【関西学院・杏林学園登壇!】 学校の働き方改革2021 セミナーレポート

2021.01.07 ライター:元田有紀

2020年11月17日、「学校の働き方改革2021」セミナーを実施しました。ITを活用した学校運営に積極的に取り組まれている、学校法人関西学院様、学校法人杏林学園様をお招きし、IT導入までの道のりや業務効率化の具体的な効果などを、トークセッションを通じてお話しいただきました。

登壇いただいたのは、

・学校法人関西学院 人事部 人事課 野原 亮一 様
・学校法人杏林学園 総務部 人事課 加藤 真人 様
・学校法人杏林学園 総務部 人事課 本田 梨恵 様
・SmartHR セールスグループ 氏次 祐貴

の4名です。

モデレーターは、SmartHR関西支社の今西 佑太が担当。本稿では、第二部のトークセッション、「2校の人事担当者が語る! 働き方改革を実現するIT導入のウラ側」の内容をご紹介します。

ITの導入を検討することになったきっかけ

今西:本日はテーマを大きく3つご用意しています。1つ目が、ITを導入することになったきっかけのお話、2つ目が、導入をどのように進めていったか、そして3つ目は、これから働き方改革をどのように推進していくか。この3つのテーマをもとに進めていきます。学校法人関西学院の人事部人事課 野原さん、学校法人杏林学園から、総務部人事課の加藤さんと本田さん、よろしくお願いいたします。

最初に、それぞれ職員数は何名いらっしゃいますか?

関西学院 野原さん:関西学院は、3,000名前後です。

杏林学園 加藤さん:杏林学園は、非常勤の方も合わせて約4,000名です。

今西:ありがとうございます。1つ目のテーマ、「ITを導入することになったきっかけ」について、現在はどのような業務をIT化していますか?

関西学院 野原さん:関西学院では勤怠管理と年末調整、雇用契約をIT化しています。

杏林学園 加藤さん:人事課の領域では、勤怠管理と年末調整、そして、RPAを導入し業務の効率化を進めています。今後は、給与明細や賞与明細、源泉徴収票の配布、入職手続きや職員の住所変更などもSmartHRを利用してペーパーレス化したいと思っています。

今西:そもそもIT化を始めたきっかけを教えてください。

関西学院 野原さん:勤怠管理のIT化は2013年頃から始めました。年末調整と雇用契約等についてはSmartHRを導入した2019年度からスタートしていますね。

きっかけは、人事労務業務の紙運用を改善したいと思ったことですね。特に年末調整は、紙を提出した後に手入力で給与システムに反映させており、作業時間もかなりかかっていました。なんとかそれを解消したく、導入に至りました。

今西:3,000名いらっしゃるとのことで、データの確認や修正業務も含めると、かなりの時間がかかっていたんですね。杏林学園さんはいかがですか?

杏林学園 加藤さん:職員の勤怠管理のIT化は2007年からですね。杏林学園には付属病院があり、医師の勤怠管理のIT化は2018年からになります。RPAは2019年から導入し、年末調整は2020年、今年の10月から実施中です。

RPAの導入に限った話でいうと、事務職員の働き方改革の一環でした。業務の効率化や時間外労働の削減等が主たる目的ではあったんですが、生産性や効率の向上への意識を高めたり、新しいことへチャレンジする意識を醸成したりできる機会になればとも思います。

今西:確かに新しいことへチャレンジする一歩はなかなか踏み出せないですよね。IT化の推進がそのような意識をつくっていくきっかけになればと思われたんですね。

IT導入検討の進め方、検討体制や上申の乗り越え方

今西:次に導入の進め方について、IT化の役割分担や体制について教えてください。

関西学院 野原さん:SmartHRの導入でいうと、私たち人事課で担当しています。例えば、全学で「新しいポータルサイト」を導入するような場合は情報システム系の部署も関わりますが、人事労務などの個別の部署に関わる案件については当該部署が検討して進めています。

今西:ありがとうございます。杏林学園さんはどうですか?

杏林学園 加藤さん:私たちも関西学院さんと同じで、学園全体に関わるシステムは、情報システム部門が企画・検討します。部署の個別業務に関わる部分は、各部署の担当者がメインで検討して、情報システム部門が支援に回る形ですね。

今運用している勤怠管理やRPA、年末調整は、私たち人事課が主導で検討を進めて、情報システム部門の支援を受けています。

今西:役割分担がすごく明確ですね。弊社セールス担当の氏次さんにもお聞きしたいのですが、どういった体制、役割分担で臨むのが良いのでしょうか?

氏次:関西学院さんや杏林学園さんからもお話しされましたが、人事部と情報システム部の連携であったり、情報共有がやはり大事です。

本格的に検討する前に、「こういうものを導入しようと探し始めている」と、早い段階で共有するのが必要だと思います。ある程度検討が進んだ後になると、やりたいことに対して、システム担当と人事担当の意見が合わなくなる可能性があるので、相談フェーズから足並みを揃えておきたいですね。

今西:ありがとうございます。両校は検討開始時にどのように情報収集されていましたか?

