協働のヒントは“違い”への寄り添い。SmartHR Next 2023 DAY3速報レポート
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これからの時代、人に「選ばれる企業」には何が必要でしょうか。
オンラインカンファレンス『SmartHR Next 2023』では、リーダーシップや多様性と包摂など、選ばれる企業になるために必要なトピックを探索しながら、組織の持続的な変革の秘訣を考えます。
本稿では「ヒトとの協働 人事戦略による企業の革新と成長」をテーマに、11月21日に開催されたDAY3の講演を要約とともに振り返ります。(DAY1 / DAY2 の様子)
時代の潮流に取り残されない! 人事・労務担当者の情報収集・活用の新しい形とは
講演内容を30秒で振り返り!
- SmartHRのユーザー同士で交流し、ともに人事・労務やSmartHRの活用方法について学びあうコミュニティが「PARK」。人事労務は社内に人数が多くない職種。社内で相談できるけど、実務をやっているからこそできる細かい相談がある。人事労務担当者が相談や質問、雑談できる場。
- 「PARK」ではオンラインやオフラインのコミュニケーションが盛ん。具体的な人事労務のTipsやノウハウをオンラインで共有し合うこともあれば、飲み会のような場で広く実務以外のキャリアの話や雑談をしたりと、多種多様な交流が生まれている。
- スマートラウンドの杉山さんは自分と同じように、「PARK」に参加して「社外に仲間がいる」と感じられる人が増えたらいいなと感じている。コミュニティリーダーとしてさまざまなコミュニティの運営に携わるプレイドの大谷さんは、今後も人事・労務領域の変化が激しいなか、熱量の高い人と最新の情報が集まるコミュニティにしていきたいと考えている。
口コミ&Z世代マーケティングから判明!選ばれる企業の方程式
講演内容を30秒で振り返り!
- 20代で成長できる超優良企業20社に投稿された口コミを分析すると「裁量権がある」「トレーニングを受ける機会がある」「フィードバックされる環境がある」の3つが共通の特徴として挙げられる。選ばれる企業になるには、成長環境を用意し、それを適正に評価する仕組みが必要。
- Z世代はSNSの普及を背景に、調和意識が高く、失敗したくない、固定概念に縛られない特徴がある。決めつけや価値観を押し付けるのではなく、一人ひとりに目を向けたコミュニケーションを取る。
- 企業を選ぶポイントが「ネームバリュー」から「キャリアバリュー」に変わってきている。その企業に入社することが自身の今後のキャリアにどう活かされるかを重視していることから、企業は「うちはこんな会社で入社したらこんなことができる」というストーリーを提示していかなければならない。
グローバル&拡大に対応する人事評価制度の柔軟力
講演内容を30秒で振り返り!
- メルカリはミッション達成にはバリューの体現が重要であり、バリューを後押しするものが人事評価制度・報酬制度と考えている。日本・US・インドのどの国においてもバリューを軸に人事の仕組みを構築し、グローバルスタンダードの観点からアップデートをかけ続けている。
- SmartHRでは事業拡大により職種が増えたことで、職種によって求められることが変わってきた。これに合わせて職種に応じた制度タイプを設け、等級にもとづいた難易度で評価を進めている。また、評価と報酬の関係も制度タイプによって柔軟性をもたせている。
- 人事の枠組みをつくっても、運用に柔軟性がないと従業員の納得にはつながらない。ここが人事の難しいところ。評価を進めるマネジメントがどのような判断軸をもつかを考えなければいけない。
ウェルビーイングが実現する活力ある人と組織
講演内容を30秒で振り返り!
- 丸井グループでは、サステナビリティとウェルビーイングを経営目的に位置づけて、社員やお客さま、将来世代などを含む「6つのステークホルダー」の重なり合う利益としあわせの拡大を目指す。企業文化の変革にも取り組んでおり、社員自らの意志でさまざまな取り組みに参加する「手挙げ文化」が社内に浸透している。
- 働く人のウェルビーイングを考えるうえで、働きながら介護をする「ビジネスケアラー」の支援は重要。両立支援がうまくできている企業は、経営層による経営アジェンダとしての認識・発信がある。そのため、全社的な問題として取り組めている。また、正しい実態の把握やマネジメントに対する対応方法の共有も大切になる。
- 介護に限らず、ウェルビーイングの実現には、生活者として一人ひとりの抱える多様な事情を認め合うことが求められるのではないか。老いや介護、女性、若さなどに対する固定概念、アンコンシャスバイアスを減らしていくことや、そもそもの働き方の柔軟性を高めていくことも重要。
生成AIとの対話から始まる人事活用最前線
講演内容を30秒で振り返り!
- ディップの人事では「文脈を読み取る・カテゴリ分けをする・文章を整える・アイデアを出す」の4つの観点から生成AIの活用を進めている。たとえば、職場サーベイで集計した約3,000人分のコメントデータを生成AIに読み込ませ、カテゴリごとに分類、代表的な意見を列挙するという活用。
- 生成AIに人間が共感しすぎてしまい、考えることを止めてしまうのは非常に危険。完全な解を貰う相手ではなく、人間が最終的な結論を出すために必要な多面的な意見を出してくれる相手という関係性。
- 生成AIは人間の仕事を奪うものではなく、人のパフォーマンスを向上させるもの。いかに活用して労働環境の改善や生産性向上を進め、いきいきと働ける世界をつくるかを考えていく。
佐久間宣行の誰もが自分らしく働けるチームマネジメント
講演内容を30秒で振り返り!
- 佐久間さんは、番組制作のチームを組成するにあたって、コアのコンセプトを実現するためのビジョンを共有できる人、自分には足りない要素を足してくれる人を選ぶ。ビジョンは「仮説」にも近い。仮説を共有しておけば、現場でトラブルが起きても大枠はブレない。番組が成功しなくても「仮説の結果、こうだった」がわかる。ビジョンの共有のために、佐久間さん自ら議事録を書いたり、ホワイトボードで会議を進行することも珍しくない。
- かつては、自分の言うことを聞いてくれる人と一緒にチームを組みがちだったが、能力も伸びないし、芸風も一緒になる。いまは自分が何をどれだけできているか、できていないか、もう伸びない能力は何かを認めたうえでメンバーを選ぶ。
- 自分らしくモチベーション高く働けるチームのためには、よいところを見つけて褒めること、目の前の仕事がその人の成長やキャリアにどうつながるのかを示してあげることを意識する。夢や憧れをもって入ってくるメンバーには、あえて「夢を目標に格下げしたほうがいい」と伝え、夢や憧れから逆算して、直近でやるべきことに意識を向けるようにする。
ヒトを真ん中に置く経営に必要なこと
DAY3全体のファシリテーターを務めた髙倉さんは、1日を通して感じた「ヒトを真ん中に置く経営」に大切な要素を3つ挙げました。
- 能力のある社員だけではなく、全員の違いに寄り添う
- 何のためにやるのか。目的を描き、将来を見据える
- 個人戦ではなくチーム戦。得意を持ち寄り、楽しさを大切に
20講演・34名のスピーカーにより、選ばれる企業になるために必要なトピックを探索した3日間。経営戦略から組織戦略、人事戦略まで、さまざまな企業の実践を知ることで、変革のためのヒントが得られたのではないでしょうか。
これまでの講演の模様は、イベントレポートにてお楽しみいただけます。見逃してしまった講演やもう一度見たい講演をご確認ください。