「黒子として持続可能で創発的なコミュニティをつくりたい」――。オイラ大地・三浦氏に聞いた『人事ごった煮会』誕生秘話
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「裏方」としての姿勢がとても眩しく気になっていました。
さまざまな人事関連イベントやコミュニティが増えている中で、気になっているコミュニティがありました。他社の方と繋がったり、お互いの悩みや課題を話し合ったりできる機会を作ってもらえるのはとてもありがたく、私もできるだけ参加するようにしています。
そのコミュニティで一番気になっていたのは、主催者が「一貫して裏方に徹する姿勢」であること。その背景や目的を伺いたいと思いました。
SmartHRサロン第3回となる今回は、D2C、クックパッドを経て、現在オイシックス・ラ・大地の人材企画室人材紹介スカウトセクションマネージャーを務めるかたわら、「人事ごった煮会」という人事コミュニティの運営に携わる三浦 孝文さんをお招きし、SmartHRプロダクトマネージャーの副島 智子と対談しました。
人事界隈になかった「安心して学べる場」「横の繋がり」
私も三浦さんが運営されている「人事ごった煮会」に何度か参加したことがあるんですが、どんどん人が増えていて盛り上がりを感じています。
三浦さん
そうですね、オンライン上のコミュニティは、現在900人を超えており、1回でもオフラインのイベントに参加したことのある方が600人、2回以上参加したことのある方が約半数います。
なお、運営事務局には私以外に、GYAOの羽生さん、インタースペースの小林さん、ディーバの田中さん、マネーフォワードの土江さん、LITALICOの西岡さん、朝渋の井上さん、アトラエの清水さんといった、7社の素敵人事が関わってくれており、今後新たに数名仲間になってくれる人事もいます。
副島
オフラインで勉強会がある度に、毎回多くの人が参加されていることはもちろん、それがずっと継続されているのが本当に凄いなと思っています。
あとこれは変わった視点かもしれませんが、このようなコミュニティや勉強会、セミナーって主催者が目立ったりスポットライトがあたったりするケースが多いと思うんです。でも三浦さんは一貫して裏方に徹していて、これまた凄いなと。「人事ごった煮会」というコミュニティの目的や、コミュニティに対する想いがその三浦さんの姿勢に表れているなと感じています。
というわけで今日は「人事ごった煮会」の裏側に迫っていきたいと思っています。
まずは、「人事ごった煮会」を始めたきっかけを教えてください。
三浦さん
まず、「人事ごった煮会」を始める以前のバックグラウンドをお話します。現在、社会人9年目なんですが、社会人人生の8割から9割くらいは人事領域を担ってきました。
2010年に、新卒1年目の会社で、最初の配属先が人事だったんです。当時はインターネット広告市場が大きく成長した時期だったので、その一方で多くの人事課題もありました。
そんな時に、同じベンチャー企業やIT企業界隈の人事が集まって、よく飲んだり、勉強会を開いたり、相談に乗り合ったりしていたんです。
当時マクロミルで人事だった山口翔くん(現 グライダーアソシエイツ 上席執行役員CMO)を中心に「ただ集まって飲んで勉強会開くだけじゃなくて、もっと世の中にインパクトを与えるようなことをやっていこうよ」と立ち上がり、40社を超えるベンチャー企業の若手人事を募って「Venture’s Live」というコミュニティが始まったんです。
採用を企業の垣根を越えてやっていこうというのが、最初の人事コミュニティのきっかけでした。
「Venture’s Live」に関わっていた人事はその後色々な変化がありましたが、自分はたまたまその後も人事領域にいたんです。
一方、他社の人事は2〜3年で入れ替わってしまうことが多く、その中で「人事の勉強はどこで、どうすればいいのか」と困ってしまうんですね。
更に、勉強できる場があったとしても、いわゆる人材紹介会社が運営しているコミュニティなどでは、参加費が多くかかる割に、一方的に聞いて終わるだけだったり、あるいはただ自社ツールの営業をされてしまったりするため、安心して学べなかったんです。
自分が、コミュニティをやる意味を見出したのはこれらの課題があったからです。
副島
これまでの人事って安心して学び、相談しあえるような場や横のつながりが少なかったんですね。「労務」の領域は特にそうだと思います。
書類の様式が決められているので、どこの会社も基本的にアウトプットが一同じはずなのに、会社ごとにやり方がガラパゴス化してしまっているから、課題感を共有しづらく、繋がりが生まれにくいんじゃないかと。
