人事4名が語る。テレワークで意外となんとかなったこと / 出社しないと難しかったこと【ラッシュジャパン×div×カケハシ×SmartHR】

2020.09.28 ライター:藤田隼

2020年7月16日、人事労務のミートアップ「PARK」が開催。第2回目となる今回は、オンラインで100名以上もの人事労務関係者が参加しました!

本稿では、パネルディスカッション「大テレワーク時代到来!「テレワーク、やってみてどうだった?」ぶっちゃけ座談会」のレポート第1弾をお届けします。

パネリストは

  • 株式会社ラッシュジャパン 人事部長 Head of People  安田 雅彦さん
  • 株式会社カケハシ Corporate Design ドメイン jinji 井上 亜美さん
  • 株式会社 div 組織開発グループ 人材開発チーム チームリーダー 横川 弘隆さん

の3名。

モデレーターは、SmartHR執行役員・VPヒューマンリソース、人事責任者の薮田 孝仁が務めます。

「テレワークの意思決定の裏側」「テレワークで、意外となんとかなったこと」「テレワークにおいて、人事が出社しないとどうしようもなかったこと」について、各社が語った内容とは?

これからテレワーク導入を検討する方は参考にしてみてください。

PARK全体のレポートについては、以下の記事からどうぞ!

2020年はオンライン開催! 人事・労務のミートアップ『PARK』 ― ダイジェストレポート

※本稿に載っている情報は2020年7月16日時点のものです。

まずは自己紹介からスタート

薮田:皆さん、こんばんは! 本日はPARKにご参加いただき、ありがとうございます。

本日モデレーターを務めさせていただきます、SmartHRの薮田と申します。

これよりパネルディスカッション『大テレワーク時代到来!「テレワーク、やってみてどうだった?」ぶっちゃけ座談会』のスタートです。

それでは、早速ご登壇者の皆さまに、会社紹介や自己紹介をしていただきたいと思います。まずは安田さんからお願いします。

安田さん:ラッシュジャパンの安田でございます。よろしくお願いします。

私たちラッシュは、イギリスの会社で、ラッシュジャパン自体は1998年に設立されました。

事業内容としては、「ラッシュ」の製造・販売・輸出入などで、実は製造も日本でやっています。お店は約80店舗ありまして、従業員数は約1,300名。そのうち約400~500人弱が相模原の愛川町にある工場に勤務しています。私の責任範囲としては、人事の責任者なので人事全般です。今日はよろしくお願いします。

井上さん:株式会社カケハシの井上と申します。よろしくお願いします。

弊社は、2016年に創業した、医療系スタートアップです。サービスとしては、電子薬歴・服薬指導システムの「Musubi」を、薬局の皆さまに提供しています。

会社の規模としては、155名とまだまだ成長中で、拠点は東京と大阪の2ヶ所です。私の業務は、労務全般と書いておりますが、実は役割が変わったばかりでして、もともとは採用を担当していました。労務に完全にスイッチしたのは今年(2020年)の3月末からですのでまだまだ勉強中ではあるのですが、本日は色々なお話をさせていただきつつ、私も学びたいなと思っております。よろしくお願いします。

横川さん:株式会社divの横川と申します。よろしくお願いします。

弊社は2012年設立で、事業内容はプログラミングスクール「テックキャンプ」の運営、人材紹介、法人向けのプログラミング研修を提供しております。

従業員数は7月7日現在で644名です。昨年の4月は120名ほどだったので、ここ1年で500名ちょっと増えている、急成長中の会社となります。事業所数としては16ヶ所で、各地の主要都市に展開をしております。

私の担当領域は、以前は組織開発の立ち上げの責任者として、評価制度の運用や人事制度の構築等を行っていましたが、現在は人材開発を中心に取り組んでいます。また、8月以降は別のグループの責任者として、担当領域を広げていく予定です。本日はよろしくお願いします。

薮田:それでは最後に、私から簡単に自己紹介させていただきます。SmartHRの薮田と申します。

社会保険や労働保険の各種手続きなどをシンプルにするクラウド型ソフトウェア「SmartHR」を運営、開発、販売しています。皆さま、いつもご利用ありがとうございます。

従業員規模としては、7月16日現在で272名です。事業所は2ヶ所で、東京と大阪です。私自身は採用や評価、人材開発などの領域を担当しています。改めまして、今日はよろしくお願いいたします。

ということで、本当に今日は三者三様です。事業内容や従業員規模、事業所数などの企業の特性はもちろん、人事における役職や役割もさまざまなので、多様な視点でお話を伺いたいと思います。

【Q1】テレワークの意思決定、どんな裏側がありました?

