店舗責任者を管理監督者として取り扱うべき?|労務のお仕事Q&A
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この記事でわかること
- 店舗責任者を管理監督者とする際に注意したいポイント
- 管理監督者といえないと判断された場合のリスク
日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「店舗責任者を管理監督者として取り扱うべきか」について、社労士が解説します。
店舗責任者を管理監督者として取り扱うべき?
相談者
店舗責任者を管理監督者として扱っています。経営参加、労働拘束、権限、待遇面など、通常の従業員と比べて経営者寄りで、実態としては以下のとおりです。
・会社ではなく事業単位で経営に参加している
・人材不足で店舗責任者自身がシフトに組み込まれている
・アルバイトの人事権はあるが正社員の人事権はない
このケースであれば、どのような取り扱いをするべきなのでしょうか。
労務担当/サービス業界(京都府)
実態からはデメリットが大きい。労使トラブルのもとになる可能性も
羽田 未希
平成20年9月9日に発出された通達「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」を確認し、自社で店舗責任者を管理監督者として取り扱うのが適正か否か、再点検してください。
店長などを管理監督者と扱った「名ばかり管理職」という言葉はよく知られています。実態から、店長などの店舗責任者が管理監督者とはいえないと判断される場合、通常の従業員と同様に、労働時間・休憩などの時間管理や時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要になります。
人材確保が難しくなっている状況で、離職や従業員の不満になりうる原因は改善するべきです。また、残業代未払いにより労使トラブルとなり、訴訟などになった場合の時間的・金銭的コスト、経営陣の精神的ダメージを考えると、実態がないにもかかわらず管理監督者とするのは、メリットよりデメリットのほうが大きいのではないでしょうか。
特定社会保険労務士
17年間の飲食業現場経験を持つ、異色の女性社会保険労務士として飲食業・小売業などサービス業を得意とする。パート・アルバイト活用、人材育成のコンサルティング、労使トラブルを未然に防ぐ就業規則作成、助成金申請など、中小企業の人材活用のサポートを行う。著書に『店長のための「稼ぐスタッフ」の育て方』(同文舘出版)がある。