サッポロドラッグストアー×南山城学園×SmartHR。年末調整の運用を語り合った「PARK mini 関西」2021年9月編 レポート
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こんにちは! SmartHR 関西支社 カスタマーサクセス担当の西川です。
年末調整も差し迫る2021年9月28日、まさに「SmartHRでの年末調整の運用」をテーマにしたSmartHRのユーザーミートアップ「PARK mini 関西」をオンラインで開催しました。
ご多忙な中、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございます!
本稿では、PARK mini 関西の様子や、その中で共有された「年末調整の運用事例」をこれから年末調整を実施される皆さまのヒントになるように、レポートします。
そもそもPARK miniとは?
SmartHRユーザーが集まって、日頃の人事・労務についての悩みを共有したり、SmartHRの活用方法をシェアしたりと、日々の現場での課題解決をするための交流会です。定期的に開催しており、今回は「PARK mini 関西」として、関西エリアのSmartHRユーザーを対象に実施しました。
今回「年末調整の運用」をテーマに選んだわけ
私たちカスタマーサクセスの担当は、数多くのお客様に携わるなかで、「もっと他社の人事労務の方と交流してみたい」「他の会社はどのように業務を進めているんだろう?」といったお声をいただくことが非常に多いです。SmartHRがサポートをするのはもちろんですが、実際にSmartHRの運用や人事・労務を経験されているお客様同士で情報交換してもらえるのが一番現場の知見が得られるでは?と思いユーザー会を開催しています。
その中でも「年末調整」はどの会社でも実施され、期限も明確にある一大イベント。お金に関わる業務でもあるため、失敗は許されないというプレッシャーの中、人事・労務担当の方は業務にあたられているはずです。
少しでも今年の年末調整がスムーズに運用できるようにお力添えできればと思い、関西エリアのお客様同士の交流を深めていただく目的も合わせて企画しました。
※会のテーマやキャパシティの関係ですべてのお客様に一度にお声がけするのは難しいため、SmartHRからのメールマガジンや各担当CSMを通じて随時告知していきます。
コロナ禍の影響を考慮し、今回も「Zoom」を使ったオンライン形式で開催。先々、オフラインでも開催したいですね!
今回は、前半でSmartHRの年末調整の運用事例を3社に共有していただくパネルセッションのパートと、それを元にそれぞれの会社同士で情報を交換していただくディスカッションパートの2部制で実施しました。
SmartHRユーザーのパネリスト3名による事例共有
それぞれ、これから年末調整を実施される方にもお役立ていただける情報が満載でしたので、多くの人にご活用いただけるよう本稿で紹介します!
登壇者1 株式会社サッポロドラッグストアー 谷口さん
ドラッグストアーと調剤薬局を札幌を中心とした北海道全域と沖縄にも展開している会社。人事の業務としては、主に給与・社会保険・労務・健康経営に関する業務を取り扱っている。
登壇者2 南山城学園 溝口さん
南山城学園は京都で介護福祉施設や保育園などを運営している社会福祉法人。総務課で主に人事・労務・給与を担当している。
登壇者3 株式会社SmartHR 労務担当 長橋さん
前職でもSmartHRを利用しており、SmartHR社内では主に労務/給与を担当。
質問1「SmartHRの年末調整機能を利用してよかった」と感じたことを教えてください。
回答者:サッポロドラッグストアー 谷口さん
▼良かった点1:ペーパーレス
やはり、紙が減ったのが一番よかったことでしょうか。弊社は約3,200名強の従業員がおりますので紙の量が毎年膨大で……。まず、店舗に紙を発送する、店舗より提出されてきたものを届いた・届いていないをチェックし、扶養控除申告書・保険料控除申告書などの種類ごとに分け、それを社員番号順に並べかえる作業は他の部署からの応援をお願いしてまでおこなっていました。
今現在も保険料控除証明書の原本は並べ替えていますが、それ以外の作業がなくなったのは本当に良かったです。
▼良かった点2:時間の節約
店舗などへ送る準備や郵送するタイムラグがなくなり、申告書の返送も待たなくていいので、内容をタイムリーに確認できるようになって、かなりの時間の節約に繋がった印象です。
▼良かった点3:ミスや不備の減少
以前は申告書の内容をExcelで管理していたので、ダブルチェック時には、数字もそうですが、Excelの入力箇所が段ずれをしていないかなども含めて確認していました。今は、ある程度SmartHRで計算処理が終わったデータを給与ソフトに一括で入れるだけでいいので、ミスが減りましたね。また、書類を送った・届いていないなどの従業員とのやりとりもなくなりました。
回答者:南山城学園 溝口さん
▼良かった点1:ペーパーレス
紙の時代は年末調整の時期になるとどうしても事務所内に申告書が積み上がってしまって煩雑だったのですが、SmartHRを利用することで保管や整理の手間がなくなりスッキリしました。
▼良かった点2:個人情報保護の観点
また、申告書に書かれる内容は個人のセンシティブな情報が書かれていると思うのですが、紙で回収していた時代は、施設が複数あるため回収の取りまとめを施設長にお任せしていて、どうしても施設長に申告書が見えてしまうのを制限しきれない側面がありました。その点SmartHRだと個人が直接総務課へ提出できるので、安心して情報管理ができると感じています。
質問:南山城学園さんはSmartHRの導入を機に、年末調整を内製化したとお伺いしていますが、内製化してどうでしたか?逆に内製化したデメリットというか苦労された点はありますか?
