末調整の運用面で工夫されたのは、どのようなことでしょうか?

小木田さん:従業員へのアナウンス方法です。これは私どもの自信作と思っているのですが、弊社の翻訳担当がネイティブ社員にも伝わるよう、ネットの翻訳ツールなどを使わず、きちんと「伝わる言葉」にすることを大切にして翻訳しています。

さきほど、ライカさんがおっしゃっていたように、労務的な手続きは煩雑になりがちですし、外国人社員は入力するだけでも一苦労だったりします。一言一句翻訳して資料を投影できるようにしましたので、オンボーディングもスムーズになったと思います。

佐々木:SmartHR自体も「WOVN.io(ウォーブンドットアイオー)」という多言語化するサービスを使ってプロダクトの翻訳対応していますが、運用のフォローの部分でも非常に丁寧に対応されているのですね。

ライカさん:資料も、日本語からの直訳ではなく、「伝わる内容になっているか」に、こだわり、シンプルにわかりやすくまとめられているということも非常に大切なポイントです。

SmartHRの良い点とは?

佐々木:最後に、管理者側の視点としてSmartHRの良い点はどのようなところでしょうか?

小木田さん:従業員の操作画面のわかりやすさですね。とくに年末調整がアンケート形式でできることやダブルチェック機能、差し戻す際にコメントが入れられるのも便利です。ヘルプセンターチャット機能も、自分自身でも何か困ったことがあったり、ちょっと調べたいなと思うときに入力して回答が出てくるのは助かっています。

また、SmartHRスクールでは、時間を気にせず空き時間に自ら学べますし、後輩に業務を説明する時間やマニュアル作成の手間が大幅に省けます。全体的に使いやすくて、便利になるためのシステムの改善が随時行われていて、どんどん進化していますよね。導入サポートも手厚いので、安心して導入を進めました。

ライカさん:SaaSをはじめ、ツールは導入して終わりではないですよね。導入後にも従業員が使いこなせるようにサポートしていかなければ、当初期待していた効果が出ない場合もあります。また、管理・運用側の負荷を下げる工夫も非常に大事です。SmartHRさん公式のヘルプセンターや学べるコンテンツがオンライン上にあるのは、管理者側としても非常に助かるポイントですね。

佐々木:今後もSmartHRも進化させていき、人事労務や従業員の皆さんの「やる気スイッチ」を引き出せるサービスを提供していきたいです。小木田さん、ライカさん、本日はありがとうございました。

SmartHR Mag. は人事労務手続きを自動化するクラウド型ソフトウェア SmartHR からスピンアウトして生まれた、人事労務にフォーカスしたメディアです。人事労務に関わる人はもちろん、経営者や従業員も含む、すべての働く人たちにとって、価値あるメディアを目指します。
他の執筆記事はこちら

人材マネジメントの関連記事

人材マネジメントの新着記事

年末調整業務特集

SmartHR スタートガイド

オススメ人事・労務イベント