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新入社員研修の実施すべき10項目と手法・評価のポイントも解説【事例つき】

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目次
  1. 新入社員研修の目的と重要性
    1. (1)社会人としてのマインドセットの確立
    2. (2)基本的なビジネスマナーの習得
    3. (3)企業理念や社風の理解
    4. (4)社内人脈の形成
    5. (5)業務スキルの習得
  2. 新入社員研修に入れるべき10項目
    1. (1)企業の理念と価値観
    2. (2)社会人としてのマインドセット
    3. (3)ビジネスマナー
    4. (4)ビジネススキル(PC、オンライン会議など)
    5. (5)報告・連絡・相談(報連相)
    6. (6)コミュニケーション力
    7. (7)コンプライアンス
    8. (8)論理的思考(ロジカルシンキング)
    9. (9)情報収集力
    10. (10)メンタルヘルスケア
  3. 新入社員研修で使われる主な研修手法8選
    1. (1)OFF-JT(Off the Job Training)
    2. (2)グループワーク・ディスカッション
    3. (3)ケーススタディ
    4. (4)ロールプレイ
    5. (5)レクリエーション
    6. (6)OJT(On-the-Job Training)
    7. (7)メンター制度
    8. (8)ブラザーシスター制度
  4. 新入社員研修の準備の流れ
    1. (1)受講者のレベルの把握
    2. (2)目標・具体的な項目の洗い出し
    3. (3)研修期間の確認
    4. (4)研修手法の決定
    5. (5)カリキュラムやスケジュールの決定
    6. (6)新入社員への案内
    7. (7)研修の実施
    8. (8)振り返り・フィードバック
  5. 新入社員研修の評価方法
    1. (1)新入社員に対する評価項目
    2. (2)研修に対する評価項目(カークパトリックモデルの活用)
  6. 新入社員研修の成果を高める5つのポイント
    1. (2)学んだことをアウトプットする場を設ける
    2. (3)カリキュラムを盛り込みすぎない
    3. (4)フォローアップ体制を整える
    4. (5)上司・育成担当者向けの研修を実施する
  7. 効果的な新入社員研修の事例
    1. (1)同期のコミュニケーションルート確立で、新入社員の早期退職を大幅削減|給食センター運営会社
    2. (2)新入社員の不足スキルを次年度研修に反映し離職率を改善|カネテツデリカフーズ株式会社
  8. 新入社員の育成状況の管理はSmartHRで
    1. SmartHRの主な機能とその特徴

新入社員研修は、配属先での業務を円滑に進めるために必要な知識やスキルを身につける重要な機会です。本稿では、効果的な新入社員研修の実施方法や、研修内容の評価方法について、具体的に解説します。

新入社員研修の目的と重要性

新入社員研修は、業務遂行に必要な知識を習得し、学生から社会人への意識改革を促す場です。とくに新卒採用の場合、ビジネスマナーなど社会人としての基礎スキルを網羅的に学ぶ必要があります。

研修の主な目的は以下の5つです。

新入社員研修の目的には「(1)社会人としてのマインドセットの確立、(2)基本的なビジネスマナーの習得、(3)企業理念や社風の理解、(4)社内人脈の形成、(5)業務スキルの習得」の5つとなります

(1)社会人としてのマインドセットの確立

学生から社会人への意識改革は新入社員研修の重要な要素です。企業の一員として業務を遂行し、顧客と向き合い、社会に貢献する意識を醸成します。入社直後の新入社員は学生気分が残っている場合もあるため、この段階での意識改革が重要です。

(2)基本的なビジネスマナーの習得

基本的な挨拶や言葉遣い、電話応対といった業務遂行に欠かせないビジネスマナーを身につけます。また、報連相やプレゼンテーションの基礎も学びます。これらは社会人としての土台となるスキルです。

