人材管理とは?基本から悩み別の改善事例まで。ツール活用で効率化
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この記事でわかること
- 人材管理の定義
- 具体的な業務内容
- 人材管理に必要なスキル
- よくある課題と解決方法
目次
少子高齢化や働き方改革が進むなか、注目を集める従業員の管理方法が「人材管理」です。優れた人材管理は個人のパフォーマンスを最大化し、企業の成長にもつながります。ヒト=人材を起点とした施策が、これからの企業には求められます。
この記事では、人材管理の基本的な考え方や具体的な施策、現状の課題に対する改善策などをわかりやすく紹介します。
人材管理とは、ヒトのパフォーマンス最大化
人材管理とは企業目標の達成にむけた「ヒト」の管理全般を指します。
「ヒト」は「モノ」「カネ」「情報」「時間」「知的財産」と並ぶ、企業成長に必要な経営資源の1つであり、最上位の要素です。「ヒト」をいかに管理し、個人や組織のパフォーマンスを最大化させるかが人材管理の軸になります。
似た言葉には「人事管理」「人材マネジメント」があります。どちらも人材管理とほぼ同義で使われるケースが多いですが、人事管理は給与計算や保険手続きなどを含む人事業務全般を、人材マネジメントはより経営視点に沿った人材活用を指す傾向にあります。
この点をふまえると、人材管理は企業戦略にもとづき、従業員の立場から企業目標の達成を目指す考え方といえます。「管理」という言葉には一方的に統率するイメージもありますが、人材管理は従業員の価値発揮に視点を置くものといえるでしょう。
人材管理の具体的な内容
では、どんな業務が人材管理にあたるのかを解説していきます。
1.採用
採用は企業と人材の最初の接点です。
人材管理の観点では、必要人材の「数」と「質」の把握、そして将来の流出も加味した採用計画がポイントとなります。目標達成にむけて、どのような人材を確保するべきか。また、定年などによる離退職をどうカバーしていくか。短期的な判断ではなく、組織全体を長期的な視点で見通し、採用を実施します。
なお、必要人材の把握では、「人材ポートフォリオ」の考え方も参考になります。これは「どこに」「どんな人材が」「どれくらい必要か」を可視化する枠組みで、人事の課題や取るべき方針が明確になります。
詳しい考え方や設計例は以下の記事で解説しています。
2.配置
従業員のパフォーマンスや組織の生産性向上には、前述の人材ポートフォリオや個人の適性にもとづいた配置が欠かせません。
適材適所の配置には、各部署が求める人材や既存従業員の能力など、横断的な情報把握が必要です。人材管理ではこれらの情報を組み合わせ、個人の成長や事業の変化に応じた柔軟な配置を実施します。
3.育成
育成にはOJTやOFF-JT、集団研修、メンター制度の整備はもちろん、資格手当などによる自主的な学習の促進や、個人の成長につながる配置転換の実施も含まれます。
人材管理において育成はとくに重要な要素です。育成体制の充実は個人の能力底上げだけでなく、「期待されている」という実感にもつながります。中長期的に必要となる人材から逆算した、育成計画を立案しましょう。
4.評価
適切な評価制度の構築も人材管理の1つです。
自分の取り組みが公正に評価されているか、後述の報酬に反映されているかは従業員のモチベーションやエンゲージメントに影響します。評価制度の不透明さや不公平感は不満の原因にもつながります。
従業員のモチベーション向上、自主的な貢献促進には、給与や職位アップの制度づくりと周知が欠かせません。また、管理側が各従業員の取り組みや貢献度を把握できる仕組みも必要です。
5.報酬
評価とあわせて検討したいのが報酬制度。こちらも従業員のモチベーションに強く影響する要素です。
人材管理の観点からは、従業員の満足度や公平性を保つ制度設計が大切。評価制度同様、業務成績の反映基準やフローを透明化し、従業員が納得できる制度を目指しましょう。
人材管理のカギは従業員データベース
これまで紹介してきたとおり、人材管理業務には従業員への深い理解がポイント。そのためにも定性的、定量的情報をまとめた従業員データベースの作成や活用が重要となります。
ただし、紙やExcelで情報をまとめている場合は気をつけなければならないことがあります。アナログな管理方法には紛失や記入ミス、情報漏洩などのリスクがあります。人材管理の見直しを機に、データを一元管理できる人事システムの導入も検討しましょう。
