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改正入管法における新在留資格「特定技能1号・2号」とは?基本的概要を解説

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こんにちは、アクシス社会保険労務士事務所の大山です。

今回は、2018年12月8日の臨時国会で、衆参両院での審議が短いなどで多くの課題を積み残したまま可決された「改正入管法(出入国管理法改正)の新在留資格」について、これまでの技能実習生制度の実情も踏まえて解説します。

在留資格「技能」「技能実習」とは?

現在、外国人の在留資格は、国内での活動内容により30種程度(※)ある中で、一般企業が受け入れるために期待する外国人は、「技能」や「技能実習」の在留資格者ではないでしょうか。
(※ 入国管理局「在留資格一覧表(平成30年8月現在)」)

在留資格「技能」

このうち、「技能」は、

・10年以上の実務経験を要する調理師
・1,000時間以上の操縦経験を有するパイロット

などハードルが高い在留資格です。

在留資格「技能実習」

一方、「技能実習」には、「企業単独型技能実習」と「団体監理型技能実習」とがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

「企業単独型技能実習」
自社の海外支店や、現地に取引先企業がある企業が、その企業の社員を実習生として受け入れる。

「団体監理型技能実習」
受け入れ企業の、地元の事業協同組合や商工会議所を監理団体として経由し、受け入れる。

 

したがって多くの企業では、「技能実習」資格の「団体監理型技能実習生」を受け入れることになると思います。

「団体監理型技能実習生」の受け入れと実習期間

この団体監理型技能実習生を受け入れるには、原則として現地(外国人の母国)に受け入れ企業の担当者が出向き、候補者の選考・決定をすることになります。

「団体監理型技能実習生」の受け入れ

そこで、受け入れ労働者が決まってからは、

  • 受け入れのための申請書類の作成費用
  • 受け入れ実習生の日本への渡航費用
  • 受け入れ前の健康診断費用
  • 受け入れ後の最低1ヶ月間の日本語研修費用
  • その後の講習費用及びある程度の生活費補助費用

などが掛かります。

上記を簡便に済ますために、現地または国内のブローカーに金を払って融通する企業があるために、技能実習生がブローカーに対する借金を抱えるなど多くの問題を引き起こしています。

「団体監理型技能実習生」の実習期間

このように受け入れ経費が掛かる技能実習生は、入国後3年(最長5年)で帰国させなければなりません。

技能実習の目的が「国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する」制度だからです。

改正入管法における「特定技能1号・2号」

「特定技能1号」とは?

2019年4月から施行される改正入管法では、技能実習資格で3年間以上の実習を経験した者に新たな在留資格である「特定技能1号」を与え、さらに最長5年間の滞在を認めるよう改正されます。

技能実習をせずに試験に合格して特定技能1号資格を得る方法もありますが、多くの場合、技能実習3年後に無試験で特定技能1号資格を得る方法を選択することになるのではないでしょうか。

なお、「特定技能1号」資格での滞在期間中、家族の帯同は許されません。

「特定技能2号」とは?

「特定技能2号」資格は、さらに熟練した技能を有する者に、試験等の合格を条件に与えられます。

こちらは滞在期間の更新を可能とし、家族の帯同も許可されます。

「特定技能1号・2号」の対象職種

「特定技能1号」の対象職種

特定技能1号資格を得られる職種は、現在および将来、人手不足が深刻な介護、農業、建設、宿泊業など14業種が考えられています。

「特定技能1号」の対象職種

特定技能2号資格を得られる職種は、これからの政令、省令等を待つことになりますが、建設業と造船・舶用工業の2業種で2021年度から選考試験を実施する予定になっています。

まとめ

「特定技能1号」おとび「特定技能2号」についてまとめると、以下の表のとおりです。

実務運用上の詳細はこれから示されるため、今後の動向に引き続き注意しましょう。

【参考】
入国管理局「新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について」
入国管理局「出入国管理及び難民認定法 及び 法務省設置法 の一部を改正する法律の概要について」

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