以前は年末調整の一部業務を税理士に任せていたんですが、SmartHRを導入することによって申告書の回収から給与ソフトへの反映まで全て法人内で実施できました。税理士に任せていた部分を社内で責任を持ち確認をする必要があるので、緊張感はありましたね……。
でも、申告書提出の進捗管理がしやすくて、「誰がまだ出していないのかが逐一わかる状態」は、進行する上で心理的に安心できました。
回答者:SmartHR 労務担当 長橋さん
▼良かった点1:データの一元管理
ここは前職でのお話しになりますが、SmartHRを人事データベースとして活用していると常に最新情報がSmartHRに入っているので事前の準備から依頼まで手間かからずラクにできます。
▼良かった点2:ヒントメッセージを追記できる
SmartHRのアンケートにはヒントメッセージを記載できるので、例年質問が多い部分に予めヒントメッセージを記入して、従業員の混乱や人事労務への問い合わせを減らすように心がけていました。
質問2「今年の年末調整はSmartHRで実施する」と従業員の皆さまへ展開する際に工夫したことや気を付けたこと
回答者:谷口さん(サッポロドラッグストアー)
▼周知・依頼時の工夫
弊社は毎年 11月初旬 から従業員に年末調整の入力をしてもらっております。
その1ヶ月前の10月初旬に、従業員に対して「何を用意する必要があるか」「手元にない場合は再発行を依頼して11月1日までに準備すること」と「入力時期」を周知して、事前準備を依頼しています。
その後、10月末に再度、「SmartHRからメールが届きますので、メールを開いて年末調整入力してください」「法改正やSmartHR上で変更点」「入力の注意点」などの通知を出しています。店舗指示連絡に、依頼周知のためのA4サイズの掲示物 1~2枚作成したものを各店舗で掲示してもらい全従業員に周知しています。
▼ヒントメッセージの補足
細かな工夫だと、今までの年末調整時に質問が多かったところ・間違いが多かったところに関して、難しい言葉をわかりやすく説明を補足しています。例えば、「扶養」や「配偶者」や「勤労学生」などの担当者は知っていて当然と思われる言葉でも、従業員にはわかりにくい言葉に対しての意味をヒントメッセージで補足し、間違った入力や問い合わせを極力減らせるようにしました。また、その年の質問が多かった内容に関して担当者で共有し、次年度のヒントメッセージをアップデートする対応をしていますね。
質問:サッポロドラッグストアーさんは、すでに何回か年末調整のご経験があると思いますが、初年度と2年目以降とでは、どのような違いがありましたでしょうか。
初年度にかなり細かいマニュアルを作成して対応し、社内ツール上にアップしたり、年末調整は、毎年人事部内でタイムスケジュール作成していましたので、それに注意点を記載して2年目以降につなげていたため、2回目以降の準備時間は初年度よりは必要としませんでした。
ただ、年末調整は1年に1回のことなので、「去年どうだった?」と忘れてしまうこともあるので、2年目以降、気になったところはメモをとるなど担当で共有するなどして次年度に活かすようにしています。
2年目は、従業員が入力する際、前年の生命保険のデータの一部や住宅控除のデータなどが引き継がれているので、入力業務が減り、入力ミスも減って人事部のチェック時の修正が減ったと思います。従業員からも「2年目は入力が楽で良かった!」と言われました。
回答者:溝口さん(南山城学園)
▼周知・依頼時の工夫
SmartHRを導入してから最初の利用機能が年末調整だったので、 「SmartHRで年末調整やりますよ!今年から年末調整はペーパーレスですよ」とアナウンスをしました。まずは管理職にアナウンスを行い、管理職から職員にアナウンスしてもらうようにしました。年末調整の利用マニュアルはSmartHRが作成している雛形を利用し、依頼日の2週間前に職員に展開しています。
▼ヒントメッセージ
弊社の場合は、ヒントメッセージの設定は特に設置しなかったんですが、特に問題なく実施できました。
▼操作説明会
依頼後は、操作説明会をオフラインで開催しながら、各拠点からも参加できるようにオンラインも繋げて4回実施しました。高齢な職員やマニュアル読むのが面倒な職員の参加が多かったです。
回答者:長橋さん(SmartHR 労務担当)
▼周知・依頼時の工夫
依頼日の直前に、オープン社内報 で「提出期限」や「生命保険料の記入方法」や「11月入社者向け」のメッセージを公開していました。
▼ヒントメッセージ
実はオープン社内報でこっそり弊社の設定したヒントメッセージも確認いただけます……!笑
【終了しました】ホンモノの依頼です。年末調整の提出期限は11月16日(月)です|SmartHRオープン社内報
質問3 スマホやPCでの入力が苦手な方や、休職者などSmartHRから年末調整の申告が難しい人へはどのようにフォローされたのでしょうか?何か苦労された点などありますか?
