MBO面談とは?目的や面談のやり方をわかりやすく解説
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MBO面談とは、MBO(目標管理制度)を運用するための面談です。具体的には、従業員が設定した目標や目標に対する達成度を共有し、上司からフィードバックや評価を受ける場です。MBO面談の実施により適切な人事評価や従業員のモチベーションアップが期待できます。
本稿では、「面談の進め方がわからない」「うまく運用できていない」など、MBO面談の課題を抱える企業に向けて、実施目的や手順、より効果的に面談を実施するコツをわかりやすく解説します。
MBO面談とは
「MBO面談」とは、上司と従業員が半期や通年で取り組む目標や達成度、評価についてすりあわせる面談を指します。
MBOとは「Management By Objectives」の略で、米国の経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱したマネジメント手法です。日本語では「目標管理制度」と表現され、多くの国内企業でも採用されています。
MBOは、一般的に以下の流れで行われます。
- 目標を設定する
- 目標達成に向けて策定した計画を実行する
- 目標達成度合いを評価する
- 評価を受けて次の期間の目標を設定する(2.へ)
このなかで1. 3. 4.で行われる面談が「MBO面談」に該当します。
「MBO(目標管理制度)」については、以下の記事でより詳しく解説しています。
MBO面談の役割は以下の2つです。
目標設定面談 | 従業員が設定した目標を上司に共有し、目標の調整や確定をするために行われる面談 |
評価面談 | 「目標設定面談」で設定した目標に対し、従業員が自己評価を共有し、上司も評価を共有するために行われる面談 |
MBO面談における重要なポイントは、「従業員主導の目標設定」「従業員の目標や評価への納得感醸成」の2つです。
1on1ミーティングとの違い
「1on1ミーティング」とは、上司と従業員が1対1で実施する面談を指します。MBO面談と1on1ミーティングの大きな違いは目的です。MBO面談は半期や通期の目標を設定し達成進捗によって評価するのに対し、1on1ミーティングは従業員の成長を促すために、業務課題やキャリア相談などあらゆるテーマを扱います。
「1on1ミーティング」については、以下の記事でより詳しく解説しています。
MBO面談の目的
目標設定面談の目的
目標設定面談は、従業員が定めた目標の上司による確認し、承認が目的です。目標は従業員が高いモチベーションを維持したまま取り組めるものである必要があります。また、従業員の目標が組織の目指す方向性に沿っているものになっているかの見極めも重要です。
評価面談の目的
評価面談は、目標の達成度に対する従業員の自己評価と上司の評価のすりあわせが目的です。上司は、くだした評価に対して従業員が納得できるよう、背景や理由をしっかりと説明する必要があります。従業員が上司からの評価に納得できない場合は、その旨を評価面談で伝えることが可能です。
MBO面談(目標設定面談)のやり方
1. 事前準備:目標設定
目標設定面談を実施する際は、従業員がMBOシート(目標管理シート)に目標を記入し、事前に上司に共有しておきます。
目標を設定するうえで重要なポイントは以下の2つです。
- 評価する際に客観的に達成・未達成が判断できる内容であること
- 設定した目標の理由や背景も説明できるように準備しておくこと
職種別の目標設定の具体例と効果的な目標設定のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2. 目標の共有
従業員はMBOシートに記載した目標の内容や設定した理由などを上司に説明します。その際に上司は以下の2点を従業員に確認するとよいでしょう。
- 目標が測定可能なものになっているかどうか
- 目標の優先順位(目標が複数存在する場合)
3. フィードバック
次に、従業員が設定した目標に対して上司がフィードバックします。上司から見て、目標が現実的なものになっているか、適度にストレッチがかかっているかを判断し、必要に応じて目標の調整を促します。
上司は、なるべく目標そのものよりも、目標設定の仕方に対するフィードバックが大切です。また、従業員の設定した目標が、組織の方針とかけ離れている場合は軌道修正を促します。
4. 目標の調整
上司によるフィードバックをもとに従業員が目標を再設定します。従業員が再設定に悩んでいる場合は、上司が適宜サポートできるとよいでしょう。従業員が主体的に取り組める内容かつ、現実味のある目標設定ができるように導いていきます。
5. 目標の確定
