目標管理制度(MBO)で組織・個人目標を叶える! 設定方法やメリット、運用のポイントを解説

この記事では、目標管理制度(MBO)の概要や運用方法などの基本知識に触れながら、期待できるメリット・デメリットなどを紹介します。従業員のマネジメント方法を見直したい人や、人事評価の仕組みについて調べている人などは、ぜひ参考にしてください。

目標管理制度(MBO)で組織・個人目標を叶える! 設定方法やメリット、運用のポイントを解説

目標管理制度(MBO[Management by Objects])とは? 

目標管理制度(MBO)とは、従業員一人ひとりが決めた目標の進捗度合いによって人事評価をする、マネジメント方法です。英語では「Management by Objectives」と略され、もともとは経済学者のピーター・ドラッガーが著書『現代の経営』のなかで発表したものです。日本では1960年代半ばごろに普及が進み、バブル崩壊後に注目を集めるようになりました。

近年、リモートワーク普及により、「従業員の進捗を把握しづらい」「モチベーションの維持が難しい」などの課題を抱える企業は少なくありません。対面のコミュニケーションが減り、従業員一人ひとりの自律性を高めることが求められているなかで、MBOの導入を検討するケースが急増しています。

MBOの特徴は、従業員自らが設定した目標の達成度によって、人事評価されることです。自発的に決めた目標値が評価の指標となり、報酬や昇進などに直結するため、従業員のモチベーション向上が期待できます。

MBO(Management by Objects)とOKR(Objectives and Key Results)の違い

「OKR(Objectives and Key Results)」という似た言葉がありますが、達成度の測定方法や目標を振り返るスパン、期待する目標達成率などに違いがあります。たとえば、OKRは定性的・定量的に測定可能な数値を用いて目標の達成度を測りますが、MBOの測定方法は企業によって異なります。

また、OKRは月に1回ほどの頻度で目標を見直すのに対し、MBOは1年に1度が一般的です。OKRは企業全体の生産性向上が目的であるのに対し、MBOは従業員の業績を評価し、人事評価につなげることが目的だからです

人事評価における目標設定方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【例文多数】目標設定を効果的に実施して、社内で一目置かれるチームを作る方法

MBOの設定方法

従業員に目標を決めてもらい、その達成度によって人事評価を行う目標管理制度(MBO)。ここでは、効果を発揮するMBOの設定方法をご紹介します。

MBOの設定方法

(1)社員自身で目標を設定する

従業員一人ひとりの目標を決める前に、まずは組織目標を設定します。組織目標は個人目標の方向性を定める重要な指針となるため、企業が抱えている問題点やチームの反省点などを洗い出し、課題を把握したうえで適切なものを採用しましょう。

組織目標が決まったら、その内容を踏まえて個人目標を設定します。必ず上司と部下で話し合い、双方が納得できる設定が大切です。基本的には1年を通して掲げる目標であるため、組織目標から外れていたり、上司と部下で足並みがそろっていないと、不満が生じるため注意しましょう

(2)目標達成の基準を確認する

MBOは、目標達成の測定方法が企業によって異なります。また、基本的には目標の100%達成を目指すため、はじめに目標達成の基準をしっかりと決めておくことが大切です。「売り上げを増やす」「生産性を向上させる」など漠然とした目標は達成度を測りづらいため、必ず数値や期限を盛り込んだ具体的な目標を設定しましょう

また、それらの数値は上司と部下で話し合い、自身の能力や組織目標などとすりあわせて決めるのが望ましいです。基準の数値が高すぎたり低すぎたりすると、モチベーションや生産性の低下につながります。

(3)行動を開始し成果を計測する

設定したMBOにもとづき、業務を開始します。上司は継続的に部下にフィードバックし、現時点の達成率や改善策などを伝えることが大切です。現状を把握したうえで、「目標を達成するには1か月あたりどれくらい売り上げを立てればよいのか」「毎日何件営業をかければよいのか」など、目標達成の基準から逆算し、短いスパンで業務の計画を立てるとよいでしょう。

思うように成果が出ない場合は、日々の行動や目標の立て方に問題があるのかもしれません。原因を探り改善策を複数検討したら、そのなかで最も効果が期待でき、新たなトラブルが発生しないものを実践しましょう。

MBOのメリット

MBOは多くの企業で導入されていますが、メリット・デメリットを理解して正しく活用することが大切です。ここでは、MBOによって期待できるメリットをご紹介します。

MBOのメリットとデメリット

社員のモチベーションが向上する

MBOは、従業員それぞれが自身の目標を決定します。「人から命令された業務や、ほかの人が決めた指標に従うのはなかなかやる気が出ない」という従業員は案外多いものです。自らが決めた目標に向かって行動し、それがチームや企業に貢献できていると実感すると、自分の存在価値や役割を再確認できます。目標達成に向けた充実感につながりやすく、モチベーション向上が期待できます。

また、MBOを人事評価に活用するケースも多く、目標の達成率がそのまま報酬や昇進につながります。「目標を達成するときちんと評価してもらえる」という充実感を得やすく、業務へのやりがいが生まれるでしょう。

社員の能力が向上する

従業員は自らの目標設定により、自発的な問題解決に努めます。今までは指示を受けることが多く、受動的な姿勢で業務に取り組んでいた人が、主体性をもって仕事ができるようになります。

また、それぞれの従業員に合った目標を設定することで、弱点を克服できます。上司と部下が連携を取り、定期的にフィードバックがもらえるため、安心感を覚えながら苦手な業務に取り組めるでしょう。日々の行動はもちろんのこと、事前の目標設定が重要なポイントになるため、話し合いを重ねて適切な数値や期限などを決めましょう。

