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“ファシリテーション”の技術は役に立つ?明日使える知識を学ぶ勉強会

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目次

こんにちは。PARK運営チームの深澤です。

SmartHR ユーザーコミュニティ「PARK」には、「コミュニティ内のコミュニティ(通称:コミュコミュ)」があり、業界やテーマごとに、さまざまなコミュニティが日々立ち上がり賑わっています。

この記事では、2024年5月16日に開催されたコミュコミュオーナー限定の勉強会レポートをお届けします。

勉強会開催に至った背景

2023年にオープンしたPARKは、現在1,200名ほどのユーザーが集うコミュニティに成長。コミュコミュも16個まで増えたいま、オーナーも29名となりました。平均でも毎週1回は、どこかのコミュコミュでイベントが開催されています。※2024年5月現在

図表:テーマや業界、エリアごとのコミュコミュ一覧

(テーマや業界、エリアごとのコミュコミュ一覧)

「学びあいの機会」となるように

コミュニティの運営ノウハウや悩みをオーナー同士で共有し、コミュニティを盛り上げながら実務にも還元できる「学びあいの機会」になってほしい、と私たちは考えています。また、「イベントの盛り上げ方を知りたい」とオーナーから要望をいただくことが多く、ファシリテーションをテーマにした勉強会の開催に至りました。

今回、ノウハウの提供でご協力いただいたのは「すまつたコミュニティ(SmartHRを使いたおす、から命名された)」を立ち上げた、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(以下、ケンブリッジ社)の渡辺 歩さん。コンサルティングファームであるケンブリッジ社での知見や、過去にイベントを開催されている歩さんの見解を交えながら「ファシリテーションとはなにか」についてお話いただきました。

渡辺さんの登壇中の様子

(今回、講師を務めたケンブリッジ社の渡辺 歩さん)

講師渡辺 歩

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 すまつたコミュニティ 初代オーナー

新卒でJR東日本に入社し、電車の運転士や人事業務を経験。2012年にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズにコンサルタントとして入社。2018年からはバックオフィスに異動し、人事マネージャーとしてSmartHR活用を推進している。

13名のオーナーが参加したケンブリッジ社での勉強会

「研修の仕切りを任されることになったけど、どうしたらよいか」や「人事としていろいろな価値観を引き出せていないと感じることがある」「ファシリテーションに対して苦手意識を感じてしまう」などの理由から、みなさん参加されたとのこと。

勉強会の様子の写真

(勉強会の様子)

議論を発展させるためにファシリテーションの技術を身につけたいと強く感じると同時に、その難しさに立ちすくんでしまう経験をした人もきっといるのではないでしょうか。

そもそも、ファシリテーションとはなにか?

渡辺 歩さん(以下、歩さん)

私たちケンブリッジ社は、「ファシリテーション型」のコンサルティングを提供する会社です。専門知識で正解を提示する「先生型」コンサルティングと異なり、「クライアントと徹底的に議論し、納得感を醸成すること」を大切にしています。また、コンサルティングのノウハウを隠さず、オープンに世の中に発信することも重視しています。

私は、社内のカルチャーづくりやSmartHR導入などの採用・人事領域に携わり、現在は経理を担当していますが、12年前にコンサルタントとして入社した際に、ファシリテーションの基礎を叩き込まれました。

渡辺さんの登壇中の様子

ファシリテーションにおける“中立性”の落とし穴

歩さん

さっそくですが、ファシリテーションとはなんでしょう?

「参加者全員に等しく話すもの、全員が納得する」のようなイメージはありませんか。私たちが問題提起をしているのは、この「中立」という伝統的な概念。中立性を過度に重んじる風潮が昔からあると思っています。

誰かの意見に乗らずに全員にフラットに接しようとすると、その会議は決まらないんですよ。時間がかかるし、妥当性が低い、それをやる人的余裕がない……、いまいちなケースに陥ることが多いと思います。時間・お金・人手に限りあるビジネス現場では、とくに顕著だなと。だからこそ、私たちは、ファシリテーターにこそ、意見は必要であるという立場を強くとっています。

もう少しブレイクダウンして考えていくと、「中立≠(ノットイコール)意見を言わない」ではありません。「中立性と意見表明すること、両立できるのでは?」という考え。難しい話をしている自覚はあるんですけど(笑)。ぜひ考えていただきたいです。

若手コンサルタントによくあるのが、意見をもたずにうかがう「どうですかファシリ」をしてしまうこと。対して、オピニオンファシリテーターは、自身の意見をもつスタンスです。