従業員、上司の双方が納得できる目標かを確認したうえで確定させます。従業員が成功体験を味わうためには、大きな目標ばかりにするのではなく、小さな目標も入れておくことが大切です。
MBO面談(評価面談)のやり方
1. 事前準備:従業員による自己評価
評価面談を行う際の事前準備として、まず設定した目標の達成度を従業員が自己評価します。自己評価が終了したあと、記入したMBOシートを上司に共有します。面談で上司に伝えたい内容の事前準備も必要です。
2. 自己評価の共有
従業員は自己評価の結果を上司に共有します。評価だけを伝えるのではなく、その評価に至った背景や要因なども一緒に伝えることで上司もより理解しやすくなります。
上司は、従業員より先に自らの考えや意見を述べないことが大切です。上司の意見を先に聞いてしまうと、従業員は自身の考えや発言がしづらくなるからです。
3. 上司による評価の共有
上司から評価を伝える際は、達成した目標や良い点を強調しましょう。上司からの高評価により、従業員は手応えを感じ、モチベーションの維持・向上につながります。
マイナス評価に関する内容を伝える際には、根拠となる数値などを用いて、従業員が納得できるよう配慮することが大切です。
4. 評価と課題の確定
上司の評価に対し、従業員が納得できた場合は、評価を確定します。上司の評価に従業員が納得していない場合は、どの部分の評価にずれが生じているのかの丁寧な確認が大切です。
上司からの評価をふまえ、浮き彫りになった課題は、達成するために何が必要なのかを従業員と考え、認識をあわせておきます。課題や達成のための必要な要素の把握により、次のサイクルで行われる目標設定の参考にできます。
MBO面談の注意点
1. 話しやすい雰囲気を醸成する
評価にかかわる内容はセンシティブになりやすいため、上司は話しやすい雰囲気にしたうえでMBO面談を進めることが重要です。
従業員が緊張した状態のまま面談を進めてしまうと、言いたいことがあっても上司に本音を伝えられず、そこからすれ違いが生じる可能性があります。
面談前には上司が雑談やアイスブレイクを行い、積極的な対話ができる雰囲気をつくってから本題に入るとよいでしょう。担当する従業員の興味や趣味、共通の話題などを事前にリサーチしておくと、雑談やアイスブレイクのなかで取り入れやすく、自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。
2. ほかの従業員と比較しない
面談では、ほかの従業員と比較しないことも重要です。上司が比較して発言してしまうと、その従業員はやる気や自信を喪失してしまう可能性があります。
比較する場合は、本人の過去と現在を比べて評価しましょう。従業員本人も把握していない過去から成長した部分や、できるようになったことを伝えることで、モチベーションの向上や自信を与えることにつながります。
3. 定期的に目標達成の進捗を確認する
面談で使用するMBOシートは、定期的な確認が必要です。目標設定面談終了後から評価面談までMBOシートを一切確認しないといった状況では、あまり意味がありません。
従業員がMBOシートに記載した目標を、忘れてしまうことも往々にしてあります。従業員が定期的にMBOシートで目標を把握し、進捗の確認をすることが重要です。進捗が順調ではない場合は、リカバリ策を考えて進められるようにしましょう。
MBO面談はSmartHRで効率的に
MBOに関する情報は、システムで管理することによってMBO面談を効率的に進められます。具体的には、過去の評価や目標の進捗状況も簡単に閲覧できるなど、MBO面談を実施しやすくなります。
タレントマネジメントシステムのSmartHRは、従業員データを一元管理でき、もちろんMBO運用においても活用できます。管理ツールの導入も検討しつつ、効果的なMBO面談を行いましょう。
SmartHRの詳細は、以下のお役立ち資料「3分でわかる!SmartHRの人事評価」をご覧ください。
Q1. MBO面談とは何ですか?
「MBO面談」とは、MBO(目標管理制度)を運用するために実施する面談のことです。従業員が定めた目標を上司が確認する「目標設定面談」と、設定した目標の達成度を従業員が自己評価し、上司からも評価をフィードバックする「評価面談」が行われます。
Q2. MBO面談の目的は何ですか?
MBO面談の目的は、組織の目指す方向と従業員が目指す方向をすりあわせることです。また、従業員の活動に対する評価を従業員本人と上司とすりあわせる重要な場になっています。MBO面談を実施することで、従業員のモチベーション向上も期待できます。
Q3. MBO面談を実施する際の注意点は?
上司は雑談やアイスブレイクにより従業員が話しやすい雰囲気をつくり、評価の際にはほかのメンバーと比較しないことが大切です。従業員は面談以外にも定期的にMBOシートで自らの目標を把握し、進捗を確認して取り組むことが求められます。