人的資本開示義務化の3項目を分析レポートで可視化する方法
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目次
こんにちは、プロダクトマーケティングマネージャーの佐野です。
SmartHRの「分析レポート」を使って、「有価証券報告書に記載が求められる3つの項目」のレポート化手順を説明します。
分析レポートでは、3つの項目を可視化できます
SmartHRが提供する「分析レポート」を使えば「従業員データベース」に蓄まった情報をもとに、「有価証券報告書に記載が求められる3つの項目」である「女性管理職比率」「男女間賃金格差」「男性育児休業取得率」のグラフ化、レポート化が可能です。
ただし、「男女間賃金格差」「男性育児休業取得率」には別途計算・設定が必要になります。以下の記載をご確認ください。
- 女性管理職比率
- グラフ作成時の条件設定でかんたんに集計可能。
- 男女間賃金格差
- 男性賃金に対する女性賃金の比率を出すには、集計後CSVデータでの計算が必要。
- 男性育児休業取得率
- グラフ作成前にカスタム従業員項目での育児休業取得業況の設定が必要。
人的資本開示とは
企業の人材戦略を定性的かつ定量的に、社内外に向けて明らかにすることを指します。つまり、「分析レポート」で定量的に可視化するだけでは、人的資本開示は完了ではありません。
企業それぞれが策定する人材戦略について、
- 「役員の女性比率を20XX年までにXX%達成が目標」
- 「育児休業取得率推進に向けて◯◯に取り組んでいく」
といった定量面と定性面について、どちらも開示が必要です。
人的資本について、基本となる知識から参照したい方は以下の記事をお読みください。
分析レポートでの集計・可視化方法
分析レポートを使用した3つの項目の集計・可視化について、実際の操作画面を交えて紹介します。先述のとおり、項目によっては、別途計算・設定が必要になります。
【集計・可視化の準備】データセット作成
「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」:従業員情報のデータセット作成
「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」レポート作成用に、下記の手順で従業員情報のデータセットを作成します。
データセット > 新規作成 > データソース選択 > データセット名入力 > 作成
データセット名は任意ですが、本稿では「人的資本開示用データセット(従業員情報)」としています。
データ項目選択 > 保存
「男女間賃金格差」:給与明細情報のデータセット作成
「男女間賃金格差」レポート作成用に、下記の手順で給与明細情報のデータセットを作成します。
データセット > 新規作成 > データソース選択 > データセット名入力 > 作成 >
データセット名は任意ですが、本稿では「人的資本開示用データセット(給与明細情報)」としています。
データ項目選択 > 保存
以上で「【集計・可視化の準備】データセット作成」は完了です。作成した2つのデータセットは「女性管理職比率のグラフ作成」「男女間賃金格差のグラフ作成」にて使用します。
女性管理職比率のグラフ作成
下記の手順で、女性管理職比率のグラフを作成します。
従業員データセット(【集計・可視化の準備】にて作成したもの)を選択 >
グラフを作成 > グラフ名を入力 > 作成 >
グラフ名は任意ですが、本稿では「女性管理職比率」としています。
グラフの設定 >
グラフ種類の変更 >
フィルタの設定 > 保存
以上で「女性管理職比率のグラフ作成」は完了です。
※事業年度での推移グラフを作成する場合は、こちらのヘルプページを参照ください。
男女間賃金格差のグラフ作成
下記の手順で、男女間賃金格差のグラフを作成いただけます。ただし、男性賃金に対する女性賃金の比率を出すには、集計後CSVデータでの計算が必要です。
(1)賞与支給がない場合
給与明細データセット(【集計・可視化の準備】にて作成したもの)を選択 >
グラフを作成 > グラフ名を入力 > 作成 >
グラフ名は任意ですが、本稿では「男女別合計賃金」としています。
グラフの設定 > グラフ種類の変更 >
フィルタの設定 > 保存
※男性賃金に対する女性賃金の比率計算は、別途計算する必要があります。
※事業年度での推移グラフを作成する場合は、こちらのヘルプページをご参照ください。
(2)賞与支給がある場合
給与明細データセット(【集計・可視化の準備】にて作成したもの)を選択 >
グラフを作成 > グラフ名を入力 > 作成 >
グラフ名は任意ですが、本稿では「男女別合計賃金」としています。
グラフの設定 > グラフ種類の変更 >
フィルタの設定 > 保存
※男女それぞれの平均賃金は、「男女別従業員数推移のグラフ」で作成する人数で除算する必要があります。
※男性賃金に対する女性賃金の比率計算は、別途計算する必要があります。