関西学院 野原さん:私は昨年の2019年4月に人事部に着任しましたので、導入までかなりスピーディに検討を進めました。情報収集するうえで基準にしていたのは、人事労務や勤怠管理などさまざまなITを扱う会社があるなかで、「費用面や運用面でどこがマッチしているのか」を重点的にチェックしてきました。最終的に一番人事労務に強いと思ったSmartHRを導入しています。

杏林学園 加藤さん:私たちはHR EXPOという展示会に参加して情報収集しました。取引のある銀行様からも情報を聞いています。

今西:検討時に最も重視していたポイントは何でしたか?

関西学院 野原さん:これは他の学校法人さんも共通だと思うんですが、学校法人の場合は予算が限られていますので、やはり「費用」を重視していました。次に「機能」ですね。現状の人件費、かかっているコスト、時間と比較して、SmartHRを入れるとどれだけ改善が見込めるのかを試算しました。

当時は年末調整をなんとかしたいと思っていましたので、年末調整だけを対応しているサービスでも良かったのかもしれませんが、給与明細の配布や雇用契約締結などの業務の効率化も見据えて、幅広く人事労務業務に対応しているSmartHRに決めました。

杏林学園 加藤さん:私たちとしては3つポイントがありまして、1つ目が「機能面」でした。人事領域の全ての手続きがペーパーレス化できるシステムであるか否かを中心に、まずは情報収集しました。当初、給与明細や賞与明細のペーパーレス化が検討課題に挙がっていましたが、せっかくシステムを入れてペーパーレス化するなら、年末調整をはじめとする人事領域の他の手続きもペーパーレス化できないかなと思い、検討の幅を広げました。

2つ目は「操作性」です。本学は付属病院があり、職員の半分近くは看護師等の医療従事者です。医療従事者の多数は自分専用のパソコンがなく、部署の共用のパソコンを利用するか、個人のスマートフォンを利用することになります。ですので、職員の負荷を極力少なくしたいなと思い、操作性が簡単で、画面が見やすい、わかりやすいものを重視していました。

3つ目は、関西学院さんと同じで、「費用対効果のバランス」です。やはり削減するものがないと、システムはどうしても導入できませんので、人事課員の作業時間や時間外労働をどれだけ減らせるかが鍵になっていました。

導入検討から決定までの道のり

今西:続いて、実際に検討開始から導入決定までにどれくらいの期間がかかり、どんなことをしたのかをまとめております。

今西:導入当初から導入決定の最後までを振り返って、それぞれどんな道のりを歩んできたのかを画面も見ながらお話しできればと思っています。

関西学院 野原さん:正直なところ、かなり早く動いていきましたね。本来ならもう少し時間をかけて、杏林大学さんぐらいのスパンで考え、しっかり予算を確保して取り組むのがあるべき姿なのかもしれません。近々の課題として、年末調整をとにかく早期に改善したいと思っていましたので、スピーディに導入まで進めたのが実情です。

5ヶ月前に課内のプロジェクトを立ち上げ、私がリーダーとして取り組んできましたが、その際は他の企業も比較していました。学内で了承を得ることは、どこの学校法人さんも多分ハードルが高いことだと思います。我々も予算を管理する財務や他部署を巻き込み、同意を得ながら進めてきました。逆にいうと、他部署の同意をしっかり得られたのでこのスピード感で導入まで進められたのかなと思います

今西:右側が杏林学園さんの導入に至るまでのスケジュール感なんですが、こちらも詳しく伺えますか?

杏林学園 加藤さん:2019年5月に展示会へ行き、情報収集しているなかでSmartHRさんをお見かけし、説明を伺いました。13ヶ月前と書いてありますが、予算申請し、翌年度の2020年4月から導入しようと動いていました。並行して、関西学院さんにもお話を伺い、運用面なども含めて検討を進めました。

本当は2020年4月から導入したかったんですが、コロナの関係で導入の検討がストップしてしまいました。2020年10月から年末調整を皮切りにスタートしようと、その約4ヶ月前から導入の検討とトライアルを進めてきたような流れです。

決裁に至るまでに工夫したこと

今西:ありがとうございます。では次に、決裁に至るまでの道のりについて伺いたいと思います。関係部署との調整など、苦労したことはたくさんあると思いますが、振り返ってみていかがでしょうか?

関西学院 野原さん:やはり予算の確保が一番大きなポイントですので、いかに今の状況から改善され、どれだけのアウトプットがあるのか、どれだけ費用対効果があるのかをとにかく数値化し、資料を作成して提案しました。

かなり業務の棚卸しをしまして、どれぐらいの人数が、何の業務にどれだけの時間がかかり、どれだけのコストがかかっているのかを算出し、SmartHRを導入することでどのくらい削減できるのかというプランも提示しました。

ただそれだけでは、自分たちの業務だけを改善すれば良いと捉えられかねないので、従業員の立場に立って考えたときにどう良くなるのかも資料にまとめました。従業員も年末調整の紙をもらって、手で記入し、一定の時間と手間がかかっています。従業員がかかっている時間が短縮されることも業務効率化ですので、そちらも算出して説明しています。

今西:ありがとうございます。実際に作業をする従業員側の視点に立つのは非常に重要ですね。杏林学園の加藤さんはいかがでしたか?

