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短期アルバイトでも雇用保険の加入は必須?/通勤中に従業員が痴漢行為で逮捕。懲戒処分の判断ポイントは?ほか|労務のお仕事Q&A

公開日

この記事でわかること

  1. 短期パート・アルバイト雇用時の社会保険未加入のリスク
  2. プライベートで不祥事を起こした従業員の懲戒処分の可否
  3. 「事実婚の子」の育休取得時の認知確認方法
目次

日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうしたらいいの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。

Q1:短期アルバイトでも雇用保険の加入は必須?

相談者

当社では繁忙期に1〜2か月の期間、フルタイムで短期アルバイトを雇用しています。短期のため、雇用保険に加入していないのですが、未加入のリスクはあるのでしょうか?

(労務担当・25歳/飲食業界 神奈川県)

A1:加入義務違反の場合「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」の可能性も

羽田 未希

本来雇用保険に加入すべき従業員が未加入のままだと、失業等給付など雇用保険の各種給付が受けられず、従業員が不利益を受けることになります。また、会社が届け出をしないなど、雇用保険加入義務に違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることがあります。

雇用保険加入は従業員の雇用形態に関わらず、下記の要件を満たした場合は加入させなければなりません(昼間学生など適用除外)。

(1)1週間の所定労働時間が20時間以上

(2)31日以上の雇用見込みがある

なお、事業主や従業員が加入したくないなどの意思は関係ありませんので、適切に加入手続きをしていただきたいです。

本件の「教えて!専門家さん」羽田 未希

はた社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士

17年間の飲食業現場経験を持つ、異色の女性社会保険労務士として飲食業・小売業などサービス業を得意とする。パート・アルバイト活用、人材育成のコンサルティング、労使トラブルを未然に防ぐ就業規則作成、助成金申請など、中小企業の人材活用のサポートを行う。著書に『店長のための「稼ぐスタッフ」の育て方』(同文舘出版)がある。

Q2:通勤中に従業員が痴漢行為で逮捕。懲戒処分の判断ポイントは?

相談者

通勤中に痴漢行為で従業員が逮捕されました。本人にヒアリングしたところ、事実という答えが返ってきました。懲戒処分も視野に入れているのですが、判断する際の注意点を教えてください。

(総務担当・37歳/人材業界 千葉県)

A2:私生活上の非行でも懲戒処分は可能ですが、3つのポイントに留意しましょう。

弁護士法人ALG&Associates

仕事とは関係のない私生活上の非行であっても、懲戒処分は可能です。その際の留意事項としては、下記が挙げられます。

(1)懲戒処分を科せられる懲戒事由のなかに、私生活上の非行が挙げられているか

(2)事実関係の確認

(3)懲戒処分の軽重の検討

(1)についてですが、就業規則などで、このような定めがない場合には懲戒処分できません。

(2)については、冤罪や事実誤認があった場合に、懲戒処分の有効性に疑義が出る可能性があるため、本人などへの事実確認が肝要になります。

また(3)についても、痴漢行為が事実であったとしても、必ず懲戒解雇が認められるわけではありません。行為の悪質性、従業員の地位やこれまでの勤務態度などを考慮して、処分の軽重を定める必要があります。

本件の「教えて!専門家さん」弁護士法人ALG&Associates

弁護士法人ALG&Associatesは、中小企業・ベンチャー企業のみならず上場企業の企業活動に伴い生じるあらゆる問題解決に積極的に取り組んでいます。東京宇都宮埼玉千葉横浜名古屋大阪神戸姫路福岡に支部があり、約90名の弁護士が所属しております。企業法務・労務だけではなく、医療過誤交通事故離婚相続刑事など幅広く専門性を追求し総合病院型の法律事務所を目指します。

Q3:「事実婚の妻の子」に対する育児休業取得時の認知確認方法は?

相談者

事実婚をしている男性社員のパートナーにお子さんがいます。育児休業を取得するには申し出時点で認知が必要とのことですが、どのように確認すべきでしょうか?

(総務担当・32歳/IT業界 東京都)

A3:「認知届」などで確認できますが、強制提出できません

宮原 麻衣子

事実婚の妻の子に対する育児休業については、基本的には本人(男性)の「認知している」という申し出を受けて対応することとなります。役所に提出する「認知届」の写しなど、証明書類の提出を求められますが、提出は強制できません。

なお、育児休業給付金の支給を受ける場合は、続柄などの証明が必要になります。育児休業の取得とあわせて育児休業給付金を申請する場合は、必然的に続柄などの確認が可能になるので、その点も踏まえて対応を検討するのがよいかもしれません。

本件の「教えて!専門家さん」宮原 麻衣子

野嶋社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士

2003年、メンタルヘルスの専門家である精神保健福祉士資格を取得し、精神科医療機関等で勤務。2015年に社会保険労務士登録、2017年に特定社会保険労務士となり、労働社会保険関係法に関する専門家として企業の労務管理のコンサルティング業務を担う。また精神保健福祉士養成の専門学校にて後進の育成に携わるほか、労務管理全般やストレスマネジメントに関する研修等において講師を務める。健康経営エキスパートアドバイザー。

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