【テンプレート付】採用通知書とは? 内定通知書との違いや作成のポイントを解説
- 公開日
目次
採用通知書は、企業が選考を通過した応募者に採用の意思を正式に伝えるための書類です。本記事では、採用通知書と内定通知書の違いや記載事項、作成時の注意点、不採用通知の書き方について解説します。
採用通知書とは
採用通知は、選考過程における合格の通知です。この段階では、まだ労働契約の申込みとしての法的効力は発生しません。企業の採用意思を伝え、入社意思の確認を求めるプロセスの一環として機能します。
発行が義務づけられているわけではありませんが、確実に通知するため、口頭ではなく書面で発行するのが一般的です。なお、採用から入社までの期間が短い中途採用では、省略されることもあります。
(1)合否の通知に関する書類
選考結果を伝える書面には、以下の3種類があります。
- 合格時の採用通知書
- 内定通知書
- 不合格時の不採用通知書
採用通知を発行し、選考合格を通知した後、入社承諾書により入社意思を確認します。その後、労働条件明示を含む内定通知を発行し、内定承諾書を取得するという流れが一般的です。採用通知は選考結果確定後、速やかに発行します。
内定通知は、入社意思を確認後、遅滞なく発行する必要があります。不合格者には不採用通知書を送付しますが、選考過程で預かった書類の返却が必要な場合は、それらと一緒に送付するのが一般的です。
(2)内定通知書との違い
採用通知書は企業側の採用意思を表明するものであり、求職者の意思に関係なく発行されます。一方、内定通知書は採用通知後に求職者の入社する意思も確認できた段階で発行される文書です。
(3)雇用契約書・労働契約書との違い
雇用契約書・労働契約書は、企業と労働者のあいだで雇用契約の内容を明確にするために取り交わす契約書です。給与、就業場所、労働時間などの労働条件に関する重要事項を書面化し、双方が署名捺印して締結します。
雇用契約書は以下の記事でくわしく解説しています。
(4)労働条件通知書との違い
労働条件通知書は、労働基準法第15条および労働基準法施行規則第5条にもとづき、労働契約締結時に労働条件を書面で明示することが義務づけられている書類です。
採用通知書は採用の意思決定を通知する書類であるのに対し、労働条件通知書は具体的な労働条件(給与、就業時間、休日など)を明示する書類という違いがあります。
労働条件通知書は法律上の作成義務があり、内定通知書や雇用契約書と兼ねる場合もありますが、一般的には内定通知書の送付時に同封されます。
(参照)
採用通知書に記載すべき内容
採用通知書には法的な作成義務がないため、体裁の規定はありません。選考結果とあわせて、今後の手続きについて具体的に案内することが重要です。とくに入社意思確認の期限や方法については明確に示す必要があります。
(1)基本情報
- 日付
- 用紙右上に採用通知書を発行する日付を記載
- 応募者の氏名
- 日付の次の行に左詰めで記載。必ず履歴書の記載に従う
- タイトル
- 「採用通知書」と明記する
- 自社の会社名・代表取締役の氏名
- 企業が正式に発行した文書であることを証明するため、タイトル右上に企業と本社の所在地、代表取締役の氏名をフルネームで記載
- 合同会社・有限会社の場合は代表社員の名前を記載
- 企業の所在地
- 正式な登記上の住所を記載
(2)本文内容
- 頭語、繁栄を喜ぶ言葉、感謝の言葉の順番で記載
- 採用が決定したことを通知する文章
- 「慎重に選考し、求職者を採用することを決定した」という表現が一般的
- 入社年月日
- 具体的な日付を明記
- 採用職種・勤務場所:具体的な職種名と実際の勤務地を記載
- 同封書類の内容
- 入社承諾書や労働条件通知書など、同封する書類をすべて列挙
- 提出書類について
- 返送が必要な書類の提出期限を明記。応募者に届くタイミングを考慮し、余裕をもった返送期限を設定
- 問い合わせ先
- 担当者の氏名・部署・直通の電話番号・メールアドレスなど具体的な連絡先を記載
採用通知書テンプレート
