この記事は公開から1年以上が経過しています。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

面接官が質問してはいけない「タブー」な3つの質問

2016.07.27 ライター: 弁護士 山口 政貴

大学生の就職活動は、6月にいよいよ面接・内定が解禁となり、終盤を迎えています。

面接の際、いきなり本題には入らず、まずは「出身はどこですか?」「ご兄弟は?」などと尋ねて、学生の緊張を解きほぐし、その後に志望動機などの本題に入るといったように、学生が話しやすい雰囲気作りを心掛けていらっしゃる面接担当者の方もいることと思います。

しかし、こうした面接担当者のした何気ない質問が、実は人権問題と関わる「聞いてはいけない質問」であることが良くあります。それでは、面接時において、どのような事柄を聞いてはいけないのか、詳しく見ていきます。

people-office-group-team

採用選考で聞いてはいけない3つの質問

厚生労働省からは「公正な採用選考の基本」という採用選考時における指針が公表されています。具体的には、①本籍や出生地、家族構成や親の職業、生活環境など、本人に責任のない事柄や②宗教や支持政党、思想など、本来自由であるべき事柄を把握しない、③身元調査などを実施しないといったことが求められています。これらの事柄を採用選考時に質問したりすることは、「就職差別」になると強く警告しています。

①については、エントリーシートに家族構成や父母の職業、勤務先等を記入するといったことがあるようですし、採用の際に、本籍地の記載された住民票や戸籍謄本の提出を求められたりすることもあるようです。

しかし、これらの事柄が職務上の能力とは無関係であることは明らかですし、個人情報保護やプライバシーの観点からも問題があります。例えば、「兄弟はいますか?」「お父さんはどんなお仕事をされていますか?」「生まれたところはどこですか?」といった質問は不適切な質問となります。

②については、憲法で保障されている思想・良心の自由や信教の自由といった基本的人権が侵害されるおそれがあるためです。「尊敬する人物は?」といった質問は面接でよくある質問とされていますが、これも応募者の思想・良心の自由に関わる事柄であって、職務上の能力の有無を判断する上では関係がありません。

他には、信条としている言葉や購読している新聞、愛読書を尋ねること、応募者が女性の場合に、結婚や出産後も仕事を続けるかどうかを聞くことも不適切な質問となりますので注意が必要です。

不適切な質問を取り締まる罰則はない

採用選考時に就職差別となる不適切な質問がなされた場合でも、これを直接的に取り締まる罰則はありません。

しかしながら、職業安定法では個人情報の収集・保管・使用は募集の目的に範囲内に限ることを義務付けており、これに違反すると厚生労働大臣から改善命令が出される場合があります。この改善命令に従わないと、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金という罰則が科せられる場合があります。

面接された側がTwitterなどのネット上に「こんな質問された」と書き込めば場合によっては炎上し、企業イメージの低下や法的問題にまで発展するリスクもあります。

雇用する側には「採用の自由」があるとはいえ、応募者の基本的人権を尊重した公正な採用選考の実施が強く求められています。

大学卒業後2年間のサラリーマン生活を経て、平成15年司法試験合格。平成17年弁護士登録。都内の複数の法律事務所勤務を経て、平成25年に神楽坂中央法律事務所を設立。個人の相談のみならず、会社関係の相談も多い。また、北は北海道、南は九州まで、全国各地からの依頼を受けている。サラリーマン経験を最大の武器とし、大規模事務所にはないきめ細かい法律サービスを提供すべく、日夜奮闘中である。
他の執筆記事はこちら

人事労務の関連記事

人事労務の新着記事

働き方改革特集

SmartHR スタートガイド

オススメ人事・労務イベント