ビジネスマナーの主な学習項目

  • TPOに合った身だしなみ
  • 名刺交換の作法
  • ビジネスメールの書き方
  • 来客応対の基本
  • 電話応対のマナー

(3)企業理念や社風の理解

新入社員が組織に馴染むため、社内ルールや企業理念への理解を深めます。これにより、以下の効果が期待できます。

  • 組織の一員としての自覚が芽生える
  • 自律的な行動の基準ができる
  • 社員同士の結びつきが強まる

(4)社内人脈の形成

新入社員同士が研修を通じて交流を深めることで、以下のような効果が生まれます。

  • 同期との連携が強まる
  • モチベーションや成長意欲が高まる
  • 業務上の相談がしやすくなる
  • 知識やノウハウの共有が活発になる

(5)業務スキルの習得

配属先での業務を円滑に始められるよう、具体的な実務スキルを学びます。

  • 基本的なPCスキル
  • オンライン会議の進め方
  • 文書作成の基本
  • データ分析の基礎
  • プレゼンテーション技法

新入社員研修に入れるべき10項目

新卒の新入社員研修では、事業概要や職種ごとの専門知識に加え、社会人としての基礎力を幅広く学ぶ必要があります。以下の10項目を研修に組み込むことで、効果的な育成が可能になります。

「(1)企業の理念と価値観、(2)社会人としてのマインドセット、(3)ビジネスマナー、(4)ビジネススキル、(5)報告・連絡・相談、(6)コミュニケーション力、(7)コンプライアンス、(8)論理的思考、(9)情報収集力、(10)メンタルヘルスケア」の10項目が新入社員研修で実施するべき内容です

(1)企業の理念と価値観

企業理念や価値観、ビジョンは、新入社員が最初に理解すべき重要な要素です。企業の存在意義や目指す方向性、自社の歴史的な転換点などを学ぶことで、自身の役割を明確にイメージできます。また、経営陣から直接説明を受けることで、より深い理解と共感が得られます。

(2)社会人としてのマインドセット

マインドセットとは、考え方の癖や行動パターンを指します。学生から社会人への意識改革を促すため、モラルを守ること、責任を果たすこと、主体的に動くことなど、社会人として適切な行動や仕事への向き合い方を学びます。環境や体験によってつくられた学生時代の価値観を、社会人として必要な意識へと転換します。

(3)ビジネスマナー

良好な人間関係を築くための基本となるビジネスマナーを身につけます。TPO(Time、Place、Occasion)に合った身だしなみ、挨拶の仕方、名刺交換、来客対応、電話応対、ビジネス文書やメールの作成など、実践的なスキルを習得します。型を覚えるだけでなく、なぜそのマナーが必要なのか本質的な理解も深めます。

(4)ビジネススキル(PC、オンライン会議など)

業務に必要な基本的なPCスキルを身につけます。表計算などのオフィスソフトの操作はもちろん、オンライン会議の進め方やビジネスツールの活用方法も学びます。PCスキルには個人差が大きいため、事前のレベル把握と、それに応じた指導が重要です。

(5)報告・連絡・相談(報連相)

組織の円滑な運営に欠かせない報連相の基本を学びます。適切なタイミングでの報告方法、正確な情報伝達の仕方、相談すべき事項の判断基準などを身につけます。情報共有の重要性を理解し、必要な情報を必要な相手に的確に伝えられるようになることを目指します。

(6)コミュニケーション力

職場での良好な人間関係構築に必要なコミュニケーション力を養います。相手の話を正確に理解する傾聴力、情報を詳しく収集するヒアリング力、状況を的確に伝える説明力など、多様な場面で活用できるスキルを身につけます。とくに年齢や立場の異なる相手との円滑なコミュニケーションを意識します。

(7)コンプライアンス

法令遵守はもちろん、社会規範や企業倫理、就業規則の理解を深めます。とくに情報セキュリティや個人情報保護、SNS利用上の注意点など、現代のビジネス環境で重要性を増している項目について学びます。具体的な事例を用いて当事者意識をもたせ、継続的な意識づけを図ります。

(8)論理的思考(ロジカルシンキング)

