SmartHR 副島が語る3年間のプロダクト変遷。ローンチから現在までを一挙公開!
- 公開日
目次
2019年1月11日に、株式会社SmartHR 2019年全社キックオフを開催しました。
同キックオフにて、SmartHR VPプロダクトプランニング(Vice President of Product Planning)の副島 智子が「SmartHRの変遷 〜ローンチから現在まで〜」と題し、発表しました。
その内容を全文書き起こしにてお届けします。
(以下本編)
「SmartHR」ローンチ時と現在の違いは?
皆さんお疲れ様です、副島です。
実は、昨日1月10日に、グループ名の変更とともに役職名も変わりまして、プロダクトマネージャーを改めまして、VPプロダクトプランニングという、本人が一番言い慣れていない名前に変わりました(笑)。
今回は、「SmartHRの変遷」と題しまして、過去から現在まで3年間をちょっと振り返ろうと思っております。よろしくお願いします。
まず、ローンチ時と現在の違いを簡単に振り返ります。
SmartHRのローンチは、2015年の11月、3年前ですね。この正式公開日と同日に開催された「TechCrunch Tokyo2015」で最優秀賞を受賞して、一気に注目をしていただいたという経緯があります。
画面の変遷
現在と3年前、どのくらい違うのか? まずトップページ。
こちらは皆さんおなじみ、現在の画面なんですけれども、3年前はこのグレー塗りをしているところが3年前はありませんでした。
もっと分かりやすいのは、共通設定画面。こちらが現在ですね。
で、なんと3年前はこれだけでした。
3年間でこれだけの機能をリリースしてきました。
ユーザー属性の変遷
ユーザー属性も、変遷しています。
ローンチ当初は、従業員50人未満のIT系企業を中心に広まっていきました。
IT系企業の方なので、皆さんITリテラシーが高い。従業員数10人〜50人ほどですと、バックオフィス専任の方がいないケースもあり、労務に特化して詳しいという方はあまりいらっしゃらないような状況です。
で、ローンチから半年経つと、従業員数200人~500人規模の企業での導入があっという間に増えていきました。このぐらいの会社の規模になると、バックオフィス専任の方がいたり、労務専任の方がいらっしゃるケースも多いです。
それから現在では、飲食・小売業などの業界で、従業員数は数千人規模、場合によっては万単位規模の企業での導入も進んでいます。このような業界においては、1人1台のパソコンを持っていらっしゃらない、あるいはスマホを使っていない従業員さんがいらっしゃるケースが多いです。
このように、ユーザーの属性やニーズは、ローンチ時から現在までの3年間で大きく変化しています。
【変遷その1】2015年11月〜2016年4月
次に、具体的な機能の変化として、3年間でどのような機能がリリースされてきたかを、いくつかピックアップしていきます。
まずは2015年11月から2016年4月。
この時はローンチして半年ごろで、実は最初のターニングポイントがありました。
先ほども申し上げたとおり、ローンチしてから半年で、あっという間にユーザー企業の従業員数規模が変わったんです。
ユーザー企業規模が変わるとどういう違いが出てくるのか?
ローンチ当初多かった50人までの規模だと、従業員はみんなワンフロアにいます。なので、何かしらの書類に不備があったとしても、すぐに「ねえねえ、ちょっとちょっと」と担当者から従業員に確認できるような状況です。
これが500人規模とかになってくると、必ずしも同じフロアにはいるわけではありません。何だったら、オフィスが違うといった状況も出てきたりします。
あとは、「簡単に書類ができます」というだけでは、なかなか満足いただけないような状況にもなってきたところに、当時の私は課題を感じました。そして入社して1ヶ月で、Qiita:Team上にいろんな課題を提示させていただいたんですね。
この時期は、ローンチして半年なので、新しい機能をどんどん追加をしていかないといけない状況なんですね。
そんなタイミングで新機能リリースをストップさせて、既存機能を改善させましょうというのは、なかなかアグレッシブな提案です。
このときの話が、話題にもなったログミーTechさんのこちらの記事。
読まれた方いらっしゃいますか?
