外食産業の生産性向上。SmartHRで推し進める「3つの働き方改革」とは?
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ITの進歩により変革期を迎える外食産業。しかし、多くの企業がそのテクノロジーの進化を生かしきれていないのが現状です。
そんな中、2018年9月13日に「顧客理解・顧客との接点創造のためのテクノロジーを」というコンセプトのもと、株式会社トレタ主催「FOODIT TOKYO 2018」が開催されました。
同イベントにて、株式会社SmartHR 代表取締役・宮田 昇始が「『労務管理改革』と『店舗拡大』を実現するスマートな方法」と題し、登壇しました。
本稿ではその内容を、全文書き起こしにてお届けします。
飲食業界でSmartHRが広がりを見せるワケ
皆さま、こんにちは。株式会社SmartHR 代表取締役の宮田と申します。
本日は、「『労務管理改革』と『店舗拡大』を実現するスマートな方法」と題して、お話しさせていただきます。
まず、私たちSmartHRについて簡単にご紹介をさせてください。SmartHRはクラウド型の人事労務ソフトです。今、サービスを開始して2年10ヶ月ほどですが、1万6,000を超える企業の方にご利用いただいております。
どんなお客さまにご利用いただけているかというと、我々のサービスは元々IT企業やベンチャー企業を中心に広まってきたサービスですが、最近では多種多様な業種のお客さまが増えております。
星野リゾートさんのような宿泊業やヴィレッジヴァンガードさんのような小売業態、そして、「銀のさら」さんや「てけてけ」さんのような飲食の大手チェーンにおける導入も進んでおります。
特に、直近1年ほどは急激に外食産業のお客さまが増えてまいりました。
なぜこの業界で増えているのか? その要因を探るべく、お客さまにヒアリングしてみました。
まず、若いスタッフの方やアルバイトの方が多く、入退社のほか結婚・引っ越しなども発生し、手続きの頻度が高いので大変だということです。
また、皆さま多くの店舗を展開されていますので、書類の郵送や免許証のコピーをFAXで送るのはセキュリティ面にリスクを抱えてしまう理由をあげています。
更に、最近よく聞くのが「店長の書類作業をなくし、本業に専念させたい」という声です。やはり、店長は売上や利益をあげるべく店舗業務が大変ですが、同時にアルバイト採用やそれにまつわるペーパーワークにも時間が取られており、この負担を軽減するために、我々SmartHRにお声掛けいただくケースが増えています。
働き方改革待ったなしの飲食業界
こういった外食産業のお客さまにせっかくお声掛けいただくので、もっと皆さまの課題を知りたいと思い、いろいろなことを調べております。そんな中、我々が外側から外食産業を見たときに、時代の変化を示すキーワードがいくつかあると感じました。
まず、「2020年」を機に、外食産業はどう変わっていくのか?
例えば「東京オリンピック」の開催のほか、「HACCP(ハサップ)の義務化」が進むのか進まないのか。進む場合はどのように対応していくのか?
また、人材確保が難しくなっていく中で、フリーター中心だった時代から学生アルバイトが中心になり、人材確保だけでなく定着が難しくなっていくのではないかと伺っています。
そんな中、やるべきことがたくさんあります。まず、FOODIT主催企業であるトレタさんが取り組まれているような「リピート率」をいかに向上させていくのかということ。次に、どのように「店舗拡大」していくのか。そして、人手不足が進む中で、いかに「人材確保」していくのか。
特に3点目の「人材確保」が、皆さんを悩ませる課題ではないでしょうか。
人材不足が招く事業への悪影響
これは、リクルートワークス研究所が調査した「新しい働き方」に関する調査データです。
「人材確保ができなかったことで事業に影響が出た」と答える飲食・サービス業の方は約60%に上るそうです。ちなみに、これは他の全業種を含めた割合から比べると、1.5倍も高い数字になっています。
それでは、人材を確保できないとどういったことが起こるのか?
まず、人材が確保できないため、店長や店舗社員に負荷が集中していきます。
すると、自身の業務で手一杯になり、アルバイトの教育やケアが行き届かず、離職率が高まってしまいます。
離職率が高まると、さらに人材不足が深刻化し、悪いスパイラルにどんどん陥ってしまいます。
この悪循環を断ち切り、好循環に変えていく必要があります。
人材の確保ができ、店長や社員の負荷が軽減され、本業に集中できる。アルバイトたちのケアもできるので、離職率が軽減される。このような好循環に変えていく必要があります。
外食産業改革、3つの柱
では、この好循環を生むために必要なことは一体何か?
