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維持困難になった「旧来型雇用」。イマ必要な“捨てる勇気”とは?【働き方改革を成功に導く人事部の役割】#02

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2018年9月11日、株式会社SmartHR主催イベント「SmartHR Next 2018 – HRの最先端が集結する日」を開催しました。

「SmartHR Next」は、産官学の有識者のパネルディスカッションに加え、参加型ワークショップや来場者の交流・情報交換を通じて、明日から取り組める施策を学び・活かすための「働き方改革の明日」を創る等身大の人事労務イベントです。

同イベントのパネルディスカッション第一部において、「働き方改革を成功に導く人事部の役割」をテーマにディスカッションを行いましたので、同内容を全3編にてお届けします。

アジェンダ #02は「働き方改革2.0に必要な取り組み」です。

「滅私奉公・忠誠」で支えられてきた旧来型雇用

藤本さん

次のアジェンダ、「働き方改革2.0に必要な取り組み」に移りたいと思います。

白石さん

次世代の働き方を考える前に、これまでの日本的な雇用のあり方を、目線合わせとしておさらいしたいと思います。

旧来の日本型雇用システムの特徴

提供:白石 紘一さん

今ここに「長時間労働」や「年功序列」、「終身雇用」など、いくつかキーワードがありますが、人事や経営者の皆さんには耳馴染みのある言葉かと思います。

「職務範囲が無限定」。こちらは、先ほどの大室さんのお話でメンバーシップ型のお話がありましたが、まさに仕事の範囲が特に決まらず曖昧です。仕事が早く終われば、まだ終わっていない人の分をシェアして、一緒に残業する。やれと言われたらなんでもやる。そういった日本旧来の働き方です。

で、こういう形の企業と働き手の関係を戯画的に表すと、このような図になるのかなと。

これまでの企業と働き手の関係性

提供:白石 紘一さん

働き手が企業に何を差し出してきたかというと、これはまさに“滅私奉公”や“忠誠”という形ですね。

やれと言われれば、何でもやります、何時間でも働きますと。転勤もそうですね、行けと言われれば、どこへでも行きますと。自社でのみ通用するスキルを伸ばして、自社のために尽くして全身全霊かけて働きますと。「24時間戦えますか?」というキャッチフレーズが、美しい言葉として扱われていたような時代ですかね。

じゃあ、企業が働き手に対して、何をお返ししていたかというと、終身的な雇用保障や生活保障です。

当然、クビにはしませんし、ずっと居てくれれば年功序列で給料も職位も上がる。また、給料の支払い方としては、成果に対して払うというより、その人の生活を保証するために払っている「生活給」という呼び方もされていました。

ある種の信頼関係で成り立っていたのがこれまでの働き方です。ただ、新卒一括採用が根強く、中途入社での出入りも少なかったことも相まって、非常に強固な関係でありつつも、かなり内部に閉じた関係でした。一身専属的で、“就職”ではなく“就社”という表現があります。つまり、職務に就き仕事を全うするのではなく、その会社に入るのがゴールになっていたんです。

こうなると、先ほどのテレワークもそうですが、働き方の選択肢ってほとんど無いんですね。

会社に集まって9時から6時まで働くと。働き方もキャリアのつくり方もほとんど選択肢がなく、ある種決められたレールや階段に沿って上っていく。逆に転勤を断りでもすれば出世コースからたちまち外れてしまう。

会社の言うことに従い、ひたすら階段を上り続けるか、あるいはゆとりを持って働きたいのであれば階段を下りて、地べたを歩き続けるほかない。そんな2つの選択肢しかなかったのが、これまでの日本の雇用のあり方でした。

しかし、現代社会において「長時間労働」や「職務の無限定性」などが課題になり、これまでの働き方を維持するのが困難になってきました。まさに働き方改革が求められているわけです。

白石 紘一さん

「業務の棚卸し」と「取捨選択」が必要

藤本さん

白石さん、前振りありがとうございました。というわけで「働き方改革2.0に必要な取り組み」についての議論に移っていきたいと思います。

大室さんがパネルディスカッションの事前に、働き方改革の課題を“冷蔵庫のドレッシング”に例えた面白い話をしていただいていました。

大室さん

産業医って色んな企業の職場を点検するんですけど、給湯室や冷蔵庫なんかもチェックするんですね。

で、その冷蔵庫の中に放置されたドレッシングを手にとって「このドレッシングは誰の?」ってその会社の従業員に聞いたところ、誰も知りませんということがよくあります。

そんな誰のものか、よくわからないドレッシングが冷蔵庫にいっぱい入っている。誰かがこのドレッシングを必要なんだろう思ってそのまま置いているけど、実は誰にも必要なものではなかったと。

この話って別に、冷蔵庫に放置されたドレッシングだけじゃなくて、仕事でも似たようなことがたくさんあるんですよね。

要は皆さん、今までなんとなくやっていた作業を棚卸しして、「はい、これ明日からやらないから」と捨てるのが苦手なんですよね。仕事増やすのは得意なんですけど。

でも働き方改革を進めていくにあたって、その取捨選択の中でも特に“捨てる”ということを、今後強化していかなければならないんじゃないかと思っています。

「8人で1時間会議すると1人日分。」定量的に可視化すべき

藤本さん

なるほど。そうすると、取捨選択の判断基準が必要になると思いますが、データやツールを活用した取捨選択の事例について、田中さんご存じですか?

