新型コロナ 特例雇用調整助成金についてのよくある疑問を社労士が解説


こんにちは、特定社会保険労務士の小高 東です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を踏まえて、雇用調整助成金の特例措置が大幅に拡大されています。

そもそも雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部が助成されるものです。

特に、新型コロナウイルス感染症の影響で店舗をオープンできない飲食・小売店などの方にとっては、大きく関わる内容だと思いますので、5月4日時点での、社労士の私のもとによく届く質問や、多くの方が気になるであろう疑問について解説したいと思います。

6/24追記:以下のリンクにて、本記事より新しい、6月22日更新版の雇用調整助成金についての解説をしておりますので、こちらを参考にしてください。(本稿は5月4日時点での解説となっています)

【6/22更新版】新型コロナ 特例雇用調整助成金についてQ&Aで社労士が解説

【Q1】雇用調整助成金の特例はいつまで適用?

【Q1】雇用調整助成金の特例措置はいつまで適用されますか?

【A1】休業等の初日が、2020年1月24日から2020年7月23日までの場合に適用されます。

このうち4月1日から6月30日までは緊急対応期間として、さらに要件を緩和しています。

【Q2】雇用調整助成金を返済する必要は?

【Q2】雇用調整助成金を返済する必要はありますか?

【A2】融資とは違い、返済不要です。

【Q3】飲食店・小売店も雇用調整助成金の特例対象?

【Q3】飲食店・小売店も雇用調整助成金の特例対象となりますか?

【A3】はい。新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主であれば、全業種が特例対象となります。ただし、風俗営業等関係事業主は対象外となります。

【Q4】具体的には、どのような特例?

【Q4】今回の雇用調整助成金特例措置は、具体的にはどのような特例なのですか?

【A4】次のとおりです。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大」より抜粋

(1)計画届の事後提出が令和2年6月30日まで可能。
ただし、事後提出する休業等については、一度にまとめて提出する必要があります。

(2)生産指標(売上、生産量等)の減少確認が3ヶ月から1ヶ月に短縮。
すなわち、休業開始前月の売上等が、前年同期に比べ10%(4/16/30は5%)低下していれば要件を満たします。

(3)事業所設置後1年未満の事業主についても全業種が対象。

(4)雇用量要件の撤廃。
すなわち、最近3ヶ月の雇用量が前年同期比で増加していても対象となります。

(5)6ヶ月以上の被保険者要件の撤廃
すなわち、新規学卒採用者(新卒)も助成対象となります。

(6)1年のクーリング期間の撤廃
すなわち、1年以内に雇用調整助成金を受給した事業主も助成対象となります。

(7)助成率

雇用調整助成金の助成率。【緊急対応期間(4月1日〜6月30日)】中小企業の場合80%、大企業の場合66.7%。【解雇等なしの場合】中小企業の場合90%、大企業の場合75%。【上記以外】中小企業の場合66.7%、大企業の場合50%。

※対象従業員1人あたりの上限金額は日額8,330円です。

助成率については以下の記事でも解説しています。

新型コロナによる雇用調整助成金特例措置の拡大(4/10発表分)について社労士が解説

【5月1日拡充版で追加された内容】

出典:厚生労働省「雇用調整助成金のさらなる拡充について(5月1日)」

厳しい状況の中にあっても、事業主の皆様に、雇用を維持していただくため、雇用調整助成金について申請書類の簡素化や助成率の引上げ等を実施してきましたが、さらに休業手当を支払うことが厳しい企業においても、労働基準法上の基準(60%)を超える高率の休業手当が支払われ、また、休業等要請を受けた場合にも労働者の雇用の維持と生活の安定が図られるよう、解雇等を行わず雇用を維持する中小企業に対し、
(1) 都道府県知事からの休業等の要請を受けた場合は、一定の要件(※)のもとで、休業手当全体の助成率を100%にする
とともに、
(2) 要請を受けていなくても、休業手当について60%を超えて支給する場合には、その部分に係る助成率を100%にする
こととしました。(令和2年4月8日以降の休業等に遡及して適用します。)

引用元:厚生労働省「雇用調整助成金のさらなる拡充について(5月1日)」

ご自身の会社の助成内容については、以下の表が参考に照らし合わせてみるとよいでしょう。

厚生労働省「中小企業の皆様への雇用調整助成金の特例を拡充します」

【Q5】緊急対応期間限定の特例は?

【Q5】緊急対応期間(4月1日〜6月30日)限定の特例はありますか?

【A5】あります。次のとおりです。

(1)雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成対象とする。
すなわち、パート、アルバイトも助成対象となります。

(2)支給限度日数に4月16月30の期間を加算できる。
すなわち、支給限度日数は、1年100日、3年300日+4月1日6月30日の期間となります。

(3)短時間一斉休業の要件緩和。
すなわち、短時間休業は、従業員全員が一斉でなくとも、1時間以上であれば対象となります。

(4)残業相殺の停止。
すなわち、残業や休日労働をさせた場合でも、助成対象となる休業等の延べ日数から控除はしません。

(5)支給迅速化のため事務処理体制の強化。

(6)手続きの簡素化

【Q6】雇用調整助成金は、どこでどのように申請する?オンライン申請は可能?

【Q6】雇用調整助成金は、どこでどのように申請したらいいですか?

