【Next2021】人事が語る!エンゲージメントサーベイ活用で実現するより良い組織づくり

2021.08.06 ライター: 富士 雅子

2021年6月22〜24日、SmartHR主催イベント「SmartHR Next 2021」を開催しました。テーマは「人材マネジメントが創る、VUCA時代の経営」。本セッション「人事が語る!エンゲージメントサーベイ活用で実現するより良い組織づくり」では、SmartHRの「従業員サーベイ」機能をご活用いただいている株式会社Zealsの笹原さん、株式会社NOLTYプランナーズの山﨑さんにご登壇いただきました。

従業員のエンゲージメントを向上させることは、生産性の向上や離職防止に繋がるといわれています。エンゲージメントの重要性に対する認識が広まる一方で、エンゲージメント向上に必要なデータを収集し活用できている企業はまだ多くはありません。

本セッションでは、SmartHRの「従業員サーベイ」オプションをご利用のお客さまにご登壇いただき、エンゲージメントサーベイの取り組み事例をご紹介します。

■スピーカー

笹原 哲さん 株式会社Zeals People&Culture 責任者

山﨑 健太郎さん 株式会社NOLTYプランナーズ 管理部

■モデレーター

重松 裕三 株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー

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きっかけは社員の声を拾い上げるため

重松:モデレーターの重松です。このセッションでは、「人事が語る!エンゲージメントサーベイ活用で実現するより良い組織づくり」というテーマで、ディスカッションします。SmartHRは労務領域に加えまして、「従業員サーベイ」という従業員のエンゲージメントを測定できるツールを提供しております。本日は各社でどのように取り組みを進められているのかお伺いしていきます。

1つ目のテーマは、「なぜサーベイを実施したか」です。そもそもどういう目的でサーベイを実施したのか、詳しくお聞かせください。

山﨑さん:シンプルに「会社をもっと良くしたい」「社員に働きやすい環境にしたい」と思ったのがきっかけです。何名かの社員から「こんなことをしてほしい、あんなことをしてほしい」といった声はあったのですが、それが本当に全社員にとって一番いい施策や改善策に繋がるのかが正直わかりませんでした。本当は声をあげていないけれども、他のところに課題があると感じている人がいるのではないかと思ったので、まずはサーベイを実施してみようというのが始まりです。

山崎さん

山﨑 健太郎さん 株式会社NOLTYプランナーズ管理部。2017年4月NOLTYプランナーズ中途入社。14年の新卒以来、人事・総務分野を幅広く経験。2017年4月に現職に中途入社し、当初は勤怠管理のシステム化や中途採用の採用単価削減に取り組む。18年の春頃より従業員エンゲージメントに興味を持ち、SmartHR導入をきっかけに20年12月から従業員エンゲージメントサーベイとアクションプランの実施に取り組む。現在は、「会社をよりよく!」を信念に会社と従業員がWin-Winの関係になるようにアクションプランの実施を軸としてPDCAサイクルを回している。

笹原さん:組織が大きく拡大する中で、変化に対応する起点とするためにサーベイを始めました。サーベイを始める前にも、全社的に1on1の導入はしていて、ある程度吸いあげられるような状況はあったのですが、パーソナリティなど、もう少し深いところも聞きやすい場を作れないかと考え、サーベイの導入に至りました

笹原さん

笹原 哲さん 株式会社Zeals People&Culture 責任者。一橋大学商学部卒業後、リクルート、ワークスアプリケーションズ、AbemaTVなど日本有数のメガベンチャーで営業から新規事業開発、エンジニアリング、ソリューション開発、海外拠点でのマネジメントなど幅広い事業分野で重要な役職を歴任し、2020年8月よりジールスに参画。ジールスでは、ビジネス部門からプロダクト開発の責任者を経て、現在人事責任者として事業成長を躍進させる組織や文化づくりに従事。

内容によって頻度を変えてサーベイを実施

重松:問題点や不満点などを、より深く詳しく可視化できるサーベイですが、実際にどういったサーベイを実施されているのかについても、詳しく伺えますか?