ビジネスでは感覚的な判断ではなく、論理的な思考にもとづく判断が求められます。情報の整理・分析方法、課題発見と解決プロセス、説得力のある説明の組み立て方などを学びます。MECEやロジックツリーといった基本的な思考ツールの活用方法も身につけます。

(9)情報収集力

インターネットの普及により、さまざまな情報が簡単に手に入るようになりましたが、必ずしも正しい情報ばかりではありません。信ぴょう性のある情報を効率よく集めるために必要な「情報収集力」を養います。

(10)メンタルヘルスケア

メンタルヘルスの維持は、離職・退職防止に欠かせません。ストレスの予防や対処法、ポジティブな気持ちを維持して仕事に向かうための方法など、セルフケアに重点を置いて学びます。

研修では、ストレス反応の仕組みや、心身の不調のサインへの気づき方、リラックス法などの具体的なテクニックを学びます。従業員が自らメンタル不調の兆しを発見し、早期に専門機関に相談できれば、休職や離職といった事態も回避できます。

新入社員研修で使われる主な研修手法8選

新入社員研修では、以下の8つの手法を組み合わせることで、効果的な学習が可能になります。研修目的や内容に応じて、適切な手法を選択することが重要です。

主な研修手法は「(1)OFF-JT、(2)グループワーク・ディスカッション、(3)ケーススタディ、(4)ロールプレイ、(5)レクリエーション、(6)OJT、(7)メンター制度、(8)ブラザーシスター制度」の8つが挙げられます

(1)OFF-JT(Off the Job Training)

職場での業務や、職場で必要となる知識やスキルを座学にて教える手法です。オンラインで実施する場合もあります。受講者全員が同時にまとまった時間を設けて体系的に学べるため、ビジネスマナーや企業理念を教えるのに適しています。

(2)グループワーク・ディスカッション

与えられたテーマに対し、複数人のグループで議論、意思決定、発表する手法です。協力して課題に取り組む「作業型」と、成果を発表する「プレゼン型」があります。グループワークを通じて、他者と協力して課題解決したり、意思決定に向けて結論をまとめたりする力を磨けます。

(3)ケーススタディ

実際に起きた事例をもとに、適切な対応の仕方や解決方法を学ぶ手法です。アクシデントやクレームの対応、商談でのプレゼンなどを疑似体験できます。「問題解決能力」「分析力」「洞察力」「論理的思考」の習得に適しています。実践的な場面を想定した演習を通じて、実務での対応力を養えます。

(4)ロールプレイ

実際の業務で想定される場面に役割を設定して、受講者が演じる手法です。相手が部下の場合は信頼関係を深めることにつながり、チームの結束を高められます。

(5)レクリエーション

簡単なゲームなどを行なう手法です。アイスブレイクや座学が続いた後の気分転換として効果的です。「質問ゲーム」「ジェスチャーゲーム」「他己紹介」など、新入社員同士の交流を促せるものがよいでしょう。

(6)OJT(On-the-Job Training)

現場で実際の業務に携わりながら必要な知識や技能を学ぶ手法です。全体研修が終わった後、配属先で新入社員と先輩社員が1対1で行なうのが一般的です。厚生労働省の調査によると、正社員または正社員以外に対して計画的にOJTを実施した事業所は61.8%で、多くの企業が取り入れています。(※)

(※)出典:令和3年度「能力開発基本調査」 - 厚生労働省

(7)メンター制度

新入社員とは別の部署の先輩社員がメンターとなり、新入社員をサポートする制度です。メンターには年齢の近い社員が選ばれるため、相談しやすいのがメリットです。メンタル面でのフォローや、社会人としてのあり方を教えるのに適しています。

(8)ブラザーシスター制度

新入社員と同じ部署の先輩社員が新入社員の「ブラザー」や「シスター」となり、サポートする制度です。年齢の近い先輩社員が選ばれるため、わからないことをすぐに相談できるのがメリットです。実務を具体的に教えたり、メンタル面でフォローをしたりするのに適しています。