薮田:早速1つ目のテーマにいきたいと思います。テレワークの意思決定をしたときに、どんな裏側があったのかをお伺いしたいです。せっかくなので、「人事部長」という決める立場の安田さんから、お話しいただいてよろしいでしょうか。

【A1-1】「感染拡大の防止と、社員の安心・安全より優先することはない」という経営判断(ラッシュジャパン)

安田さん:もともとラッシュは、400人ほどが工場勤務、900人ほどが店舗勤務で、それ以外の従業員はオフィス勤務で、約80人います。

そもそも工場とお店はテレワークできないんですが、オフィス部門はもともとテレワークについてはフレキシブルだったんですね。コロナ禍になってからは、感染防止に努めながら働いていたんですが、非常事態宣言が出てからは、我々としても、フェーズを変えなきゃいけないと考えました。

コロナ禍におけるリスクマネジメントで、何を一番優先するかと考えたときに、やはり「感染拡大の防止と、社員の安心・安全より優先することはないね」ということで、今回のコロナ対策の方針を決めて、まずは感染拡大を防止し、安全・安心に働くために、基本的には全員自宅で働こうと決めました。

多少の業務が滞るとか、何か支障があったとしても、感染拡大防止と社員の安心・安全以上に優先することはないと意思決定をしたので、意外とその判断は早かったです。「いや、そうは言っても……」みたいな意見もあまりなくて、スムーズでした。

薮田:「感染拡大防止、社員の安心・安全を優先しよう」というメッセージもすぐに決まったんですか?

安田さん:すぐに決まりました。我々は現業なので、そもそもお店も営業ができない。実は海外では稼働しているところがあったので、製造する必要があったんですけれども、そんなことは言っていられないので、輸出国にも事情を話して、いったんとにかく全部止める決断をしました。それによって、当然経済的打撃は大きかったんですけれども、感染拡大防止と社員の安心・安全より優先するものはないので。

薮田:そのメッセージは、全社員の方に出されたんですか?

安田さん:はい、すぐ出しましたね。

薮田:どういった反応がありましたか?

安田さん:基本的には社員も好意的だったと感じています。一方で、我々はBtoCなので、直接的に収入が止まっていることが、自分たちの職に関わってきますし、日々入ってくるキャッシュがすごく大事なビジネスです。その辺の見極めがすごく難しかったところはあったんですが、考えがブレちゃいけないねということでメッセージを出しました。

ラッシュジャパン 安田さん

【A1-2】まめなアンケート実施と対策立案(ラッシュジャパン)

安田さん:それと、全社に「皆さんは、テレワークについてどう思いますか?」というアンケートを結構まめにとって、現場の反応を見ながら対策をとっていましたね。

薮田:1回目は、いつごろ、どんなアンケートをとられたんですか?

安田さん:一番最初は3月末と結構早かったですね。

そのときのフォーカスは、“安全・安心” なので、「健康状態は大丈夫ですか?」「安全・安心に生活ができていますか?」ということを、聞きました。あと、不安なことはないかをとにかく吸い上げましたね。経済的不安のレベルなどを知り、いわゆる処遇や休業手当、プラスアルファで何をすればいいかなどの方向性を決めるために実施しました。

薮田:健康状態の確認と、今後の対策をする上での参考として、経済的な不安などを聞いたのでしょうか。

安田さん:はい、そうですね。やっぱりフェーズは変わっていくと思ったので。まず、今の生活に不安はないか、経済的な不安はないか。その次に、テレワークの過渡期において、だんだん他社の取り組み状況や、“ニューノーマル” “with コロナ” での働き方などがわかってくると、テレワークの位置付けも変わってくるためです。

このように、アンケートをするごとに質問の切り口を変え、みんなのコロナ禍における適応具合を見ながら、施策を打っています。完璧にはできていないんですけれども、アプローチとしてはそういう形でした。

【A1-3】初期は段階的に仮説検証。経営陣の意思決定スピードが鍵(div)

薮田:続きましてdivの横川さん。チームリーダーという立場なんですけれども、どんな裏側があったかを伺いたいです。

横川さん:前提からお話しすると、当時私は組織開発の責任者で、経営陣との議論等を含め、意思決定にも少し関わっていたため、それを前提にお話をさせていただきます。

弊社も新型コロナウイルスの感染が拡大していく初期の段階で、もし今後パンデミック宣言や緊急事態宣言が出されたときに、何を大切にするのかということと、リスクマネジメントの定義を1月ごろには決めていました。先ほど安田さんからお話があったのとまさに同様で、感染拡大の防止と、従業員の安全・安心を守る、健康を守ることを掲げました。

