人事・労務のキャリア ぶっちゃけ座談会【PARK 2021 パネルディスカッションレポート】

2021.10.28 ライター:元田有紀

2021年8月27日、年に1度のSmartHRユーザーの祭典、『PARK 2021』が開催されました。パネルディスカッションの2部では、4名のユーザーをお招きし、人事・労務のキャリアをテーマにした座談会を実施。

人事・労務業務といっても、勤怠や評価、DX化に伴うプロジェクトマネジメント、従業員エンゲージメント施策、IPO準備・労務監査など、業務は多岐に渡ります。それゆえに、キャリアの選択肢も増えているのではないでしょうか。

イベント当日は、「どんな軸でキャリア選択してきたか?」「これからどんなことがやりたいか?」を、さまざまな経験をお持ちの4名のSmartHRユーザーが語りました。

その内容をまとめた本稿を、ご自身のキャリアを見つめるきっかけとして、ぜひご活用ください。

記事の最後には、本セッションを1枚のイラストでまとめた「グラフィックレポート」もご用意しておりますので、お楽しみに!

PARK 2021のダイジェストレポートは以下です。

164名の人事・労務がオンラインで交流! SmartHRユーザーミートアップ「PARK 2021」レポート

登壇者のご紹介

パネルディスカッション②登壇者のみなさん

■パネラー

佐藤 耕平さん(株式会社SUPER STUDIO)

大谷 菜保さん(株式会社プレイド)

杉山 昌さん(株式会社やる気スイッチグループ)

■モデレーター

伊藤 和德さん(株式会社ウィルゲート)

 

伊藤さん:「人事・労務のキャリア ぶっちゃけ座談会」、私自身なかなか自社以外の情報にふれる機会がないと日頃から感じていました。このような場でオープンに議論されることで、皆さんのキャリアや日頃の人事・労務の業務に対してのご参考になればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤さん:登壇者それぞれから自己紹介いたします。まずは私、伊藤は、2015年に大手の自動車部品メーカーであるデンソーに入社しまして、最初はグローバルでの半導体部品の調達を担当していました。株式会社ウィルゲートには未経験人事として入社し、新卒中途採用・労務・制度周り・評価などを幅広く関わっています。

佐藤さん:みなさんこんにちは。株式会社SUPER STUDIOの佐藤と申します。私は2010年にNTTデータというシステム会社に就職し、9年間、人事給与システムやマイナンバーに関する官公庁系システムのプロジェクトマネージャーを担当していました。

その後転職したSUPER STUDIOは、EC基幹システム「ecforce」をSaaSとして提供している会社です。私個人としては社会保険労務士の資格を取得しており、知り合いづてに人事・労務の相談に乗ることもあります。

大谷さん:株式会社プレイドの大谷と申します。私も伊藤さんと同じく、新卒で自動車部品メーカーに入社しました。5年の勤務ののち、いくつかのITベンチャー企業で人事・労務を軸足に総務や法務、情報システムを兼務しながら、管理側の業務を幅広く担当してきました。人事・労務のキャリアは8年になります。

杉山さん:株式会社やる気スイッチグループの杉山と申します。私はリクルートライフスタイルという会社で 法人営業を担当したのち、ビズリーチで新規事業開発に取り組んでいました。「HRMOS(ハーモス)」というHRサービスの新モジュールの開発の仕事をしていたのですが、そうしているうちに、事業会社の人事側として働きたいと思い、現職に至ります。当社は塾や幼稚園を運営している会社です。現在、第二創業のフェーズで会社がいろいろと変わっているところです。

パネルディスカッション2

異なる職業から人事・労務に惹きこまれた、それぞれのストーリー

伊藤さん:ありがとうございました。同じ労務とはいえみなさんさまざまなキャリアを歩んでいらっしゃるんですね。

1つ目のセッションテーマは「人事・労務との最初の接点は?」です。みなさんはどのような経緯で労務とか人事に興味をもたれたのでしょうか。大谷さんからお願いします。

大谷さん:私はもともと「情報システム室」という人事・労務とは関係ないところからキャリアがスタートしました。2社目のITベンチャーでは情報システムとして社内で使うシステムのリプレイスや、セキュリティに関する業務を担当していたのですが、ちょうど人事・労務の前任者の方が退職し、そのポジションが空く状況になったんです。

ですので、ド素人の未経験ながら、情報システムと総務・人事・労務を兼務することになったのが始まりですね。社会保険や給与計算の知識がなかったため、業務と並行しながら勉強しました。

伊藤さん:さらっとお話しされましたが、非常に努力されてきたんですね。続いて、佐藤さんはいかがですか?

