メルカリの圧倒的成長を支える人事制度「merci box」とは?

2018.02.23 ライター: 藤田 隼

2018年1月26日、ProFuture株式会社が主催する「HRエグゼクティブフォーラム Vol.9 働き方改革 〜現状と未来への課題〜」が開催されました。

協賛講演として、株式会社SmartHRの代表・宮田昇始がモデレーターとなり、「成長企業は『事業拡大』と『働き方改革』をいかに両立させているのか?」をテーマに、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの取締役社長兼COO 小泉文明氏にインタビューしました。

日本唯一のユニコーン企業として今なお急成長を遂げるメルカリは、いかにして“事業成長”とともに“働き方改革”を両立させているのかを探るべく、本編となる今回は、メインとなるインタビューセッションその1「メルカリの働き方改革が“採用競争力”をもたらしたワケ」をお届けします。

メルカリ 小泉 SmartHR 宮田 merci box

メルカリが大切にするミッション、バリュー

宮田:本題のインタビューセッションへ移る前に、今回のメインとなるメルカリさんの人事制度「merci box(メルシーボックス)」についてご紹介いただけますでしょうか。

小泉さん:皆さん、こんにちは。メルカリの小泉でございます。よろしくお願いします。

まずメルカリは、この2月で創業から5年になる会社でして、国内に3拠点、海外に3拠点を持ち、従業員数はグローバルで800名の会社になっています。国内が約600名で、直近の3ヶ月で約100名が入社するなど、かなりのペースで従業員数が増えてきている状況でして、おかげさまで事業も会社も、飛躍的に拡大中のフェーズとなっています。

今、グローバルでのアプリダウンロード数が1億以上、月の流通額は100億円以上となってきています。

メルカリでは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、「Go Bold」「All For One」「Be Professional」という3つのバリューを掲げています。

メルカリ merci box 人事制度

やはりベンチャーなので、大事なことは自分たちがやるべき事業のフォーカスポイントを決めて、「ミッション」を掲げ、それを達成すべくどういう働き方のベースが良いのかという「バリュー」、つまり行動規範を定めています。これによって、従業員と一緒に共有・共感しながら走っていくと。

「Go Bold」に込めた思い

その中でも特に僕らの会社は、「Go Bold ― 大胆にやろう」というバリューを非常に大事にしています。ベンチャーなので勝つか負けるかは非常にハラハラするというか、2位以下だとなかなか勝てないという市場なので、まず大胆にやって、リスクを背負って成長していこうと、このバリューをベースにいろんな人事制度を設計しています。

私自身、「働き方改革」とか「生産性革命」などの会合に呼んでいただくことも多く、そこで発言するんですけれども、実際私たちのフェーズで言うと「まずはサバイブしなければいけない」と。こういう競争環境の激しい中でどうサバイブしていくのかと。

その中で、数年かけて会社を大きくしていく中で、大胆に働きつつ働きやすさをどう担保していくのかというのが重要かなと思っていまして、先ほどご紹介いただいた「merci box」というのが、新しい人事制度の形になると思っています。

Go Boldを後押しする人事制度「merci box」

「merci(メルシー)」というのは、フランス語で「感謝」の意味なんですが、私たちの「メルカリ(mercari)」と字面が非常に近いため「merci」という言葉を使っています。

これまでの企業の福利厚生の考え方というのは、どちらかというと全員に平等に富を配分するというか、簡単に例を挙げると、住宅補助のような形でみんなに数万円を平等に配布するような形ですよね。

私たちはそれとは逆の考え方でして、アップサイドはサラリーやストックオプションなどインセンティブとして設計をしていき、一方で病気や怪我、家族の事情等で働きたいのに働けない状態になってしまうというダウンサイドを、全て会社で面倒見ますよと。なので、ダウンサイドのリスクを会社で支える分、「Go Bold」に思いっきり働いてくださいと。

その「Go Bold」というバリューをベースに、このような制度を設計しています。

「mecri box」の具体的な支援内容

メルカリ merci box 人事制度

大きいところでは、産休・育休などについては、休暇中の給与を100%保障をしていて、女性の場合は産前は10週から休めます。

また社内では男性の育休取得も当たり前になっていて、取得率も9割を超えています。私も昨年末に2ヶ月育休を取ったりしたんですけれども、経営陣も子会社社長を始め、ほぼ全員が育児休暇を取っていると。

また、産育休だけでなく、妊活(不妊治療)の支援も行っており、比較的低額な妊活については全額会社が負担しています。高額なものであっても、会社と自治体の補助があれば、本人負担3割くらいでできるようなことをやっています。

あとは認可外保育に入った時の、認可との差額を会社で負担していたり、子どもが病気になったら、無制限で子どものベビーシッター代を1時間1,500円分サポートするなど。こういうことをやりながら、社員の働くっていうところに対してケアをしていきたいと思っています。

あとは、本当に万が一の面で、幸いまだいませんが、若いながら亡くなってしまうケースも今後あるかなと思っていまして、会社で全社員に対して死亡保険を掛けています。このように万が一の時も会社側でサポートしようとセーフティーネットを張っています。

今までの社会構造は、どちらかというと上から下にいろんな情報やモノが流れていった時代だったと思っていまして、雇用も企業と従業員が主従関係だったと思います。一方で、今は縦の関係から横の関係へと変化しつつあり、主従関係というよりパートナーとして社員にも色んな意思決定の機会を与えるべきですし、社員が自分の生活しやすい、もしくは生活したい形にしていけるようにと思っています。

なので、アップサイドはなるべくサラリーやストックオプションなどのインセンティブで還元し、ダウンサイドを会社としてしっかり面倒を見るという形をとっています。「merci box」の概要としては以上になります。

宮田:ありがとうございます、それでは本題の「成長企業は『事業拡大』と『働き方改革』をいかに両立させているのか?」セッションへと移って参ります。


(インタビュー本編「メルカリの働き方改革が“採用競争力”をもたらしたワケ」に続く。)

藤田 隼

SmartHR Mag. 2代目編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトのディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。ウェブ解析士。
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