とはいえ、「じゃあ学び続けましょう」となっても、多くの人が「何を軸に学べばいいのか? 情報を収集すればよいのか?」わからないんですよね。
人事に求められる「外向き」と「内向き」のバランス
三浦さん
もうひとつ問題意識としてあったのは、今のHR界隈のセミナーやイベントの多くが「1対n」の構造になっていることです。
著名な方が登壇して、その内容を聞いて「刺激になった」と皆さん言うんですが、もっと大事なのは、その刺激を聞いたその時から行動に移せるかだと思うんです。
なので、参加者も受け身で聞くだけでなく、皆でディスカッションしたりぶつけあったりする構造を変えることが必要だと感じていました。
副島
確かにそうですよね。「1対n」でありがたい情報をもらって、その場ではテンションがあがって「ああ、今日はいい話を聞けて良かった」と思いながら帰るんだけど、次の日出社して何か具体的な行動に繋げられているかといったら、そうじゃないケースって結構多いと思います。
三浦さん
更に、「1対n」だと、参加している聴講者側同士が繋がることも少ないように思います。
せっかく咀嚼した内容を、1人1人が持ち帰るだけなので、一番ホットな時に誰かとぶつけ合うことがないんです。特にベンチャー界隈の人事だと1人で担当されていることも多く、そういったぶつけ合う機会が貴重なのではないかと。
副島
人事ってよほど大きな会社にならない限り、採用も労務も研修も全部1人でやっていることが少なくありません。そうなると、社内の誰かがその人を正当に評価するのも難しく、その人1人だけで仕事を振り返って評価して改善して……と孤立化してしまいがちです。
すると今度は、人の意見やフィードバックが聞けなくなってしまい、悪循環に陥ってしまいます。
三浦さん
おっしゃる通りだと思います。
基本的に、人事の多くの方の目線は社内に向いた「内向き型」なんです。理想としては、社内だけでなく社外にも目線を向けて、社員が個のパフォーマンスを最大限発揮できるように人事自身アップデートしていくのが望ましいと思いますが、見る対象が社内や社員である分、どうしても内向きになってしまいやすいんです。
しかし、近年は、テクノロジーによって働く環境や働き方が変化している分、外に目を向けていかないと生き残っていけないんじゃないかと感じています。
自ら学んでいく、外部の人たちと交流していく。人事コミュニティの存在意義は、このようなところにあるのではないでしょうか。
副島
もちろん、自分で答えを見出す力もすごく必要なんですが、もしわからないことがあった時は、(1人で人事を担当している会社では)社内で答えを得られないことのほうが多いです。
そうなったときに、社内外で様々なヒントを得て「今この状況だったらコレが正解だと思う」と、しっかり取りまとめられるかが求められると思います。
他社の人事がどのような課題に対して、どのようなことに取り組んでいるのかを知るのは、とても重要ですよね。
三浦さん
一方で、これは逆説的な話なんですが、意識が外に向きすぎてしまうことで「本当に向き合うべき課題の優先順位はそこなのか?」という問題が浮き彫りになっているように感じています。
闇雲に外部で学ぶだけでなく、自社の課題と今後の方針をしっかりと理解し、目の前の仕事と向き合った上で学びにいく必要があるんじゃないでしょうか。
どんな会社の人事にも、何かしらの課題があるはずです。だから、現状を正しく把握する、ちゃんと中に目を向けることがすごく大事だと思います。その上で、課題に対してどこから解くか優先順位をつけて戦略を練る。更に、課題を解決した先の理想に向かっていく中で、ぶつかる次の壁を想像しておくと。
そうすると、必要な知識やスキル、情報などが自ずと明確になるはずです。
副島
施策ありきで考えてしまっているから、課題が共通言語として横展開されにくいのかもしれませんね。
三浦さん
人事領域は特にこのような「手段の目的化」が起こりやすいと思います。
最先端をいく有名企業の施策がHR系メディアで話題になると「●●採用が流行っているから、トレンドだから」と、あちこちでピックアップされます。
でもそれって、その企業の方々が自社の課題に対して最適な施策に取り組んだわけで、他社にとっては必ずしもそれが適しているわけじゃない。本来はそれ以前に、各社で自社課題と向き合うべきだと思うんです。
その上で何を学ぶべきかとなったときに、初めてその事例が必要になるかもしれないし、あるいはもっと別の施策が必要かもしれないと。
副島
とてもわかります。外に目を向けすぎていて、もっと向き合うべきことが見えていないというか。
三浦さん
この界隈では、人事戦略を語れる人も増えていると思うんですが、それを参考にして実務に落としていく時に、今いる社内のメンバーでどう達成していくかが大事なのに、外にばかり目を向けすぎている人が多く……。これは過去の自分自身の反省でもあります。
