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等級や評価に応じた退職金制度の導入・運用の注意点は?|労務のお仕事Q&A

公開日

この記事でわかること

  • ポイント制退職金制度の特徴
  • 導入・運用の注意点
目次

日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「ポイント制退職金制度の導入・運用の特徴と注意点」について、社労士が解説します。

等級や評価に応じた退職金制度の導入を検討中。導入・運用の注意点は?

相談者

税制メリットがあり、退職まで意識をしない従業員が多いため、自社で運用する退職金制度の導入を検討中です。

たとえば、年間の賞与原資が1億円ある場合は、社員への分配を8,000万円、残りの2,000万円を退職金積立にしたいです。残りの2,000万円の分配は、当年度の等級と評価に応じて分配率を変える予定です。

このような場合、どのような制度設計にすればよいでしょうか。また、どのような運用パターンがあるのでしょうか?

(労務担当/IT業界 東京都)

ポイント制退職金は「維持・運用・ポイント管理」が重要

羽田 未希

ご質問の退職一時金(退職金)は、「ポイント制退職金」になります。単に勤続年数だけで額が決定されることなく、会社への貢献度を反映できる点でメリットがあり、中途入社の従業員も不利になりません。退職金制度の目的や、どのような評価を退職金に反映させるのか、自社の人事、評価制度に合わせて制度設計できるのが特徴です。

「ポイント制退職金」は、勤続年数・等級・役職・評価などの評価項目にポイントを設定し、退職時までの累積ポイントに1ポイントあたりの単価を掛けて、退職金を算定します。自己都合退職や会社都合退職などの退職事由により係数を掛けられます。

導入・運用の注意点は以下のとおりです。

  • 一度退職金制度を導入すると維持していかなければならない

  • 評価制度の運用が必須

  • ポイントの管理が必要

また、内閣府が取りまとめた「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023改訂版」では、勤続20年超の退職金への所得税軽減措置の見直しも検討されていますので、動向をチェックしてみてください。

本件の「教えて!専門家さん」羽田 未希

はた社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士

17年間の飲食業現場経験を持つ、異色の女性社会保険労務士として飲食業・小売業などサービス業を得意とする。パート・アルバイト活用、人材育成のコンサルティング、労使トラブルを未然に防ぐ就業規則作成、助成金申請など、中小企業の人材活用のサポートを行う。著書に『店長のための「稼ぐスタッフ」の育て方』(同文舘出版)がある。

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