評価しやすくなる

MBOは従業員それぞれの目標達成度を可視化できるため、人事評価に活用できます。「どのような目標を立て、達成するために何をしたか」「目標をどの程度達成できたか」などは、従業員の業績を判断する指標になります。具体的な数値によって達成率を判断でき、透明性が高く客観的な評価をくだしやすいです。

MBOのデメリット

ここでは、MBOのデメリットをご紹介します。導入にあたって注意すべきことや、対策方法などを調べている人はぜひ参考にしてください。

管理職の負担が増える

ただ目標を設定すればよいわけではなく、それらを定期的に振り返る、行動改善のプロセスが大切です。上司は部下の目標達成率を定期的に測定し、フィードバックしなくてはなりません。管理職は進捗チェックや面談などの手間が増えるため、それらを負担に感じる人もいます。

また、なかには「思い通りに成果が出ず、何度も目標や行動を見直さなくてはならない」「上司の評価が厳しく、かえって部下のやる気を削いでしまった」などのトラブルが発生するケースもあります。管理職の精神的ストレスにつながらないように、業務量や業務内容などの調整が必要です。

個人と組織で目標がそろわないケース

MBOにおいては、組織目標と個人目標の方向性が合っていないと、思うような効果は得られません。個人目標に固執するあまり、組織としての目標達成がおろそかになっては意味がありません。個人目標の設定時は、「組織目標と結びついているか」「個人的な目的にかたよりすぎていないか」などをしっかりと確認しましょう。

また、組織内で目標の難易度にばらつきがあると、トラブルの原因になります。「達成が難しい目標を立てている人もいれば、すぐに達成できる安易な目標を立てている人もいる」という状態では不公平感が生まれ、かえって組織のモチベーションが下がってしまいます。また、公平な人事評価ができないなど、MBOのメリットを享受できなくなるため、どのような個人目標を設定するかがMBOの成功を握るといっても過言ではありません

目標が建前化する

目標の達成率が人事評価に影響を与えるとなると、あえて低い目標を立て、安易に報酬を得ようとするケースがあります。目標内容を上司が確認しなかったり、従業員の能力を把握しきれていないと、適切な目標設定が難しくなります。目標と人事評価を連動させる場合は、上司と部下でしっかりとコミュニケーションを取り、従業員の能力に合った目標設定が大切です

MBOを運用する際のポイント

MBOは多くのメリットがあるものの、目標の内容や運用方法によっては思うような効果が得られません。ここでは、MBOの導入を成功させるポイントを3つご紹介します。

MBOを運用する際のポイント

組織目標と個人目標を結びつける

MBOに関わらず、新しいルールや規則の導入時は、その役割や目的などをあらかじめ従業員への周知が大切です。「なぜ導入されるのか」「どのような効果があるのか」など理解しないまま運用をはじめると、足並みがそろわないからです。

MBO導入時は、まずは企業が抱える課題を洗い出し、それらをしっかりと従業員に伝えることが重要です。「企業課題克服に向けて、組織目標や個人目標を設定する」と伝えれば、方向性がぶれることは少ないでしょう。

従業員への周知を徹底しつつも、克服すべき組織課題を明確にし、組織目標を立て、個人目標に落とし込むような結びつけが重要です。

上司と部下で目標設定する

従業員が共有、相談せずにひとりで目標設定する場合、安易な基準を設けたり、個人主義にかたよるケースもあります。必ず上司と部下で目標を共有し、下記の項目を参考に、内容が適切かどうかを話し合うとよいでしょう。

  1. 従業員の能力に合っているか
  2. 組織目標と関連しているか
  3. 従業員が自ら望む内容か
  4. 具体的な数値などを含んでいるか

とはいえ、理想を押し付けたり、従業員の希望にそぐわない目標を無理やり設定しても意味がありません。目標がノルマのように「強制的にやらされるもの」という位置づけになってしまうと、従業員の主体性を損なってしまいます。従業員の自主性を尊重したうえで、高すぎず、低すぎないレベルの目標を立てることが大切です。

評価に至った背景を明確にする

MBOは目標達成率を明確に可視化できるものの、そのぶん最終的な成果にとらわれすぎてしまう恐れがあります。100%目標を達成できなかったからといって、工程そのものが間違っているとは限りません。上司は部下の業務プロセスにも目を向け、行動の変化や成長度の評価も大切です。もし過程が人事評価につながらなかった場合は、その理由を丁寧に説明しましょう。

また、1か月ごとなどの細かい目標を立て、その都度面談などでプロセスを確認する方法もあります。部下は達成感や充実感を得られやすく、上司は目標達成に向けた進捗を確認しやすいため、双方にとってメリットがあります。

MBOで企業や個人の目標達成を

目標管理制度(MBO)とは、従業員それぞれが決めた目標の進捗度合いによって人事評価を行う、マネジメント方法のことです。従業員の主体性やモチベーションを向上したり、客観的な人事評価を行いやすくなったりするメリットがあり、多くの企業で導入されています。近年普及が進んでいるリモートワークとも相性がよく、従業員の進捗管理をスムーズにしたり、自律性を高めたりするために導入を検討している企業も少なくありません。

MBOを成功させるためには、適切な目標設定が大切です。組織目標と関連しており、個人の能力に合った目標設定が望ましいでしょう。必ず上司と部下が話し合い、コミュニケーションを取りながら具体的な内容の決定が重要です。

 

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