SmartHRが、3つ定義しました。
1つ目が、「働き方改革」。
2つ目が、店長がより本業に注力できるような「店長改革」。
3つ目が、職場の労務環境をつくるための「労務管理改革」。
この3つの柱が重要だと考え、本日ご紹介させていただきます。
働き方改革に必要な第一歩は「人事労務改革」
まず、働き方改革に必要な第一歩と、SmartHRのご紹介です。
働き方改革のいろんなお話を皆さんも聞かれると思うのですが、我々の会社では、働き方改革を次のように定義しております。
今後50年間で労働人口が半減するとされています。
さらに、長時間労働の是正など、労働時間を23%削っていく必要があるといわれています。
また、AIやRPAに職業代替されないようなキャリア形成が必要になっていきます。
これら3つの難しい課題を解決するのが、働き方改革の本質であると我々は定義しております。
では、この難しい課題解決を誰が中心となって進めていくのか。それは企業の人事労務担当者の皆さまです。しかし、人事労務担当者の皆さまは採用や評価、研修、労務など、兼務で多様な業務を抱え多忙を極めます。
皮肉にも、旗振り役となる人事労務担当者の業務密度を下げることが働き方改革の最初の一歩になります。
では、業務不可を下げるべく、どこから効率化すればよいのでしょうか?
「採用」や「評価」、「人事企画」といった業務は、しっかり時間を割きたい業務です。また、「勤怠」や「給与計算」などの業務は、何十年も前からソリューションが存在し、すでに効率化が進んでいます。
しかし、「労務」や「社会保険」、「年末調整」が、いまだにソリューションがなく、最も効率化が遅れている箇所でした。
人事労務は業務も煩雑。しわ寄せは従業員へ
我々SmartHRは、効率化の波に乗り遅れている、「労務」や「社会保険」、「年末調整」を効率化させるサービスです。
労務を効率化できず、労務に手が回らなくなると、従業員にしわが寄せられます。
この「労務」というジャンルは一枚一枚の書類が専門の書籍が必要なほど難解で、なおかつ大量の書類を作成しなければいけません。
また、複数の役所へ申請書類を届出る必要があります。入社シーズンにおいては申請窓口が混雑し、役所で2時間以上待たされることもざらにあります。
この労務の領域には、業務を効率化させるソリューションが、これまで存在していませんでした。それを解決するのがクラウド人事労務ソフト「SmartHR」です。
人事労務改革を後押しする「SmartHR」
入社手続きのデモをご覧ください。
例えば、従業員を1人雇用するにしても、たくさんの書類作成が必要でした。こういったものを手書きする必要がなくなります。
SmartHRはクラウド型のソフトウェアですので、その日のうちに使い始めることができます。
人事の方がやることはとても簡単で、新入社員の方を招待するだけです。
すると、新入社員の方に入社手続きの案内が届きます。新入社員の方は、入社前に自宅にいながらPCやスマートフォンから自分の手続きを進められます。
シンプルなインターフェイスになっていますので、特別な知識がなくとも簡単に終わってしまいます。
すると、管理者に通知が届きます。あとは会社側で、入社日や給与など会社が入力すべき情報を入力するだけで、入社手続きに必要な書類がすべてできあがります。
更に、SmartHRから役所へのオンライン申請も可能。これまで半日~1日かかっていたような役所への申請が、わずか15秒程度で完了してしまうような仕組みです。
今、お見せした社会保険手続きやその電子申請といった機能以外にも、たくさんの機能を備えております。
例えば、マイナンバーの収集管理、給与明細のWeb配布、社員名簿といった機能もございます。
もう2つほど、ご紹介させてください。1つが、スマートフォンで年末調整をペーパーレスで行えてしまうという機能。もう1つがオンラインで雇用契約を締結できる機能です。
「ペーパーレス年末調整」で大幅効率化
まず「ペーパーレス年末調整」から。
この機能は、弊社のプロダクトマネージャーの副島が企画したサービスなのですが、どういう人物かといいますと、もともと人事労務のジャンルを15年ほどやっていました。
前々職は、1,200名規模で70店舗ほどあるような飲食のチェーン店で、そこで実際に年末調整業務を担当していました。
彼女は、この年末調整に特に困っていまして、その現場の課題をもとに着想し、生まれた機能です。
機能の紹介前に、年末調整の大変なところをご紹介します。
まず、大量の書類印刷や郵送が必要です。1,200名の従業員がいる場合、1,200名に対して1人3枚ずつ。つまり3,600枚ほどの書類が必要になります。それを段ボールに詰めて、各店舗に郵送するので、かなり時間と労力がかかります。
また、各店舗のアルバイトの方は、記入方法に詳しくなく、マニュアルを用意する必要があります。しかし、マニュアルを用意して配っているのにも関わらず、結局書き方がわからないがために、年末調整期間中は、問い合わせの電話が鳴りっぱなしという状態になります。
このように、飲食チェーンの皆さまは、人事労務担当者も店長も従業員も、それぞれ非常に大変な思いをしながら、年末調整をやっているわけです。