(会場挙手)
……おお、結構いっぱいいらっしゃいますね。
当時の開発状況がわかりますので、ぜひご覧になってみてください。
で、この問題を踏まえて改善しましょうとフローの見直しを行いました。
これ、当時の写真なんですけど、私1人でホワイトボードに付箋をぺたぺた貼って、「ここがこうなってほしいんだ。こうなってほしいんだ」と書き出していったんです。
情報がすぐ上書きされてしまうため「履歴機能欲しい」とか、「配偶者さんじゃないのに3号(第3号被保険者)できちゃう」とか「役員だから社保だけ加入させたい」などの課題が、このときからありました。
じゃあ何でそのとき開発に至らなかったのかなと疑問に思う方もいらっしゃると思うんですが、当時のオフィスにはこのメンバーしかいませんでした。
エンジニアも4人でしたので、当時の開発リソースだけで立ち向かうのは、やっぱりすごい難易度が高かったんですね。今は履歴機能開発に着手し始めていますけれども、エンジニアの増えた今だからこそできるということを、すごく実感しています。
じゃあ一方で何もやらなかったかというと、そういうわけではありません。
そのままだと当時の一部クライアントが解約してしまうリスクが高かったので、まずは利用頻度の高い入社手続きまわりだけ先行して一部ワークフロー化し、その他のものは、リソースのタイミングを計っていたというような状況がありました。
これがローンチして半年間の状況です。
【変遷その2】2016年5月〜2016年10月
続きまして、2年半ほど前。2016年5月から10月までの半年間です。
先ほどの入社手続きのワークフロー化はこのタイミングで行いました。
あと、この時期のトレンドといいますか、当時は社労士さんが売ってくれるかもという期待がすごく 大きかったんですね。数百名規模の企業だと、社労士さんがガッツリ入って手続きを行うフェーズなんです。
なので、ログイン・ログアウトをしなくても、複数のテナントに切り替えて入れる「マルチログイン機能」をリリースしています。
【変遷その3】2016年11月〜2017年4月
続いて、2016年11月から2017年4月の半年間。
資格取得・喪失届の複数人印字がこの頃にできるようになりました。
あわせて電子申請も一括申請できるようにしたかったんですけれども、1人1人違う添付書類が必要なんです。それをどこでどのようにして添付してもらうのかなど、UIがとても難しいため断念しました。いまだに電子申請の一括申請ができないのは、これが理由です。
しかし、今だったら最善の「プランC」が出てきそうな気がしておりますので、タイミングを見て、改善していけたらなと思っております。
【変遷その4】2017年5月〜2017年10月
それから、2017年5月から2017年10月。1年半前ぐらいですね。
細かい改善が多かった時期です。なので、大型機能開発のきっかけととなるエピソードを2つご紹介します。
1つ目は、2017年6月に「ガチ会議 ●●様導入に向けての緊急相談会」なる会議がセッティングされました。
主催は写真のおふたりですね(左・VP of Sales 大辻昌秀、右・VP of Customer Success 高橋昌臣)。
この会議は何かと言いますと、あるお客様の導入に向けて「雇用契約書をやりたい!」と、写真のおふたりが非常に熱い思いを持って実施されました。これをきっかけに調査や仕様策定が始まり、2018年夏のリリースに至ったんです。
もう1つのエピソードは、現CTOの芹澤さんによる、「App Store研究所(調査・概要設計編)」というQiita:Teamでの記事。今で言うプラットフォーム構想(※)「SmartHR Plus」ですね。具体的な話が挙がってきたのは、この時期です。
ちなみに当時、こんな感じのネーミングの案がありました。
「SmartHR Plugins」とか、最終的に決まった「SmartHR Plus」もこの候補のなかにありました。
【変遷その5】2017年11月〜現在
最後に、直近1年間をまとめてご紹介させていただきます。
この1年では「雇用契約機能」をはじめ「SmartHR Plus」に関するアプリなどの大型プロジェクトがありました。
間もなくリリースされる履歴機能の開発に着手したのも、この1年間でのできごとです。
おわりに
以上、これまでのプロダクトがどのように開発されてきたのかを、SmartHRの変遷として駆け足でご説明させていただきました。
まとめとしては、「SmartHR」はまだまだ完成されたプロダクトではありません。新しい機能がどんどん追加されて、既存機能もどんどん改善されていきます。初期の頃から抱えている課題も、まだまだ残っているような状態です。
ただ、3年前に描いていた構想が少しずつ実現されつつあります。この3年間で、プロダクトサイドにも、ビジネスサイドにも、コーポレートサイドにもたくさんのメンバーが加わりました。
1人1人の力を合わせて、もっとブラッシュアップを重ねて、より良いプロダクトにしていきたいなと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
(了)