山﨑さん:昨年(2020年)の12月に最初のサーベイを実施して、5月末で1つのサイクルが終わりました。そこから課題の抽出、改善施策の実施、振り返り、効果測定に半年ぐらいかけて1周したところです。

サーベイの内容は、SmartHRのプリセットをそのまま利用しています。注視していくポイントがわかったので、次からは四半期に1回実施をして、細かく定点観測していく予定です。

笹原さん:今は3つのサーベイを実施しています。半年に1回の従業員の満足度調査という50問近くあるサーベイと、月に1回のコンディションを簡単に把握するようなサーベイ。もう1つは、どういう意思決定を通じて入社してきてくれたのか、などの転職活動の状況を聞くようなサーベイです。3つありますが、SmartHRの機能を利用しているため、データが1箇所に集まり分析しやすいです。

意外と難しい、従業員への伝え方

重松:実際にサーベイを実施していく中で、難しく感じた点や、大変だった点については、いかがでしょうか?

笹原さん:一番難しかったのは、実はネーミングでした。「従業員サーベイ」という伝え方になってしまうと、管理されている印象を与えてしまうと危惧していました。「今思っていることや悩みを気軽に共有してもらいたい」というのが本当にやりたいことであって、そういうトーンを表現するために、サーベイをどうネーミングして受け入れてもらうかが一番悩んだ点です。

重松:例えば、「アンケート調査」みたいな名前だと、従業員からすると「ちょっと回答しづらい」となるのでしょうか?

笹原さん:弊社は「ウェザーリポート」というタイトルを付けています。「チャットコマウス」というマスコットキャラクターがいるのですが、彼が天気予報士に扮して、「皆の天気を教えて!」と聞くようなかわいいスライドを作ることにより、回答しやすいように工夫しています。

重松:なるほど。山﨑さんはいかがですか?

山﨑さん:難しかったことは、導入前と導入後それぞれありました。導入前では、社内の認識を合わせ、サーベイ実施のための土壌づくりに苦労しました。

導入後は、社内の期待値調整に苦労しました。実際にやってみると、「1回やってアクションを起こして、何かが劇的に変わる」と思っている人が多かったんです。今は5年後10年後に会社がステップアップしていくための準備期間なので、社員にも経営陣にも長い目で見守ってほしいですね。

笹原さん:弊社でも同じようなことがありました。サーベイは、「今この瞬間に何か効果を生むもの」ではなく、「未来に対して準備をするもの」という認識をしてもらう必要があります。また、未来でどういうことが起こりそうなのか、どう対応するのかを経営メンバーでシンクロしていくのも大事だと思います。

例えば、「人が増えていくと階層がこう増えていく」みたいな図解をしています。どういう問題が起こる可能性があるか、皆が同じ頭になるように図できちんと作って伝えています。

重松:実際にサーベイを実施するにあたって、社内の意思をいかに統一していくか、意義をしっかり伝えていくのかが大事ですね。ありがとうございました。

サーベイ結果から取り組んだこと

重松:それでは次のテーマです。実際にサーベイを実施し、その結果からわかったこと、それに対してどういう施策を打たれたのかを伺います。

山﨑さん:経営陣と話した際に、直接耳に届く課題と、実際にサーベイの結果で出てくる課題に若干ズレがあると感じました。実際に耳に届く課題は待遇面の不満などが多いのですが、サーベイ結果では、経営陣との信頼関係の部分であったり、経営理念や行動指針、バリューの浸透具合であったり、あとは上司との関係性に課題を感じている社員が多かったです。

重松:サーベイでまったく別の項目があがってきたのは、面白いですね。それを踏まえて行った施策を教えてください。

山﨑さん:弊社の代表に、全従業員を対象にした経営陣とのグループ面談をしてもらいました。5、6人ずつで1回1時間くらいの面談を、2~3週間かけて進めたんです。これにより、会社のカルチャーやミッションをしっかり代表から社員に伝えられたので、すごく効果的でした。

他にも、管理職向けに目標設定の面談などを通じたコミュニケーション研修を実施するなど、上司との関係性や信頼関係の項目で浮かんできた課題にも取り組んでいます。

重松:すぐに結果が出るものではないですが、サーベイの結果からしっかり施策に移している、といった素晴らしいお話でした。笹原さんはいかがでしょうか?

笹原さん:半期に1回の満足度調査は、ビジョン浸透や業務内容についての満足度を測りつつ、総合で何点なのかを教えてくれるサーベイなのですが、全体的な満足度が非常に高いことがわかりました

ビジョン浸透やマネージャーとのグリップを強めていきつつ、制度面では社員に還元しきれていない部分が多いのでその点についてどう満足度を高めていくべきかを把握することが経営の狙いです。

サーベイ結果もほぼ上記で予想していた内容となり、定量的な論拠をもとに急いで施策を行う必要がないとわかったのも大きな発見でした。

重松:なるほど。予想していたことがきちんと数値化され、施策実施の意思決定に寄与したということですね。

サーベイがもたらした「会社は聞いてくれる」という信頼感

重松:続いて、サーベイを導入したことで実感した効果については、いかがでしょうか?