2月中は段階的に進めようと、午前中は全員テレワークを推奨しておりました。その中で、もし緊急事態宣言等が発令されて、従業員にテレワークをしていただくことになったときに、どういう課題があるのかなどを仮説検証しながら、実際に緊急事態宣言が出たときにすぐに動けるように準備をしていました。

その間に、弊社で一番良かったなと思うのは、経営陣の意思決定が非常に早かったことです

div 横川さん

【A1-4】労務部門と組織開発部門が早々に意見交換し、経営会議で情報共有(div)

薮田:1月ってかなり早いですよね。

横川さん:そうですね。毎朝経営会議をやっていますが、その中で「新型コロナウイルスが広がっていったらどうしようか」などを早い時期から議論していました。あと、弊社のビジネスモデルがBtoCなので、どうやって顧客を守っていくかなどの議論も1月の頭からされていました。

薮田:経営会議において「このようなリスクがある」という議論は、例えば人事から投げかけるのか、もしくは経営陣から話があるのか、どういう起点だったんですか?

横川さん:結論、双方向が起点となっていました。経営陣から話がある場合もあれば、労務部門と組織開発部門で意見交換をしながら、その都度役員に報告をして対応を仰ぐといった形です。

薮田:その部門間で「現場でこういったリスクがあるかもしれない」と議論してから、経営会議に持っていくんですか?

横川さん:そうですね。「こういったリスクがあるので、こういった打ち手が必要になりそうです。あとは経営会議で揉んでいただいて、意思決定してください。」と進めていました。

薮田:なるほど、素敵ですね。1月に決めて、その後は3月4月といろいろ状況も変わったと思いますが、何か変化はありましたか?

横川さん:緊急事態宣言が発令されてからは、全員テレワークにしました。シフト勤務以外の従業員は、月曜日から金曜日、午前中だけではなくフルでテレワーク対応していったのが、大きな変化ですね。

薮田:ありがとうございます。続いて、カケハシさんではどういう意志決定の裏側があったかを教えてください。

【A1-5】もともとテレワークOKだったので移行はスムーズだった(カケハシ)

井上さん:はい。弊社の場合は以前からフルリモートOKだったので、移行に関しては社員のギャップなども少なくスムーズかったかなと感じています。

もともとは、出社勤務と自宅勤務を、それぞれのメンバーがワークスタイルに合わせて選択している状態だったんですが、コロナが感染拡大しはじめた1月から2月ぐらいのタイミングで、「オフィスに来ることを控えてくれ」というよりは「在宅ワークを推奨する」といったアナウンスをしていました。

緊急事態宣言が出そうなタイミングでは、Slack上で、ボードメンバーと私と法務、当時もう1人いた人事とで、1日、2日ぐらいで議論をして、「原則テレワークで、必要がない限り出社はしない」方針をアナウンスするに至りました。

薮田:もともとフルリモートOKだったのは大きそうですね。

井上さん:そうですね。ただ、それでもセールスチームやマーケチームは、議論のために出社したほうが効率がいいということで、オフィスワークを中心にしている社員も多くおりましたので、緊急事態宣言後の原則リモートへの移行後は、そういった社員のケアや、自宅にネット環境がない社員に対してのフォローをどうするかなどの整備を進めました。

【A1-6】今後はアンケートをとりつつ社員の声を反映させた対策を(カケハシ)

薮田:それでもオフィスワークをしたいという方は、当時いらっしゃったかと想像していますが、そういった従業員の皆さんの声があったとしたら、それをどのように収集していったかなども伺いたいです。

井上さん:当時はオフィスで業務したいという人は、声としてはあまり出なかったですね。弊社が扱うサービスは医療領域であるほか、社員の中には薬剤師資格を持っているメンバーが複数いるので、人一倍危機感を持っていることはもちろん感染拡大防止への情報をみんながキャッチしていて、「テレワークは当然の判断だよね」という感覚で受け入れてくれたのかなと思います。

ただ、テレワークを継続してからはアンケートをとりました。「実際に原則テレワークになって状況は変わりましたか?」というアンケートをとって、それを基に、今後に向けての施策を打ちつつある状況です。

薮田:アンケートをとって社員の声を反映させていくことが、非常に重要になってくるということですね。

井上さん:はい、そう思っています。

【Q2】テレワークでも、意外となんとかなったこと

薮田:次のテーマです。実際にテレワークをやってみて、意外と何とかなったことをお伺いしたいと思います。横川さんからお願いします。

SmartHR 薮田

【A2-1】ほぼすべての業務が意外となんとかなった(div)

横川さん:多分皆さんも実感されているかなと思うんですけれども、結論から言うと、ほぼすべての業務が意外と何とかなったんじゃないかと感じています。それこそ、有事が常識を壊すきっかけになったと考えています。

