就業規則の基礎知識。作成フローや注意事項を解説

2018.10.24 ライター: SmartHR Mag. 編集部

「就業規則」は会社で働くときのルールが記載されている大切な文書です。

働く時間や休日、賃金の支払いに関する決まりなど、会社で働く人達の心身の健康を守るために必要な事項が盛込まれています。

一度作成したら終わりではなく、法律改正などに合わせた変更が必要になることもあるので注意が必要です。特に昨今は副業解禁など、新たな働き方に即した就業規則を作成するケースが増えているのではないでしょうか。

今回は、就業規則で定める内容や作成方法など、「就業規則の基礎知識」について解説していきます。

「就業規則」とは?

就業規則には、企業として円滑な経営をするべく秩序を保つためのルールとしての役割があります。

具体的には、「労働時間や休日に関すること」「入社や退社に関すること」「賃金に関すること」などの、労働条件や規律に関する重要な事項が記載されています。

「労働基準法」で決められている基準を下回るような、従業員が不利益を被る就業規則は認められません。

厚生労働省が公表する「モデル就業規則」

労働環境を整備する役割がある厚生労働省では、ひな形となる「モデル就業規則」を作成・公表しています。

この「モデル就業規則」は、時代の変化に合わせて変更されています。2018年1月には副業や兼業を禁止する条項が削除され、副業・兼業を認める形にアップデートされました。

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就業規則が必要な会社とは?

労働者を雇用して労働させるときに会社が守らなければならない国の法律は「労働基準法」です。

労働基準法第89条では「常時10人以上の労働者を使用する使用者(会社)は就業規則を作成し、行政官庁(管轄の労働基準監督署)に届け出なければならない」とされています。

この“労働者”には正規雇用の従業員だけでなく、パート・アルバイトなど非正規雇用の従業員も含まれます。

(なお従業員が9人以下の会社であれば、就業規則の作成・届け出の義務はありません。)

就業規則の「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」

就業規則には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、決まりを設ける場合は記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。

この2つの必要記載事項が記載されていない就業規則は労働基準法違反とされ、30万円以下の罰金が科されることもあります。

就業規則の「絶対的必要記載事項」

絶対的必要記載事項は、「労働時間に関すること」「賃金に関すること」「退職に関すること」の3つです。

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

就業規則の「相対的必要記載事項」

相対的必要記載事項は、「退職手当」「最低賃金」「労働者が負担する費用に関すること」など、社内の決まりを設けた場合には必要記載事項として記載します。

具体的には以下のとおりです。

  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
  3. 食費、作業用品などの負担に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. その他全労働者に適用される事項

就業規則の作成フロー

就業規則の作成フローとして、厚生労働省は以下のように図解しています。

出典:厚生労働省 リーフレットシリーズ労基法89条「就業規則を作成しよう」

就業規則の作成

たくさんの事項がある就業規則を作成するには、厚生労働省が公表している「モデル就業規則」などひな形を利用する方法がまず挙げられます。

作成にあたっては、自社ですべて作成するだけでなく社会保険労務士などの専門家に依頼する方法もあります。

ひな形を利用するのは手軽な方法ですが、自社に適しているかをよく確認し、必要に応じて変更したいところです。

就業規則の労働者への周知/労働基準監督署への届出

作成した就業規則は、常に10人以上の労働者がいる会社の場合、管轄の労働基準監督署に届け出ることになりますが、労働者への周知も忘れないようにしましょう。

「労働者への周知」で大切なのは、労働者がいつでも手に取って確認できるようにしておくことです。具体的には、以下のような方法があります。

  • 就業規則をファイリングしておき、事務所や休憩室などに備え付ける。
  • イントラネットでデータ保管しておき、いつでも閲覧できるようにしておく。
  • 就業規則書面を労働者に交付する。

就業規則の変更

監督署に届け出た就業規則は、労働基準法で決められている方法で変更できます。

具体的には、経営者側の決済を受けた変更点について労働者側の意見を聞き、意見書を作成・就業規則に添付して労働基準監督署に提出して完了です。

就業規則の変更点について異議がなければ「異議はありません」と意見書に記載してください。

万が一「断固反対です」という内容であっても、従業員に意見を聞いたことの証明になるので意見書として添付できます。

おわりに

10人以上の従業員がいない会社に就業規則を作成する義務はありませんが、規則があれば従業員・経営側双方の安心感が高まります。

そのため、従業員が1人以上いる会社には、トラブル予防のためにも就業規則があったほうが良いといえるでしょう。

とはいえ、就業規則には注意点もたくさんあるので、ただひな型に沿って作るだけではなく、ポイントを掴んでおくのが良いでしょう。

SmartHR Mag. 編集部

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