OKRの目標設定のやり方は?具体例と設定のポイントをわかりやすく解説
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目標達成のために「OKR」を実施している、または導入を検討している企業も少なくないでしょう。
導入において壁になるのが、初期の目標設定や運用です。正しい目標設定の方法や設定後の運用に悩む方も少なくありません。OKRを効果的に運用するためには、会社の目標が部署の目標に、部署の目標が個人の目標に連鎖するような設計が重要になります
そこで今回は、OKRの設定方法や具体的な目標例について詳しく解説します。OKRの進め方の手順もご紹介しますので参考にしてください。
OKRの進め方
OKRとは?
OKRは「Objectives and Key Results」の略で、目標管理手法の一つです。「Objectives(目標)」を定め、目標を達成するための「Key Results(成果指標)」を設定します。OKRは「組織として何を目指し、何を成したいか?」という目標を明確にし、目標達成への過程で企業と個人の結束力を高めます。
OKRの進め方とポイント
OKRの具体的な進め方は以下のとおりです。
- 企業全体のOKRを設定する
- 部署、チームごとのOKRを設定する
- 部署、チームごとのOKRを全体で共有する
- 従業員個人のOKRを設定する
- 従業員個人のOKRを共有・調整する
- 進捗を定期的に確認する
- 達成率を計測しレビューする
- 次の四半期に向けたOKRを新たに設定する
「1. 企業全体のOKRを設定する」は、すべてのプロセスに影響を与えます。企業全体のOKRを設定したら、「2.」〜「5.」にあるように
部門からチーム、チームから個人へと徐々に細分化してOKRを設定します。部門やチームはもちろん、個人レベルで設定したOKRも社内全体に公開しましょう。個人がほかの従業員の目標を認識することで、従業員同士の一体感やコミュニケーション活性化につながります。
OKRの運用を開始したら、「6.進捗を定期的に確認する」のも欠かせません。期間終了までは、リマインドの意味も含めて週次や月次で進捗確認しましょう。
「7. 達成率を計測しレビューする」際は、部門やチームの達成率を計測し、評価します。レビューでは、未達成項目よりも達成項目に着目するのがよいでしょう。100点を目指すのではなく、60〜70%の達成を成功とするのがOKRの特徴です。
「7. 達成率を計測しレビューする」までが完了したら、新たなOKRを設定します。レビューした結果、達成度合いが高すぎる、もしくは低すぎる場合には、次回に向けて目標設定の調整が必要です。ほかの目標設定のフレームワークは、半年や1年間のスパンで実施されますが、OKRでは多くの場合、四半期ごとに目標を見直します。
「OKR」の概要やポイントについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
OKRの目標設定の特徴
OKRは、挑戦的な目標設定が大きな特徴です。達成率は60~70%でも成功とみなされる点が、ほかの目標管理手法とは異なります。
クリスティーナ・ウォドキー著の『OKR(オーケーアール)シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』において、OKRは「できるとわかっている以上のことを成し遂げる後押しをするために設計されている」と書かれています。あえて難しい目標を設定し、仮に達成できなくても、想定より高い成果が期待できると考えます。
実際にが2015年からOKRを導入しているメルカリでは、ミッションとしてGo Bold(大胆さ)を掲げており、「あまりにも(OKRを)達成でき過ぎていると、目標に大胆さや挑戦が足りていなかったと判断」するそうです。
以下の記事ではメルカリにおけるOKRの実践例について、同社の人事や組織開発を担当している岸井隆一郎さんが語ってくださっています。ぜひあわせて参考にしてみてください。
OKRの目標の設定方法
本稿では「企業→部署・チーム→個人」という3つの階層の目標設定を解説します。以下の順にポイントと良い例・悪い例を解説していきます。
STEP1:企業のO(Objectives)を設定
STEP2:企業のKRを設定
STEP3:部署、チームのO(Objectives)を設定
STEP4:部署、チームのKRを設定
STEP5:個人のO(Objectives)を設定
STEP6:個人のKRを設定
※各STEPをクリックすると、該当の段落に遷移します
先述のとおり、OKRでは、まず企業や組織全体などのもっとも大きな組織体の目標から設定し、部署や個人の目標と方向性を揃えます。
STEP1:企業のO(Objectives)を設定
最初のステップとしてまずは企業のトップが自社の「O(Objectives)」を設定します。『OKR(オーケーアール)シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』では、小規模(できれば10人以下)で経営幹部が集中して議論すべきと解説しています。事前に部門長やリーダーから意見を募るなど、従業員のアイデアも取り入れる工夫も重要です。
設定のポイント
企業のOを設定する際のポイントは以下が挙げられます。
- Oは1つが望ましいが、最大でも5つ以下にする
- 定性的な目標にする
- 期間は1か月から四半期を想定する
- 部署や従業員が独立して達成できる内容にする
- 従業員のやる気が出るポジティブな内容にする
企業のOの設定例
良い例 | 悪い例 |
---|---|
生成AIのリーディングカンパニーになる | 売上XX億円を超える |
具体的な数値目標になっているかが重要で、定量的なものはOにふさわしくありません。設定したら終わりではなく、従業員のモチベーションが高まるよう野心的な目標かという観点での見直しも必要です。
