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面接で求職者から「36協定を見せて」と言われた!人事は見せる必要ある?

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こんにちは、社会保険労務士の吉田崇です。

今回、編集部の方から「求職者の方の中には、『御社の36協定を見せてください』という人もいるようです。万が一、そのような質問を受けた場合どう対応すべきか記事を書いて頂けませんか?」というご依頼を受けました。

「いやいや。そんな奴おらんやろ」と正直、思いましたよ。

確かに「御社の就業規則を見せて欲しい」という方はたまにいらっしゃいます。就業規則は会社のルールブックですので、自分が入社するかもしれない会社のことを、隅々まで知りたい! だから就業規則も見たい! という気持ちもあるでしょう。

一方、36協定までとは……。人事としては一体どのように対応すべきなのでしょうか。

36協定の内容から残業実態を読み取るのは難しい

先ほどの求職者の方の気持ちとしては、おそらく「残業がどの程度あるのかを知りたい」のではないかと思いますが、実際のところ36協定は、ほんのわずかでも残業をさせる可能性があれば提出する義務があります。

そのため、残業の実態をそこから読み取るのは難しいのではないでしょうか。

月に1時間程度しか残業がない会社でも、36協定自体は一般的な書き方に従い、原則上限の月45時間まで、として届け出ることも多いのです。

ただし「36協定を結んでいない」という会社は、最低限の労働法が守られていない職場環境である可能性もあります。心配な方は「失礼ですが、36協定って締結されてますか?」と担当者に尋ねつつ、残業の実態もあわせて確認すると、良いかもしれませんね。

就業規則や36協定の閲覧希望に応じる義務はあるか?

就業規則や36協定につきましては、その会社で働いている従業員に対しては周知する必要がありますが、就職希望者からのリクエストについては、会社はそれに応じる義務はありません。

では逆に、会社は求職者に対して、どの程度まで会社の情報を開示するべきか?

まず、ハローワークや人材紹介会社、自社ホームページなどを利用する場合は、次の項目を求人票に明示する必要があります。

  1. 業務内容
  2. 契約期間
  3. 試用期間
  4. 就業場所
  5. 就業時間、休憩時間、休日、時間外労働
  6. 賃金
  7. 健康保険、厚生年金、労災保険及び雇用保険の適用有無
  8. 募集者の氏名または名称
  9. 派遣労働者として雇用する場合はその雇用形態

また、入社時に労働条件通知書において労働者に通知しなければならない項目も別途、法律で定められています。

その内容が募集時の内容と異なる場合は、労働者はその契約を即時に解除することができます。

36協定まで開示する必要はないものの、そのような無用なトラブルを避けるためにも、求人の際はできるだけ正確な情報を提供する必要があることは、言うまでもありません。

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