事例も解説! エンゲージメント向上を実現する「サーベイ運用方法」

2021.03.29 ライター:重松裕三

こんにちは、SmartHRでプロダクトマーケティングマネージャーを務めている重松です。

前回の記事では新しいオプション機能の「従業員サーベイ」の特徴をお伝えしました。

「従業員サーベイ」は従業員のエンゲージメントを簡単に測定できるツールです。今回の記事では、エンゲージメントの重要性や従業員サーベイの取り組み方について詳しくご紹介します。

従業員サーベイをさらに活用するためのノウハウもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

エンゲージメントとは?

「エンゲージメント」と呼ばれるものには主に2つの考え方があります。

1つ目は、学術研究が数多くなされている「ワークエンゲージメント」、2つ目は産業界で用いられる「従業員エンゲージメント」です。

ワークエンゲージメントは、「仕事に対する活力にあふれ、仕事に打ち込んでいること」として、「熱意」「没頭」「活力」といった側面があります。一方で従業員エンゲージメントは、あらゆる機関で使われており、決まった定義がありません。

エンゲージメントを高めることで、仕事のパフォーマンスや自発性の向上、離職率の低下などにつながるという研究結果も明らかになってきており、今、「エンゲージメント」が非常に注目されています。

※なお、SmartHRの従業員サーベイでは、「ワークエンゲージメント」の考え方に則ってサービス開発をしています。

なぜエンゲージメントが重要なのか?

働き方の価値観が多様化し、会社と従業員のマッチングが重要に

昨今、経済の成熟とそれに伴う価値観が変化しています。単純に金銭的報酬=給料をもらうために働くだけでなく、「ワーク・ライフ・バランスの追求」や「やりがいを持って働きたい」など、従業員の「働く上で大事にしたいKPI」が多様化していますよね。

これからの時代は、より「企業と従業員のマッチング」が重要になります。よりよいマッチングのために、会社と従業員の関係を測るため、エンゲージメントサーベイに力を入れる企業が増えてきました。

コロナ禍においてリモートワークが浸透するなかで、従業員が自律的に働ける状態をつくるという観点からも、エンゲージメントの重要性はますます増大しているのではないでしょうか。

なぜエンゲージメントが注目されているかについて、慶應義塾大学の山本教授へのインタビュー記事もあわせてご覧ください。

「どうして今、エンゲージメントが重要なのか」慶應義塾大学 山本勲教授×SmartHR 薮田対談

SmartHRの従業員サーベイを活用し、エンゲージメント向上に取り組む方法

ここからは、従業員サーベイを活用し、エンゲージメント向上に取り組む方法について解説します。

(1)運用の計画策定

まずは、どのような目的でサーベイを実施するのか、どれくらいの頻度・スケジュールで実施するのか、誰を巻き込むのか、などを決めます。

たとえば、「離職率低下を目的として、四半期に一度サーベイを実施、各部署の部長も巻き込んで、自部署での課題解決やエンゲージメント向上の施策を実行してもらう」などのように、明確にイメージをもつとスムーズです。

(SmartHRで実施する従業員エンゲージメントサーベイ実施の流れの一例)

SmartHRでは、上記の図のような流れで調査を進めることを推奨しています。

エンゲージメントサーベイの実施後、まずは人事のご担当者さまや全社的な施策決定に責任のある方を交えて、「全社課題分析会」を実施。会社の課題と課題に対する施策を検討します。

その後、「部門長向け結果共有&分析会」などの形で、各部門の責任者を交え、自部門の分析を実施します。それぞれの部門での課題を洗い出し、施策について検討しましょう。

従業員へ結果を共有し、課題への認識醸成、各種施策に当事者意識をもって行動してもらうためのムードをつくります。

2回目のサーベイ実施までの間、施策の効果測定のため、質問を2〜3問に絞って「効果測定サーベイ」を定期的に実施します。

このような流れで実施すると、サーベイを効果的に運用できます。ぜひご参考ください。

(2)サーベイ実施

従業員サーベイに標準で用意されている質問リストを使用し、今の組織の状態を明らかにします。

サーベイは、SmartHRに登録されている従業員へ簡単に配信でき、従業員はPCやスマートフォンから回答可能です。

標準で用意されている質問リストがあるため、質問をイチから考えていただく必要はありませんが、独自の質問を組み込むこともできます。

とくに大事な事項がある場合は追加してもよいですが、あまり質問を増やしすぎると回答する従業員の負担が増えてしまいますので、追加するのは2〜3問程度に留めましょう。

未回答の従業員には自動でリマインドメールを送信できますので、サーベイ実施者の負担も少なく進められます。

(3)課題分析

回答が集まったら分析に入ります。

SmartHRの従業員サーベイでは、回答結果をこのような画面で確認できます。

(SmartHRの従業員サーベイ結果画面イメージ)

