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「働き方改革の限界を感じていました。」ベイクルーズの新人事制度がもたらした “働きがい創造” へのパラダイムシフト【サービス産業が抱える課題と変革推進のポイント】#04

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2018年9月11日、株式会社SmartHR主催イベント「SmartHR Next 2018 – HRの最先端が集結する日」を開催しました。

「SmartHR Next」は、産官学の有識者のパネルディスカッションに加え、参加型ワークショップや来場者の交流・情報交換を通じて、明日から取り組める施策を学び・いかすための「働き方改革の明日」を創る等身大の人事労務イベントです。

同イベントのパネルディスカッション第一部「働き方改革を成功に導く人事部の役割」に続き、パネルディスカッション第二部では「サービス産業が抱える課題と変革推進のポイント」と題し、働き方改革の具体的事例についてディスカッションを行いましたので、全5編にてお届けします。

#04 は、ベイクルーズの新人事制度がもたらした 「働きがい創造」についてです。

  • パネラー江澤身和 氏

    株式会社スープストックトーキョー 取締役 兼 人材開発部部長

  • パネラー梶村努 氏

    株式会社ベイクルーズ 人財統括 取締役 CHRO

  • パネラー大久保伸隆 氏

    元エー・ピーカンパニー 取締役副社長

  • モデレーター城倉亮 氏

    リクルートワークス研究所 研究員

ベイクルーズの新人事制度がもたらした 「働きがい創造」

梶村 努

梶村 努。株式会社ベイクルーズ 人財統括 取締役 CHRO。コンサルティング会社で組織人事等のコンサルタント業務に従事した後、サービス業、IT企業で経営企画、人事責任者の職務に従事。2013年1月にベイクルーズグループへ入社。人材開発ディレクター、執行役員を経て、2017年9月より取締役CHO(現職)として同社全体の人財採用、発掘、育成、仕組みづくりに取り組む。また同年9月より株式会社WILLWORKSの代表取締役として人材事業のスタートアップを推進中。

城倉さん

続いて梶村さんにパスをしたいと思います。よろしくお願いします。

梶村さん

ベイクルーズグループは創業40周年を迎えます。

「衣食住美を通して人生の楽しみを提供する」という企業理念のもと、現在10社の事業会社を設立し、ファッション、フード、ファニチャー、フィットネスの事業を展開しています。『IENA(イエナ)』『Deuxieme Classe(ドゥーズィエム クラス)』、『JOURNAL STANDARD(ジャーナルスタンダード)』など60以上のブランド・業態を展開しているグループ企業です。ファッションだけでなく、飲食も含め多くのブランドをクリエイション展開している会社はそんなには無いと感じています。

ベイクルーズグループ 行動指針

行動指針は、「おしゃれにこだわり楽しもう!ついでに仕事も楽しもう!」「JOY FOR CREATION ! JOY FOR CHALLENGE!」。私たちは、衣食住の事業を通じて、お客様にオシャレを提供しています。

だからこそ、仕事の前に、まずわたしたちパートナーが、オシャレにこだわり、徹底的に楽しむことが重要だと考えています。それがそのまま、お客様への提案に繋がり、いきてきます。そして、同じくらい仕事においても、徹底的に夢中になって、創造・挑戦し、取り組むことを大切にしています。

平均年齢33歳、実は弊社の社員の7割が女性で、女性の役員も7名おり、女性が多く活躍している企業でもあります。

ベイクルーズグループ わたしたちパートナー

ここ5年間で、27の業態を開発し、新規出店で150店舗、売上規模は145%成長となりました。社員・アルバイト数も1,260名増加し、急激に成長してきました。

そうした中、人事では様々な戦略と施策を試行錯誤しながら、事業部と一緒に人の成長、生産性を高め、離職率を10%台まで改善する取組みを推進してきております。

先ほど江澤さんのお話に、「まずは理想から考える」というものがありましたが、当社はあるべき姿を描くことと同じくらい、まず動いてみる・やってみるということも重要視しています

その結果を積み重ねながら、あるべき姿や理想を更に描き追求することが重要と感じています。

「働き方改革」から「働きがい創造」へのシフト

梶村さん

次に、私たちの「働きがい創造」を紹介します。

人の側面に関する重要課題

そもそも弊社では、ご覧のような課題の解決がありました。1人あたりの生産性向上や全パートナーの活躍。次世代の育成などの課題を持ち取り組んでいっています。

実は働き方改革は数年前にやっていて、そのときは、本社を20時には閉めて早出を推奨する「Early Bird Project(アーリーバードプロジェクト)」や、「無駄な業務の削減」などに取り組みました。

