組織課題を把握し、人材マネジメントを推進する「人事データ活用」

2021.06.10 ライター:埜村勇斗

こんにちは、SmartHRでプロダクトマーケティングマネージャーを務めている埜村(のむら)です。

継続的な事業成長の実現には、個人と組織を強くしていくことが欠かせません。しかし、「何をしたらいいかわからない」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

肝になるのは「人事データ」です。人事労務のDX推進により人事データの蓄積が可能になったいま、そのデータをどう活用するかが問われています。

一方で、「人事データ活用が大事だとわかっていても、なかなか着手できない」というお悩みもよく伺います。

今回は、なかなか実現できない「人事データ活用」について、SmartHRで蓄積した人事データをどのように活用できるのか解説します。組織課題の把握や、施策実行のために人事データ活用を考える方はぜひご参考ください。

※本記事は、2021年5月26日に行われた「Next-Generation HR 2021」での登壇内容を再編集したものです。

人材マネジメントにおいて必要となる「人事データ」

人材マネジメントにおいてどのような「人事データ」が重要なのでしょうか。

人材マネジメントはこちらの図のような要素で構成されています。これらの人事データがあることで、採用や異動、代謝などの施策をさらに効果的に推進できます。

たとえば、部署・役職・雇用形態・年齢・性別などの基本的な人事データは、他のデータとの掛け合わせで深く分析できるようになります。

人事データの活用は人材マネジメントの推進に有効だとイメージできますね。

※どのような役割を果たすのか、詳しくは以下の記事もご参考ください。

(参考)人材マネジメントにおいて「人事データ」が果たす役割とは?

社内で「人事データ」を活用できない3つの原因

しかし、人事データ活用の意義が理解されていても、うまく活用できているケースは多くありません。

その原因には3つあります。「人事データの三大疾病」として、ヤフー株式会社の伊藤洋一さんが表現された例があります。人事データが活用されない理由は、データが「ばらばら」で、「ぐちゃぐちゃ」で、「まちまち」になっていると、人事データはうまく活用できません。

(参考)ヤフーが1年がかりで奮闘した「人事データの“三大疾病”」

あるデータはExcelで、あるデータは紙で保存されており、データが「ばらばら」になっている。データはあるが、手入力によるミスや表記ルールの統一がされておらず「ぐちゃぐちゃ」になっている。データの取得方法やタイミングが「まちまち」で、データの連続性がなく活用できない。

このような状態を、「三大疾病」としてたとえられています。人事データを活用するには、まず必要な情報をキレイに蓄積し、一元管理された状態が必要です。

SmartHRの人事データからわかる組織課題とその解決方法

では、人事データの三大疾病にかからないよう、SmartHRを活用してどのように人材マネジメントを推進しているのかをご紹介します。

(グラフィックレコーディング: くぼみ

SmartHRで「自然とキレイに」蓄積される人事データ

SmartHRは人事データを自然にキレイな状態で一元化でき、人事データの三大疾病が起こりにくい構造になっています。

入社手続きや給与明細の配布など、人事労務業務のなかで人事データを収集・蓄積できます。部署や雇用形態はもちろん、勤怠情報や給与情報などのデータもSmartHR上に蓄積できるうえ、従業員サーベイ機能を活用すればエンゲージメントに関するデータも集約可能です。

SmartHRで人事データを一元管理できるという前提のもと、ここからは「分析レポート機能」と「従業員サーベイ機能」でどのように人事データを活用するのかをご紹介していきます。

SmartHRの「分析レポート機能」で見える化される定量データ

SmartHRには、人事データを定量的に見える化できる分析レポート機能があります。

すでに人事データがキレイに収集できているため、集計・可視化もカンタンです。手作業の集計やExcelでの加工も必要ありません。

「離職分析用レポート」では、上記のようなデータを閲覧できます。入社情報、退職情報、年齢や部署・雇用形態から、離職率や年代・部署ごとの離職人数がわかります。また、離職の要因になりやすい残業時間や、給与水準の変化なども確認できます。

上記の「働き方改革推進状況レポート」では、働き方改革の指標となる残業時間や、労働生産性に影響のある人件費の総額などを、全社・部署・雇用形態ごとに一覧で確認できます。

上記の「組織情報レポート」では、最新の従業員マスタから、最新の従業員数や平均年齢、勤続年数などがわかります。また、男女比や雇用形態の割合、年代ごとの人員構成も把握できます。

分析レポート機能から見つかる「課題」

では、このような人事データからどのような課題がわかるのでしょうか。

さきほどの「離職分析用レポート」ではこのように課題を特定します。

・退職人数や離職率を把握する
・その要因となるデータを年度や年齢、部署ごとなどで把握する
・勤怠情報や給与情報と照らし合わせて検証する

これらのデータを合わせて確認することで、どこで離職が多く発生しているのか、その要因は待遇に関係あるのか等を予測できます。

上記の「働き方改革推進状況レポート」においても、労働時間の短縮にとどまり、労働生産性の向上には繋がっていないという状態がわかります。

上記の「組織情報レポート」では、部門ごとの人員数の偏りから採用での注力ポイントを検討し、経営陣や事業部側に提案できます。また、年代ごとの人員構成から今後の組織構成を予測し、従業員のキャリアや組織の採用・代謝に関する戦略設計も可能になります。