回答者:サッポロドラッグストアー 谷口さん
▼休職者の対応
弊社も休職者については郵送で年末調整の案内を行い、SmartHRで申告をお願いしています。
▼デバイスを持っていない人・苦手な人の対応
スマートフォンやパソコンを持っていない方に対しては、店舗にあるiPadを利用しSmartHRで入力してもらっています。弊社の場合は、店長の年齢層が比較的若くデバイスの操作にも慣れている人が多いので、iPadの利用方法は店長にサポートしてもらっています。
回答者:南山城学園 溝口さん
▼デバイスを持っていない人・苦手な人の対応
操作説明会では、その場で SmartHRにログインしてもらってアンケートを入力してもらい、入力方法が分からなければその場で解決できるようにしたんですが、それでも上手く入力できない方に対しては、紙の申告書で提出してもらい、管理者側でSmartHRに代理で入力していました。
▼休職者の対応
休職者や甲乙判定が不明なドクターや非常勤職員には郵送でSmartHRの利用案内を送付し、アンケートを提出してもらっていました。
回答者:SmartHR 労務担当 長橋さん
前職でのお話しですが、南山城学園さんと同じく、高齢の職員については紙の申告書に記入してもらい、管理者側で手打ちで対応していました。産休や休職の職員には案内と原本回収用の返信用封筒を同封して郵送していました。
質問4 申告書のチェック体制を教えてください
回答者:サッポロドラッグストアー 谷口さん
▼チェック体制
生命保険会社の情報等は前年を引き継がれていますが、やはり金額や介護保険などの入力箇所等は例年間違っている確率が高いので、最初に保険料のチェックを5名担当者全員で、社員番号何番から何番までは誰がするなどというチェック体制をとっています。
これが終了後、申告書の種類ごとに担当を分けてチェックし、その後、最終のダブルチェックをしています。
回答者:南山城学園 溝口さん
▼ チェック体制
弊社は年末調整を担当するメイン担当者が1名で、扶養家族や保険料控除のない職員の申告書はダブルチェックなしでチェック済にステータス変更していました。保険料控除申告書はダブルチェックしました。原本の提出用台紙は間違いが少なく提出できるよう工夫したものを配布しています。
回答者:SmartHR 労務担当 長橋さん
▼チェック体制
弊社も年末調整を担当するメイン担当者が1名いて、住宅ローン申告書や保険料控除申告書はダブルチェックしました。
後半は参加者同士の情報交換タイム!
後半は近い業種や業態の会社さん同士で集まってもらい、年末調整の運用面を中心とした情報交換の場に。一人一台端末が無い方、PC・スマホに慣れていない方への対応や、年末調整に関してのスタートの日程等、さまざまな話題で盛り上がりました。
参加された方の感想
やはり、実際に運用を遂行した会社さんの生きた運用方法や反省点などは説得力があり、とても参考になった という声が大変多かったのが印象的でした。
- 事前周知はあまり手厚く実施する予定はなかったんですが、SmartHRのオープン社内報 を真似して全従業員向けに周知をしようと思いました!
- 登壇された南山城学園様 の原本提出貼り付け台紙を参考に、原本提出用の台紙の作成を工夫しようと思います。
- 他社さんの事例を参考に、ITデバイス系苦手な人向けの対応を策定します。
- 入力が難しい障がい者の方への展開方法を改めて考えるきっかけになりました。
- ユーザー会の話題にあった「休職者」の年末調整の対応どうするか?を考慮するきっかけになりました
など、年末調整の運用を策定するにおいて、各社参考にしていただけるような事例の共有が行われていたようです。
また、今年がSmartHRの年末調整利用が初年度のお客様は不安も多いようでしたが、すでに何回か実績のあるお客様から「思っていたよりも心配しなくてもいい、案外従業員同士で教えあって解決してくれているケースも見られましたよ!」という声をかけていただいていたり、「自力で実施できない人へのフォローは手厚く泥臭くやりました」というコメントなどもあり、実際に経験された会社のご担当者さんの生の声の説得力にSmartHRのメンバーも同じく学ばせていただいた貴重な時間となりました。
あとがき
開催する前は「ちゃんと盛り上がるかな……」「有意義な時間にできるかな……」と不安でしたが、参加後のアンケート結果を拝見し、嬉しいコメントが多く、ホッとしました(笑)
人事労務という職種柄、社外の方との横のつながりが持ちにくいところもあるかと思いますが、SmartHRのコミュニティ活動が課題解決のための一助となれば幸いです。
今回いただいたご意見などを踏まえ、よりよいコミュニティにできるように運営していきたいと思います。今後とも、PARK mini 関西をよろしくお願いいたします!