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雇用保険被保険者資格取得届の書き方・手続きと注意点を解説

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目次

雇用保険被保険者資格取得届とは?

従業員が雇用保険の加入要件に該当したときに手続きするものです

従業員が入社したときや、労働条件の変更により週の所定労働時間数が週20時間以上になったときなど、以下の要件に該当するときは雇用保険に加入します。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 継続して31日以上雇用される

要件を満たせば、事業主や従業員の希望の有無に関わらず、被保険者として加入する必要があります。また、雇用形態が契約社員、パートタイマー、アルバイトの方も、正社員と同様に被保険者となります。

ただし、季節的に雇用される者(4か月以内の期間、または週30時間未満)、代表取締役・監査役、学生などは適用除外です。

兼務役員や同居の家族などが資格取得する場合、資格取得届とは別に雇用実態証明書を添付する必要がありますので、要件の確認についても所轄ハローワークに相談するとよいでしょう。

雇用保険被保険者資格取得届の書き方

雇用保険被保険者資格取得届は、ハローワークの窓口で入手したり、ハローワークのホームページ「ハローワークインターネットサービス」の「帳票一覧」から必要時に都度ダウンロードしたりできます。ダウンロードし、印字するときは印刷時の設定に注意してください。

電子申請するときはe-Govの画面に直接入力するか、労務管理ソフトに入力した情報を元に電子申請の様式を作成してくれるので簡単です。

次に、実際の記載方法について、上から順に説明します。

雇用保険被保険者資格取得届

(出典)ハローワーク インターネットサービス 帳票一覧 – 厚生労働省

1.個人番号

個人番号(マイナンバー)の記載が必要です。個人番号を従業員から取得する際は、個人番号の利用目的を提示し、番号確認と本人確認を実施します。

2.被保険者番号

3欄の取得区分が「再取得」の場合、11桁(4桁-6桁-1桁)の被保険者番号を記載します。

3.取得区分

新規または再取得のいずれかを番号で記載します。

  1. (新規):過去に被保険者になったことがない、最後に被保険者でなくなった日から7年以上経過している
  2. (再取得):「新規」以外の者

4.被保険者氏名

氏名とフリガナを記載します。姓と名の間は1枠空け、カタカナの濁点および半濁点は1文字とします。

5.変更後の氏名

婚姻などで氏名に変更があった場合で、被保険者証に記載されている氏名が異なっているときは、「4.被保険者氏名」の欄に被保険者証に記載されている氏名を、「5.変更後の氏名」の欄に変更後の氏名を記載します。

氏名変更届は2020年5月31日に廃止になり、資格取得届、資格喪失届、育児休業給付金等の書類提出時にあわせて氏名変更することになりました。

6.性別

男は1、女は2を枠に記載します。

7.生年月日

元号は該当するものの番号を記載し、年月日の年、月、日が1桁の場合はそれぞれ10の位に0を付けて2桁で記載します。

例:昭和51年5月6日の場合、3-510506

8.事業所番号

適用事業所台帳に記載されている事業所番号11桁(4桁-6桁-1桁)を記載します。

9.被保険者となったことの原因

以下のいずれか、該当する番号を記載します。

1 新規雇用(新規学卒):新規学校卒業者のうち、卒業年の3月1日から6月30日までの間に雇い入れた場合

2 新規雇用(その他):中途採用者を雇い入れた場合など

3 日雇からの切り替え:日雇い従業員が雇用保険の適用となったとき

4 その他:被保険者の雇用される事業所が新たに適用事業となった場合など、1~3に該当 しないような場合

8 出向元への復帰等(65歳以上):65歳以上の者が出向元に復帰した場合など

10.賃金(支払の態様-賃金月額:単位千円)

雇い入れ日時点の賃金の支払態様を以下の番号で記載します。

1 月給、2 週給、3 日給、4 時間給、5 その他

賃金の金額は、月額を千円単位で記載します。賃金には、賞与、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、残業代は除きます。

月給で、月の賃金が30万円の場合、記載は、1-0300となります。

11.資格取得年月日

雇い入れの日を記載します。(試用期間、研修期間を含みます)