佐藤さん:NTTデータ時代に最初に入ったプロジェクトが人事給与システムの開発でした。法律の知識がないと開発できないため、社会保険労務士の資格の勉強を始めたんです。

また、新卒時代、給与明細を見るといろいろな項目が控除されていることに驚いたんです。「労務のこと知らないと損するんじゃないか」といった感覚をもつようになったのもきっかけでしたね。

伊藤さん:たしかに給与明細は、労務業務をとおしてはじめて理解することも多いですよね。続いて杉山さんはいかがですか?

杉山さん:前職でHRテクノロジー系の新規事業のサービスをつくっていたとき、人事や労務の方に「何に困っていますか?」「それはなぜ今のシステムで解決できないんですか?」といったことをヒアリングする機会がよくありました。

お話を聞くなかで、めちゃくちゃ“負”があるなと感じ、それを改善したいと思う様になりました。また、人の成長に関われる人事・労務の仕事に面白さも感じていました

伊藤さん:ありがとうございます。きっかけも三者三様なのですね。

社内からの理解を得るためのヒント

伊藤さん:次のセッションテーマは「やったった! ストーリー」です。これは、みなさんが労務業務をやられているなかで、「これは自慢できるくらいやった!」と思えるエピソードをご紹介いただきます。

視聴者の方が各社で活かせるような実用レベルのヒントも得られるのではないでしょうか。では、佐藤さんからお願いします。

佐藤さん勤怠や給与計算の運用をゼロから構築したことです。入社当時は勤怠や給与計算、社会保険の手続きなどにミスがあり、ズタボロの状態でした。2年ほどかけて体制を整えた結果、今では大きなミスがほとんど起きなくなりました。

伊藤さん:振り返って、一番大変だったのはどのようなことですか?

佐藤さん:これまでの負の遺産の解消ですね。過去の間違いを修正する作業は難しく大変です。まずは未来に向かって過誤が発生しないように運用を整備して、過去の間違いはあとから徐々に整理していくスタイルで進めました。

伊藤さん:既存のやり方を変えるにあたって、周囲を巻き込む難しさもあるかと思いますが、コミュニケーションで工夫されたことは何かありますか?

佐藤さん:PCのログをベースとして勤怠管理するツールを使いはじめたころは、周りを巻き込む大変さを感じました。実際の勤務時間とログ上での勤務時間に差異が生まれてしまうことがあるんですよね。

従業員からネガティブな意見もいただいたため、個別に場を設け背景を説明し、理解していただくようにしていました。

伊藤さん:続きまして、杉山さんの「やったった!」を教えていただけますか?

杉山さん:私は人事・労務経験が長くないため、みなさんほどの「やったった!」はまだありません。そのなかでとくに注力したことといえば、入社や契約更新など人事情報の業務フローの再設計です。

当社は雇用形態がさまざまな従業員が6,000人ぐらいおり、拠点も150ぐらいあります。人の出入りも契約更新も頻発する中で、SmartHRやほかのシステムの使い方を整えていきました。

伊藤さん:6,000人の規模になると、関係者の調整や周囲の巻き込みもすごく大変ではないですか?

杉山さん:拠点数も関係者も多いので、一番時間をかけたと思います。長く営業や新規事業に携わってきた経験から、人とのコミュニケーションやプロジェクトの回し方のスキルが身についていたので、それらを活かせたのではないかと思っています。

「どうしたらできますか?」と、できる方法を聞いたり、「なんとかやりきりましょう!」と声をかけたり、ポジティブなスタンスでいろいろな人に交渉したのはうまくいった理由の1つかもしれません。

伊藤さん:丁寧に関係者とコミュニケーションをとり、理解を得るのはポイントになりそうですね。では、大谷さんからもお願いします。

大谷さん:前職での経験になりますが、社内コミュニケーションの制度や福利厚生などの新しい制度を作れたことですね。なかでも印象深いのは「育児支援制度」です。会社として認可保育園と保育園の差額を一部出したり、病児保育の費用を会社が負担したりする制度を作りました。