以下の記事では、紙やExcelでの人事管理のリスクやシステム化の成功事例を紹介しています。
業務に必要なスキル
従業員データベースの必要性は前述のとおりですが、ほかにも、人材管理業務には次のようなスキルが求められます。
- 情報整理スキル
- 制度設計スキル
- コミュニケーションスキル
人材把握や従業員データベースの作成には、従業員の情報収集が必須です。企業の規模が多くなるほど集める情報も増え、作業負担も大きくなるため、膨大な情報を扱うスキルが欠かせません。また、情報更新や利活用がしやすいよう、データベースの仕組みや運用方法を設計する能力も必要です。さらに、人材管理の方針や配置、評価、報酬などの妥当性を説明し、制度が社内に浸透するよう従業員とコミュニケーションをとるスキルも求められるでしょう。
しかし、これらのスキルをもつ人材が社内にいない場合もあります。その場合はツールの導入も検討しましょう。SmartHRなら情報の一元管理はもちろん、配置シミュレーションも直感的に操作可能。正確なデータの開示により、従業員の納得も得やすくなるはずです。
変わる人材管理の考え方
ここまで、人材管理についてご紹介しました。ここで改めて、なぜ人材管理が求められているのか、その背景についても解説します。
背景の1つには、人材に対する考え方の変化があげられます。
少子高齢化が進むなか、労働力人口は年々減少傾向にあり、人材確保の重要性は高まる一方です。
従業員の満足度向上や新規人材獲得は多くの企業が抱える課題。その解決策の1つが人材管理です。人材を大切に管理する姿勢はリテンション対策だけでなく、入社検討時の好材料にもなるでしょう。
ただし、企業が従業員を一方的に統制するような管理は過去の方法です。求められるのは従業員に能力を発揮してもらうための管理です。人事異動も、従来は企業の意思を優先するのが一般的と考えられていましたが、現在は従業員の価値観と企業のビジョンのマッチが重要だと考えられます。
人材管理や人材マネジメントが注目を集めているのも、同じ流れといえます。経営学者・須田敏子さんの著書『HRMマスターコース 人材スペシャリスト養成講座』にも、「労務管理」は統制を重視するのに対し、「人材マネジメント」は人材の活用を重視するとあります。従業員は企業の所有物ではありません。従業員と向き合い、価値を引き出すことが求められているのです。
よい人材管理とはなにか
では、よい人材管理施策とはなんでしょうか。
人材管理のポイントは人材の能力発揮。個人がスキルを最大限活かせる、働きやすい環境づくりが1つの指標となります。
ここで、株式会社ワーク・ライフバランスが発表した、働き方改革の実態に関する調査を紹介します。
同社代表の小室淑恵氏は、働き方改革関連法案成立の10年以上前からワークライフバランスの実現に取り組み、2019年からは定期的に調査リリースを発表しています。
同社が2023年3月14日に「企業の働き方改革に関する実態調査2022年版」を発表しました。働き方改革がうまくいっている企業の取り組みとしては「オフィスの改修や在宅勤務制度、通勤手当など勤務環境の改善(66.7%)」「部門間連携の強化(58.6%)」「勤務時間インターバル制度の導入(58.0%)」が上位を占めました。
一方、思うように進まない企業では「勤怠管理の強化(43.2%)」「効率性向上のための IT ツールの新規導入(42.9%)」「ノー残業デーや定時退社の促進(39.8%)」が上位に。
(出典)企業の働き方改革に関する実態調査2022年版 - 株式会社ワーク・ライフバランス
上記から、柔軟な働き方の後押しが従業員のパフォーマンスを向上させると考えられます。一方、勤怠管理の強化やITツールの導入はネガティブな結果となりました。ただし、現場の声を取り入れればこちらも十分な効果が見込めるはずです。
とくにITツールは導入後の効果予測が重要です。企業側の管理意識が先行し、現場を顧みずに改革を進めてしまうと、かえって現場の負担が増える恐れも。導入は効率化の程度や学習コスト、圧縮される業務などをヒアリングしたうえで検討しましょう。
従業員数が多く、現場全体の意見を吸い上げるのが難しい組織では、従業員に対するアンケートなども効果的です。従業員サーベイによる社員の本音を集めた好事例を以下の記事ではご紹介しています。
