組織を変革するために“今日”からできること。SmartHR Next 2023 DAY2速報レポート
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これからの時代、人に「選ばれる企業」には何が必要でしょうか。
オンラインカンファレンス『SmartHR Next 2023』では、リーダーシップや多様性と包摂など、選ばれる企業になるために必要なトピックを探索しながら、組織の持続的な変革の秘訣を考えます。
本稿では「組織の未来図 持続的成長を支える組織論実践」をテーマに、11月13日に開催されたDAY2の講演を要約とともに振り返ります。(DAY1 / DAY3 の様子)
企業の「慢性疾患」とは? 対話的アプローチで挑む企業変革
講演内容を30秒で振り返り!
- 足元の業績は悪くないが、売上高が少しずつ減少している。元気がない社員が増えている、離職率が上がっているといった問題を抱え、放っておけば状況が悪化することはわかるが、何が原因かわからない。こうした企業の「慢性疾患」を企業変革で改善していく。
- ある部門の人がどのようなことに困り、どのように取り組んできたのかを理解し、進める施策は自身とどう接点があるのかを考える。こうした対話的アプローチの積み重ねが企業変革には必要。
- 頓挫することや問題が起きることは、長い目で見れば変革にはよいことと捉える。1人でなくチームで変革を進め、さまざまな視点を交えながら問題を捉え直し続ける。
イノベーションを起こす組織、阻む組織
講演内容を30秒で振り返り!
- 不確実性の高い事業環境のなか、人事・組織が圧倒的に重要で、日本の未来を決めるとすら言える。人事・組織は企業の戦略によって異なるものであり、その戦略こそがイノベーションには不可欠。
- 新しいアイデアは異なる知と知の組み合わせによって起こるため、広く事業の可能性を探索することと、可能性のある領域を深化させることが重要。日本企業は深化に偏りがちなので、人事リーダーは「経路依存性」を克服し、会社全体を変えていかなければいけない。
- 探索に必要なのは、失敗を受け止める仕掛けや多様なアイデアの源泉となるダイバーシティ、イノベーションに必要な企業文化など。これらを戦略的につくりあげる必要がある。時間がかかる取り組みだからこそ、今日からできることを見つけ、徹底的に人と組織をつくりあげてほしい。そうした探索に人間が集中できるようなデジタル活用も重要。
急成長企業の組織づくり 成功の裏では何が?
講演内容を30秒で振り返り!
- バリュエンスホールディングスは、やりたい人がやりたいことをできる状況をつくることが個人・組織双方のパフォーマンスを上げ、従業員のポテンシャルを開花させることが会社の役目と考え、社内公募制度やアスリートのデュアルキャリア採用を推進。
- ヤマップでは事業の多角化を背景に、お客さまが求めるものに対して価値を提供する顧客起点経営を以前に増して推進。職能別組織から事業部別組織へと組織体制を見直した。
- この会社で働けば成長できると従業員に感じてもらい、会社が成長機会を提供していく。また、従業員に行動規範や企業文化の価値を感じてもらうことも企業成長には重要。
働きがいと幸せを突き詰める理想の組織とは
講演内容を30秒で振り返り!
- ユニリーバ・ジャパンでは、会社のパーパスだけではなく、ブランドごとのパーパス、社員一人ひとりのパーパスを、企業活動において重視している。一人ひとりがパーパスを見出し、明文化するために、自らの人生を深掘りする一日がかりのワークショップを実施。「自分自身を知る」ことを徹底的に行なう。
- グロービスでは、社員の自己実現の場を提供し、社員を幸せにすることを会社の重要な役割と位置づける。性善説に則った自由と責任を重視しており、個人の価値観の棚卸しをする機会や仕事以外の雑談ミーティングの実施などを通して、個の潜在能力の開花による“個の爆発”を促す。
- 幸福経営を実現するには、一人ひとりがどうありたいか、何をしたいかといった“内なる声”に耳を澄ます必要がある。自分が整っていないと他者を助けることはできないからこそ、そのために、まずは人事こそ、自分自身の幸せを大切にできるとよい。
パーパスからの自律型組織の構築
講演内容を30秒で振り返り!
- 日本M&Aセンターは、ビジョン(where)= ミッション(what)+バリュー(how)は永遠に変わらないもの。パーパス(why)は時代や環境により変わるものと定義しパーパスをつくり上げた。パーパスと制度の紐づけも進め、報酬は売上、昇進はパーパスに合致しているかどうかで判断するよう人事面も見直した。
- キャディは、バリューを非常に大切にしている。バリューは、ミッションを達成するために全員が前提としてもつべき共通の価値観であり、「これってキャディっぽいよね」と組織のコンテクストを共有し、意思決定のスピードを上げる効果をもつ。
- 会社をよい方向に変えようとしたときに、どうしても「合わない」と感じる社員が出てくる。歴史ある企業において、新しいパーパスがそうした反応を生まないとしたら、つくる意味があるか?を問う必要があるかもしれない。スタートアップにおいては、採用が一番重要。企業規模が拡大するなかでも、いかに企業哲学にマッチした人を見極められるかが成長を加速させる。
人的資本経営実践から学ぶ、活力ある組織のつくり方
講演内容を30秒で振り返り!
- カルビーでは「全員活躍」を掲げ、1on1や心理的安全性向上、一対nのマネジメント、エンゲージメントサーベイ活用などの人事施策を進めてきた。各地の工場を含む職場で一人ひとりのメンバーが居場所があるという実感を持ち、事業貢献できる組織を目指している。
- 双日では、経営戦略や事業戦略と連動する人材戦略を推進するにあたり、女性活躍やデジタル人材、育児休暇などの「人材KPI」を設定、施策の改善を実施。女性比率の増加など組織の変化だけでなく、事業成長にもつながっている。
- 1on1は両社とも試行錯誤を重ねている。単なる愚痴の共有で終わらせないためには、座談会などオープンに複数人で話す機会、オープンな場で共有された意見で組織が変わるという実感、聞き手側の「なぜ?」の掘り下げなども重要になる。
組織の成長は、多様な取り組みが結集してこそ
DAY2全体のファシリテーターを務めた入山教授は、冒頭のセッションにおいて、成長できる組織への変革は、人事制度から働き方、採用方法など、多様な取り組みが結集してこそ、実現できると語りました。
DAY3は「ヒトとの協働 人事戦略による企業の革新と成長」をテーマにセッションを開催しました。業種や業界の異なる企業において、どのように変革のための人事戦略や戦略に紐づいた取り組みが行われているのか。DAY2の内容ともつながる学びが得られます。興味をお持ちの方は、イベントレポートをご確認ください。