新入社員研修の準備の流れ

新入社員研修は、入社直後の限られた時間のなかで、多くの内容を指導・育成する必要があります。そのため、カリキュラムを作成し、計画的に進めていくことが重要です。

カリキュラムを作成することで、研修の目的と組織の目標に齟齬がないか確認でき、研修内容の方向性や詳細、全体の流れを可視化できます。また、新入社員に習得してほしいスキルの明確化にもつながります。

新入社員研修を実施する際には「(1)受講者のレベルの把握、(2)目標・具体的な項目の洗い出し、(3)研修期間の確認、(4)研修手法の決定、(5)カリキュラムやスケジュールの決定、(6)新入社員への案内、(7)研修の実施、(8)振り返り・フィードバック」の順番で準備するとよいでしょう

(1)受講者のレベルの把握

新入社員のスキルレベルは大きく異なります。アンケートや簡単なテストを利用して、受講者がどの程度のスキルをもっているのか正確に把握します。この段階での適切な把握が、効果的な研修実施につながります。

(2)目標・具体的な項目の洗い出し

新入社員研修で最も重要なのが「目標」を決めることです。新入社員の現在のレベルをもとに、目標と研修で身につけてもらいたい具体的なスキルや知識を策定します。目標は「○か月後に、○○をひとりでできるようになる」など、具体的なものにするのがポイントです。

目標の洗い出しやカリキュラムの作り方については、別記事に詳しい解説があるので、あわせてご覧ください。

(3)研修期間の確認

研修期間を設定する際は、目的達成に必要な時間と実際に使える時間のバランスを考慮することが大切です。業務への影響や、研修の密度と強度、研修後のフォローアップの必要性も考慮に入れて、適切な期間を確保します。

(4)研修手法の決定

研修の目標、具体的な内容、期間が決まったら、研修の手法を策定します。前述の研修手法のなかから、それぞれのスキルを伸ばすために最適な手法を選択・組み合わせます。

また、新入社員研修を自社で実施するのか、外部委託するのかも決定します。自社実施の場合は、カリキュラムや資料の作成など準備に時間を要しますが、自社に合った内容を低コストで実施できます。外部委託の場合は、自社の労力を抑えつつ、専門性の高い内容を学べます。

(5)カリキュラムやスケジュールの決定

研修の目的と期間が決まったら、具体的なカリキュラムとスケジュールを作成します。新入社員が効率よく学べるよう、学習効率や理解度を高める順序を考慮します。カリキュラムには、研修の内容、目的、時間割、使用する資料やツール、必要な前提知識などを明記します。

(6)新入社員への案内

カリキュラムやスケジュールが決まったら、受講する新入社員へアナウンスします。案内状には、研修の目的、日時、場所、持ち物、事前準備が必要な項目、連絡先などを記載します。

(7)研修の実施

研修本番では、カリキュラムに従って進めますが、予定どおりの進行にこだわりすぎず、受講者の理解度や反応を見ながら、必要に応じて調整します。研修中の雰囲気や進行状況を記録しておくと、振り返りやレポート作成に役立ちます。

(8)振り返り・フィードバック

振り返りは、学んだ内容の再確認と、今後の業務への活用を考える機会です。研修期間終了時に、受講者にレポートを作成してもらい、今後の目標も立てます。数か月後に配属先の上司から目標の達成度についてフィードバックするとよいでしょう。

新入社員研修の評価方法

新入社員研修の評価には、以下の2種類があります。

  1. 受講者である新入社員を評価する
  2. 新入社員研修自体を評価する

新入社員を評価することで、研修内容の習熟度や得意不得意を確認し、適した配属の検討や配属後の育成方針を立案できます。評価には、理解度テスト、インタビューシート、行動計画シートなどのツールや、配属先での行動観察記録を活用します。

新入社員研修の評価には、「受講者である新入社員を評価」と「新入社員研修自体を評価」の2種類があります

(1)新入社員に対する評価項目

1. ビジネスマナーの習得度

新卒の新入社員研修においては、社会人としての基本的なルールを理解し、適切に行動できるかが重要な基準となります。以下の項目を評価します。

  • 身だしなみは整っているか
  • 社会人として適切な言葉遣いができているか
  • メールや電話のやり取りは適切か
  • 社会人として適切な振る舞いができているか