1社目の会社では、外を向く機会が多かったのですが、2社目のクックパッドは、エンジニアオリエンテッドの会社で、エンジニアとのコミュニケーションが非常に重要でした。
にも関わらず、1年近くそこをキャッチアップすることなく、外にばかり思考が分散していたので、何をやってもうまくいかないことがあって、その当時の自分を思い出すと本当に恥ずかしい限りです。
「内と外」のバランスはとても大事だと思いますね。
副島
その課題、ありますよね。
「実際にその会社で眼の前の仕事と向き合えているか? 成果が伴っているのか? 自身へのフィードバックを真摯に受け止め成長できるのか?」というのもまた大事です。
そういえば、三浦さんが、昨年(2017年)11月頃、Facebookに「あまり取材を受けないようにしている」といったことを投稿しているのを見た覚えがありますが、このお話に関係しているんでしょうか?
三浦さん
そうですね。ありがたいことに転職直後も取材のお話を頂くことなどはあったのですが、当時オイシックスに入社してまだ半年くらいで、経営統合などの大きな変化もある時期だったため、「中の変化をしっかり見る」ことが大切だと思っていました。学びに行くのも、もちろんいいことだと思いますが、発信してはいても「できている」「できていない」は自分が一番わかるじゃないですか。
当時の自分自身まだまだ「できている」とは思えず、取材などは受けないようにしようと。もちろん、今それがすべて「できている」と思えているかといえば、必ずしもそうではありませんが、日々悩んで試行錯誤しながらやっていますね(笑)。
あとは、僕自身が語らなくても、界隈には著名でいろいろと喋れる方がたくさんいますし、当時の僕が喋れることは、界隈の方々が喋り尽くしているから、焼き増しみたいな記事ばっかり出回ってもしょうがないかなと思っていました。
だったら中。とにかく自社と向き合おうと思っていた時期でした。
人事ごった煮会の「3つの約束ごと」
副島
なるほど、外部に目を向ける以前に、まず目の前の課題と向き合う。とても大切な考え方ですよね。
外の情報も闇雲に仕入れるんじゃなく、他社の人事が集まるコミュニティで、課題感の近しい人と同じ認識を持てたり、ぶつけられたりするといいんじゃないかと思います。
「人事ごった煮会」はまさにそれを体現できるコミュニティだと感じます。
三浦さん
「人事ごった煮会」は、ここまでの話で挙がった課題感やその解決の手立てとして、僕が人事コミュニティを運営する意味を見出し、生まれています。
このコミュニティでは、成功体験を話すことが前提ではありません。「今どんな課題があるか? 悩んでいるか?」「それに対してどうアプローチしているか?」などを話し合ってもらっています。
大事なのは、境遇の近い人たちとグループになって、「弊社ではこういうことに取り組んでいますよ」とお互い悩みや対策をぶつけあえること。
例えば、100人を超える規模の会社の人事が40〜50人規模の会社の人事の話を聞いたら、「うちも、その悩みありましたよ」と解決のヒントや議論が生まれるんです。逆に、100人を超える規模の会社のほうも40〜50人の会社の話を聞くことで「以前あったこの課題、見直さなきゃね」と、改めての気づきになることもあります。
副島
近しい課題感を持つ人たちと悩みや課題を共有できたり、あるいはそれらを解決してきた実績を持つ人達からヒントをもらえるのはとても嬉しいですよね。
三浦さん
そのため、著名な人を呼んで、講演だけしてもらうようなことは避けて、「n対n」の場にしています。そういう著名な人がいらっしゃる際も、グループディスカッションに加わってもらうようにしています。
その人達自身もディスカッションに入ることで内省に繋がるんです。「うちだから、それが通用しているんだ」「これ、うちの事例だ」と。1年前にやっていたことが、今ではもう通用しない、なんてことは普通に起こりうることですしね。
副島
確かに。話を聞くだけで終わってしまってはもったいないですよね。
三浦さん
「人事ごった煮会」の3つの約束ごとが、まさにその仕組みを担っています。
※ 【抜粋】3つの約束ごと
(1)参加者同士を繋げます(新たな繋がりを一人以上つくります)
(2)参加者全員がアウトプットする場をつくり、一つ以上の新たなインプットを生み出します
(3)参加後、参加者の次回アクションが決定している状態をつくります
全員がアウトプットし、新たなインプットを生む。それをもとに、ネクストアクションを定め、明日からの行動に移してもらいたいと思っています。
副島
この「ネクストアクションが決定している状態」はどのようにつくられているのでしょうか?
