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元エンジニアの社会保険労務士が語る「エンジニアにとって働きやすい環境」とは?

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披露宴の余興の定番として、新郎新婦の友人たちが行う「取扱説明書」なるものがあります。

新郎や新婦を製品に例えて紹介するアレですね。

毎日愛情を注ぐと長持ちします。
強い衝撃をあたえると、故障して口をきかなくなることがあります。
結婚式終了後のご返品には対応いたしかねます。

さて、今回のテーマは『エンジニアにとって働きやすい労働環境とは?』という内容です。

私も今の仕事につく前は、メーカーで10年以上エンジニアとして勤務してきました。その経験も踏まえて、エンジニアの取扱説明書なるものを考えてみたいと思います。

エンジニアは取り扱いが難しそうに見えるが、実は単純?

営業とエンジニアが犬猿の仲である会社は少なくありません。

営業「お客からの要望ですが、処理速度を〇%アップさせて、さらにデータ管理はクラウドで出来ないかってことです。ちなみに納期は1ヶ月ッス!

エンジニア「いやいや、設計見直しに最低2ヶ月は必要だし、第一、処理速度〇%アップなんてチップを変えないと無理。それに〇〇が△△で××だから……

営業側は「エンジニアはいつも専門用語を並べて理屈ばかりこねる」と思っているし、エンジニア側からすれば、「美味しいところを持っていくのはいつも営業で、面倒ばかり押し付けられている」と互いに感じてしまっている場合があります。

この部分のみではエンジニアの扱いは難しそう思われても仕方ありません。しかし、その扱いは驚くほど単純だったりもするのです。

たとえば、職場のエンジニアが難題を達成した時に、営業が「やっぱり〇〇さんはスゴイですね! 俺、〇〇さんなら絶対にやってくれると思ってましたよ!」と一言で良いので褒めることが大切です。

また、お客さんから、「いやー、やっぱりそちらの技術さんの腕は確かだね〜。本当いつもいい仕事してくれるよね〜。」とお褒めの言葉を頂くだけで、エンジニアは全て報われた気がして、次も頑張ろうと思えるのです。

外部ノイズ等により処理能力が大きく損なわれる場合があります

とにかく、エンジニアとは繊細な生き物です。その集中力が研ぎ澄まされている時は、素晴らしい閃きを生み出したり、ものすごい勢いでプログラムや設計を行いますが、何かの拍子に集中力が途切れてしまうともうダメです。

次の集中力の高まりがくるまで、ボケーッと『Yahoo!ニュース』や『Facebook』などを眺めて時間を潰すしかない。

エンジニアの集中力は、ほんの些細な物事によって途切れます。それは隣でコーヒーをすする音であったり、上司が鼻をかむ音であったり、可愛い事務の女の子であったりするのです。

それゆえ、エンジニアの能力を最大限に発揮させるために、エンジニアの目線に余計なものが入らないよう周りをパーティションで区切ったり、イヤホンで音楽を聴きながら仕事をする程度は多めにみてやる配慮や寛容さが必要となります。

また時には、座り心地のいい椅子や、使い勝手のいいキーボード、欲しがる開発ツールなどを与えるのも効果的です。

中には「マネージメントが苦手な個体」もあります

エンジニアの中には、技術者としては高い能力を発揮するものの、管理職になった途端に「ダメ上司」の烙印を押され、その輝きを失ってしまう人も多いです。

そういうエンジニアのために、昇進コースの選択肢として、マネージャーの他に別途プロフェッショナルコースを設け、技術者としての道をさらに極めていける制度を導入することも有効です。

エンジニアの中には「マネージメントが苦手な個体」もありますので、注意が必要です。

「故障かな?」と思ったら、職場環境の見直しが大切です

一般的にエンジニアは「扱いにくい」「変人」「理屈っぽい」などと思われがちですが、実はワクワクする研究や開発に没頭できれば、他には何もいらない人種が大多数です。

もし、エンジニアが思うように働いてくれないと思ったら、一度その職場環境を見直してあげてはいかがでしょうか。

本来エンジニアとは、多少のワガママを聞いてやり、業務に集中できる環境を整えてやり、たまに褒めてあげることで、黙々と会社に貢献してくれる、モノ作りニッポンにはなくてはならない、とても可愛い人種なのですから。

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