「ミーティングはオフラインや対面じゃないと心配」という声もありましたが、いざ実際にオンラインではじめてみると、「意外と意思疎通ができる」とか「そこまでコミュニケーション負荷がかからなかった」という声が多くありました。

他にもいろんな業務が本当にすべてオンライン上で完結できるんだと、我々の常識を覆すきっかけになったかなと感じています。

薮田:そうですね。多分コロナ禍になる前に、リモートにするかどうかの議論は、各社でされていたと思うんですよ。やっぱり横川さんがおっしゃったように、このような有事が常識を覆すきっかけになて、実際にテレワークに取り組んで気付けたこともあるはずです。井上さんはどうですか?

【A2-2】入社対応やオリエンテーション(カケハシ)

井上さん:弊社もdivさん同様に、意外となんとかなりましたね。例えば入社者対応で、「初出社の日はどうしようか」みたいな不安はあったんですが、実際は意外となんとかなりました。

薮田:それはどのようにやったんですか? 例えば、業務で使うパソコンなど、いろんな準備があったかと思いますが。

井上さん:全部オフィスから、新しく入社される方のご自宅に郵送し、オンライン上でPCセッティングからスタートして、そのまま入社オリエンテーションとかも、全部オンラインで受けていただくような方式にしました。実際4月1日以降に入社した方の中には、まだ1回もオフィスに来たことがない方が、現状でもいるような状況です。

【A2-3】リモートでの研修、セールストレーニング(ラッシュジャパン)

薮田:安田さんはいかがですか?

安田さん:研修ですね。そもそもリテールというビジネスモデル自体が、お客さまに話しかけて販売するビジネスなので、リモートでトレーニングするって、そんなことできるのかなと最初は思っていたんですが、店長たちがリモートで繋ぎながらセールスのトレーニングなどをしていて。僕は小売業ってラッシュで3社目なんですけれども、過去のキャリアからは想像もつかなかったので、その様子を目にしたときは感動しましたね。

【Q3】人事が出社しないとどうしようもなかったこと

薮田:とはいえ、人事が出社しないとどうしようもなかったようなことがあれば、ぜひ聞いてみたいです。

例えば、私は総務も見てますが、荷物を受け取るなどは出社しないとできないため、総務のメンバーや私が出社をして対応していました。皆さんはどうでしたか?

【A3-1】はんこ出社や健保編入後の保険証配布(カケハシ)

井上さん:やはり押印が必要な業務ですね、いわゆる「はんこ出社」。弊社は電子契約がメインのためかなり少ないほうだと思いますが、それでも社会保険関連で押印が必要なものがあって出社したり。あと「iDeCoを切り替えたい」という社員からの要望に対し、私が出社して「事業主の証明書」にはんこを押して返送するような対応などもしていました。

先ほどお話が出た入社対応だけでなく、退職する人もいたんですけれども、その辺りも全部PCの返却対応等のために出社することもありましたね。

あと、ITS(関東ITソフトウェア健康保険組合)へ編入しまして、保険証の配布はさすがに全社員分を郵送は厳しいとなって、その瞬間だけ出社をお願いしました。

カケハシ 井上さん

【A3-2】入社時研修やオンライン社員総会のファシリテーション(div)

薮田:横川さんはいかがですか?

横川さん:私も出社したのは、入社時研修等の準備のためがひとつですね。

あと、もうひとつありまして、弊社は月に1回社員総会を行っていて、オンラインで実施していますが、そのファシリテーションであったり、ライブ動画の配信やその準備だったりで出社していました。

【A3-3】労務関連のはんこ出社や給与関係(ラッシュジャパン)

安田さん:私も労務関連の書類への押印などで出社せざるを得ないときがあって。給与担当も出社していましたね。

一方で、荷物の受け渡しについては、オフィスにいる人が協力して受け取ればいいじゃんと。昔は「自分の仕事ではないのに受け取りをやるのは困ります」と言っている方もいましたが、いざこの状況になったら「いる人で受け取ればいいよね」と変化があって。やろうと思えば、みんなでシェアしてできるんだとわかりましたね。

薮田:この状況だからこそ、社員の皆さんが助け合おうという、絆のようななものが生まれたんですね。

おわりに

第1弾のレポートでは、「テレワークの意思決定の裏側」「テレワークで、意外となんとかなったこと」「テレワークにおいて、人事が出社しないとどうしようもなかったこと」について各社に語っていただきました。

レポートは、第2弾、第3弾と続きますので、ぜひ、あわせてお読みください。

今後もPARKは定期的に開催していきますので、お楽しみに!

藤田隼

SmartHR ガイド編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトの制作ディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。
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