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目指すはデータドリブンの人員配置。サーベイ・キャリア台帳で進める「人財改革」

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目次

1968年の創業以来、寿司に特化したブランド構成で国内170店舗以上を展開する株式会社Genki Global Dining Concepts(旧:元気寿司株式会社)。同社では、2023年を第二創業期ととらえ、企業理念の刷新と、「人財育成ビジョン」を策定し、タレントマネジメントの推進に注力しています。

人事部が果たそうとする役割と施策立案や戦略実行のポイントを、同社人事部長の長尾由紀子さんと、次長の五十嵐充さん、人事課長の齊藤幸花さんに伺いました。

  • 長尾 由紀子 さん

    株式会社Genki Global Dining Concepts 人事部長

  • 五十嵐 充 さん

    株式会社Genki Global Dining Concepts 人事部 次長

  • 齊藤 幸花 さん

    株式会社Genki Global Dining Concepts 人事部 人事課長

飲食業界は“人”があってこそ。「人財」への取り組みが企業成長の鍵を握る

現在、御社では雇用形態を問わず1万名超の従業員が活躍しています。「人財」という表記からも、人材を大切にするこだわりと想いを感じています。まずは御社の「人財育成ビジョン」について教えてください。

長尾さん

前提として、当社では2023年を第二創業期のスタートと位置付けています。企業理念も「私たちは、まごころ込めた一皿で、豊かで楽しい時間(ひととき)を提供し、世界中を“元気”にします」に刷新しました。

合わせて、人財に関する新たな考え方として制定したのが、「人財育成ビジョン」です。

人財育成ビジョンでは、「個人の成長=会社の成長」「進化をとめない」「成長をとことんバックアップ」と定めています。

飲食業界は人があってこそビジネスモデルが成立します。会社の成長には、働く人たちの成長が欠かせません。人材採用はもちろん人事評価制度などの改訂など、一人ひとりの従業員が成長できる環境を整備して、企業競争力を加速させるための取り組みをしています。

採用ビジョン・メッセージより

採用ビジョン・メッセージより

ビジョンの策定は人事部が主導で進めたのでしょうか。

五十嵐さん

従業員から公募しました。皆さんに応募してもらったなかから部分的にキーワードをまとめて、最終的に経営陣が主導して決定しました。

長尾さん

弊社は理念やビジョンに限らず、会社の取り組みに店舗の社員も参加し、創り上げていく文化が根付いています。今回もできる限り多くの社員の意見を吸い上げて、方向性を決めていきました。

長期的な人財の育成支援に欠かせない“人事データの集約”

人財育成ビジョンの実現を目指すにあたり、人事部の皆さまはどういった課題をおもちでしたか?

長尾さん

採用に関しては、現在売り手市場になっているので、なかなか今までどおりの施策では人材を確保できない問題があります。また、人事制度も約20年間は大きく変更していない状況でした。そのため、現在では、頑張った人財が公正に評価される人事制度への改革に着手しています。

五十嵐さん

労務面にも課題がありました。たとえば従業員のマイナンバーをどのように管理するべきかも大きな課題でした。マイナンバー管理ができないシステムも多いなか、SmartHR上でマイナンバーを管理できるのも、SmartHRの導入を決定した理由の1つです。

齊藤さん

マイナンバーだけでなく、誓約書や雇用契約書など、入社時に労務観点で従業員から集める情報は多岐にわたります。これらをミスなく効率よく集める方法を検討していました。

現在では、労務に関する情報だけでなく、あらゆる人財情報の収集と管理がSmartHR上で進んでいるので、人事部として進めるべき人事制度改革に着手できるようになりました。

SmartHR導入前は、どのような方法で人事情報を収集していたのでしょうか。

五十嵐さん

必要な書類を封筒に封入して、各店舗に郵送したのち、コピーを人事部に返送してもらっていました。労務システムは導入していたのですが、そもそも以前導入していた労務システムでは、そもそもマイナンバー管理ができなかったのです。そのため、給与明細とマイナンバーを別管理しており、煩雑な管理体制になっていました。

弊社は従業員数に比例して労務上の課題も少なくありませんでした。SmartHR導入後は、労務関連の課題の多くを解決できました。

長尾さん

SmartHRの効果は、労務関連のペーパーレス化を実現できただけではありません。SmartHRで従業員データを一元管理できたため、人事評価などのタレントマネジメントシステム実践の一歩を踏み出せました。

齊藤さん

人事部のミッションは、店長が円滑に店舗運営できるようにバックアップすることです。SmartHR導入前は、採用した従業員の入社手続き時に従業員情報を入力するなど、店長の負担も少なくありませんでした。しかし現在では、入社する本人に情報を入れてもらえるようになり、店長の負担も軽減できました。

長尾さん

人財育成に関する課題解決にもつながると考えています。人財育成はスポットでやるものではなく、何年もかけて実施していくもの。SmartHR導入前は、受講した研修の内容や所有資格・スキル、過去の人事評価の結果などの情報が点々としていました。そのため、育てたくても何が足りないかがまったくわからず、育成が遅々として進まない状態でした。

適切な配置や情報にもとづいた育成方針を決定し、上司が正しく部下をマネジメントできなければ、人財育成は成功しません。SmartHRは、従業員情報を一元管理できるため、適材適所を実現でき、一人ひとりが活躍できるステージを用意できるのではないかと期待しています。

第二創業期の現在では、必要なスキルや適正は変化していますか?

