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【積水ハウス登壇】不確実な時代を生き抜くための「人事改革」とは?セミナーレポート

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目次

2021年3月9日、積水ハウス株式会社 藤間 美樹さんをお招きしたオンラインセミナーを開催しました。本セミナーは、「関西の人事」と題し、関西エリアで多くのお客様をご支援しているSmartHRとPeopleTrees合同会社が共催してお届けする第1回目の企画です。

「関西の人事」では、今後も変革の最前線にいらっしゃるゲストを毎回お招きし、時流に沿ったリーダー向けのテーマでお話いただくセミナーを開催予定です。

今後の開催予定についてはこちらをご覧ください。

モデレーターはPeople Trees合同会社 東野さん、SmartHR関西支社 今西 佑太が担当。本稿では、藤間さんの講演についてご紹介します。

「不確実な時代」をポジティブに受け止めてほしい

今西

今回は、関西のさまざまな企業にて人事を牽引されてきた積水ハウス株式会社 藤間 美樹さんをゲストに迎え、「不確実な時代を生き抜く人事改革」をテーマに講演いただきます。

それでは藤間さんどうぞよろしくお願いいたします。

藤間さん

よろしくお願いします。積水ハウスの藤間と申します。「関西の人事」というテーマでご依頼をいただいたとき、「とてもいいな」と思いました。私は大阪の人間で、東京に比べてこのようなコミュニティが少ないと感じておりましたので。

はじめに2つお伝えしたいことがあります。1つは「不確実な時代」は、昔からずっと「不確実な時代」でした。昔との違いは「変化のスピード」です。

ですので、不安な気持ちになるのではなく、「どんどん先を行こう!」というようにポジティブな気持ちで受け取るといいんじゃないかなと思います。

2つ目は、「人事改革は偉い人がやるもの」ではありません。人事一人ひとりが積極的に取り組まなければ改革にならないのです。ぜひ、自らが改革していくという気持ちでお聞きいただけたらと思います。

「積水ハウスを世界一幸せな会社にする」

藤間さん

最初に簡単に積水ハウスの話をさせてください。積水ハウスは、1960年の創業以来、「人間愛」を根本哲学とする企業理念のもと、事業を推進し、30年ごとにビジョンを作っています。

最初の30年は1960年。「安全・安心」をテーマにしていました。第2フェーズは1990年から「快適性」を追求し、ちょうど昨年から次の30年のテーマとして「人生100年時代の幸せ」、つまり「幸せの追求」を目指しています。

次の第3フェーズの積水ハウスグローバルビジョンは、「『わが家』を世界一幸せな場所にする」です。今まさにいろいろ取り組んでおり、ESG経営(※)にも力をいれております。

藤間さん

お客さまを幸せにするためには、社員が幸せじゃないといけません。そのために「『積水ハウス』を世界一幸せな会社にする」ことを掲げ、人事改革を進めているところです。

調査結果から見る、従業員のテレワークへの意識

テレワーク実施のメリット

テレワーク実施のメリット

藤間さん

では本題に入りますね。パーソル総合研究所が調査したデータをいくつかご紹介します。まずはテレワーク実施のメリット。昨年(2020年)11月のデータですが、この頃は「感染症のリスクを減らせる」「通勤時間が削減できる」などが上位です。

テレワーク実施の課題

テレワーク実施の課題

藤間さん

次にテレワークのデメリットです。このグラフでは、4月、5月、11月と順に調査しています。「運動不足」や「できない仕事がある」などの課題は少しずつ会社と従業員の取り組みにより改善していますが、気になるのは「労働時間が長くなってきている」ことですね。

コロナ収束後のテレワーク継続希望率

コロナ収束後のテレワーク継続希望率

藤間さん

「テレワークを続けたいか?」という調査に対しては4月から順に「続けたい」という率が上がり、11月には78.6%になっています。

ワクチン普及前後の企業のテレワーク方針

ワクチン普及前後の企業のテレワーク方針

藤間さん

人事・総務・経営層が、ワクチン普及前後でテレワークをどう考えているかという調査です。まだ決まっていない会社が多いものの、「ワクチンが普及したら原則全員出社する予定だ」という割合は増えていますよね。これは先ほどの従業員の想いとはかなり差があります。

