企業による「学歴フィルター」は「不当な差別」なのか
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大手企業が新卒者の採用にあたって導入していると言われている「学歴フィルター」。
一流大学の学生を効率よく採用するために、書類選考の段階で二流、三流の大学の学生をふるいにかけて、効率良い採用活動を行うために導入していると言われています。
しかし、一流大学の学生でなくても、仕事の能力が高い人はたくさんいるでしょう。「学歴フィルター」は、学生を学歴によって不当に差別する違法なものではないか、と疑問に感じる人も少なくないのではないでしょうか。
そこで、今回はこの「学歴フィルター」が違法かどうかについて解説していきたいと思います。
企業には広く「採用の自由」が認められている
企業の採用に自由については、「三菱樹脂事件判決」と呼ばれる有名な最高裁判決があります。
この判決によれば、企業者は経済活動の一環として契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別な制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるとされています。
この基準によれば、男女雇用機会均等法や労働組合法などの一部の採用に関する法規制を除いて企業の採用方針を規制できる論理はほとんどなく、学歴を採用基準とすることも問題ないことになります。
採用は広く、解雇は厳しく
日本の労働法制は、企業の採用の自由を幅広く認め、一方で、解雇については厳しく制限する体裁になっています。
企業の経済活動の自由と労働者の権利保護のバランスをどう図るかは非常に難しい問題ですが、採用に関する法規制を設ける一方で解雇の制限を緩めることになれば、それはそれでマイナス面が大きいようにも思います。
学歴フィルターは存在していると言われていますので、学歴に不安がある人は学歴にとらわれず活躍できる場を探すという考え方も必要だと思います。