分析の手順はおおまかに以下のとおりです。

【会社として大事にしたいことを明確にし、全社的な傾向を確認する】

すぐにサーベイ結果を見ず、まず「会社として大事にしたいこと」を明確にしましょう。ただ漫然と結果を眺めても着目すべき点を絞れず、示唆を得ることが難しくなります。

たとえば、「会社の理念への共感を大事にしたい」、「上司のマネジメントがきちんと機能しているか知りたい」などです。

会社として大事にしたい・注目したい項目が決まったら、分析画面を見ていきます。

質問をジャンルごとに分類した質問タグ(※)を含めて全社的な傾向を確認します。初回のサーベイでは推移がわからないため、他社平均との比較、あるいは極端に低い数字などがないかなどをチェックしましょう。

※「質問タグ」は、上部イメージ図の左側にある「上司」「仕事の負荷」などを指します。

【スコアの高い質問・低い質問がないか確認する】

つぎに、質問ごとに確認します。

これまでの推移は見られませんが、他の質問のスコアと比較して高く・低く出ているものについては注視する必要があります。

また、「会社として大事にしたいこと」がスコアにどのように現れているかを確認しましょう。スコアが低ければ伸ばしていく必要がありますし、高い場合もさらに伸ばせないか、あるいは高く出すぎていないか(会社として求めている水準と従業員の水準の認識にズレがないか)などを検討します。

【部署ごと、役職、雇用形態ごとなどに分け、深く分析する】

全社的な傾向を掴んだ後は、より深堀りしてスコアの分析を進めます。

部署ごとや役職ごと、雇用形態ごとの分析がよくある手法の1つです。部署ごとにみていくことで、マネジメントがうまく機能しているか、仕事の負担に偏りがないか、部署内の雰囲気などを把握できます。

たとえば、「会社の理念への共感」という項目について部署別に確認し、特定の部門ではスコアが相対的に低かったとします。ここから、「マネジメント層からメンバーへの情報伝達がうまくなされていないのでは?」という仮説を立てます。

さらに役職を含めて分析すると、「会社の理念への共感」のスコアは経営層〜部長までは高いが、課長や係長、メンバーでは低くなってしまっていた、というようなことがわかります。

【分析結果をもとに、会社の課題を特定していく】

自社が大事にしたいことを中心に注目すべき項目を決め、大きな括りから分析をして全体感を掴み、課題を特定していく、という作業を実施していきましょう。

SmartHRの従業員サーベイでは、部署・雇用形態など以外に、SmartHRのカスタム項目を使用した分析も可能です。グレード・等級ごとでの分析や、前期の評価結果(A, B, Cなど)ごとの分析なども簡単です。さまざまな観点から分析を行い、課題を精緻に捉えられるのがSmartHRの従業員サーベイの特徴です。

従来の方法では、サーベイの結果をExcelに出力、かけ合わせたいデータを別のデータベースから出力して結合するなどの作業が必要でした。SmartHRの場合はデータをSmartHRで管理していれば、データをさまざまな形で分析に活用できます。

SmartHR社での従業員サーベイ実施についてはオープン社内報にまとまっていますので、あわせてご覧ください。

(4)施策検討、実施

分析でわかった課題に対して、施策を検討します。課題に対してどのような施策が合っているかは企業によって異なるため、ここはじっくり考える必要があります。

SmartHRでは、従業員サーベイをご利用のお客さまへ、課題に対するアクションの事例がまとまった資料をご提供しています。

(質問と改善アクション例)