今でこそ認可外の保育園やベビーシッターの利用に対する補助金が増えてはいますが、5年前は世間的にもそういった動きは多くありませんでした。私自身子どもが2人いて、子育てとキャリアを両立させたかったという背景もあるのですが、人事・労務の立場だからこそできるサポートをしたいですね。

伊藤さん:制度を導入する際に、こだわったことはありますか? あるいは導入後に変えたところもあれば教えてください。

大谷さん:0から1の制度づくりは結構大変でしたね。どういうかたちで会社がお金を出すのか、税務的にも課税なのか非課税なのかといったことにも絡んできます。それに、社員全員を対象としないため、社員の理解や経営陣への説明も必要です。社会の状況や社員のニーズを伝え、合意を得ていきました。

伊藤さん:ありがとうございます。みなさんのお話で共通しているのは、「まずどうあるべきか」を考えたうえで、進められているところですね。

通常業務の枠を超えた活躍を目指す

伊藤さん:続いてのセッションテーマに移ります。「これからの人事に求められそうなことは?」というテーマですね。佐藤さんいかがですか?

佐藤さん:人事・労務以外にも武器をもった人が今後は活躍できるのではないでしょうか。社内でも、活躍している方はスキルの掛け合わせができているように思います。

伊藤さん:佐藤さんは、どんな武器をもちたいとお考えなんですか?

佐藤さん:僕はITスキルですね。前職がシステム関係の会社だったこともあり、ITスキルはある程度もっていると自負しておりまして。そこを掛け算し「労務×IT」でやっていきたいと思っています。

伊藤さん:ありがとうございます。続いて杉山さんいかがですか?

杉山さん経営の意思決定をサポートできる人事は、非常に求められていると思います。労務や人事にしかない目線で守るべきことを経営者に伝えることで、最適な施策を決めていけるのではないかと思います。

伊藤さん:杉山さんは事業部での経験も豊富な印象ですが、その経験が活きたと思うことはありますか?

杉山さん:事業部では、売上や利益の創出が重要視されます。その分、人事・労務の目線は薄くなってしまいがちです。人事・労務の視点をもつ立場だからこそ、一歩踏み込むコミュニケーションを心がけています。意思決定に影響しそうな周辺情報を求められなくても出すことや、知っているかもしれないなと思うような情報もあえて共有して知識レベルを合わせることも意識しています。人事・労務担当の攻めの姿勢が事業の成長スピードにもいい影響を与えるのではないでしょうか。

伊藤さん:ありがとうございます。大谷さんからもお願いいたします。

大谷さん:法律を守ることももちろん重要ですが、会社がどういう方向にいきたいのか、どんな組織をつくりたいのか、それを実現するためにサポートしていく・推進していく立ち位置が求められていると思います。

それぞれが目指すキャリア

伊藤さん:最後のセッションテーマです。「今後どんなキャリアにしていきたいですか?」さっそく、杉山さんからいかがでしょうか?

杉山さん:尊敬できる経営者のサポートをし続けたいと思っています。そのためには学び、知識を蓄え続けることを意識したいです。また、より事業側に近い取り組みをしていきたいですね。HRビジネスパートナー(HRBP)のように、事業を伸ばすために人事を考える立場でありたいです。

伊藤さん:ありがとうございます。大谷さんは、これからのキャリアどのようにお考えですか?

大谷さん:当社は社員が急増するフェーズにありますが、変わらず大切にしていく部分と、チャレンジすべき部分を見極めて取り組んでいきたいです。

管理側としては、人数が多くなるほど統制して業務が楽になる部分もありますが、社員の自走を重視する当社にとっては、「何も統制しない」ことも必要です。企業規模が大きくなってもベンチャー感・スタートアップ感を維持できるよう、トライしている最中ですね。

伊藤さん:お話の中でプレイドさんの会社の雰囲気も感じました。ありがとうございます。佐藤さんはいかがですか?

佐藤さんいつかは自分で社労士事務所を独立開業し、実家の山形に帰りたいと思っています。最近は社労士業もリモートでしやすくなっているようなので、山形から全国の労務でお困りの会社を助けていけるような存在になりたいですね。

伊藤さん:佐藤さんが士業でチャレンジしていきたいなと思われたのには、理由があるんですか?