2. 仕事への意欲・モチベーション

研修段階では実践的なスキルの習得よりも、仕事に対する意欲や姿勢を評価します。以下の点に注目します。

  • 責任感をもって仕事をしているか
  • 期待以上の成果を目指す意識があるか
  • 自主性をもって業務に取り組んでいるか

3. 協調性・コミュニケーションスキル

実務では複数の関係者との連携が必要なため、協調性やコミュニケーションスキルは重要な評価項目です。

  • チーム内の状況把握に努めているか
  • 周囲との協力体制が築けているか
  • 円滑なコミュニケーションが取れるか

4. 社会人としてのマインドの形成度

学生気分を払拭し、社会人としての心構えが身についているかを評価します。

  • 自発的に行動する姿勢があるか
  • 決められた期限を遵守できるか
  • ミスへの対応や改善姿勢は適切か

(2)研修に対する評価項目(カークパトリックモデルの活用)

カークパトリックモデルは、トレーニングと開発プログラムを評価するために広く使用されるモデルです。以下の4つの階層で評価します。

1. 反応

新入社員の満足度を評価する第一レベルです。フィードバックを収集し、研修内容や講師、資料などを評価します。満足度が低い場合は研修内容の見直しが必要です。また、受講者の意見を取り入れて改良することで、参加度と関与を高められます。

2. 学習

テストやスキル評価を通じて、知識やスキル、能力の習得度を測定します。理解が不十分な場合は、追加の学習機会を設けるなどの対応が必要です。

3. 行動

研修内容が実務でどの程度活用されているかを評価します。行動の変化や定着には時間がかかるため、根気強いフォローが必要です。実践での課題を把握し、必要に応じて研修内容を調整します。

4. 結果

研修の学びが業績などの成果に反映されているかを評価します。目的に合った結果が出ていれば、レベル4に到達したと判断できます。

新入社員研修の成果を高める5つのポイント

新入社員研修の成果を高めるためには「(1)目的・背景など本質から理解させる、(2)学んだことをアウトプットする場を設ける、(3)カリキュラムを盛り込みすぎない、(4)フォローアップ体制を整える、(5)上司・育成担当者向けの研修を実施する」の5つがポイントになります

(1)目的・背景など本質から理解させる

「教えられたからやる」のと「意味・意義を理解したうえでやる」では、その後の知識・スキルの吸収スピードが大きく異なります。新入社員自身が「なぜそれを学び、実践する必要があるのか」という本質を理解することが重要です。

(2)学んだことをアウトプットする場を設ける

新入社員研修は座学も多く、知識のインプットがメインになりがちです。しかし、学んだスキルや能力を定着させるには、実践が重要です。研修のなかでアウトプットの機会を設け、失敗を繰り返しながら前進する経験を積むことで、スムーズに配属先へ適応できます。

(3)カリキュラムを盛り込みすぎない

限られた研修期間のなかで、新入社員にすべてを習得させるのは現実的ではありません。浅く広いスキルを教えるよりも、必要な項目を確実に身につけてもらう方が効果的です。理想を高く掲げすぎず、「これだけは」と最小限の内容に絞り込むことで、確実な定着を図れます。

(4)フォローアップ体制を整える

知識の定着には、研修後のフォローが欠かせません。振り返りの時間を設けて理解度を確認し、研修内容を日々の実務に生かせるよう、OJTなどを活用しながら定着を図ります。

(5)上司・育成担当者向けの研修を実施する

上司・担当者が入社した時期と、今の新入社員では、意識や価値観に大きな差がある可能性があります。自分が育てられた方法をそのまま当てはめても、うまくいかないケースが多々あります。

効果的な新入社員研修の事例

(1)同期のコミュニケーションルート確立で、新入社員の早期退職を大幅削減|給食センター運営会社

課題

  • 調理師・栄養士の新入社員の早期退職率が高く、入社1年以内の離職者が直近3年で10人以上
  • 現場のOJT中心の研修体制により、従業員間の横のつながりが希薄
  • 異動が少なく、他拠点の同期との交流機会が限られていた

