自社にマッチしたHRテクノロジーの選び方とは?【はじめてのHRテクノロジー #3】

2020.08.27 ライター: 山岸 慎治

こんにちは。認定NPO法人カタリバの山岸慎治です。

「はじめてのHRテクノロジー」をテーマに、これからHRテクノロジー導入を考えている方に向けてHRテクノロジーがもたらす効果や、サービスを選ぶ上でのポイントをお届けする本連載。

前回、「HRテクノロジー導入におすすめのタイミングとは?【はじめてのHRテクノロジー #2】」にて、HRテクノロジーにできないことや、HRテクノロジーを導入するのにおすすめのタイミングについてを解説しました。

HRテクノロジーを導入検討する上で、いくつかの商品を比較検討して導入するのが一般的ではないでしょうか。

今回は、実際にHRテクノロジー導入に向けてサービスを比較検討する上で、どのような点に注目するべきかを、スタートアップ企業や2,000人規模の大企業においてHRテクノロジー導入に携わった私の過去経験に基づいて解説します。

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まずは希望条件を洗い出そう

まず最初に、現在人事担当者が遂行しているタスクや既存のサービスで利用している機能、これから利用したい機能等を洗い出して、Excel等に一覧でまとめ、それぞれの重要度をスコア化することをオススメします。

重要度は、

  • A:絶対に必要
  • B:あると嬉しい
  • C:なくても問題なし

の3段階評価等のシンプルなもので構いません。

次に、比較対象となるサービスを書き出し、希望する機能を持っているか否かをスコアリングします。

こちらは、

  • ◎(1.0点):必用最低限以上の機能を有している
  • 〇(0.8点):必用最低限の機能を有している
  • △(0.5点):一部機能が不足しているが運用でカバーできる
  • ×(0点):機能がない。運用でもカバーできない

と4段階ほどでスコアリングします(点数はある程度の傾斜を付けると、後で比較しやすくなります)。

以下は勤怠システムの比較検討の例です。

ここで注意していただきたいのが、全体のスコアで見るとβ社の方が点数が高いですが、重要度Aの項目を見た際にα社の方がスコアが高いという点です。しかしβ社も重要度Aの項目に対して必要最低限の機能は有しており、重要度Bの項目に関して言えばα社よりも機能が充実しています。

ここから先、どちらのサービスを選定するかは各社の事情や好みによる部分も大きいのですが、このように可視化して比較することにより、見かけの機能(実現したら凄いが、自社の現状に対して必須ではない機能)に目が眩んで重要な観点を見落とすといった事態を回避しやすくなります。

自社にマッチしたHRテクノロジー選びのポイント

それでは、実際にどのようなポイントに着目してサービスを比較検討するとよいのかを解説します。

ポイントは、

  • サービス提供企業の開発力・柔軟性
  • 統合型サービスか特化型サービスか
  • パッケージ型サービスかオンプレミス型サービスかクラウド型サービスか

の3点です。

サービス提供企業の開発力・柔軟性

先ほどのパートでスコアリングをしましたが、スコアリングはあくまでもサービスの現状を比較するものです。常に進化することが前提のクラウド型サービスの場合、他社と比較して現行機能が劣っていても、企業に開発力や柔軟性があれば、1年以内に形勢逆転することも多々あります。

そこで私がサービス選定をする際には、Web上の資料だけでサービスを比較するのではなく、必ず問い合わせをして、先ほどの表を一緒に確認しながら各機能の今後の開発可能性を確認するようにしています。そうすることで、今は機能として持っていなくても、半年後にはその機能が使えるようになるといった情報が手に入ります。

サービスは選定から導入準備、運用開始までに3ヶ月ほどはかかるので、半年後といっても実質的には運用開始から3ヶ月後にはその機能が使えるようになると考えれば、今までそのサービスの欠点と思っていた部分が大きな問題ではなくなる場合もあります。