一例として、他社様での事例をいくつかご紹介します。

事例1. 組織拡大を見据えて部門長のマネジメントへの意識を醸成

課題:サーベイ結果で、一般社員やアルバイトの上司に対するスコアが低く出ており、縦の関係性が悪化していた。その原因は、マネージャーのプレイング比率が高く、本来やるべきマネジメント業務に時間を割けていないことではないかと考えられる。

改善施策:上司と部下のコミュニケーションを取るための1on1ミーティングを定期的に実施。メンバーの育成に関する質問のスコア改善を目標に掲げることでマネージャーの部下育成への意識を高める、といった施策を実行。

事例2. 特定の店舗のマネジメントと3年目社員への報酬設計を改善

課題:入社3年目の社員のエンゲージメントが全体的に低下していた。責任が増えてきた3年目の社員について、職務内容と報酬の設計に乖離があった。

改善施策:3年目を迎える社員へ、自己成長やモチベーションなどの意味報酬を設計し実施。加えて、責任増加が成長機会となるように教育制度を整備。

これらの事例に見られるように、サーベイ結果を分析することで、解像度高く課題を認識でき、打ち手もクリアになります。

また、施策を決めるにあたっては、ジョージ・T・ドラン氏の提唱する「SMARTの法則」を意識しましょう。

SMARTの法則に沿ったアクションを設定することで、実現可能性が高く、効果的な施策の実行につなげられます。

5)施策の結果を確認

施策は実施して終わり、というわけにはいきません。定期的にサーベイを実施し、スコアの推移をみることが重要です。

SmartHRでは、プリセットされた質問リストを全問答えていただく「全社サーベイ」とは別に、高頻度で施策の効果を測定する「効果測定サーベイ」の実施を推奨しています。

「効果測定サーベイ」は、分析会で注視すべきと決めた事項について、質問を2〜3問程度に絞って実施します。従業員への負担を減らしつつ、施策の効果を測定できるので、施策実施のPDCAサイクルを回しやすくなります。

実施頻度ですが、「全社サーベイ」は四半期ごとに実施し、「効果測定サーベイ」は毎月実施するのがオススメです。

エンゲージメントサーベイを成功させるポイント

エンゲージメントサーベイを効果的に実施するためのポイントをいくつかご紹介します。

1. 意思決定者やマネージャーを巻き込み、実行できる体制をつくる

せっかくサーベイを実施しても、施策の実行ができなければ意味がありません。経営層など全社的な施策の意思決定ができる方や、部署ごとでの施策を実行に移せるマネージャーなどをしっかり巻き込み、当事者意識を持っていただくことが重要です。

SmartHRの従業員サーベイでは権限を柔軟に設定できるので、上記のような方々に自分で分析いただくことも可能です。

2. 個人の特定ではなく関係性に目を向ける

サーベイ結果を分析すると、ある部署や個人に関するスコアが明確になります。しかし、その部署や個人に問題があると考えるのではなく、問題は組織や人の「間」にあると捉えると受け入れやすく解決に繋がります。

3. サーベイには透明性が大事

サーベイ結果はしっかりと従業員に開示することが望ましいです。サーベイ結果が開示されず、施策の効果も実感できない状態では、逆に不信感につながる可能性もあります。

「なぜサーベイに回答しなければならないのか」という背景を伝えるためにも、サーベイ結果や取り組み状況を開示するようにしましょう。

4. 結果に一喜一憂しない

施策を実施してもスコアに変化がなかった、ということはよくあります。「スコアが改善しなかったから失敗だ」と考えるのではなく、「なぜ変化がなかったのか」を分析し、次につなげましょう。

まとめ

エンゲージメント向上のためには、サーベイを実施するだけでなく次の施策につなげることが重要です。詳細に分析し、課題の解像度を上げ、効果に寄与する施策につなげていきましょう。

また、施策実施にあたってのノウハウはさまざまな形でご提供しています。お客さまが迷わず運用できるようサポートいたします。

どなたでも簡単に始められる従業員サーベイ、ぜひお試しください。

重松裕三

コンシューマー向けプロダクトを開発する企業で、プロダクトマネージャーとして新規事業の立ち上げを複数手掛けつつ、組織内最大チームのマネジメントなどを経て、2019年より現職。プロダクトマーケティングマネージャーとして、人事管理ソフト「SmartHR」の機能開発に加え、人事情報を活用し組織の力を向上させるサービスを企画開発している。
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