コロナ禍において、「テレワークを推進してうまくいった会社」「テレワークにせざるを得ず慌てた会社」との2つに分かれているのではないでしょうか。

「コミュニケーションがとりにくい」「部下の仕事の状況がわからない」という声があるから出社に戻すというのは、少し考えなおしたほうがいいと思うんです。

そもそもオフィスにいた時に、みなさんどんなコミュニケーションを取っていましたか? テレワークだと仕事ぶりがわからず、出社すればわかるというのは、部下の何を見ているのか気になりますね。

「忙しそうだな」とか「遅くまで働いているな」などを見ているとしたら、上司として考えを改めなければならないかもしれません。

仕事の話だけがコミュニケーションではありません。部の方針やキャリアの話、いろいろ伝えたり聞いたりすべきことがあります。1on1などを活用し、もともとそういったコミュニケーションができていた会社であれば、テレワークになっても慌てなかったと思います。

会社として、人事として、組織の実現したい姿、あるべき姿を描けていたのかどうかが、今問われているのではないでしょうか。

不確実な時代の組織運営

より「リーダーシップ」が求められる時代に

不確実な時代の組織運営

藤間さん

では、「VUCA」と呼ばれる不確実な時代に、どのような組織運営が求められるのでしょうか。「リーダーシップ」と「マネジメント」はどちらも大事ですが、時代によって重視されるものは異なります。

安定成長の時期であれば、中期経営計画や年度計画を立て、そこから予算を配分し、しっかり進めていきます。「マネジメント」が重視されますね。

一方、新しいことを取り入れ変革していくことが求められるVUCAの時代には、人と組織を引っ張る「リーダーシップ」が必要です。

藤間さん

ミシガン大学のDave Ulrich教授は1987年頃からその時代の人事に求められるトレンドを明らかにし、コンピテンシーベースで発表されています。2012年に発表されたのが「HR from the Outside-In」でした。「外のことをしっかり取り入れていこう」という意味ですね。

外部の変化、ステークホルダーの期待、そういったことに注意を払い、社内の行動に落とし込むことが大事です。もう約10年前から変化への対応は求められていたんですね。

中長期の環境変化予測が必要

藤間さん

では、どのように変化に対応していけばいいのでしょうか。環境変化の分析方法はいろいろありますが、今日は「PEST分析」をご紹介します。

マクロ環境が中長期に与える影響の把握・予測をしていくもので、以下の4つの要因を分析します。

・Politics(政治的要因)
・Economy(経済的要因)
・Society(社会的要因)
・Technology(技術的要因)

藤間さん

政治的要因、これは「働き方改革関連法案」に対応することなどを指します。経済的要因は、ESG投資や環境関連が関係します。社会的要因では人権の問題。技術的要因では新しいテクノロジーへの対応が考えられます。

不確実な時代には、中長期の環境変化を予測し、変化に柔軟に対応できる組織である必要があります。そうでなければこれからの変化にはついていけないでしょう。

経営戦略が実行できる組織を思い描こう

戦略と風土

藤間さん

戦略と風土は、種と土壌の関係に似ているんです。いかに戦略が優れていても、風土が悪ければ立派な木(業績)は育ちません。

人事は、会社の経営戦略や事業戦略を遂行するために「人事戦略」をつくる必要があります。細かな人事制度や人事施策よりも、まずは「どういう組織風土が必要か」「戦略が実行できる組織はどういうものか」から考えてみましょう。