【A6】申請はおおまかには次の流れとなります。申請先は、最寄りの労働局またはハローワークとなります厚生労働省によると、5月中にオンライン申請対応が進むと言われています。

[通常時]

労使協定の締結→計画届→休業等実施→支給申請

[計画書事後提出時]

労使協定の締結→休業等実施⇢計画届→支給申請

また、初回の計画届提出時に必要な持ち物は以下です。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ 雇用調整助成金の特例を追加実施します」より抜粋

計画届や申込書の様式は厚生労働省の以下のページからダウンロードできます。

雇用調整助成金の様式ダウンロード – 厚生労働省

オンライン申請については、厚生労働省HPによると以下のように書かれています。

なお、5月中にオンラインでの申請ができるように準備を進めています。詳細については、あらためて公表しますので、お問い合わせは、もうしばらくお 待ち下さい。

一刻も早く対応していただきたいところですが、もうしばらく待ちましょう。

【Q7】休業期間中に有休を使用した場合も助成対象となる?

【Q7】休業期間中に年次有給休暇を使用した場合も助成対象となりますか?

【A7】助成対象とはなりません。年次有給休暇は労働者が申請するものであり、労働したものとみなすためです。

【Q8】助成金の休業手当の額はどうやって決める?

【Q8】助成金の休業手当の額はどうやって決めるのですか?

【A8】労使協定で定めます。

平均賃金(直近3ヶ月の総支給額÷総歴日数)の6割以上とする必要がありますが、労使協定では、月額÷所定労働日数の●%と定めるのが一般的です。

【Q9】休業手当は賃金台帳にはどのように記載するのか?

【Q9】休業手当は賃金台帳にはどのように記載するのですか?

【A9】休業控除●円、休業手当●円と明確にしてください。

例えば、所定労働日数20日、月給30万円の方が、10日休業したとします。

労使協定では、月額÷所定労働日数の60%と定めた場合、(1)休業控除は15万円、(2)休業手当は9万円となります。

計算式

(1)30万×10 /20日=15万(欠勤控除)

(2)30万÷20×0.6×10日=9万円(休業手当)

【Q10】従業員個々の休業手当の額に助成率をかけた金額が助成されるの?

【Q10】従業員個々の休業手当の額に助成率をかけた金額が助成されるのですか?

【A10】いいえ、違います。金額については次の計算式によって算出します。

雇用保険加入者の前年度賃金総額÷年間所定労働日数×労使協定で定めた休業手当の割合×助成率。

すなわち、休業手当の額は従業員個々に異なりますが、1日当たりの助成額は、全従業員一律となります。

【Q11】休業日の自主的な出社は助成対象となりますか?

【Q11】休業日の自主的な出社は助成対象となりますか?

【A11】いいえ。休業日の自主的な出社、ボランティア出社等をした場合は、助成対象外となります。

【Q12】退職勧奨に応じた方は助成対象となる?

【Q12】退職勧奨(会社が従業に退職を勧めること)に応じた方は助成対象となりますか?

【A12】いいえ。退職勧奨に応じた方、退職願を提出した方、解雇予告をされている方は助成対象外となります。

【Q13】雇用調整助成金はいつもらえるの?

【Q13】助成金はいつもらえるのですか?

【A13】支給申請から2ヶ月程度とされていますが、5月4日時点で、その申請数の多さから、対応に遅れが目立っているのが現状です。

【Q14】休業日数は何日でも助成対象となりますか?

【Q14】休業日数は何日でも助成対象となりますか?

【A14】休業等延日数が所定労働延日数の1/40以上(大企業1/30)である必要があります。これを休業規模要件といいます。

例えば、所定労働日数20日の従業員が50人いる場合、20×50×1/40=25日となり、50日以上の休業が必要となります。すなわち、最低3人以上の休業が必要ということになります。

【Q15】休業期間中の従業員の副業を許可してもいいのでしょうか?

【Q15】休業期間中の従業員の副業を許可してもいいのでしょうか?

【A15】現時点では、副業をすること自体に問題はありません。

おわりに

雇用調整助成金は、リーマンショック、東日本大震災、台風などの時には頼りになった存在でした。新型コロナウイルス感染症が終息し、景気が回復するまで、雇用調整助成金を活用することで雇用維持の一助になれば幸いです。

ただし、雇用調整助成金は、お金のばらまきとは異なりますので、厳格な審査があることにご留意ください。

【新型コロナウイルス感染症対策】テレワーク促進のための助成金・補助金まとめ

【編集部より】実録! SmartHR社のリモートワークシフト

リモートワーク導入、進んでいますか?
SmartHR社のリモートワークシフト

【こんなことがわかります】
新型コロナの蔓延に伴い、リモートワーク移行が企業の大きな課題となっています。
本資料では、私たちSmartHRが試行錯誤で進めてきた、“with コロナ時代”の働き方の実例をまとめています。

  • 勤怠ルールの変更
  • スライドワーク制度の試行
  • リモートワーク環境手当の導入
  • オンライン面接の準備ハウツー
特定社会保険労務士 小高 東

平成13年東京都千代田区飯田橋にて開業。一方的な法律用語のたれ流しではなく、生きた(使える)情報を顧客に提供。日本経済新聞、ビジネストピックス(みずほ総研)、労働・社会保険完全マニュアル(日本法令共著)、月刊ビジネスガイド、経理ウーマン、ビジネスアスキー他執筆・講演多数。東京都社会保険労務士会千代田統括支部副支部長等拝命。 東社会保険労務士事務所HP
他の執筆記事はこちら

手続き・制度の関連記事

手続き・制度の新着記事

働き方改革特集

SmartHR スタートガイド