人材マネジメントにおいて「人事データ」が果たす役割とは?

2021.06.10 ライター:重松裕三

こんにちは、SmartHRでプロダクトマーケティングマネージャーを務めている重松です。

事業成長のため、組織と個人の生産性向上は欠かせません。とくに人材マネジメント領域では人事評価、採用、研修、人事制度など取り組む施策が幅広く、「取り組みたいが中途半端な状態で終わってしまう」などの課題が多いのではないでしょうか。

新たな取り組みを成功させるには、「人事データ」の蓄積・活用が重要です。今回は人材マネジメントにおいて「人事データ」がどんな役割を果たすのかを解説いたします。

人材マネジメントとは?

人材マネジメントの定義

まず「人材マネジメントの定義」についてご紹介します。

ミシガン大学のデイブ・ウルリッチ教授は「Human Resources Champions」で、4つの人材マネジメントの提供価値を提唱しました。

1.戦略を達成する
2.生産性の高い組織の仕組みを築く
3.従業員のコミットメントとコンピテンシーを向上させる
4.組織の変革を実現する

また、学習院大学 守島 基博 教授は書籍『人材マネジメント入門』において、人材マネジメントの目的を「人材を活用して、会社の戦略を達成し、さらに次の戦略を生み出す人材を提供すること」と表現しています。

どちらにおいても、人材マネジメントは、企業の理念・経営目標を達成するために、人材を活用する人事戦略だといえます。

人材マネジメントを構成する複数の要素

(図1:人材マネジメントを構成する要素)

【参考】 坪谷 邦生(2020) 『図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

人材マネジメントの要素は、上記の図のように人材が入社してから退職するまでの一連の流れに紐づいて構成されています。

  • 「基幹人事制度」と呼ばれる人事評価、報酬、等級などの制度設計
  • 人材が入社してから退職するまでの一連のプロセス
    • 採用、育成(人材開発)
    • 人事評価
    • 配置・異動、退職(代謝)
  • 組織の効果性を高める組織開発

これらの幅広い領域をカバーしているのがわかりますね。

人材マネジメントにおいては、これらの要素を把握したうえで、一貫した制度・施策に落とし込む必要があります。施策を効果的に実行、人材を効果的に活用し会社の目標達成を目指すのが重要です。

人材マネジメントが注目される理由

組織のパフォーマンス向上につながる

人材マネジメントが注目される背景には、組織のパフォーマンス向上があります。

さきほど解説したとおり、人材マネジメントの定義は、「会社の戦略を達成するために、人を活かし組織を変える」というものでした。

従業員一人ひとりのパフォーマンスを向上させるにはさまざまな取組みが考えられます。

上記の(図1)に沿うと、自社にふさわしい人材を採用し、採用した人を適切に配置し、人材開発を通して成長してもらい、公平に人事評価をし、従業員の定着率を上げ、結果として高いパフォーマンスを発揮させる状況をつくることが人材マネジメントの目的となります。

さらに具体的にいうと、以下のような取組みがあげられます。

  • ミッション・ビジョン・バリューを制定し浸透を促す
  • 公平な評価とフィードバックにより成長を促す
  • 従業員が一番能力を発揮できる部署に配置する
  • 新しい戦略を構築できる人材を獲得するため、次期リーダーを育てる
  • 長期的なキャリア開発の支援により働きがいを向上する

人材マネジメント推進に必要な「人事データ」

人材マネジメントにおいて「人事データ」が果たす役割

人材マネジメントにはさまざまな要素が含まれると解説してきました。

実際に人材マネジメントを推進しようとすると、人事データの存在が非常に重要になります。

(図2:人材マネジメントに必要なデータ例)

(図2)の例では、異動を検討する際、業務経験やキャリアの希望、過去の評価結果や性格特性などのデータが必要になることがわかります。

人材マネジメントを始めるには、まず従業員に関するデータをきちんと整備し、活用できる状態にしなければなりません。

「人事データ」の整備は、人材マネジメント推進の第一歩

しかし、人事データ活用の意義を理解していても、「うまく活用できていない」という声をよく伺います。

ヤフー株式会社の伊藤洋一さんが表現された「人事データの三大疾病」という例があります。人事データが活用されないのは、データが「ばらばら」で、「ぐちゃぐちゃ」で、「まちまち」だからとのことです。

(参考)ヤフーが1年がかりで奮闘した「人事データの“三大疾病”」

あるデータはExcel、あるデータは紙で保存されており、データが「ばらばら」になっている。データはあるが、手入力によるミスや表記ルールの統一がされておらず「ぐちゃぐちゃ」になっている。データの取得方法やタイミングが「まちまち」で、データの連続性がなく活用できない。