戦略人事のプロセス

ポジティブな心のエネルギー、「心理的資本」

藤間さん

最後に、「心理的資本」についてご紹介します。わりと新しい概念ですので、ご存じない方もいらっしゃると思います。『こころの資本』という本が2020年に発行されました。アメリカのフレッド・ルーサンスという方が書かれており、翻訳は大阪大学の開本先生が中心になって翻訳されています。

心理的資本とは、一人ひとりがもつ「ポジティブな心のエネルギー」です。自律的な行動を促すエンジンのようなものですね。

人にかかわる資本には3つあります。まず「人的資本」です。Human Capital。主に知識やスキル、能力にフォーカスしていて、「何を知っているか」です。2つ目に「社会関係資本」、Social Capitalといい、人的ネットワークを指します。「誰を知っているか」ですね。

3つ目に「心理的資本」。Psychological Capitalで、「何をやろうとするか」です。「ポジティブな心的エネルギー」を指します。1つ目と2つ目の資本を活用するには、この3つ目の「心理的資本」が必要です。

心理的資本

心理的資本の4つの要素

藤間さん

心理的資本には4つの要素があります。「ホープ(Hope)」、「エフィカシー(Efficacy)」、「レジリエンス(Resilience)」、「オプティミズム(Optimism)」で、HEROと覚えてください。1つずつ簡単に解説していきますね。

1.エフィカシー(Efficacy)

「自分ならできるんだ」と自ら決定して行動する自信。単なる自信ではなく、実際に行動を起こす、自らやろうと決定するところまでが含まれています。

2.ホープ(Hope)

翻訳に携わった開本教授は「熱意」と訳しています。目標達成に向けて、熱意ある意思、「Will」と、目標達成への経路(Way)を臨機応変に思い描ける状態です。

3.オプティミズム(Optimism)

物事を肯定的に見る力です。これらがエフィカシーやホープにもつながります。

4.レジリエンス(Resilience)

回復力と成長を指します。ストレス状態から立ち直り元の状態に戻るだけでなく、さらに成長する力です。

心理的資本の4つの要素

心理的資本を高め、リーダーシップを発揮する人事に

藤間さん

4つご紹介しました。身の回りで、常に前を向き、成果を出し続けて成長されている方がいらっしゃったら、思い浮かべてみてください。その方は、この4つのうち、いくつかを備えていませんか?

経営は、理念とミッションを掲げながら、中長期の環境変化を予測して変革することが求められています。

人事はその変革を進めるために、心理的資本を高め、リーダーシップをこれまで以上に発揮してほしいと思っています。

藤間さんへの質疑応答

今西

藤間さんありがとうございました。みなさんいかがでしたか。不確実な時代に求められる人事の役割についてヒントになればと思います。

ここから質疑応答のお時間にしたいと思います。

東野さん

ではさっそく質問をしていきますね。「受け身の社員が多い場合、どう社員に伝えていくとうまくいくのでしょうか?」

藤間さん

難しいですね。受け身になる理由にはさまざまな要因があると思います。日本人は個性を尊重するより協調性を大事にするカルチャーが強いため、一人ひとりを動かすというよりは、小さなグループを作り小さく動かしていくほうがよいかもしれません。

「頑張りたい」と想いのあるメンバーを集め小さく実行し、効果が出たらさらに広めていく。結果「みんな行っているから自分もやろう」という風に変化することが期待できます。

東野さん

ありがとうございます。2つ目の質問です。「心理的資本を強くするためにはどうしたらよいでしょうか?」

藤間さん

本を読んだのが昨年ですので、まだまだ自分も鍛えられていませんが、自分の経験上でお話しますね。

私は負けず嫌いなのと、間違ったことが嫌いなんです。ですので上司にも「それはおかしいと思います」と言って戦っていました(笑)。結果的に自分を追い込んだおかげで鍛えられたかもしれません。

安全な場所に常に身をおいていたら強くならないと思います。まず一歩踏み出して飛び込むことが大事だと思います。

東野さん

なるほど、ありがとうございます。

〜この後も質疑応答が続きました。ご興味がある方はぜひセミナーにご参加ください!〜

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