この悩みを解決するためのソリューションを開発しました。デモ動画をご覧ください。
先ほど、大量の書類の印刷や段ボールの郵送が必要と申し上げたのですが、SmartHRの年末調整の機能を使えば、管理者の方はパソコンから年末調整の対象者に案内を送るだけです。
従業員のところには、スマートフォンに案内が届きます。「年末調整をやってください」という案内です。ご覧のとおり、「あなたの住所はここですか?」「はい・いいえ」のような2択のアンケートを応えていくと、年末調整が簡単にできてしまうような仕組みになっています。もちろんパソコンでもできるようになっています。
また、書き損じがあった場合の差し戻しや、誰が出している、出していない、誰に催促すればいいのかという進捗状況も一元管理できるようになります。
「ペーパーレス年末調整」によって、従業員も店長も人事労務担当者も、非常に便利になっていきます。
雇用契約もオンラインで締結可能に
もう1つ、先月の8月に出したばかりの新機能「オンライン雇用契約機能」です。
こちらも外食産業の皆さまからのお声でできたサービスで、雇用契約もスマートフォンで締結できるといったものになっています。まずはデモ動画をご覧ください。
雇用契約を締結したい従業員を選んでいただくだけです。すると、新入社員の方のところに、「雇用契約書の内容を確認してサインをしてください」という案内が届きます。従業員はスマートフォンで内容を確認し、署名をして、「合意する」のボタンを押すだけです。これで雇用契約の締結が完了です。
従来は、従業員に契約書を渡して、判子を持ってきてもらい、捺印したものを本社に郵送で送っていましたが、こういった手間が一切なくなります。
最大1万名規模まで対応
冒頭にもご紹介したとおり、こういった機能を揃えてきた我々は利用数をどんどん伸ばしておりまして、現在1万6,000社にご利用いただいております。
ユーザーさまの企業規模もどんどん上がっており、元々は数十名規模のお客さまが多かったのですが、最近では1万名規模まで対応できるようになってきております。
まだ事例に出ていないのですが、まもなく、百貨店などをお持ちの私鉄の鉄道会社さまの導入が決まっております。
ここまでが、働き方改革に必要な第一歩とSmartHRのご紹介でございました。
1分でわかるSmartHRを読む店舗拡大と労務管理改革を両立させた「ユナイテッド&コレクティブ株式会社」
続きまして、SmartHRを活用して店舗拡大と労務管理改革を両立させた、ユナイテッド&コレクティブ株式会社さんの事例をご紹介したいと思います。
鶏料理専門チェーン「てけてけ」さんや、ハンバーガーショップ「the 3rd Burger」さんを運営されている企業です。
事業拡大に伴う、労務負担の増大
SmartHRを導入したとき、ユナイテッド&コレクティブ株式会社さんがどういう状態だったかといいますと、店舗は当時56店舗ぐらいでした。
従業員数は約1,700名。うちアルバイトが約1,500名で、毎月100名以上が入社してきているような状態でした。
そんな中、彼らには店舗拡大というミッションがありました。
2020年までに、約4倍となる200店舗を掲げています。また、皆さんご存じのとおり、飲食チェーンの場合は、利益を最大化するには本社コストをおさえつつ拡大することが求められます。
つまり当時2名で行っていた入社手続きや給与計算を効率的に実施しながら、店舗を拡大させていく必要がありました。
従来型業務フローに潜んでいた労務リスク
もう1つ課題がありました。従来のやり方に潜んでいた「労務リスク」です。
基本的に書類はすべて手書きでした。誤字があると修正が必要になるため、店長とのやり取りもどうしても増えていきます。特に、銀行口座の口座番号に間違いがあると、給与の振り込みのミスが起きてしまう可能性もあります。もし、これを一度やってしまうと、従業員に不安が広がってしまいます。
更に、各店舗の連絡手段がバラバラで、書類をメールに添付して送ってくる方もいれば、FAXで送ってくる方、郵送してくる方と様々です。
その他、入社手続きの際には書類を本部と店舗間でやり取りしますが、今誰が書類を持っていてどこで止まっているのかがわからなくなる状況が起き得ます。
また、保険証が届くまでに1ヶ月以上かかることもあったそうです。例えばお子さんがいる主婦スタッフの場合、保険証が手元にない状態が1ヶ月続くととても不安です。
SmartHR導入で「店舗拡大」と「労務管理改革」を両立
同社では、この「店舗拡大」と「労務リスク」という課題を一挙に解決すべく、SmartHRを導入いただきました。
SmartHRの導入以前、56店舗だった店舗数が、導入後わずか1年2ヶ月で82店舗まで拡大されています。
また、SmartHR導入当時は2名でこれらの業務をやられていたのですが、つい最近まではその人数を変えずに店舗拡大されてきたと聞いております。
冒頭にもご紹介したとおり、人事労務担当者の負荷軽減が働き方改革の第一歩になります。人事労務担当者が働き方を改革し、働きやすく働きがいのある会社へと変え、採用力を高めていきます。
そんな中、ユナイテッド&コレクティブ株式会社では、働き方がどう変わったか?