このような状態を三大疾病としてたとえられていますが、思い当たる部分はあるでしょうか? 人事データの整備は、人材マネジメントの第一歩です。

自社の課題を特定し、データをもとに効果測定を実施

また、いざ人材マネジメントに取り組もうとしても、人材マネジメントの要素すべてを一度に実行するのは難しいでしょう。企業によって、配置や異動を必要しないケースや、定着率に課題を抱えていないケースなどもあるため、自社の課題特定が重要です。

「今いる従業員のパフォーマンスを最大化するためにはどうするべきか?」
「人事評価を効果的に運用し、公平な評価を実現したい」

など、取り組むべき課題の設定をしたうえで取り組むのがオススメです。

▼組織課題を特定し、施策を推進するステップ

1.従業員サーベイなどを実施し、従業員の考えを聴取する
2.会社が大切にしたいことと、従業員の考えを照らし合わせ、課題を特定する
3.課題に対する制度や施策を設計し、実行する

会社が大切にしたいことに対して、従業員の考えを明らかにすると、従業員との期待値をすりあわせながら検討を進められます。

また、サーベイを定期的に実施することで、実行した施策の効果測定も可能になります。健康診断のようなイメージですね。

各社さまざまな課題がありますが、人材マネジメント要素の中でとくに課題として多く挙げられるのは「人事評価」です。人事評価制度に課題がある場合は、以下のようなアプローチがあります。

  • 公平な人事評価を実現するために、等級・評価・報酬制度を整備する
  • 人事評価システム導入を検討する
  • 従業員のキャリア希望やメンタルヘルスを把握して異動を検討する
  • 1on1などを通して従業員の成長につながるフィードバックをする

このようにさまざまな施策があるため、自社が大事にしたいことをベースとし、課題解決にむけ、従業員の働きがいを向上する施策を考えることが求められます。

SmartHRで活用できる人材マネジメントと今後の展開

人事データを「集め、蓄積し、活用する」

SmartHRは人事情報が「集まり・蓄まって・活用できる」ソフトウェアです。

上述したとおり、まずは人事データの整備が人材マネジメントの第一歩です。SmartHRでは、労務管理に必要な従業員の最新データを蓄積でき、蓄積されたデータは、SmartHRのさまざまな機能で活用可能です。

さらに、労務業務が効率化された企業は、人事施策が成功する割合が「約3倍」高くなるといわれています。人事データが整備され、活用できるようにしておくと、人事施策の成功をさらに後押しできるでしょう。

SmartHRには、従業員の状況を確認する「従業員サーベイ」、SmartHRに蓄積されたあらゆるデータを定量的に可視化する「ラクラク分析レポート」があります。これらは人材マネジメント推進を支援するための機能です。

(エンゲージサーベイ結果を項目ごとに細かく分析した例)

例えば、従業員サーベイでエンゲージメントを測定し、より働きがいのある環境をつくることはもちろん、キャリアの希望を把握して配置に活かしたり、等級別に人事評価への満足度を確認し評価制度を見直したりできます。

ラクラク分析レポートでは、採用傾向の分析から施策につなげたり、年代ごとの人員構成から今後の組織構成を予測したりできます。従業員のキャリアや、組織の採用・代謝に関する戦略を描くために活用する例もあります。

まずは「人事データ」の整備が人材マネジメントの第一歩です。データを活用できる状態で蓄積できているか、見直してみてはいかがでしょうか。

そのうえで、組織や従業員の状態を見える化し、自社が取り組むべき課題を特定、施策の検討・実行を進めていきましょう。

SmartHRでは従業員サーベイやラクラク分析レポート以外にも、人材マネジメント支援につながるサービスを開発していきます。

入社手続きや給与明細の配布など、人事労務業務のなかで人事データを収集・蓄積できるSmartHRだからこそ、人材マネジメントの推進にもぜひ活用いただきたいと思っています。

人材マネジメントに本気で取り組むための第一歩を、SmartHRと一緒に始めてみませんか?

<次の記事では、組織課題を把握し、人材マネジメントを推進する「人事データ活用」として、実際にどのように人事データ活用を進めるのか、具体例を解説いたします。>

(参考)人材マネジメントにおいて「人事データ」が果たす役割とは?

重松裕三

コンシューマー向けプロダクトを開発する企業で、プロダクトマネージャーとして新規事業の立ち上げを複数手掛けつつ、組織内最大チームのマネジメントなどを経て、2019年より現職。プロダクトマーケティングマネージャーとして、人事管理ソフト「SmartHR」の機能開発に加え、人事情報を活用し組織の力を向上させるサービスを企画開発している。
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