STEP2:企業のKRを設定
設定のポイント
- O(Objectives)1つにつきKRを3~5つ設定する
- KRは企業の目標達成に極力強く関連しているものにする
- 達成率60~70%程度の困難だが実現不可能ではない数値を設定する
- 計測可能な数値を設定する
企業のKRの設定例
企業のKRの設定例をご紹介します。
良い例 | 悪い例 |
---|---|
生成AI関連サービスで米国の顧客をXX件獲得 | 新規顧客を開拓する |
KRはOの達成に紐づき、測定可能なものが望ましいです。悪い例のように数値が明確ではなく、計測しづらいものはKRに向いていません。
STEP3:部署、チームのO(Objectives)を設定
企業全体のOを踏まえて部署・チームのOを設定します。チャレンジできる野心的な目標や、モチベーションが高まるようなポジティブな表現を意識するなど、注意点は企業のOを設定する際と同様です。
部署、チームのOの設定例
良い例 | 悪い例 | |
---|---|---|
営業部門の例 | 顧客満足を高め、市場で一番のサービスを提供する | XX件の新規受注を獲得する |
管理部門の例 | 組織の利益率アップに貢献し、経営により寄与する管理部門になる | 事業投資額をXX%増やす |
悪い例はどちらもOが具体的な数値目標になっています。部署、チームがワクワクするOを議論して決めるのが望ましいです。
STEP4:部署、チームのKRを設定
企業のKRのときと同様に部署、チームのO(Objectives)1つにつきKRを3~5つ設定します。Oに紐づくKRになっているかを丁寧に確認しましょう。
部署、チームのKRの設定例
良い例 | 悪い例 | |
---|---|---|
営業部門の例(Oが「顧客満足を高め、より使いやすいサービスを提供する」の場合) |
|
|
管理部門の総務スタッフの場合(Oが「組織の利益率アップに貢献し、経営により寄与する管理部門になる」) |
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営業部門、管理部門ともに、悪い例はいずれもOに直接結びつきづらいKRです。あるいはOの達成に必要な成果ではなく、貢献のための手段になっており、KRとしては不適切です。また「議論を増やす」など、定性的な設定では測定が難しくなります。
また「振り返る時間を設ける」などは容易に達成ができてしまう可能性が高く、もう少し難易度の高いKRの設定が求められます。
STEP5:個人のO(Objectives)を設定
個人のOは、まず従業員自身が考え、上司やメンターなどに相談して設定します。個人のOが部署やチームのKRに関連していることが大切です。
個人のOの設定例
良い例 | 悪い例 | |
---|---|---|
営業部門のセールスの場合 | 既存顧客の継続率を高め、自社のファンになってもらう | 解約率XX%を実現するための施策を提案・実行する |
管理部門の総務スタッフの場合 | 不要な経費を見極め・削減し、 組織の利益率アップに貢献する | オフィス消耗品の経費をXX%削減する |
悪い例は、いずれも具体的な数値目標になっているため、個人のOには向いていません。また「施策を提案・実行する」は部門のOである「顧客満足度を高める」の手段のため不適切です。
STEP6:個人のKRを設定
それぞれの従業員が個人のOを達成するためのKRを設定します。Oを設定するときと同様、目標は適切か、達成可能かを上司やメンターと相談して決定します。
個人のKRの設定例
良い例 | 悪い例 | |
---|---|---|
営業部門のセールスの場合(Oが「既存顧客の継続率を高め、自社のファンになってもらう」の場合) |
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管理部門の総務スタッフの場合(Oが「経費を削減し、組織の利益率アップに貢献する」) |
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営業部門、管理部門ともに、悪い例はいずれもOに直接結びつきづらいものになっています。あるいは貢献のための手段であり、KRとしては不適切です。また「働きかける」などは測定が難しいため、KRとして設定するのは避けましょう。
適切な目標を設定して、継続的に達成を支援
OKRの目標を設定する際は、Oの実現にKRが寄与するかだけではなく、会社や部署・チーム、個人のOKRの連携も重要です。
達成度や進捗を定期的に確認するほか、目標達成に向けた1on1ミーティングや面談も大切です。1on1ミーティングの導入については以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
Q1. OKRの進め方は?
OKRの具体的な進め方は以下のとおりです。
- 企業全体のOKRを設定する
- 部署やチームごとにOKRを設定する
- 部署やチームごとのOKRを全体で共有する
- 従業員個人のOKRを設定する
- 従業員個人のOKRを共有・調整する
- 進捗を定期的に確認する
- 達成率を計測しレビューする
- 次の四半期に向けたOKRを新たに設定する
Q2. OKRの目標設定の特徴は?
OKRは、挑戦的な目標設定が特徴です。ストレッチした目標を設定するからこそ、より多くの挑戦や大きな成果が生まれると考えます。達成率は60~70%でも成功とみなされる点が、ほかの目標管理手法とは異なります。
Q3. OKRの目標設定するときの注意点は?
OKRの目標を設定では、OとKRがロジカルな関係になっているかだけではなく、部署・チームと個人のように上位と下位が関連して設定されているのかも重要です。