メルカリの働き方改革、次なる一手。「終わりのない介護」とどう向き合う?

2018.03.05 ライター: 藤田 隼

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2018年1月26日、ProFuture株式会社が主催する「HRエグゼクティブフォーラム Vol.9 働き方改革 〜現状と未来への課題〜」が開催されました。

協賛講演として、株式会社SmartHRの代表・宮田昇始がモデレーターとなり、「成長企業は『事業拡大』と『働き方改革』をいかに両立させているのか?」をテーマに、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの取締役社長兼COO 小泉文明氏にインタビューしました。

日本唯一のユニコーン企業として今なお急成長を遂げるメルカリは、いかにして“事業成長”とともに“働き方改革”を両立させているのかを探るべく、本編となる今回は、メインとなるインタビューセッションその3「メルカリの“働き方改革”次なる一手」についてお届けします。

自身の経験をもとに「merci box」を主導

宮田:「merci box」のような制度を作るのは結構大変だったと思いますが、どなたが主導されたんですか?

小泉さん:「merci box」の初期は私がやってましたね。当然、会社の立ち上げ初期の頃はこのような制度は全く無いんですよね。2人目の子どもが生まれてから育休を取ったんですけど、1人目生まれた時っていうのは、全然まだ会社がサバイブしてるフェーズだったので、取る余裕なんて無かったんです。

ただ、自分の横で妻がお腹が大きくなってる姿を見て、すごい大きいなと思って「今何週?」と聞いたら「まだ生まれるまで10何週あるよ」と。「普通の会社ってこれくらい大きくなってからも働かなきゃいけないの?」って言ったら「そうだよ、これで通勤電車乗るよ」と返され、流石に無理があるなと感じて。

なので、会社が少し大きくなったフェーズになった時に、自分の経験をベースに「merci box」のような仕組みを作ることで、社員がなるべく中長期的に会社にコミットできるようにしたいという考えから制度化に至りました。

現在では、現場のマネージャーにある程度任せて、考えのベースになる「Go Bold」というバリューをベースに働くことを体現できるよう考えてもらっています。

メルカリの働き方改革次なる課題。終わりのない「介護」とどう向き合うか?

宮田:小泉さんの起案にはじまり今に至るんですね。そんな中、メルカリさんの「働き方改革」の中で、今後取り組みたい課題解決策があれば、教えてください。

小泉さん:これはもう明確に「介護」だなと思っています。メルカリでも介護休業に対しても100%給与保障する制度を始めました。ただ、介護は育児と違って終わりが無いので、これについてどう向き合うかが課題になっています。

メルカリでは国内に約600名の社員がいますが、アンケートをとったところ、働けないぐらい介護に追われている人は今のところ1人だけなんですね。一方、非常に多くの社員が今後数年で介護に追われるかもしれないという予備軍であり、すごく不安を抱えてるんですね。

これに対して会社がどう向き合うか。これってもう「リモートワークできるからいいよね」というレベルではなくて、しっかりと対策していく必要があると思っています。

育児や介護休業を促すには「情報の保障」がカギを握る

宮田:ありがとうございます。私から聞きたいことは以上になるんですが、もし会場の方から何か質問したいことがあれば、是非挙手いただければと思います。

― 我々の会社でも、先程小泉社長がおっしゃったようなことを考えてはいるのですが、男性が育休を取らないんです。メルカリさん同様、給与保障もあるのですが、あったとしてもやっぱり「自分がいない」ことに対して不安を感じるところが多いようなんです。その点、小泉さんは社長自ら最近育休取られたとのことで、自身が不在になる不安に対して、どのようにお考えでしょうか?

小泉さん:給与の保障よりは「情報の保障」が必要かもしれません。僕らも社員に聞くと、結構、皆さん自分が休業中に、時間とともに色んな情報がアップデートされていき、休業から戻った時に浦島太郎状態になるのを恐れているため、その情報をどう保障するかが重要だと思います。

その点、僕らの会社では先ほど述べたように、基本的にはSlackというチャットツールによって情報が全てオープンにしています。僕自身、育休をとったイメージとしては「長期の出張に行っていた」感じなんですよね。夜などの空いてる時間にSlackを見ると、社内の意思決定がババっと見えるため、それでキャッチアップしていました。このようにSlackによって情報がキャッチアップできる状態が保障されていたので、実際に休みやすかったです。

なので、「情報の保障」に対してどこまで情報をオープンにするかについて、当然各社でリスクや懸念があるとは思いますが、メルカリでは基本的に全ての情報をオープンにしようよというベースがあるので成り立ったんじゃないかなと思っています。

― ありがとうございます。大変参考になりました。

宮田:ちなみに、Slackのチャンネルに400人とか入ってると流れがスゴイじゃないですか。そういう意思決定をするための大きな情報は、Slackとは別の場所に設けていたりしますか?

小泉さん:特にはしていませんが、グループごとの大きいチャンネルもあれば、もう少しプロジェクト単位でのチャンネルもありますね。

宮田:ありがとうございます。今回のセッションは以上で締めさせていただければと思います。小泉さん、どうもありがとうございました!

小泉さん:ありがとうございました!

藤田 隼

SmartHR Mag. 2代目編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトのディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。ウェブ解析士。
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