田中さん

やっぱり一番大きいのは“会議”ですね。色んな会議がありますが、その企業の方に「この会議って必要ですか?」と聞くと「いや、前からやってたんで」って言うんですよね。

冷蔵庫の誰かのドレッシングの話みたいに、誰が何のために始めて、続けているのかがわからない会議がたくさんあるんです。

会議ってものすごく時間をとるんですよ。参加する現場の人数×時間。例えば、8人で1時間の会議をやると8時間、つまり1人日分の工数ですよね。この工数を使って、いったい何の話をしているのかと。

藤本さん

1人日って考えると、かなりの工数ですよね。そうやって定量的に示すと、皆さんハッとなりますか?  それとも「ふーん」という感じですか?

田中さん

皆さん「そうなんだ」とびっくりされます。「えっ、こんな何時間分も会議に使ってるの!?」と。

過去の常識にとらわれない「柔軟な人事システム構築」を

大室さん

旧日本軍では、会議って何かを決めるというより、「みんなで決めたよね」「決めたのは別に俺だけじゃない」と責任所在を明らかにしないためにやっていたと言われていますが、そのために多くのコストが使われていたんだなと感じるところです。

簡単に言うと、現代の不要な会議もそんな感じで続いているんですかね?

田中さん

ちょっと難しいところですね(笑)。

確かにおっしゃる通り皆の同意で決める、つまりこれは合議制で決めているんだよというのは否めないかもしれませんね。なので、色んなメンバーに「ちょっと聞いとけよ」と声をかけて参加させると。

でも、ただただ聞くだけならメモや録音、議事録などをあとで回覧すればいいんじゃないかと。そもそも発言しないんだったら、会議に出る必要ないですよねと。人数分コストになりますから。

藤本さん

しかも、実際は合議で決めていないケースのほうが多いですもんね。

白石さん

“みんな同じようにやっていかなきゃいけない”という伝統的な日本型雇用の1つの特徴がありましたが、それが今デメリットになっていると思うんです。新たな世界観と矛盾が生じてしまい、様々な問題が噴出しています。

ブラック企業が問題になるのも、終身的雇用保障をできもしないのに、「お前ら当然、みんな長時間働くんだろ」と社員に強要しているのが表に出てきているということだと思います。

そうすると、人事としてどのように個別最適化を図るのか。

既に“現代では成り立たなくなったシステム”の中に人を当てはめていくのではなく、“現代社会で成り立つようなシステム”へと柔軟に組み替えていくことが求められるのが今の流れかなと思います。

大室さん

ちなみに、世の中で生きていて何が疲れるかというと、 頭や体をつかうことより「気をつかう」のが一番疲れるんですよ。銀座のクラブとか4時間くらいで閉まりますよね? 気をつかう仕事だからやっぱりすごく疲れるんですよ。

例えば会議とかで、部下に対して「お前、もっと頭つかえよ」って言う上司がいますが、気をつかわせてるから頭をつかえないんですよ。

上司やベテランのほうが詳しいことも確かに多いと思います、例えば金型つくって20年みたいな業務であれば尚更でしょう。ただその一方、TwitterとかInstagramとか、そういったものを自社のビジネスで活用するかという話はむしろ若い人のほうがよっぽど詳しいし得意ですよね。

このような若い人々がリラックスした状態で発言できる時間をつくるのも、非常に大事なのかなといつも思っています。

大室さん

藤本さん

マネージャーとして発言しやすい雰囲気をつくるのは大切ですよね。

大室さん

そうですね、「●●(某お笑いコンビ名)」のレギュラー番組が終わりましたけど、ウッチャン(内村光良さん)の番組は長続きしますからね(笑)。

大室さん

例えば、最近流行っているみやぞんさんが最初に出たのは「●●」の番組だったらしいんです。その時に、「●●」さんたちに先輩芸でイジられて、当時は全然ウケなかったんだけど、ウッチャンの番組で自由に芸をやらせた途端、ブレイクしたらしいんです。

藤本さん

そうなんですか?

大室さん

あれが今どきのマネージメントなんです。近寄りがたいような、怖い人というより、中心でメンバーをうまく回してあげるような方向性が、今どきのビジネスシーンに合っているのかなという印象です。

藤本さん

「お前本当にダメだな」とかって言われるより、「それイイね!」と言われたほうがなんとなくやりやすいですよね。

大室さん

ただ、フィードバック中に「ホメてくれると伸びるんですけど……」って言ってくる若手にややイラっとしてしまう気持ちも正直あるんですけどね……。

(会場笑)

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