12.雇用形態

以下のいずれか、該当する番号を記載します。正社員の場合、「7その他」です。

1 日雇

2 派遣

3 パートタイム

4 有期契約労働者

5 季節的雇用

6 船員

7 その他

13.職種

以下のいずれか、該当する番号を2桁で記載します。

01 管理的職業

02 専門的・技術的職業

03 事務的職業

04 販売の職業

05 サービスの職業

06 保安の職業

07 農林漁業の職業

08 生産工程の職業

09 輸送・機械運転の職業

10 建設・採掘の職業

11 運搬・清掃・包装等の職業

14.就職経路

就職の経路を、以下の該当する番号から記載します。

1 安定所紹介

2 自己就職

3 民間紹介

4 把握していない

15.1週間の所定労働時間

「11.資格取得年月日」の現在における週の所定労働時間数を記載します。

16.雇用期間の定め

契約期間の定めについて該当するものの番号(1または2)を記載します。

1を記載した場合には、その契約期間とともに、契約更新の条項の有無(有は1、無は2)を記載します。

このように雇用保険被保険者資格取得届の作成には大奥の工数が必要なります。この機に人事・労務領域の業務効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

チェックリストや効率化のポイントを以下の資料にまとめましたので、ぜひご活用ください。

人事・労務領域 効率化すべき業務チェックリスト

雇用保険被保険者資格取得届の手続きについて

提出先はハローワーク、資格取得した月の翌月10日までが期限

従業員が入社し、雇用保険加入要件に該当するときは、会社は雇用保険被保険者資格取得届を事業所の所轄ハローワークへ提出します。手続きの期限は、資格取得した月の翌月10日までです。

雇用保険は、原則事業所単位で適用を受けるため、新たに事業所を設置し、その事業所に雇用保険に加入する義務のある従業員がいるときは、雇用保険適用事業所設置届を提出します。届出先は新規事業所の所轄ハローワークです。

なお、新規の事業所であっても、事業所の被保険者数がおおむね20人未満で、給与計算や人事労務管理を本社で一括しているなど事業所として独立性をもたないときは、「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出することにより、雇用保険の諸手続きを本社の所轄ハローワークで実施できます。注意すべき点は、この手続きの前に、所轄労働基準監督署に「労働保険成立届」および「労働保険継続事業一括申請書」を提出しておくことです。

提出方法

提出方法は以下の3つです。

1.ハローワークの窓口

様式を持参して窓口で手続きします。ハローワークの往復、入退者の多い時期には窓口が混雑して時間がかかります。

2.郵送

記入した様式、切手を貼った返信用の封筒も同封します。郵便に時間がかかります。

3.オンライン申請

e-Govから直接申請、または労務管理ソフトから申請できます。電子申請する環境が整っていれば、時間や場所に制約なくスムーズに申請できます。上記の窓口に行く時間やコスト、郵送代などもかかりません。

手続きが完了すると、雇用保険被保険者資格取得確認通知書、雇用保険被保険者証が交付されます。

雇用保険被保険者証は雇用保険に加入していることを証明するものですので、従業員に渡しましょう。

雇用保険加入月より、被保険者の賃金から雇用保険料の労働者負担分を給与天引きする必要がありますので、給与ソフトのマスター登録、給与設定を忘れないようにしましょう。

作成〜提出時の注意点

資格取得届を提出するとき、添付書類は不要です。ただし、届出の期限を過ぎて提出するときは、以下の書類が必要になります。(所轄ハローワークによって必要な書類が異なったり、様式を指定される場合があるため、事前に確認してください。)

  • 賃金台帳
  • 労働者名簿
  • 出勤簿
  • 雇用契約書
  • 遅延理由書(資格取得から6か月を超えて手続きするとき)
  • 疎明書(2年より前にさかのぼって資格取得するとき)

65歳以上のマルチジョブホルダーの雇用保険加入について

ダブルワークをする従業員は、通常、主となる事業所においてのみ雇用保険の被保険者となります。

2022年1月から、65歳以上の従業員であって、複数の事業所で勤務する者が2つの事業所での労働時間を合計すると雇用保険の加入要件を満たす場合、本人からハローワークに申出をすることで、申出した日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となれる制度がスタートしました。

この制度は、従業員が手続きする必要がありますが、事業主は手続きに必要な書類の作成が必要となりますので、制度を理解しておく必要があります。

マルチジョブホルダーの基本的な手続きの流れ

(マルチジョブホルダーの基本的な手続きの流れ)

出典:厚生労働省 事業者向けリーフレット『事業主の皆さまへ 「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します 2022年1月スタート』

雇用保険制度を理解し、手続きを進めましょう

従業員の入社時などの雇用保険諸手続きにモレがあってはなりません。人事担当者は雇用保険の制度を理解して、諸手続きを期限までに正しく行いたいものです。

お役立ち資料

【2023年版】人事・労務向け 法改正&政策&ガイドラインまるごと解説

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