地震発生時の防災マニュアルと必要な備えとは?具体例とともに紹介
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目次
近年、大規模な地震が高い確率で発生する可能性が指摘されています。企業の人事・労務担当者には、従業員の安全を守るための対策や情報の周知が欠かせません。
本記事では、地震発生時の従業員向け安全マニュアルと日常的な備えのポイントについて、SmartHR社の例とともにご紹介します。
地震発生時の従業員向け安全マニュアルに必要な項目
SmartHRでは安全マニュアルに以下の項目を記載しています。出社時、リモートワーク時、外出時の3つの主要な状況下での地震発生時の行動手順と、日常的な対策を記載しています。自社の働き方や職場環境に合わせて必要な項目をご参考ください。
【1】出社時に地震が発生したときの行動手順
【1-1】行動手順1:ご自身の安全確保
【1-2】行動手順2:オフィス内で待機
【1-3】行動手順3:点呼・負傷者確認
【1-4】随時対応
【2】リモートワーク時に地震が発生したときの行動手順
【2-1】行動手順1:ご自身の安全確保
【2-2】行動手順2:安全な場所で待機
【2-3】行動手順3:負傷者確認
【2-4】随時対応
【3】外出時に地震が発生したときの行動手順
【3-1】行動手順1:ご自身の安全確保
【3-2】行動手順2:安全な場所で待機
【3-3】随時対応
【4】地震発生への普段からの対策
【4-1】従業員としての対策
【4-2】ご家族との備え、自宅での対策
オフィス出社時に地震が発生したとき
まずはオフィス出社時に地震が発生したときの行動手順です。
地震発生時は自身の安全確保を最優先し、その後はオフィス内で待機し、点呼・負傷者確認を経て、状況に応じた適切な行動をとることが重要です。
SmartHRでは「出社時に地震が発生したときの行動手順」として以下の手順を記載しています。
【1】出社時に地震が発生したときの行動手順
【1-1】行動手順1:ご自身の安全確保
地震が発生した際、下記を徹底してください。
- 一時的にデスクやテーブル等の下に隠れ、落下物から身を守る
- 移動中は、窓ガラスの割れや備品等の倒れ込みにも注意する
【1-2】行動手順2:オフィス内で待機
地震がおさまったら、下記に注意しオフィス内で待機してください。
- ヘルメットの着用
- 備蓄品の準備
- 3つの密(密閉・密集・密接)の回避(感染症の流行時)
- 情報の収集(テレビ、ラジオ等)
- 帰宅の可否は対策本部の指示に従う
- 対策本部はビル管理者側(防災センター)と連携する
建物内待機が基本で、ビル管理者側(防災センター)から避難指示があった場合のみ避難します。
(各オフィスごとの避難所の一覧)
※一時避難後は市区町村の指示に従って行動して下さい。
【1-3】行動手順3:点呼・負傷者確認
点呼をとり、負傷者がいないかを確認してください。
■ 負傷者がいる場合
応急救護・救急通報(119)を行ってください。なお、大地震の場合、救急車が来られない場合も多いです。協力して応急救護を行い、重傷者に万が一のことが考えられる場合は、近隣の病院へ直接連れていってください。
■ 行方不明者がいる場合
可能な限りの探索をするほか、ビル管理者側にも探索を依頼してください。ただし、災害現場には戻らないでください。
【1-4】随時対応
ご家族や同居人の安否を確認してください。会社からの安否確認メールにも返答してください。(後述)
地震の状況が落ち着いた後も、身の安全や家族の安全を第一に、会社方針を確認しながらの行動をお願いします!
