泣き寝入りはNG! 「給与未払い」や「違法な天引き」の正しい対処法
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給与の未払いに関するトラブルが後を絶ちません。
よくあるのは「残業代が付いていない」、「自分のミスによる損害と差し引かれるので、今月から支給額が少ない」、「解雇されたけれど未払いの給与がある……」などの理由により、適正な賃金が支払われていないというケースです。
会社のミスで給与計算が間違っていただけであればすぐに解決しますが(ミスは良くないのですが)、意図的に支払わなかったり、残業時間を正しくカウントしてくれないなどの場合は、会社と対立することもありえますし、場合によっては裁判になることもあります。
そこで、今回は、未払給与がある場合にどう対処したらよいかについて、3つのケースに分けて解説したいと思います。
残業代の未払いの場合
未払いの残業代の請求の場合は、実際の労働時間(実労働時間)を請求する従業員のほうで主張・立証しなければなりません。
まずはタイムカード(最近タイムカードで勤怠管理をする会社は減っていますが)やエクセルその他の勤怠管理ソフト等の開示を受けて立証することが考えられますが、もともと実労働時間どおりに出退勤履歴を付けていない場合には、手帳等で構いませんので実労働時間を毎日つけるようにしましょう。
メールの履歴やFAX、運転日報なども実労働時間を表す証拠になります。
給与から損害賠償額を差し引かれている場合
これは明らかに労働基準法違反のケースです。
判例上、使用者が労働者に対して有する債権をもって賃金債権と相殺することは許されないとされています。
仮に労働者が損害賠償を求められたとしても、業務遂行上通常生じる可能性のある損害については全てが労働者の責任となるわけではありません。
このケースの場合は、毅然として給与全額の支払いを求めましょう。
解雇後、未払いの給与を払ってもらえない場合
このケースの場合は、そもそも解雇の有効性が問題になります。解雇が無効であれば依然として労働者の地位にあるわけですから、解雇以後の期間も未払給与が発生している状態になります。
そこで、解雇の有効性に疑義がある場合は、労働審判等により解雇の無効を主張し、労働者の地位にあることの確認と未払給与の支払いを求めていくことになります。
会社の判断で支払ってくれないときはどうしたらよいか
会社に対して交渉ないし請求を続けたとしても、給与を未払いにする会社が任意に未払分を支払う可能性はほぼ0%と言ってよいでしょう。
そこで、任意に支払われない場合は訴訟や労働審判によることになりますが、未払賃金の計算は計算ソフト等を使っても非常に手間がかかるため、ご本人で行うことは困難だと思います。
未払給与があることに気づいた方は、専門家に相談するとよいでしょう。そして賃金債権は2年で時効にかかってしまいますので、お気をつけください。