メルカリ社長が語る「意思決定スピード」の源泉。ポイントは"情報公開"と"権限委譲"

2018.03.01 ライター: 藤田 隼

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2018年1月26日、ProFuture株式会社が主催する「HRエグゼクティブフォーラム Vol.9 働き方改革 〜現状と未来への課題〜」が開催されました。

協賛講演として、株式会社SmartHRの代表・宮田昇始がモデレーターとなり、「成長企業は『事業拡大』と『働き方改革』をいかに両立させているのか?」をテーマに、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの取締役社長兼COO 小泉文明氏にインタビューしました。

日本唯一のユニコーン企業として今なお急成長を遂げるメルカリは、いかにして“事業成長”とともに“働き方改革”を両立させているのかを探るべく、本編となる今回は、メインとなるインタビューセッションその2「メルカリは“生産性”という言葉をどう捉えているのか」についてお届けします。

メルカリ 小泉 SmartHR 宮田

オープンな情報が意思決定を促し「生産性」向上に寄与する

宮田:メルカリさんでは「生産性」という言葉をどう捉えていますか? この質問の意図としては、世の中的に働き方改革と、あと事業拡大、なかなか比例しないというか反比例をするんじゃないかみたいな見方もあり、なかなか一歩を踏み出しにくい会社さんが非常に多いなというような印象を受けております。

その中で、必ずしも労働時間と成果というものは比例するわけではない我々のような第三次産業において、メルカリさんでは「生産性」をどのように捉えられているのかをお聞かせ願いたいです。

小泉さん:これ、難しいですよね(笑)。やはり私たちの会社で言うと、「ベンチャーってすごい激務なんじゃないの?」とか言われるんですが、全社員フレックス制で、コアタイムが12時~16時でして、ほぼ全メンバーが月のみなし残業45時間の範囲内でしか残業してないんですね。

なので、局地的に忙しいときはあれど、常に夜遅くまで残業して常態化しているようなことはないですね。こういう成長中のベンチャー企業のイメージと違い「むしろ家族と向き合う時間が増えた!」という驚きの声も転職してきたメンバーから結構上がるんですよね。

僕らの会社が非常に大事にしていることは、会社って意思決定のスピードが重要じゃないかなと。特に僕らみたいなベンチャーですとスピードが競争力になっていきますので、意思決定のスピード感で大企業に勝っていかないときっと立ち行かないと考えています。

そういう中で言うと、生産性も、いろんなところに無駄を省くようなルールをつくっています。例えば僕の管掌する部門では「社内のミーティングでPowerPointを基本的に使っちゃダメ」とか全社で最近は「8人以上のミーティングは禁止」とか、なるべく「意思決定」を促すルールにしています。PowerPointでしっかりした資料を作ると仕事をした感出ちゃうじゃないですか。でも生産性を考えれば、テキスト3行ぐらいで要点だけまとめて、意思決定すればいいわけで。

このように、ミーティング含めいろんなものを直線的に意思決定に向けられるような仕組みはもちろん、権限委譲も進めています。また、情報をどうシェアするかという点に関しては、Slackというチャットツールを用いて、基本的にはサラリーとか、本当にコアな人事情報以外は全てオープンなチャンネルで情報共有しています。例えばPRのグループのチャンネルも400人くらい入っていますね。

社員は基本的にどのチャンネルにも入れますし、逆にどのチャンネルにも入らないのもよしと。その情報も、自分の仕事に必要な情報を必要なだけ取得してくださいよと。なので、僕らの会社は全部情報はオープンなんですよね。

自分自身の生産性を自ら上げてもらうべく、そういう中で意思決定に必要な材料はなるべく透明性高く渡しながら、どんどん意思決定を促進できるような形にしています。結局は「速さ」が大事かなと思っているので、そこをすごく大事にしていますね。

オープンな情報を流通させるコツは「性善説」での運用

メルカリ 小泉 SmartHR 宮田

宮田:ありがとうございます。「情報をオープンにする」という観点だと、弊社も情報をオープンにする社風なんですが、他の会社さんから「どうやってそんなにオープンにできるのか」とか「不安にならないですか?」みたいなことを聞かれることがあります。メルカリさん的には情報をオープンにする秘訣はありますでしょうか?

小泉さん:秘訣としては、先ほどあった3つのバリューを経営陣がメンバーに口酸っぱく伝えてるんですけれども、その中のひとつとして「All For One ― 全ては成功のために」と掲げていて、この中にはいろんな要素が入ってるのですが、大事なことはチームワークのようなものですね。

情報もそうですが、いろんなものにみんなで挑むということに対して、社内のモチベーションが凄く高いです。また、情報の透明性は「性悪説」で考えたら基本的に全部クローズにしようという話になりがちですが、その点「性善説」で如何にワークさせるかがすごい大事だなと思っています。

経営陣が育休を取得した結果「意思決定の権限委譲」が進んだ

宮田:先程「メルカリ入社後に家族と向き合う時間が増えた」とおっしゃっていましたが、小泉さん自身も育休を実際に取得した感想はいかがですか?

小泉さん:「意思決定の権限委譲」がめちゃくちゃ進みましたね。やっぱり自分が離れることを前提にすると「この辺がヤバそうだな」っていうのが見えてくるので、数ヶ月ほど前からマネージャーをどう登用するか、もしくは採用して引っ張るのかなどを考えた上で。

私自身2ヶ月育休を取得して、メンバーが非常に成長したと実感しています。

ベンチャーってどうしても経営者に依存しがちで、皆さん、僕がどういう意思決定するのかみたいなのを非常に気にしていましたが、それがマネージャー主導で自走されていきましたね。育休に入るタイミングが、経営陣の中で私と子会社社長の2人が同じだったので、そのタイミングで「日常の業務はマネージャー以下で回せる会社にしよう」と。むしろ、経営陣は、中長期的な戦略であるとかロードマップ、あるいは採用などに対してコミットしようという形に役割分担を明確にして。

現場で何が起こっているかは、Slackの情報がオープンなので、そこでキャッチアップするにとどめ、現場の意思決定には介入しないようにしています。

メルカリ 小泉 SmartHR 宮田


(「メルカリの“働き方改革”次なる一手。終わりのない介護とどう向き合う?」に続く)

藤田 隼

SmartHR Mag. 2代目編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトのディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。ウェブ解析士。
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