佐藤さん:やはり純粋に労務が好きだからですね。システムエンジニアとして仕事をしていたときは、あまり労務への意識をもてていなかったのですが、労務に携わるようになってからは休みの日も含め法改正などの最新情報を収集しています。「労務を生業にしたいんだ」という気持ちに、最近気づいたんですよね。

伊藤さん:素敵ですね。ありがとうございます。

参加者からの質疑応答

伊藤さん:セッションテーマ自体はこちらで終了となりますが、質疑応答の時間に移ります。さっそくですが、1つ目の質問です。「キャリアの意思決定をするうえで大事にしていることはなんですか?」とのことですが、皆さん、いかがですか?

大谷さん「自分が楽しいと思えるか、ワクワクできるか」これにつきますね。人事・労務が楽しくて8年ぐらい続けているんですけど、自分が「楽しい」とか「もっと突き詰めてやりたい!」という想いがないと、淡々とやるだけになっちゃうかなと思っていて。キャリアを選択していく中では、直感を大切にしています。

杉山さん「雑食にいろいろ情報収集する」ことを大事にしています。営業職や新規事業を経験してきたなかで、人事の面白さに気づけたのも情報収集のおかげでした。意思決定が必要なときは、迷ったらやらないことにしています。転職など大きな意思決定の際は、次にしか目が行かないくらい意思が固まったら動くようにしています。、

伊藤さん:ありがとうございます。では次の質問です。「人事・労務の評価はどのようになされていますか?」という質問ですね。

佐藤さん:労務は守りの要素が多い仕事ですので、いかに攻めに変えられるかが大事だと思います。具体的にいうと、オペレーションの煩雑さを改善して効率化を進めることなどですね。評価されるポイントはそのような攻めの改革なのではないでしょうか。

杉山さん:佐藤さんのお話と逆の視点ですが、人事・労務は守りが重要になる部署でもありますよね。ミスなく工数少なく運用していける体制や仕組みが構築できているかも重視すべきだと思います。

伊藤さん:ありがとうございます。質疑応答はこちらで終了となります。本セッションの最後に各登壇者の方々から、1人1言ずつお願いできますでしょうか?

佐藤さん:労務は縁の下の力持ちであるからこそ、どこの企業でも汎用的に使える知識や知見を獲得できる分野です。生きていくうえでも大切な知識も得られる、魅力的な仕事だと思っています。

ただ、孤独な一面もありますよね。働くことに対して苦しい思いをしている人を少しでも減らしていけるような取り組みができたらいいですよね。SmartHRさんのコミュニティなどをうまく活用しながら、みなさんと情報交換をしていければ嬉しいです。

大谷さん:「型にハマった仕事」とか「面白味がない」とか、周りからは思われがちな人事・労務ですが、私自身はそう感じたことがないんです。

人事・労務の課題は経営課題に直結するし、課題解決の方法も1つではないため、アイデア次第でどのようにも変えられます。会社や社員に合う解決方法を考え、経営と社員を結ぶ存在になりたいと思いながら、これまでやってきました。

私のキャリアもまだまだこれからなので、SmartHRさんのコミュニティで横の繋がりを大事にしながら、今後も頑張っていきたいです。ありがとうございます。

杉山さん:今の会社でいろいろなチャレンジをさせてもらえているのは、人事・労務という仕事の幅が広いゆえだと思います。さまざまなスキルやキャリアのある人が活躍できる場所だから、計画的に学ぶ意味があるのではないでしょうか。

人事・労務担当者はまさに“縁の下の力持ち”として必要な存在です。「人事・労務が進化すると事業も会社も進化する」と自身の経験から感じているので、コミュニティを通じて一緒に学んでいけるようになれたら嬉しいなと思っています。

伊藤さん:登壇者のみなさまありがとうございました。今回のセッションが視聴者のみなさまにとって少しでも有意義な時間になれば幸いです。

当日のグラフィックレポート

当日のグラフィックレコーディング
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当日の様子をリアルタイムでまとめた1枚。今回は、グラフィックレポートのプロフェッショナルであり、「はじめてのグラフィックレコーディング」などの著書でも知られる、デザイナーのkubomiさんが会を彩ってくれました!

 

【執筆・まえかわ ゆうか】

エディター / ブランディングプランナー / カレー屋さん。アパレルからビジネス分野まで幅広い分野でクリエイションを提供する。専門分野は食。

元田有紀

SmartHR ガイド 編集部員。ファッションアプリ、子育て・働く女性向けメディアの運営・編集担当、HR系SaaSのマーケティング担当を経て、2020年SmartHRに入社。マーケティンググループにてさまざまなコンテンツ制作に関わる。ダンスが好きな関西人。
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