現場視点で進める医療DXの挑戦【PARK病院コミュコミュレポート vol.2】
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2025年4月24日、PARK病院コミュニティにて「医療DX」をテーマとした座談会が、再び開催されました。前回に続き、現場で奮闘する病院スタッフによるリアルな取り組み事例が共有され、実践に基づく深い学びが広がりました。
今回は、福田総合病院の近藤 まりやさん、同愛記念病院の木村 浩司さんの2人が登壇。それぞれの病院で推進しているDX施策や課題、そして今後への展望について語りました。
この記事では、現場の視点から見た医療DXの推進のリアルをお届けします。規模も課題も異なる病院の取り組みから、読者の皆さんにもヒントとなる実践的な知見が得られることでしょう。
福田総合病院の取り組み:“職員の働きがい”を高めるDX推進
大阪府枚方市にある福田総合病院では、2023年12月にDX推進チームを立ち上げました。人事・採用業務を担当する近藤さんが、同チームの活動について報告しています。

「現場の業務効率化を通じて、医療の質向上と職員エンゲージメント向上を実現する」がチームのミッション。医療現場、総務、経営層まで横断的にメンバーを構成し、月2回の定例ミーティングで施策を具体化しています。
とくに大きな転機となったのは、全日本病院協会が主催する「医療DX人材育成プログラム」への参加でした。これによりクラウド化の重要性に気づき、電子カルテのリプレイスに向けたプロジェクトが動き出しています。
「患者さんとの時間を増やし、事務作業を減らす」という目標に向け、訪問看護部門ではスケジュール管理ツールを導入。今後は病棟など他部門での展開も検討中です。
また、SmartHRの導入と活用範囲の拡大により、働き方の見直しも進んでいます。その一環として、AIボイスレコーダー「PLAUD」を用いた議事録作成支援や毎年15%ずつの印刷枚数削減を目標にしたペーパーレス化など、現場レベルのDX推進を優先して進めています。


(近藤さんが紹介した事例の課題と成果)
成功のカギは“現場起点”
福田総合病院の取り組みで印象的なのは、常に「現場視点」を大切にしている点です。
「患者さん第一の想いをもつ現場職員に寄り添いながら、業務改善を進める必要がある」
そう語る近藤さんは、小さな成功体験を積み重ねることで、DX文化の醸成をめざしています。
同愛記念病院の取り組み:ツール活用による業務効率化
続いて紹介されたのは、東京都墨田区にある同愛記念病院の事例です。医事課に所属する木村さんが、SmartHRをはじめとした複数ツールの活用状況を共有しました。


(同愛記念病院が導入している業務用システム・ツール一覧)
入院前説明の効率化「ポケさぽ」
「ポケさぽ」というツールを用い、入院前説明と検査説明を動画・LINEメッセージで提供。患者さんが自宅でも何度も確認できる仕組みにより、説明時間を平均10分短縮できました。加えて、ペーパーレス化も進み、配布資料が大幅に削減されています。
地域連携強化「foro CRM」
紹介元医療機関との連携を強化するため、地域医療連携ツール「foro CRM」を導入。紹介件数の推移や訪問履歴を可視化し、訪問活動の精度向上に貢献しています。
施設基準管理「iMedy」
施設基準書類の管理には「iMedy」を使用。PDF保管によるペーパーレス化と、疑義解釈の確認効率化を実現しました。SmartHRと連携し、職員の資格管理も容易にしています。
データ連携・自動化ツール「Yoom」
RPAツール「Yoom」を活用し、SmartHRからPCAクラウドへのデータ連携を自動化。音声ファイルの文字起こし機能なども試験運用中です。
今後の展望
診療録の音声入力ツール「Speech ER」の導入も検討中。カルテ記載作業の省力化をめざし、医療現場の負担軽減を進めています。
現場の声を活かしたDX推進へ
両院に共通するのは、ツール導入前に現場との信頼関係を築く重要性を強調していた点です。現場の困りごとを丁寧に拾い上げ、実際に課題を解決することで、ツールに対する理解と活用が進んでいきます。

(木村さんが紹介したDX推進で大切にしていること)
RPA導入においても、現場業務に精通したメンバーが伴走することで、現場側の「自動化できるかも」という気づきを引き出し、自然なDX推進につなげる工夫が共有されました。
現場に寄り添うDXの実践
医療DXテーマ第2弾の今回は、福田総合病院・同愛記念病院それぞれの現場起点の取り組みが紹介され、参加者から多くの共感と学びの声が寄せられました。
「“職員にも患者にも選ばれる病院へ”という言葉がとても響きました。 すべてはそこにあると思いますので、職員のエンゲージメントを高めるためにも DX推進は最優先すべき課題だと思います」
「組織としてDX化をどう進めているかを知ることができました。推進チームや定期的な会議など、 参考にさせていただきたいことを学べました」
「ほかの病院が導入しているシステムやSaaSを教えていただくことはたいへん勉強になります。 実際の使用者の意見を聞けて嬉しいです」
DXは単なるシステム導入ではなく、「働く人を大切にする文化づくり」でもある──そんな想いを強く感じる時間となりました。
今後もPARK病院コミュニティでは、医療DXをめざす仲間たちと共に、リアルな知見を共有し続けます!

(コミュコミュ参加者の様子)

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