リモートワーク中に地震が発生したとき
自宅やその他の場所でリモートワーク中に地震が発生した場合、まず自身の安全を確保し、状況に応じて避難や待機を判断します。その後、家族の安否確認とあわせて会社へ報告します。
SmartHRでは「リモートワーク時に地震が発生したときの行動手順」として以下の手順を記載しています。
【2】リモートワーク時に地震が発生したときの行動手順
リモートワーク時に地震が発生したときの行動手順です。
【2-1】行動手順1:ご自身の安全確保
地震が発生した際、下記を徹底してください。
- 一時的にデスクやテーブル等の下に隠れ、落下物から身を守る
- 移動中は、窓ガラスの割れや備品等の倒れ込みにも注意する
【2-2】行動手順2:安全な場所で待機
地震がおさまったら、避難の必要性の有無を判断し、安全な場所で待機してください。
■ 避難が必要な場合
下記の場合、避難が必要です。屋外を移動する際は、余震や破損した道路、建物などで二次被害に合わないように注意しながら避難してください。
- 状況1:建物被害が大きく崩壊の恐れがある
- 状況2:自宅で火災が発生
- 状況3:近隣で火災が発生
■ 避難が不要な場合:室内待機
避難が必要ない場合は、室内で待機してください。
- いつでも動ける準備を!(防寒具、運動靴、地図、リュックサック等
- 備蓄品、防災用具も忘れずに!
- 家具、壁、ガラスなど損傷箇所を目視で確認
- テレビやラジオ、自治体の防災無線等で周辺情報の収集
【2-3】行動手順3:負傷者確認
ご家族や同居人が負傷した場合は、応急救護・救急通報(119)を行ってください。
なお、大地震の場合、救急車が来られない場合も多いです。協力して応急救護を行い、重傷者に万が一のことが考えられる場合は、近隣の病院へ直接連れていってください。
【2-4】随時対応
ご家族や同居人の安否を確認してください。会社からの安否確認メールにも返答してください。(後述)
外出時に地震が発生したとき
外出先で地震に遭遇した場合、まず自身の安全を確保し、その後は状況に応じて適切な避難行動をとります。外出先は場所や状況によって対応が異なるため、複数のケースを想定しておく必要があります。
SmartHRでは「外出時に地震が発生したときの行動手順」として以下の手順を記載しています。
【3】外出時に地震が発生したときの行動手順
商談や出張などでの外出時に地震が発生したときの行動手順です。
【3-1】行動手順1:ご自身の安全確保
地震が発生した際、下記を徹底してください。
- 可能であればデスクやテーブル等の下に隠れ、落下物から身を守る
- 建物内外の、窓ガラスの割れや備品等の倒れ込みにも注意する
【3-2】行動手順2:安全な場所で待機
地震がおさまったら、外出状況にあわせ、安全な場所で待機してください。
訪問先にいる場合 | 原則として、訪問先(施設)の指示に従ってください。 |
公共交通機関を利用中の場合 | 乗務員の指示に従ってください。 |
車両等を運転中の場合 | 安全な場所に停車し、緊急車両・避難者の妨げにならないようにしてください。(河川や海岸に近い場合は、徒歩で高台を目指してください) 停車後は次の項目を参考に避難場所を探してください。 |
避難すべき場所を探す場合 | 上記に該当しないときは、最寄りの一時避難場所や広域避難場所へ避難してください。津波の恐れがある場合は、津波避難場所やビルなどに移動し、待機しましょう。 屋外を移動する際は、余震や破損した道路、建物などで二次被害に合わないように注意しながら避難してください。 |
なお、避難場所として指定されている施設には、その目印として下図のような看板やステッカーがあります。
【3-3】随時対応
ご家族や同居人の安否を確認してください。会社からの安否確認メールにも返答してください。(後述)
外出時は、安否確認メール以外の手段も使って、上長やチームに自身の状況を報告してください。
地震の状況が落ち着いた後も、身の安全や家族の安全を第一に、会社方針を確認しながらの行動をお願いします!
