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人事労務担当者が覚えておくべき「健康保険の手続き」3パターン

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健康保険や年金などの手続きを正確に滞りなく進めることは、従業員が安心して働くための基本といえるでしょう。業務を正しく遂行するには、健康保険法をはじめ所得税法や労働法など、幅広い知識が必要となります。

また、知識を身につけるとともに、業務の大まかな流れをつかむことも大切にしたいものです。大きな流れを把握していれば、個別の事例に対応しながら業務をスムーズに進めることができます。

ここでは、会社の人事労務担当の方を対象として、健康保険に関する各種手続きについて解説します。

健康保険組合は主に2種類

健康保険は健康保険法に基づいて運営されていますが、社会保険の保険者には2つの種類があります。

(1)健康保険組合

1つめは「健康保険組合」です。健康保険組合は、国の認可を受けて設立された法人で、大企業が単独で設立したものに加えて、グループ企業のような複数の企業が集まって設立されたものがあります。

健康保険組合の財源は、加入者と会社が折半で負担する保険料です。保険料率については、健康保険組合が基準範囲内でそれぞれ独自に定めています。

(2)全国健康保険組合(協会けんぽ)

2つめは「全国健康保険組合」で、「協会けんぽ」とも呼ばれるものです。全国健康保険組合は政府が運営する組合で、健康保険組合を独自に設立することが難しい、中小企業が主に加入しています。

全国健康保険組合の財源は、加入者と会社が折半で負担する保険料と国からの補助金です。保険料率は都道府県ごとに定められています。大企業が多い健康保険組合と比べると、全国健康保険組合の保険料率は高めの傾向があります。

健康保険の手続き3パターン

(1)従業員入社時の健康保険の手続き方法

社会保険の対象となる従業員が入社したときには、基本的に健康保険と厚生年金保険の加入手続きを同時に行います。手続きにあたっては、従業員の氏名・生年月日・性別・住所のほか、マイナンバーまたは基礎年金番号等の提出が必要です。入社時にマイナンバーカードや通知カード、年金手帳の提示を受け、確実な本人確認を行いましょう。

資格取得日から数えて5日以内に「健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届」に記入して、所管の年金事務所に提出します。書類は窓口に持参するほか、電子申請や郵送でもかまいません。

なお、はじめて社会保険に加入する法人および個人事業所の場合、事業所整理番号と事業所番号の記載は必要なく、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。

事業所の性質によって添付書類が異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。

(2)従業員退職時の健康保険手続き方法

従業員が退職する場合、これまでの健康保険を任意継続するか、切り替えをするか選択してもらう必要があります。

従業員にとっては、家族の被扶養者として健康保険に加入する選択肢もあることでしょう。任意継続するか、切り替えるかについては、それぞれの保険料を比較して決めることになります。従業員から問い合わせがあれば、任意継続の保険料を提示してください。

従業員が任意継続しないと決めた場合、国民健康保険への切り替えでは、加入の際に資格喪失証明書が必要となります。具体的には、資格喪失後14日以内に市町村役場に資格喪失証明書を提出しなければなりません。従業員の退職と同時に速やかに書類を交付しましょう。

重要書類ですから直接手渡しするか、簡易書留のような確実に受け渡しできる手段で郵送してください。なお、退職日を過ぎると健康保険証が使えなくなるため、退職時には健康保険証を回収します。

社員証や社章があれば、あわせて提出してもらいます。

(3)従業員に扶養者ができた場合の手続き方法

従業員に扶養者が増えたとき、あるいは減ったときにはその都度手続きが必要になります。提出する書類は「健康保険・被扶養者(異動)届」で、住所地の年金事務所窓口のほか電子申請・郵送でも手続き可能です。

また、扶養者のうち配偶者が第3号被保険者となるときには、資格取得日から5日以内に「国民年金第3号被保険者関係届」を提出します。

扶養認定のためには課税(非課税)証明書や確定申告書のコピーなど、収入要件確認のための書類の添付が必要です。また、障害年金や遺族年金など非課税の収入についても受取金額のわかる通知書のコピーを添付します。

ケースによっては続柄確認や同居確認書類などが求められることもあるため、必要書類は事前にしっかり確認しておきましょう。

給与から天引きする健康保険料の計算方法

健康保険料については健康保険法で計算方法が決まっています。保険料は標準報酬月額×保険料率で算出され、従業員と会社が折半するため、従業員の負担額は半額となります。

標準報酬月額とは給与の平均額を等級表に当てはめたもので、標準報酬月額は4月から6月分の給与について、残業や各種手当を含めて平均額を算定します。算定の際には交通費を含めるのを忘れないようにしましょう。

なお、保険料率については健康保険組合が基準内で独自に定めており、協会けんぽは都道府県ごとに異なります。保険料率は定期的に更新されるので、最新の数値で算定する必要があります。

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