結果、20時以降の残業がほぼなくなっていき、平均残業時間も20%削減されて、1名あたりの生産性はアップしたという結果になっています。

BAYCREWSの働き方改革

確かに生産性は高まり結果的に社員の成長にも繋がったと思いますが、一方で社員に疲れも出始め、何より「本当に一人一人のキャリアに関する悩みや期待に応えられているのか」と働き方改革の限界を感じ始めるようになりました。

そうした過程を経て、私たちが大切にしていることは、パートナー1人1人の「働きがい創造」です。仕事を通じたキャリア・未来が描ける、長く輝きながら働き続けられる会社づくりを目指すことを、CEOはじめ役員と話し合い、具体的に推進し続けています。

そしてベイクルーズグループでは「BAY☆CAREER(ベイ・スター・キャリア)」という人事制度を整備運用し、パートナーが仕事を通じた未来のキャリアを描き、長く輝き活躍し続けることを応援しています。

BAYCREWSの働きがい創造

包括的なキャリアづくりを後押しする「BAY☆CAREER」

梶村さん

「BAY☆CAREER」では、直近5年間で採用、キャリア開発、エンゲージメントなど色々なことをやってきました。

「BAY☆CAREER」人事制度

弊社の社員の中でもっとも就業人数の多い職種が、店舗に勤務するファッションアドバイザー(FA)であり、店長です。5年前、最初に見直したのが、ファッションアドバイザーと店長のための人事制度でした。

ファッションが好き、お店が好き、接客が好きなパートナーが、お店で長く活躍できる制度を目指しました。具体的にはプロFA認定制度の「BAY☆FA」、プロ店長認定制度の「BAY☆店長」などの制度づくりからスタートしています。

またファッション業界では、デザイナーやMD、バイヤーといった専門職の採用育成もとても重要な課題です。

数年前から「インフルエンサーセレクション」という、感性重視の新卒採用をスタートし、社内で「マーチャント研修」というスペシャリストの育成や抜てきをスタートしています。

「BAY☆CAREER」人事制度

「職種別ステージ制度」ということで、すべての職種でキャリアステップがどうなるのかを見える化して、現場でステージごとにキャリアをつくりあげるような取り組みも行っております。

それ以外に、「自己実現したい」、「自分でブランドをつくりたい」、「こんな商品を作ってみたい」など、色々な想いを持ったパートナーに向けて「START UP CAMP」という新事業提案制度も導入しています。

また、時短勤務制度を業界に先駆けて導入し、育児・介護ができるように「フレキシブル勤務」で働き続けられる仕組みを導入しました。この制度は従来小学校4年生のお子様まで利用可能としていましたが、2019年4月から、小学校6年生まで延長とし、中学校に入るまで安心して育児しながら働ける仕組みを導入することになっています。

このような人事制度「BAY☆CAREER」による働きがい創造に取り組んでいます。

制度企画の中心に現場メンバーを据え全社を巻き込む

城倉さん

ありがとうございます。ベイクルーズさんでは、各領域各フェーズで施策をたくさんやられていていますね。大久保さんから、ぜひベイクルーズさんの取り組みについてご質問があればコメントをいただけますでしょうか。

大久保さん

僕や江澤さんって、現場の叩き上げでやってきたので、こういう人事制度も現場を巻き込みながらできると思うんですね。

でも、梶村さんって中途で本部に入られて、このような数多くの施策を打って、しかも実際に結果がしっかりと出ていました。僕だったらあんまり考えられないというか、(現場を経ていないと)やっぱり絵に描いた餅になりがちで、本部から発信されるだけで終わりみたいなことって結構多いと思うんです。

梶村さんは、そこをどううまく巻き込んでいったのかのプロセスが気になりました。

梶村さん

おっしゃるとおりで、1人では現場の理解を得られません。制度を企画する中心に現場のメンバーを巻き込む形で制度を検討し導入しています。

実際に「BAY☆FA制度」をつくるときには、店舗で長く活躍してきたファッションアドバイザー出身者を中心に「どうしたら本当に称賛されるべきファンションアドバイザーが賞賛され、長く活躍し働けられるのか?」ということを、現場のメンバーを中心に話し合い形にしていました。

数百店舗、数千名以上の従業員の皆さんにこれを浸透するのは本当に難しいことで、導入のときには必ずラインの各責任者と現場のリーダーを巻き込み、更には実行委員会をつくって、みんなで取り組むことで、現場浸透を図っています。

城倉さん

巻き込み方ってすごく難しいけれども、大事ですよね。それだけで2時間ぐらいしゃべれそうなネタではあるんですけれども(笑)。

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