笹原さん:コミュニケーションがしやすくなったことが一番大きい効果です。先ほどお伝えした「ウェザーリポート」では、普段はなかなか聞けない困っていることや、目指しているキャリア像をヒアリングできました。カジュアルな相談の場だと認知してもらえたことで、「この会社は聞いてくれる」という信頼感に繋がったと感じています。

また、もらった声はすぐに回答するようにしています。具体的には、“打ったら響く会議”という会議をサーベイの期限が終わった後にすぐ実施しております。サーベイ結果を見て「この人にはこういうアクションを取っていこう」と決めてスケジュールをおさえているので、「何か伝えたら何か返ってくる」というリズムが信頼感に繋がっています。

重松:サーベイ実施後、やりっぱなしで改善のアクションを起こさず、従業員が不満を募らせるケースは多くあります。長期的な施策も大事ですが、おすすめしているのは、まずは短期的に成果が出そうなもの、アクションがとれるものに取り組んでみることです。その積み重ねによって従業員との信頼関係が深まり、サーベイを結果的に成功に導くとと考えています。笹原さんの“打ったら響く会議”というのはすごく素晴らしいですね。

山﨑さん:弊社も笹原さんと同じで、やはり「言っていい場所」を作れたことは一つ大きな効果だと思います。同時に、経営陣や社員からも「会社を良くしよう。そのためには黙ることじゃなくて発信していくことだ」という雰囲気も出てきました。「あの施策は良かったけれど、この施策はね……」とか「もっとこうしたら良くなるんじゃないか?」など、場所や機会を設けなくても、社員自ら改善に向けて提案するケースも増えてきました。徐々にですが、ポジティブな空気が生まれているのをとても実感しています。

従業員が夢を語れる会社にしていく

重松:人事から経営のメッセージも伝え、結果的に会社が良くなっていく。そして皆が楽しく働けるといいますか、やりがいを持って働けるような環境ができていくのはすごく理想的なサイクルだと思います。では、次のテーマ「今後やっていきたいこと」について、お二人に今後取り組んでいきたい施策などを伺いたいのですが、いかがでしょうか。

山﨑さん:全社員が本気で夢を語れる会社にしていきたいですね。夢を語る、夢を持つことは、自分の将来が明るく、見通しが立っていないとなかなか出てこないと思うので、まずは会社をそういうことが考えられる場にしていく。その上で社員が本気で夢を語って、他のメンバーがそれを本気で聞いて語り合えるような、そんな会社にしていきたいと思っています。

笹原さん:まず大前提として、従業員の皆が明るく元気に思いきり働ける環境や場を作りたいと考えています。個々人がパワフルに真っ直ぐ頑張れる職場がありながらも、経営が強くて大胆な意思決定できるような変化対応力のある組織を実現していきたいです。今後も、人事施策やサーベイをしっかりと分析していきながら、再現性のある形で強い組織や事業を作りたいですね。

まとめ

重松:お二人にお話いただきました通り、経営の意思決定にエンゲージメントを活用し、組織が一丸となり同じ方向を向く、そういった環境作りはとても大切だと感じました。では、最後にお二人から一言いただいてこのセッションを終わりにします。

笹原さん:こうやってお話をさせていただくことで、あらためていろいろ整理でき、従業員サーベイを通じて組織について振り返るいい機会になりました。日々、感覚で進めてしまう領域が多い分、こうして数値化していくことで逆に大胆なことを考えられ、より強く推進できる施策も増えていくと思います。感覚と、データに基づいた強いチャレンジをしながら、明るく激しく楽しい職場を作っていきたいです。

山﨑さん:今の施策が本当に5年後10年後の会社の良い未来像に繋がっているのかは正直わかりません。ですが、人事がこうやって変えようとしている姿勢を見せていくこと、実際にアクションを起こしていくことが、強い会社に繋がっていくと感じています。このセッションが、見ていただいている方々の叶えたい未来に向かって1歩踏み出すきっかけになれば幸いです。

重松:ありがとうございます。お二人とも素敵なお話をありがとうございました。

SmartHR Mag.編集部員。専門家メディアの編集者、人事労務系SaaSのマーケティング担当などを経て、2021年SmartHRに入社。オウンドメディア、ebook、動画など広くコンテンツ制作に携わる。三度の飯よりゲーム好き。
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