メルカリの働き方改革が「採用競争力」をもたらしたワケ
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2018年1月26日、ProFuture株式会社が主催する「HRエグゼクティブフォーラム Vol.9 働き方改革 〜現状と未来への課題〜」が開催されました。
協賛講演として、株式会社SmartHRの代表・宮田昇始がモデレーターとなり、「成長企業は『事業拡大』と『働き方改革』をいかに両立させているのか?」をテーマに、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの取締役社長兼COO 小泉文明氏にインタビューしました。
日本唯一のユニコーン企業として今なお急成長を遂げるメルカリは、いかにして“事業成長”とともに“働き方改革”を両立させているのかを探るべく、本編となる今回は、メインとなるインタビューセッションその1「メルカリの働き方改革が“採用競争力”をもたらしたワケ」をお届けします。
ベンチャーでも中長期的に安心して働けるベースを作りたかった
宮田
それでは本題となるセッションに入っていきます。先程ご紹介いただいた「merci box」を中心に、いろいろとお話をお聞かせいただければと思っております。
まず最初の質問ですが、「merci box」をはじめ、メルカリさんが「働き方改革」と向き合うことになったきっかけは何だったんでしょうか?
小泉さん
先ほど挙げたように、会社がどうサバイブし、永続的に成長するかというのを考えるにあたって、ベンチャーだと短期間で短距離競争して突っ走ることができても、一時的にはいいかもしれないんですけれども、当然社員も疲弊しますし、中長期的に強い組織にならないなと。
一方、短距離競走でなく中長期的に安心して働けるベースを作りたいなと思った際に、やっぱりアップサイドはベンチャーらしくインセンティブ含め個別の評価として還元しつつ、逆にダウンサイドを全部サポートすることで、ダウンサイドについて心配することなく仕事に向き合えるんじゃないかという考えのもと、どんどん制度を拡充していっています。
「merci box」がもたらした安心感と採用競争力
宮田
大企業からベンチャーやスタートアップに転職しようとする時に、安心して働けるかどうかって結構気にされる方が多いと思うんですが、実際制度を運用されてみて、そのあたりの安心感が変化した実感はありますでしょうか?
小泉さん
いわゆる「嫁ブロック」が無くなりましたね(笑)。ベンチャーフェーズだと本人は転職したくてもご家族がなかなか理解してくれない、という話があるんですけれども、やっぱり「メルカリは『merci box』でダウンサイドのリスクと向き合ってくれるんだ」という理解は進んだかなと思います。
あとは弊社の採用経路を見てみると、エージェントを使った採用は10%ぐらいでして、50%強が「リファラル採用」と言わる社員紹介からの採用です。あと残りの35%~40%弱ぐらいはホームページ経由での直接応募ですね。
やっぱりこういう制度があることによって、社員が自分たちの会社の働きやすさであるとか、魅力をアピールする材料になっているかなと思っています。採用の競争力も上がりますし、実際に働き始めても「merci box」制度があることによって大胆に働き続けることができる。
このようなインセンティブが働くため、働き方改革と事業成長の両立を目指せるんじゃないかなと思っています。
メルカリの採用質を高める「オウンドメディア」「社員紹介」
宮田
ありがとうございます。「社員紹介率50%」ってかなり驚異的な数字だと思うんですが、いい会社を作るというのは当然として、それ以外に実施されている施策はありますか?
小泉さん
採用を新卒中心に行うと、どうしても会社の成長スピードに追いつかないので、新卒を採用しつつも、ベースは中途で考えています。
その中で、大前提として各社のエースっていうのは基本的には転職活動しないんですよね。今の会社での仕事が非常に面白く満足していたり、あるいはなかなか忙しくて活動できていなかったり。
そういう方に対して、どうやってメルカリを魅力に見せるかといったところが非常に重要かなと思っています。あるメディアの編集長だった人をHRとして採用し、「メルカン」といういわゆるオウンドメディアを運用していまして、「merci box」しかり、採用にまつわる記事を1日数回投稿しています。先日公開したある記事も公開後1,000から2,000のシェアとなりました。
結構いろんな会社さんで人事施策に取り組まれている一方、それをあんまり対外的にアピールしてないというか、あんまり告知してないケースが多いなと思っています。僕らとしてはなるべく自分たちの会社がやっていることをきちんと届けて、共感された方からの応募が来る流れをつくるのは非常に大事かなと思います。
旧来型の採用って、まず母集団形成のために広告打ちましょうとか、その母集団形成の中で確率論で採用してたと思うんですけれども、弊社では、「10人採用するために10人の応募があればいいんじゃない?」「そのために、なるべくその10人の応募者とのミスマッチを減らすほうがいいよね」という考え方の中で、オウンドメディア施策や、社員紹介施策に対して非常に積極的に取り組んでいます。