これは私たちも予想していなかったことなのですが、残業がなくなったことで人事労務担当者の方が早く帰れるようになりました。早く帰れるようになった結果、この方はより良い会社づくりに生かすべく、社労士資格の勉強を始められたそうです。これは我々も考えていなかった効果です。
「店長改革」に成功した老舗レストランチェーン
3つ目のお話です。店長から労務業務の負担をなくし、「店長改革」に成功した老舗レストランチェーンの事例です。
店長も管理者も労務負担が課題
この会社さまは老舗のレストランチェーンで、2業態計14店舗を展開しています。
従業員数は240名で、都心だけではなく、地方にも店舗をお持ちです。この会社さまも同じく入社手続きをはじめとした、労務にまつわる強い課題を感じていました。
SmartHR導入前の入社手続きは、次のようなフローでした。
ひと目見るだけで非常に大変そうです。まず、店長が採用した方から基本情報を受け取り、それを本部に渡します。次に本部が入社関係の書類を作成し、その書類を店長に郵送し、記入してもらいます。店長は再度これを本部に返送します。そして、本部でExcelに従業員情報を入力します。
ここまででやっと入社手続きが終わったタイミングなのですが、そこからさらに、冒頭でお見せしたような社会保険や雇用保険の書類の作成が始まります。店長が関わるステップが多く、かなりの時間を割かれていました。
これらの業務は、店舗運営をする上で利益に直結しないため付加価値が低いのですが、とはいえ、やらなければ必ず従業員が不利益を被ってしまいます。
業務フローの抜本的改革に成功
SmartHRの導入後、これらの業務がどう変わったか? 非常にシンプルになりました。
本部から、従業員をSmartHRに招待するだけです。従業員本人に情報を入力してもらいますので、入力や伝達のミスもなくなります。
これまでExcelに転記していたようなこともなくなり、そのままSmartHRの中に従業員データとしてデータが溜まっていきますので、これを社員名簿としても活用できます。
更に、SmartHR上で社会保険や雇用保険の書類も作成できるようになっています。
業務が非常にシンプルになり、店長の入社手続き時の負担が軽減されました。
管理者だけでなく「店長もカンタンに使いこなせる」デザイン性
この会社さんがSmartHRを導入した理由、どういったところで選んでいただけたのかを聞きました。
なぜ数あるクラウド人事労務の中でも、SmartHRを選んだのか?
3つほど理由を挙げていただきました。
まず「シンプルなデザイン」で、操作ミスが起きにくいこと。
2つ目に「労務に特化」しているため、労務の深い悩みを解決する上で非常に使い勝手がよいこと。
3つ目に「店長が使いこなせる」こと。これが非常に重要だったそうなのですが、「各店舗へ一度もレクチャーに出向くことなく、本日に至っています」とおっしゃっていただきました。
この会社さんは東京だけではなく、地方にも展開されています。地方の店舗まで飛行機や新幹線で出向いて、店長に使い方をレクチャーするのは、あまり現実的ではありません。
SmartHRの場合は、非常に分かりやすいインターフェースを備えていますので、「特にレクチャーをすることなく、カンタンに業務標準化ができている」というお声を頂いています。
人事労務担当者の負荷軽減が働き方改革の第一歩
また、店長の業務削減だけではなく、人事労務担当者の方の業務も削減されています。
この方は月40時間、つまり1ヶ月あたり(営業日換算で)丸1週間分の時間が新たに生まれたそうです。
この生まれた時間を活用し、新規店舗の立ち上げにも時間を活用することができたそうです。
SmartHRを導入することで、このように付加価値の高い業務のための時間が生まれ、働き方改革や店長改革、労務管理改革に乗り出すことができます。
冒頭にも申し上げたとおり、人事労務担当者の負荷軽減が働き方改革の第一歩だと我々は捉えております。
この担当者の方には、もう1つ嬉しいことをおっしゃっていました。
「同じ飲食系の経営者さんや労務担当者さんに『SmartHRで作業を効率化しませんか?』と伝えたい」というメッセージをいただきました。
以上をもってSmartHRのお話とさせていただきます。会場の皆さまにも、ぜひSmartHR導入をご検討いただければ幸いです。
ご清聴、ありがとうございました。
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