上記の図は、SmartHR社で実際に活用しているレポートの一部です。

SmartHRの採用領域では「採用チャネル」の分析に活用しています。エージェント紹介の次にリファラル採用が多く、どの採用チャネルを強化すべきかを議論するデータとして活用していますね。そのほかの領域では、等級や職種、評価結果を可視化することで、人事制度の運営にも活用しています。

SmartHRの「従業員サーベイ機能」で見える化される定性データ

分析レポートのほかにもう1つ人事データ活用に有効な機能、「従業員サーベイ機能」についてもご紹介させてください。

従業員サーベイ機能では、従業員の仕事に対する活力の高さや、組織への愛着・一体感の強さを示すワークエンゲージメントとよばれるデータを取得できます。また、SmartHRに蓄積している人事データを活用し、部署や性別、雇用形態ごとに細かくデータ分析も可能です。

では、この従業員サーベイ機能でどのようなデータを確認できるのかを解説します。

※SmartHRの従業員サーベイの運用方法については、以下の記事もご参考ください。

(参考)事例も解説! エンゲージメント向上を実現する「サーベイ運用方法」

上記の図は、取得したエンゲージメントに関する定性データを、SmartHRに蓄積された部署や雇用形態、勤続年数や年齢などで細かく分析した図です。部署ごとのマネジメントにおける課題や、組織に対して求めるものを職種別に把握できます。

さらに、エンゲージメントサーベイを定期的に実施することで、従業員数の増加や組織体制の変更による組織状態の変化や、さまざまな組織施策に対する効果測定が可能になります。

感覚で判断しがちな組織施策の効果を、こちらの図のように定点で把握できるようになります。

「従業員サーベイ機能」から見つかる課題

それでは、実際にエンゲージメントサーベイデータを活用することで、どのような課題が見つかるのでしょうか? 2つの事例をご紹介します。

1つ目の事例は、従業員数約700名、大企業のグループ会社の事例です。

主に法人向けに製品の販売する商社で、個人向けに製品を販売する新しい事業部ができたタイミングで、SmartHRのエンゲージメントサーベイを活用しました。

結果、会社全体の平均点に対して「文化」の項目のスコアが低いことがわかりました。さらに部署データを掛け合わせて見てみると、法人営業部門と、新しくできた個人向けの営業部門で、スコアに大きな差がありました。

とくに低いスコアがでていた項目は「キャリア」と「会社の方向性への共感」に関する項目です。新しくできた部門はチャレンジングな仕事が生まれる一方で、既存事業の従業員は個人向けの事業に対する抵抗感があることや、既存事業で働き続けた先のキャリアに不安があることが見えてきました。

2つ目の事例はサービス業の事例です。複数の店舗や事業所がある会社は、店舗や事業所ごとにデータを見るのが分析のポイントです。

この事例では、「上司のマネジメント」に関する項目が、店舗ごとに大きく乖離し、さらに同僚との関係性もスコアにも影響し、組織状態を悪化させていました。また、勤続年数を掛け合わせてみると、入社3年目社員のスコアが全体的に低下していました。

入社3年目社員がどんな社員なのか確認すると、彼らは店長になる手前で、業務の難易度が上がり、業務の幅も広がっている状態でした。役職もないため、金銭報酬や意味報酬への満足度が低いことがわかりました。

従業員サーベイ結果から課題を導く2つの事例をご紹介しました。

SmartHRではこれらの分析のために新たなデータを整備・投入の必要はありません。日常の人事労務業務において人事データの収集と蓄積ができているからこそ、エンゲージメントサーベイの実施のみで分析ができます。

人事データ活用で重要なのは「データをカンタンに集める仕組み」

SmartHRの人事データからわかる組織課題とその解決方法をご紹介しました。

人事データ活用における三大疾病に悩まれる企業は多いと思います。人事データ活用において重要なことは、データをカンタンに集める仕組みを作ることです。まずは人事データの状態をあらためて見直してみてはいかがでしょうか。

SmartHRでは、サーベイ結果の分析ノウハウも提供しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

埜村勇斗

株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー。大学院卒業後、デロイトトーマツグループやHR系のコンサルティング会社にて組織人事のコンサルティングに従事、その後HR系スタートアップの経営に参画。2020年にSmartHRに入社し、主に人事データや人材の活用に関する機能の企画や仕組みづくりを行う。
他の執筆記事はこちら

活用事例の関連記事

SmartHR ガイド の新着記事

SmartHRお役立ち資料集