解決策

  • 集合研修を1回から年間12回に大幅拡充
    • 能力開発に加え、新入社員同士の交流機会を創出
    • 自然なネットワーク構築を促進
  • コミュニケーション環境の整備と定期的な交流機会の設定

効果・成果

  • 入社1年以内の離職者が3年間でわずか1人に激減
  • 新入社員同士の強固なネットワークが形成され、悩みや課題を共有できる心理的安全性が向上
  • 人事部門からも高い効果実感を獲得

(2)新入社員の不足スキルを次年度研修に反映し離職率を改善|カネテツデリカフーズ株式会社

課題

  • 入社3年以内の離職率が50%と高止まり
  • 「仕事は見て覚えろ」という従来の文化により、スキルの共有やコミュニケーションが不足

解決策

  • 6か月間の体系的な指導体制を導入
    • 先輩社員Aが直接の業務指導を担当
    • 先輩社員Bが月次の1on1ミーティングを実施
    • 両者が連携して指導計画を作成し、定期的なフィードバックを提供
  • データにもとづく研修プログラムの改善
    • 新入社員の目標達成度と課題を詳細に分析
    • 不足しているスキルや知識を特定
    • 分析結果を次年度の研修内容に反映

効果・成果

  • 入社3年以内の離職率が50%から10%に大幅改善
  • 組織的な育成体制の確立により、属人的な指導からの脱却を実現
  • データ活用による継続的な研修プログラムの改善サイクルを構築

新入社員の育成状況の管理はSmartHRで

新入社員研修は、学生気分を払拭し、新しいマインドセットやビジネスパーソンに求められるスキル、マナーなどを学ぶ重要な機会です。企業理念や現場のニーズをもとに、研修の目的や内容を決定し、ポイントを抑えた研修を実施することで、効果的な育成が可能になります。

また、研修後の適切な評価やフォローアップを通じて、研修で学んだことを定着させていくことが大切です。SmartHRのタレントマネジメントシステムを活用することで、新入社員の育成状況を効率的に管理できます。

SmartHRの主な機能とその特徴

SmartHRのスキル管理機能では、部門ごとに求められるスキルや研修による習熟度を一元管理できます。スキル取得の進捗状況を可視化することで、育成計画の立案や見直しにも活用できます。

また、学習管理機能では、PDFや動画をコンテンツとしてアップロードし、オンライン研修(コース)を作成できます。研修内容に応じて研修形式の選択が可能で、将来的にはテスト機能も追加される予定です。

研修や学習履歴はタレントマネジメント機能と連携できるため、一元管理・可視化が可能です。シンプルなインターフェースで直感的に操作できるよう設計されているため、ITに不慣れな従業員でも迷わず使えます。

詳しい機能については「SmartHRの学習管理」ページをご覧ください。

お役立ち資料

3分でわかる!SmartHRの学習管理

  1. Q1. Q1. 新入社員研修の目的は?

    新入社員研修は、配属先での業務を円滑に進めるために必要な知識やスキルを習得する機会です。社会人としての基礎力を養い、企業理念や価値観への理解を深め、業務に必要なスキルを身につけることを目的としています。

  2. Q2. Q2. 新入社員研修ではどんな内容を学びますか?

    ビジネスマナー、コミュニケーション力、報告・連絡・相談の仕方など、社会人としての基本スキルを学びます。また、企業理念や業務知識、PCスキルなど、実務に必要な知識も習得します。研修は座学だけでなく、グループワークやロールプレイなど実践的な手法も取り入れて実施します。

  3. Q3. Q3. 新入社員研修を成功させるポイントは?

    研修の目的を明確にし、必要な項目に絞ったカリキュラムを作成することが重要です。また、学んだ内容を実践できる機会を設け、定期的にフォローアップすることで、知識やスキルの定着を図ります。上司や先輩社員との連携も、研修の効果を高めるポイントとなります。

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