杏林学園 加藤さん:私たちも関西学院さんと同じで、費用対効果を経営層に提案するのに工夫しました。SmartHRを使ってどれだけの業務をカバーできるのか、そして、その業務に人事課員がどれくらいの時間を費やしているのかを費用に換算して算出しています。

加えて、ペーパーレス化に伴う費用の削減効果の算出、職員へのサービス向上にもつながることはしっかりお伝えしました。

今西:定量面だけでなく、職員へのサービス向上に寄与する定性面、その2つをもって決裁まで進められていったんですね。ありがとうございます。

弊社の氏次さんにもお話を聞きたいのですが、他のお客さまで上申に苦労しやすいポイント、その乗り越え方についていかがですか?

氏次特に課題となりやすいのは、クラウドシステムの導入と費用対効果です。クラウドシステムの導入が初めての場合、クラウドのメリットや仕組みを説明するだけではなかなか通らない場合があります。その中で上申を進めていくには、他大学でもSmartHRやクラウドシステムを導入している事例をベースにご提案することが重要です。最近ですと政府もデータベースをクラウド化する動きが起きていますよね。

費用対効果でいうと、管理部門だけの業務効率化でなく、職員一人あたりでどのくらい効率化するのか、全体でどれだけ最適化できるかがポイントかもしれません。年末調整や給与明細のやりとり、従業員の情報変更手続きなど、他のシステムも含めた全体を通してどれくらい効率化されるのかを見ると良いと思います。

今西:今おふたりのお話にもあったとおり、数値で示すことと、数値で表現できないことの双方をそろえて準備することが大事なんですね。

氏次:人海戦術で乗り越えている業務の負担を解消し、本来注力したい業務に人員を充てることで生産性向上につながるという伝え方もあると思います。

導入した効果や、使ってみた感想

今西:実際に導入した効果、感想を伺いたいです。IT化に対して、「いやいや、やっぱり紙のほうがいい」と反対の声が出てくることもあるとお聞きします。実際にそのような声があったのか、あった場合どのように乗り越えたかを教えていただけますか?

関西学院 野原さん:私たちが想定していたほどのネガティブな反応はなかったですね。

杏林学園 加藤さん:年配の方はIT化に戸惑いがあったようです。ただ、災害時の安否確認や、コロナ禍における情報共有の方法としてIT化を推進していましたので、その流れの一部としてSmartHRを導入できたのは良かったです。

今西:実際にIT化した効果はいかがでしたか?

関西学院 野原さん:本学の場合は、まだSmartHRの機能を全部活用できていないのですが、年末調整はかなりスピーディに確認作業を進められました。証明書類も写真を撮ってアップロードしていますので、原本が届く前にチェックできます。今までなら土曜日に出勤したケースもありましたが、今はほぼありません。紙で出力して封筒に入れて、全教職員に送る手間がなくなり、費用的にもかなり削減できました。

今西:ありがとうございます。公開中の導入事例記事でも書かれていますが、改めて伺うと嬉しいです。

杏林学園さんは、実際にIT化をしてみての効果はいかがですか?

杏林学園 本田さん:まだ年末調整の手続きを開始したばかりですが、書類の印刷や各部署への仕分け、配布がなくなり、かなり手間が削減できました。SmartHRで年末調整の手続きを開始したその日にすぐに回答が集まりはじめ、今までの紙では考えられなかった回収の早さに驚いています。紙運用の時とは違い、保険料の手計算も必要なくなるので、作業時間のさらなる削減ができそうだと感じています。

今後のIT活用方針、取り組みたいこと

今西:最後に、このコロナ禍で新しい働き方、新しい常識が求められていく時代で、今後どのようにITを活用したいと考えていますか?

関西学院 野原さん:これまで在宅勤務の制度が整っていなかったため、この機会に、一定の条件が必要ではありますが、週1回程度、月4回を上限に在宅勤務できる制度を導入しました。

さらに、学生対応の窓口業務について見直したいと考えています。例えばチャットボットを利用して、学生の対応を窓口だけでなくウェブでできるようにしたり、学生掲示板をデジタル化したり、業務の効率化をさらに進めていきたいと考えています。

杏林学園 加藤さん:事務職員のチーム力を強化していきたいです。チーム内の支援体制の強化、業務の属人化からの脱却、そして働き方改革ですね。職員の意識改革にも邁進していきたいと思っています。

今西:ありがとうございます。両校ともIT化を実現しながらも、さらなるチャレンジをしていこうとお考えなんですね。2021年以降の働き方改革の考え方についてもヒントが得られたのではないかと思います。野原さん、加藤さん、本田さん、トークセッションへのご登壇ありがとうございました!

【学校法人関西学院様の導入事例インタビューはこちら】

6,000枚の紙が不要に。学校法人における業務改善

元田有紀

SmartHR ガイド 編集部員。子育て・働く女性向けのWebメディアの編集・ライティング担当、HRサービスのマーケティング担当を経て、2020年SmartHRに入社。主に「導入事例」の編集に携わる。ダンスが好きな関西人。
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