地震発生への対策は日ごろからの準備が重要
地震は予期せず発生するため、日頃からの備えが極めて重要です。企業はもちろんですが、従業員一人ひとりの普段からの備えによって、いざという時の被害を最小限に抑え、迅速な対応が可能となります。
SmartHRでは「地震発生への普段からの対策」として以下の内容を記載しています。
【4】地震発生への普段からの対策
地震は突然やってくるもの。起こってからの行動はもちろん、普段からの備えが重要です。
【4-1】従業員としての対策
(1)安否確認メールの利用方法を確認する
安否確認サービス「トヨクモ」より【 notify@anpikakunin.com 】のメールアドレスから送信されます。出社時やリモート時、外出時、休日などを問わず安否確認メールへの早急な応答をお願いします。
定期的に発出訓練を実施しますので、通達、動作の確認をお願いします。
※ 迷惑メールフィルターに引っかかる場合は、受信許可設定をしてください。
(2)所属グループ内での報告ルートを決めておく
安否確認以外にも、地震による業務上の対応が必要となる場合も考えられます。所属グループやユニットのチームメンバーとコミュニケーションをとれるよう報告・連絡の方法の認識を合わせておきましょう。
Slackのチャンネルなど、日頃使用している連絡方法の転用も問題ありません。
(3)防災知識
職場や自宅周辺の災害リスク、指定避難場所、応急救護の知識などを把握しておきましょう。
▼ 参考
わがまちハザードマップ|全国のハザードマップ公表状況をまとめた「わがまちハザードマップ」です。
disaportal.gsi.go.jp
重ねるハザードマップ |身の周りの防災に役立つ情報をまとめて閲覧
disaportal.gsi.go.jp
赤十字 WEB CROSS -電子講習室-
https://www.jrc.or.jp/lp/webcross/
【4-2】ご家族との備え、自宅での対策
(1)家族との連絡方法を決めておく
複数の連絡方法を推奨します。例えば下記の方法があります。
電話、ショートメッセージ、SNS(LINE、X(旧:Twitter)、Facebookなど)
災害伝言板システム
▼ NTT(ダイヤル171)
災害用伝言ダイヤル(171) | 災害対策 | 企業情報 | NTT東日本NTT東日本の災害用伝言ダイヤル(171)のご利用方法および災害発生時の提供条件に関するご案内をご覧いただけます。
https://www.ntt-east.co.jp/
【NTT西日本】災害用伝言ダイヤル(171)の災害の備え・対策サイト - 通信・ICTサービス・ソリューション災害用伝言ダイヤル(171)は、地震、噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合に
https://www.ntt-west.co.jp/
▼ NTT(web171)
災害時TOP画面 | 災害用伝言板(web171)
https://www.web171.jp/
▼ NTTドコモ
災害用伝言板 | お知らせ | NTTドコモ災害用伝言板のご利用方法などをご案内します。
https://www.docomo.ne.jp/
▼au
災害用伝言板サービス│災害時・緊急時対策│au災害用伝言板サービスの災害時・緊急時対策紹介ページ。auのスマートフォン・携帯電話の情報です。
https://www.au.com/
▼ソフトバンク
災害用伝言板/災害用音声お届けサービス | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク災害時の安否確認手段としてご利用いただける、「災害用伝言板」「災害用音声お届けサービス」をご紹介いたします。
https://www.softbank.jp/
Person Finder: Japan
https://www.google.org/personfinder/japan
(2)家具対策
東京都防災ホームページによると、近年の地震による負傷者の30~50%は、家具類の転倒・落下・移動が原因とのことです。同サイトを参考に、皆さんのご家庭でも対策を検討してみてください。
自宅での家具類の転倒・落下・移動防止対策東京都総合防災部の公式ホームページです。東京都内の避難情報など災害に関する情報を発信するとともに、事前の備えや都の取り組みを紹介しています。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/
(3)災害備蓄品
一般的に、最低3日分の水・食料の備蓄が望ましいとされています。すでに自宅に備えがある場合も、賞味期限切れなどに注意し定期的に確認することをオススメします。
なお、もし賞味期限が切れた際のフードロスが気になる方は、日常生活で消費しながら備蓄する「ローリングストック」と呼ばれる方法もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
https://tenki.jp/bousai/knowledge/49a23a0.html
従業員の安全を守るための体制づくりを
地震はいつ起こるかわからない自然災害であり、適切な準備と行動が必要です。日頃からの備えと、緊急時の冷静な対応が、従業員とその家族、そして会社を守ります。る鍵です。自社のご状況にあわせた体制づくりに、本記事が少しでも参考になれば幸いです。