図表:ファシリテーションの違いを説明

歩さん

具体的な場面を想像してください。意見がA案B案が拮抗して決めきらないとき「どうですか?」と聞いても、うまくいきませんよね。

オピニオンファシリテーターの場合は、「私はA案がいいと思っています」や「みなさんの意見を総合するとA案になると思います」と意見を表明して踏み込む。具体案を出すと、人は脳が揺さぶられますし、異論がなければその場で決まるでしょう。意見は出るが深堀りするところがわからず間延びしてしまうとき、結論の質が低くなってしまいそうな場面でも同様です。

勉強会の様子の写真

ファシリテーションに大切な3つのこと

歩さん

意見をもってファシリテーションをすることと、中立性を大事にすることは矛盾しません。

言いたいことは、この3つ。ファシリテーターはオピニオン(意見)をもて。自分の意見を仮案として出すことが肝です。私は「今の自分のオピニオンは偏った見方なのかもしれないし、もっと他によい案があれば飛びつきたい」という心持ちで参加しています。

そしてファシリテーターも一人の参加者ということ。自分も納得できれば必然的に妥当性も高まるはず。

最後にオピニオンに固執しないこと。塩梅こそむずかしいですが、意見を出す自分・ファシリテーターの自分を使い分けることが大事です。

勉強会の様子の写真

歩さん

あらためて考えると、ファシリテーターの定義は、「ゴールを達成するために集団の力を最大限に引き出す人」となりますよね。ゴールの達成ができれば、手段は選ばずにどんどん意見を表明してしまってよい、そう考えています。

渡辺さんの登壇中の様子

コミュニティ運営で、ファシリテーションの考えは役に立つ?

歩さん

よくコミュコミュオーナーのみなさんから聞かれることですが、残念なお知らせです(笑)。コミュコミュ運営においては、さきほどのようなファシリテーションは必要ない、と私は思っています。なぜなら、コミュコミュは、合意形成を必要としない場ですし、参加者に「ちょっとした発見や学びがあったな」と思ってもらえればいい。

例にはなりますが、私は「番組収録」よりも「公開収録」を目指そうと思って、すまつたコミュニティをやっていました。全員に等しく話が振られる番組に対して、ラジオの公開収録は、話すのは数人で、聞いている人の方が多いですよね。敷居の低さもあいまってそれがちょうどよい。

初参加の人の敷居を下げるためにも内輪で盛り上がりすぎないような注意が必要です。そして質問があれば、全体へのオープンクエスチョンは投げず、答えやすいよう名指しで投げるように気をつけています

勉強会の様子の写真

歩さん

テーマについて話せる人を一人でも招けたら大丈夫。自分がDJとなって話を引き出す「ゲストとホストの構図をつくる」こと。なにより「自分が楽しむこと。他の参加者を楽しませようとおもてなしをするよりは、まずは自分がその場を楽しみ、そこに参加者を巻き込んでいく方が大切です。

参加者の感想

歩さんの発表終了後、ケンブリッジ社内にあるバーエリアに移動して実施された懇親会。その際、参加したオーナーの方々から、新しい気づきを得たり、業務でのヒントになったという感想も挙がりました。

懇親会の様子の写真
  • お金払ってでも聞きたい内容でした。仕事とコミュニティのファシリテーションは別物、というのがわかっただけでも得られたものは大きかったです。
  • ちょうど、業務で定期的に社内でファシリテーターを任されていたので、明日から仕事で使える還元できる情報を得られて嬉しかったです。
  • 継続的に運営するコミュニティだから、自分が楽しむことができないと億劫になって続かなくなってしまうことに気づけました。業務でも、社員と話ができるかが重要。だから、手法も大事だけど、伝え方や言葉選びが非常に大切だと思います。
  • 社内で相談できない孤独感があったのですが、この集いがあって焦りがなくなりました。この場を用意してくれたことに感謝しています。
勉強会の感想を伝え合う様子の写真

PARKとコミュコミュのこれから

コミュコミュは、オーナーたちの「やりたいことが実現できる場」です。オーナー同士で知見を共有ができて、ゆくゆくは自身のスキルアップやキャリアアップにつながっていく。今回の勉強会を皮切りに、私たちPARK運営メンバーは、そのような学びの機会と場を提供していけたらと考えています。

PARKでは、どんなことが開催されていて、どんなコミュニティがあるのか、どんなオーナーがいるのか、みなさんに情報をお届けしていきたいと思います。

「コミュコミュに参加して悩みを相談したい」や「オーナーに興味がある」という方は、SmartHR ユーザーコミュニティ「PARK」の公式ウェブサイトからぜひご参加ください。

※SmartHRの有料プランご契約中の人事・労務に携わる方限定で参加いただけます

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