採用通知書の添え状のテンプレートは以下になります。テンプレートはあくまで一般的な内容になりますので、自社にあわせて内容を調整のうえ、ご活用ください。
採用通知書の同封書類
合否決定から入社までの流れは企業によって異なりますが、一般的に以下の書類を同封します。
- 入社承諾書:応募者の入社意思を確認するための書類。入社承諾書を返送してもらった後に、内定通知書を送付して内定承諾書をやり取りする
- 雇用契約書・労働契約書:内定通知書とあわせて送付されるのが一般的だが、双方のやり取りを簡略化するため、採用通知書に同封するケースもある。その際は、必ず契約書内に労働基準法で定められた労働条件を明示するか、労働条件通知書を同封する
- 添え状:送付した書類の内容や枚数を記載したもの。必須ではないが、ビジネスマナーとして同封するとよい
- 返信用封筒:入社承諾書など書類の返送が必要な場合は、自社の住所や宛名を記載し、切手を貼った返信用封筒を同封する
不採用通知書の書き方
不採用を通知する際は、適切な通知時期の選択と丁寧な文面での通知が重要です。また、必要に応じて応募書類を返却する必要があります。応募者の今後の活動に配慮した、前向きな表現を心がけましょう。
- タイトル:受取人がすぐに採用通知に関するものと気づける、明確で具体的な件名にする(「選考結果のご連絡」など)
- 日付:用紙右上に、発行する日付を記載
- 応募者の氏名:日付の次の行に左詰めで記載。必ず履歴書の記載に従う
- 挨拶・謝意:会社を代表して送る通知として、丁寧な言葉遣いで感謝を伝える。書類選考の場合は提出書類への謝意、面接選考の場合は来社への謝意を盛り込む
- 選考結果:不採用であることを明確に伝えつつ、丁寧かつ穏やかな言葉で伝える。「今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます」など、応募者を配慮する言葉を用いる
- 個人情報の取り扱い:預かった個人情報の保護と機密情報としての取り扱い、一定期間後の破棄などについて明記する
採用通知書を送付する際のポイント
(1)書留郵便もしくは電子化して送る
ほかの郵便物に紛れないよう、書留で送付します。電話やメールでの連絡も併用すると確実です。
また、多くの企業が採用通知書の電子的送付を採用しています。この場合、以下の点に注意が必要です。
- 応募者の同意を得ること
- データの改ざん防止措置を講じること
- 応募者がいつでも出力できる状態にすること
(2)採用決定後に速やかに送付する
応募者は複数の企業に並行して活動していることが多いため、採用を決定したら速やかに通知書を送付します。
(3)送付後にフォローする
採用通知書の送付後は、入社承諾書の返送をはじめ、さまざまな書類のやり取りが発生します。期日までに返送がない場合は、適切にフォローすることが重要です。
SmartHRで、採用から入社までの手続きを効率化
近年、採用通知や内定通知のデジタル化が進んでいます。電子契約システムやHRテクノロジーの活用により、通知の即時性確保、進捗管理の効率化、書類の確実な保管、コミュニケーションの円滑化といった効果が期待できます。
SmartHRの採用管理機能は、入社時に必要な労務のやり取りをペーパーレス化できます。応募に関する情報や選考結果の管理だけでなく、採用が決定した候補者情報を従業員として登録でき、効率的に管理できます。
Q1. 採用通知と内定通知は同時に出してもよいですか?
法的には可能ですが、入社意思の確認プロセスを設けることで、その後の手続きを円滑に進められます。
Q2. 内定通知後の労働条件変更は可能ですか?
原則として、労働者に不利益な変更は認められません。やむを得ない場合は、合理的な理由と本人の同意が必要です。
Q3. 電子メールでの採用通知は有効ですか?
採用通知自体は電子メールでも有効ですが、労働条件明示を含む内定通知については、応募者の同意や適切なデータ管理など、法令に従った方法での交付が必要です。
Q4. 内定取り消しの条件は必ず明記する必要がありますか?
法的義務はありませんが、後のトラブル防止のため、客観的で合理的な条件を明記することが望ましいです。