働きやすさの基盤には、異動や評価、報酬制度など人材管理の要素が絡みます。まずは従業員を起点として、さまざまな人材管理施策を考えてみてはいかがでしょうか。なお、従業員には人事部も含みます。人事部、従業員双方にとって納得感や信頼感の高い仕組みを目指しましょう。
よくある課題と改善事例
ここからは人材管理のよくある課題と、その改善事例について紹介します。
課題1.人事データを紙や表計算ソフトで管理している
JA全農たまご株式会社は全国の生産者からたまごを仕入れ、量販店、食品メーカー、鶏卵問屋への「たまごの安定供給」をミッションとする企業です。
人事データを表計算ソフトで管理していた同社では、情報整理の負担が大きな課題でした。
そこで、同社は情報整理・集約用のツールを導入。結果、表計算ソフトでバラバラに管理していた従業員情報の集約化を実現。入社手続き、年末調整のペーパーレス化にも成功しました。
課題2.配置・異動の意思決定が難しい
株式会社リノメタルは自動車部品の金属加工を手がける企業です。
同社は従業員データを複数の表計算ソフトで管理、労務業務は紙ベースで運用していました。評価やマネジメント業務の工数が多く、従業員の大きな負担に。とくに配置検討の複雑さが課題でした。
改善にあたって同社は、従業員の顔写真を見ながら配置シミュレーションできるシステムを導入。1つのシステムに情報が集約され、労務業務の作業効率も向上したそうです。
課題3.人材マネジメントの時間を確保できない
株式会社静岡新聞社・静岡放送株式会社は新聞の発行、テレビ・ラジオの放送、デジタルサービスなどを手がける企業です。
同社の課題は人材マネジメントのリソース確保。コロナ禍や働き方改革で人事の労務管理や手続き対応が複雑化したため、人材管理の推進に時間を割けませんでした。
そこで導入したのが、年末調整や入退社手続きなどをクラウドで作業できるシステムでした。場所を選ばず、シンプルな使い勝手のツールで工数は大幅に削減。人事部のモチベーションも向上し、人材管理に注力する時間も増えました。
「ツール導入=課題解決」ではない
上記はいずれもツールを活用した改善アイデアです。
繰り返しとはなりますが、ITツールによる課題解決には、事前のリサーチが重要です。
「解決したい課題は何か?」
「解決策としてそのツールは適切か?」
「導入によって生じる作業や負担はあるか?」
などの確認やヒアリングは欠かせません。これらを明確にしたうえで適切なツールを導入すれば、各事例のような課題解決が期待できるでしょう。
SmartHRは、導入による労務・人事関連業務の削減効果が統計データで明らかになっています。ぜひ、こちらも参考にしてください。
まずは自社の課題を見つけ、ベストな解決策を
人材管理に必要なのは働きやすい環境づくりです。ここまで、人材管理の考え方や課題の改善策を解説してきましたが、具体的にどうすればよいか、不安に思う人もいるかもしれません。
まずは自社が抱えている課題の明確化に取り組み、それらを改善できる仕組みを導入しましょう。その仕組みのひとつがITツールの導入となるかもしれません。タレントマネジメントシステムであるSmartHRであれば、労務業務効率化を叶えながら、人材管理・人材マネジメントが推進可能です。
お役立ち資料
5分でわかるタレントマネジメント
この資料でこんなことがわかります
- タレントマネジメントとは?
- タレントマネジメントが注目される理由
- タレントマネジメントにおいて「人事データ」が果たす役割
- 組織課題を特定し、施策を推進するステップ
FAQ
Q1. 人材管理とは何ですか?
A.企業目標の達成に向けた「ヒト」の管理全般を指します。管理には枠組みにあてはめて統率するイメージもありますが、人材管理においては配置や評価、育成を通じて従業員の柔軟な価値発揮に視点を置きます。
Q2. 人材管理はなぜ重要?
A.少子高齢化で労働人口が減少傾向にあるなか、人材確保は多くの企業が抱える課題です。優れた人材管理はリテンション対策だけでなく、入社検討時の好材料にもなるでしょう。
Q3. 人材管理のおすすめツールは?
A.SmartHRなら、さまざまな労務・人事関連業務の削減に効果が期待できます。ただし、効果の発揮には課題の洗い出しや現場へのヒアリングが重要。効率化の程度や学習コスト、圧縮される業務を明らかにしたうえで導入を検討しましょう。