三浦さん
毎回、イベントの冒頭でも説明はしているのですが、その上で「今日は何故●●のテーマの会に来たのか」をテーブルごとに話してもらっています。
そして、イベントの中でライトニングトークやディスカッション、ワークショップなどを行ってもらって、最後に「何を明日以降のアクションにするか」を決め、宣言してもらうようにしています。
副島
話して終わりでも、聞いて終わりでもない。
その日ディスカッションした内容や得た学びをもとに、明日からどのように行動していくかを自ら言葉にしていっているんですね。
人事ごった煮会がもたらした変化
副島
「人事ごった煮会」の参加者の方の中で、参加してきたことで「考え方が変わってきた!」と実感する方はいますか?
三浦さん
実際に起こった変化を伝えてくれる方はたくさんいますね。特にベンチャーやスタートアップで人事になったばかりの方が、勉強会で得られた学びをもとに、今後の道筋やそれに紐づく戦略を描き、翌日に経営陣にぶつけていたりします。そういったお話を聞くと、むしろ、参加者のスピード感や行動力がこちらの刺激になっています。
副島
やはり自分たちにも還元されますよね。一方で、先ほどもあったように、もっと会社のことをやらなきゃいけないのに、「外向き」「内向き」のバランスが崩れてしまっている人もいるかと思います。三浦さんだったら、その人に対して、どのようにアプローチしますか?
三浦さん
僕自身、そのバランスで失敗体験があるため、自己開示し、体験を伝えることはできると思います。
実際に身近にそういう人がいたら、社内外問わず、1on1で「今取り組んでいること」について一方的に話してもらうようにしています。
すると振り返って話しながら、本人も徐々に気づいていくんでしょうね、「今本当に解決しなきゃいけない課題が何なのか」を自ずと再認識していきます。
なので、こちらから直接的に何かをするというより、内省を促すきっかけをつくることで、自分で気づいてもらうようアプローチしていますし、実際に自分で気づいていく人のほうが多いと感じています。
自然と人が集まった「内省できるコミュニティ」
藤田(SmartHR Mag. 編集長)
横から失礼します。「内省」というキーワードが何度か出てきましたが、お話を聞く中で「反省」と「内省」って、似ているようで結構違うものなんだなと感じました。
例えば「内省」って、英語で「リフレクション(reflection)」と使うことが多いと思いますが、リフレクションを直訳すると「反射」、跳ね返ってくるものだと。つまり必然的に第二者、第三者の目線や存在があってこそ成り立つものなのだと感じます。
「内省」においては、自分で振り返りつつも、外部で得た学びやフィードバックに対する「受容性」「柔軟性」が重要になるのではないかという認識で宜しいでしょうか?
副島
そのバランス大事ですよね。
三浦さん
とても重要になってきているなと感じますね。
僕は、高校時代に日本史にハマって、大学でも日本史を学んでいたんです。幕末・明治維新〜近現代にいたるまでを学んできたんですが、幕末には、「松下村塾」のようないわゆる私塾が日本全国にあったんです。
それらの私塾で自分が興味をもったものに共通していたのが、「師匠と呼ばれる人自体も生徒から学ぶ」とか「生徒も師匠が見ている目線に立つ」という特徴でした。
実際に、「松下村塾」の吉田松陰は、日本全国を歩き回り、その目で黒船を目にして、塾に持ち帰って門下生たちにその話を共有して議論する。門下生たちも「自分たちももっと学ばなきゃ」と、同じように外で学んだことを持ち帰り、師匠と議論する。更に、吉田松陰は立場に関係なく対等な議論をするために、門下生たちを君付けで呼んでいました。
このようなコミュニティが、傑物と呼ばれるような明治維新の中心人物を生み出していったんです。これらの姿勢や環境ってとても健全で、本当に大切だなと思っています。
藤田
「人事ごった煮会」でも、その姿勢は反映されているのでしょうか?