※事業年度での推移グラフを作成する場合は、こちらのヘルプページをご参照ください。
男女別従業員数推移のグラフ
従業員情報データセット(【集計・可視化の準備】にて作成したもの)を選択 >
グラフを作成 > グラフ名を入力 > 作成 >
グラフ名は任意ですが、本稿では「男女別従業員数推移」としています。
グラフの設定 > グラフの種類変更 >
フィルタの設定> 保存
※年ごとの男女別平均従業員数は、毎月の従業員数を平均する必要があります。
※男女それぞれの平均賃金は、先述の合計賃金賃金を除算する必要があります。
※事業年度での推移グラフを作成する場合は、こちらのヘルプページをご参照ください。
以上で「男女間賃金格差のグラフ作成」は完了です。
※男性賃金に対する女性賃金の比率計算は、厚生労働省が公表している算出方法を参考に、SmartHRからCSVデータを書き出して、別途計算いただく必要がございます。
※事業年度での推移グラフを作成する場合は、こちらのヘルプページをご参照ください。
総賃金の算出について
厚生労働省が公表している「女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表について」では、総賃金の算出について、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのもの」と記載しています。
上記を参考に、従業員への総支給額となるように「給与明細」機能の項目を選択ください。
男性育児休業取得率のグラフ作成
育児休業取得情報を管理する「カスタム従業員項目の作成」
まずは、育児休業取得情報を管理する「カスタム従業員項目」を作成して、データを登録してください。作成するカスタム従業員項目は、集計したい年、もしくは年度ごとに設定しましょう。
本稿では2020年の集計をするため、項目名は「2020年育児休業取得有無」としています。2020年のカスタム従業員項目設定が完了したら、2021年、2022年も設定しましょう。
また、表記ゆれを防止するため、ドロップダウンリスト形式を推奨しています。
こちらの設定により、従業員が「育児休業対象者だったのか?」「育児休業対象者かつ育児休業取得だったのか?」「育児休業対象者かつ育児休業未取得だったのか?」を判断できます。
上図右側を例にすると、
- 2020年は育児休業非対象者である
- 2021年は育児休業対象者だったが、未取得である
- 2022年は育児休業対象者であり、取得済みである
といった内容をもとに、それぞれの年の育児休業取得率をグラフ化します。
※参考ヘルプページ(1):カスタム従業員項目を追加する。
※参考ヘルプページ(2):複数の従業員情報を一括で登録する。
続いて、下記の手順で、男性育児休業取得率のグラフを作成します。
従業員データセット(【集計・可視化の準備】にて作成したもの)を選択 >
グラフを作成 > グラフ名を入力 > 作成 >
まずは2020年の男性育児休業取得率をグラフ化します。
グラフの設定 >
データ項目の設定内容
- 日付・期間設定:日付(同期日に合わせ続ける)
- グループ化列:該当期間の育児休業カスタム従業員項目
- 値(集計項目):在籍状況(件数)データ項目の設定内容
グラフ種類の変更 >
フィルタの設定 > 保存
以上で2020年分の「男性育児休業取得率のグラフ作成」は完了です。
2021年、2022年も同様の手順でグラフ化するので、2つ目以降のグラフ作成時は、2020年のグラフを複製・編集するとスムーズです。
人的資本開示用レポートの作成
これまでに作成した「女性管理職比率」「男女間賃金格差」「男性育児休業取得率」それぞれのグラフをレポート化します。下記の手順で、レポートを作成いただけます。
レポート > 新規作成 > オリジナルレポートの作成
レポート名入力 > 作成 >
レポート名は任意ですが、本稿では「人的資本開示用レポート」としています。
グラフを追加 >
グラフを選択 > 追加 >
これまでグラフ化してきたそれぞれの項目を選択します。
保存
以上で「人的資本可視化用レポートの作成」は完了です。
目指すべき組織像に沿った人材レポート取得のススメ
日本政府が義務として明示した、3項目「女性管理職比率」「男女間賃金格差」「男性育児休業取得率」の集計・可視化方法を紹介しました。
企業によってはこの3項目に限らず、新卒/中途入社社比率、平均勤続年数、退職者数など、集計・可視化し、開示したい情報があるかと思います。
「分析レポート」では、可視化したい情報があった際に、すぐにレポーティング可能です。「従業員データベース」に蓄まっている、正確かつ最新の情報で現状把握と課題解決を進めていきましょう。
各企業からレポーティングの要望をいただく項目があらかじめ設定されたプリセットレポートを使えば、組織に必要な情報をかんたんに可視化可能です。
(※本記事は2023年1月12日時点の情報です。最新の情報は厚労省のHPなどを参考にしてください)