長尾さん

昇格ステップが明確なため、店長までのキャリアアップは難しくありません。課題は、適切に人財を配置できているのかが不明確なことです。

従業員のデータにもとづいた配置こそ、本来のキャリアステップだと思っています。しかし実際は、感覚で「なんとなくこの人が向いていそう」とか、誰かの一声で異動を検討することも少なくありません。とくに企業理念の刷新後は、行動指針も変更しています。「なんとなく」の感覚ではなく、行動指針を体現できる社員を選定しなければ、本当の意味での「育成」は果たせないと考えているのです。

タレントマネジメントの第一歩として従業員サーベイを実施

タレントマネジメントの本格的な実践が始まっていると伺いました。まずは、何から着手したのでしょうか。

長尾さん

まずは一人ひとりキャリアの意向をヒアリングするために、SmartHRで従業員サーベイを実施しました。

サーベイの実施からはじめた背景についてお教えください。

長尾さん

タレントマネジメント施策の1つとして、SmartHRのキャリア台帳を活用した配置決定を検討しています。所有資格やスキル、評価の推移は人事部で集約するのですが、一人ひとりのキャリアの意向は、これまでデータになっていなかったのです。そのため、まずは約600名の正社員を対象に「勤務可能エリア」を取得しようと考えました。

初めての試みで試行錯誤もあったかと思います。実施したご感想をお教えください。

長尾さん

回答に関しては、残りの数名の回答は遅れましたが、スムーズに回答を回収できました。今回は自分の働き方と給与に直結する勤務可能エリアなので、回答率が高かったのではないかと分析しています。

五十嵐さん

その一方で、所有資格については回答率が少し下落しました。たとえば、経理の資格など「店舗で働くには必要がない」と考える社員もおり、回答率が下がったのではないかという仮説をもっています。タレントマネジメントを実践するための今後の課題と考えています。

長尾さん

SmartHRを核としたタレントマネジメントの方針の伝え方は検討する必要を感じましたね。従業員だけでなく、役員への働きかけを含め、アナウンスは工夫しなければなりません。

サーベイで収集した従業員情報をキャリア台帳でどのように運用する予定でしょうか。

齊藤さん

これまでは居住地や資格情報などが閲覧できなかったため、各部署での配置検討時や異動後の問い合わせに対して、人事部が回答していました。キャリア台帳での従業員情報の管理体制が構築できれば、本人の意向と現場の実情に即した配置検討が可能になると考えています。

五十嵐さん

各店舗の従業員が必須資格を取得したかも確認が容易になります。飲食店の運営には、食品衛生責任者と防火管理者、衛生管理者は必須資格。この3つの取得状況を把握できなければ、店長への昇格にも影響が出てしまいます。衛生管理者は50名以上の従業員が所属する店舗で必要なため、取得していなければ大型店で店長に就任できません。

これまでは従業員の取得資格については人事部とは別の部署が管轄しており、確認に多くの工数が必要でした。キャリア台帳での管理体制によって、事業運営に欠かせない課題の1つがクリアになりました。

キャリア開発につながる仕事への工数捻出で
「個人の成長=会社の成長」の実現を目指す

タレントマネジメント全般に関する今後の構想を教えてください。

長尾さん

キャリア台帳については、各部署での実運用に移行する段階です。その他のタレントマネジメント施策の策定・実施だけでなく、削減できた工数を使って一人ひとりのキャリア開発にも注力したいですね。

具体的には?

長尾さん

人事部だけでなく、全社的に作業に工数を使わず、部下の育成や店舗の売り上げアップの施策検討に時間を使えれば、これまで以上の能力を身につけられます。

結果を残せれば、一人ひとりのキャリアアップにつながりますし、人事部で考えても、「不明点を調べられるだけ」では、職務経歴にもなりません。「こういった取り組みをして何%改善できた」という結果は、その人のキャリアと能力の拡張につながります。作業はシステムで完結し、キャリアアップにつながる仕事に一人ひとりが注力できる環境の整備こそ、私が理想としている将来の絵です。

人財育成ビジョンの「個人の成長=会社の成長」の真の意味は、ここにあるのですね。

長尾さん

「入社したらしっかり成長できて、キャリアを積める」環境を実現して、売り手市場でも人財が集まってくる会社になると、よい循環になるかなと思っています。

五十嵐さん

そのためにも、キャリア台帳の安定運用にフォーカスしたいですね。新しい仕組みが成功するためには、運用する他部署の使い勝手が重要になります。他の施策についても早期にリリースして、まずは少しでも使ってもらって良さを実感していただきたいです。

齊藤さん

施策は実施して終わりではありません。現場の要望を採り入れて常に改善を繰り返して、マネジメント層から店長へと活用の輪が広がっていく。従業員の皆さんがSmartHRに触れる機会をさらに増やして、弊社のメインシステムにするのが理想です。

長尾さん

皆さんに長く働いてもらうための環境整備が、人事部のもっとも大切なミッションです。加速度的に売り手市場が拡大し、働く人が少なくなっていくなかで、全体最適化する部分と、一人ひとりに寄り添ったキャリア開発の両方が必要になるでしょう。それができないと退職も増え、今後の企業拡大が不可能になります。

タレントマネジメントは企業が生き残るための不可欠な施策です。施策を考え、実行できる人事担当者へ成長する工数を捻出するためにも、今後もシステムを活用していきたいですね。

撮影:矢野 拓実

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