三浦さん
はい、そうですね。参加者である人事の皆さんにとって学びのある場にしたいのはもちろんなんですが、運営をやっていて感じるのは、それ以上に自分自身の学びとして返ってくるんですよね。
副島
やはり、コミュニティを運営したり、情報を発信したりし続けると、自然とフィードバックも集まって、何よりその人自身の成長が促進されますよね。
黒子として「仕組みづくり」に徹するワケ
三浦さん
本当にそうなんです。僕らを頼ってくれている人やその要望をいかに汲み取っていくかと取り組んできた結果、イベント開催や集客などのノウハウ・フレームワークだけでなく、リアルな人事の課題が溜まるようになりました。
そして「周りにも似たような課題で困っている人事いるから誘っていいですか?」と、横の繋がりで広まってコミュニティメンバーも徐々に増えていきました。
当初、ベンチャー・スタートアップ界隈の人事が中心だったのが、数万人規模の大企業の人事もいらっしゃるなど、企業規模の大小を問わないコミュニティになりつつあります。
で、冒頭で副島さんから「主催者が裏方に徹している」と触れていただきましたが、確かに僕は明確に意識しています。
何故かというと、参加メンバーの課題を解決できるのは、僕個人や運営者より「このコミュニティの誰か」であることのほうが、よっぽど多いからです。
そう考えると、僕ら運営者が会のフロントに立つことより、むしろ会をいかにうまく回していくかという発想のほうが重要だと思っています。
極端な話、主催者・運営者に依存する、属人化したコミュニティでは、万が一その人がいなくなった瞬間になくなる可能性が高いと思います。
つまり、会の内容が、僕や運営側に紐付きするとコミュニティが立ち行かなくなるリスクがありますが、それよりも僕は、黒子として裏側の仕組みづくりに徹することで、持続可能性の高い創発的なコミュニティになるよう心がけています。
副島
以前、Yahoo!の「LODGE」で開催された際に私も参加したのですが、120人ほどだったのかな? その人数がワッと集まって、そこでも新たに小さなコミュニティが自然に生まれていくというのはなかなか無いかなと感じて。
もっと凄いのは、三浦さん自身はその場に居ないんです。ずっと受付にいらっしゃって(笑)。
三浦さん
そうですね、あの時はフードやドリンクも運んだり(笑)。でもやはり、この会が盛り上がることに徹することで、返ってくるものが多いんです。
人事コミュニティが「そこに存在し続ける」ことの価値
副島
それでは最後に、三浦さんが見据える「人事ごった煮会」の今後について教えてください。
三浦さん
企業規模にもよりますが人事は結構入れ替わりも起こったり、属人的になったりしやすい為、「人事課題を引き継ぎにくい」という課題が生まれがちです。
なので、「人事ごった煮会」というコミュニティは、(集合知として)そこに存在し続けるという価値も増していくと思っています。
副島
なかなか横の繋がりを持ちにくい人事に方にとっては本当に貴重な場ですね。
一方、かなり人数も増えていきますがコミュニティの細分化は考えていますか?
三浦さん
このところ「人数が溢れたら抽選に当たらないと参加できない」というケースが出てきています。それ以外にも、「採用なら採用」「労務なら労務」「マネジメントならマネジメント」と、深く掘り下げた話をしたいという声もあがっています。
そのため、「人事ごった煮会」から小規模に派生した、特化型のコミュニティが自発的に生まれていく状態にしていきたいです。
副島
これからの会社、これからの自分のあり方に悩む人事の方々が、文字通り「ごった煮」のコミュニティの中で、課題解決のヒントを見つけ行動に繋げていく。
そして自発的に細分化されたコミュニティが、より多くの会社での課題解決を生んでいく。
「人事ごった煮会」は、参加者が増えれば増えるほど、濃厚なコミュニティへと進化していきそうですね。
三浦さん、本日はありがとうございました!
三浦さん
こちらこそ、ありがとうございました!
(文・藤田隼)