また、私が導入担当を務めていた頃は、開発サイドがユーザーの声に耳を傾けてくれそうかどうかを見ていました。サービスを運用していく中で、問い合わせや改善要望をあげた際に、しっかりと声を反映してくれるかどうかは導入前にヒヤリングしておきましょう。

統合型サービスか特化型サービスか

サービスを検討する際に必ず出てくる問題が、統合型サービス(勤怠・給与・人事情報・経費精算等が全てまとまったサービス)を選ぶか、1つの分野に絞った特化型サービスを選ぶかです。

機能で比較すると、一般的に統合型サービスよりも特化型サービスの方がカスタマイズ項目が多く、イレギュラー対応等もしやすいというメリットがあります。連携性で比較すると、特化型サービスでも連携に強みを持つものが増えてきていますが、統合型サービスのほうが強みを持つ印象です。

一方で、統合型は一度導入すると、あとでサービスをリプレイスしようとしても、すべての関連サービスをリプレイスすることとなり、かなり切り替え時の負担が大きくなるデメリットもあります。特化型の場合、リプレイスは統合型と比較してしやすいです。

いずれの選択をするとしても、それぞれのメリット・デメリットを比較し、中長期の事業計画と企業成長を考慮した上で判断するようにしましょう。

パッケージ型サービスかオンプレミス型サービスかクラウド型サービスか

以下の説明は技術的には正しい表現ではないのですが、サービス導入を検討する上では「パッケージ型」「オンプレミス型」「クラウド型」はそれぞれ以下のような認識を持っておくと良いでしょう。

  • パッケージ型:人事担当者のPC上にソフトをインストールして利用するサービス
  • オンプレミス型:自社内サーバにソフトをインストールして利用するサービス
  • クラウド型:PCやサーバを自前で用意しなくても利用できるサービス

世界のクラウドサービス市場が大幅成長しているように、最近はオンプレミス型よりもクラウド型が主流になってきています。もし自社内で既にサーバを持っていて、かつサーバ運用に詳しい担当者がいる場合には、速度面やコスト面でオンプレミス型は大きなメリットとなる場合があるので、担当者に相談してみるといいでしょう。

ただし、サーバ構成やネットワーク構成等、運用担当者の知識や技術にパフォーマンスが大きく左右されてしまうという難点もあります。

クラウド型へのシフトが進むにつれて、パッケージ型サービスも最近は徐々に供給が減ってきており、選択肢が狭まってきています。パッケージ型のメリットとしては、ランニングコストの低さやPCの性能が高ければ実行速度が速いというメリットがありますが、PCが故障した際にデータを消失するリスクや、2人以上での運用ができないといった問題もあるので、今はあまりオススメできない選択肢となっております。

クラウド型サービスはオンプレミス型とパッケージ型のデメリットを解消できるサービスとして現在普及しており、サービスの種類も豊富なため、一番有力な選択肢と言えるでしょう。ただし、注意したい点として、インフラ整備にあまりコストを掛けていないサービスの場合、登録従業員数が多くなるとパフォーマンスが急激に落ちてしまい、作業がままならないといったことが発生します。

そのサービスの利用企業一覧の確認や問い合わせをして、一番規模が大きい会社でどれくらいの従業員数で運用しているかを事前に確認しておいたほうが良いでしょう。

おわりに

今回はHRテクノロジーを導入するにあたり、自社にマッチしたサービスを選ぶ上でのポイントを解説しました。
現状と理想を言語化して明確にした上で、「今、本当に一番必要な機能は何か?」「一番解決したい課題は何か?」を自分自身がしっかりと理解することが、導入成功に欠かせない鍵となります。

連載最終回となる次回の記事では、社内外における各ステークホルダーとのコミュニケーションの取り方について説明させていただきますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

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山岸 慎治

認定NPO法人カタリバ 教育コーディネーター。映画祭イベント運営や人材派遣会社管理部門を経て、合同会社DMM.comにて人事労務、株式会社POLにて人事全般を担当。現在は東京を離れて、福島県の「福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校」にて外部教育コーディネーターとしてキャリア教育等に従事。
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