保険証が届くまで何日かかる?代わりの証明書を発行する方法も
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目次
保険証が届くまでに、どれくらいの日数がかかるのでしょうか。従業員になるべく早く渡すため、保険証が届くまでの日数は気になりますよね。本記事では、 社会保険労務士 吉田 崇氏監修のもと、保険証の発行までの日数や、保険証がない場合の受診方法、代わりになる証明書について解説します。
また、証明書の発行について、急ぐ場合と急がない場合、本人が対応する場合と人事担当者が対応する場合など、パターン別の対応についても解説します。
保険証の発行日数は、健康保険組合によって異なる
加入している健康保険組合によって、健康保険証の発行日数が異なります。
健康保険組合 | 発行にかかる日数 ※目安 | 保険証のかわりとなる書類 | 注意点 |
協会けんぽ | 7〜10日 | 健康保険被保険者資格証明書 | 4月などの繁忙期は、1か月ほどかかるケースも |
関東ITS | 7日程度 | なし |
(参考)保険証の発行について – 全国健康保険協会
(参考)保険証が届くまで – 全国健康保険協会
全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、発行にかかる日数の目安は7日~10日です。保険証の代わりになる書類は、健康保険被保険者資格証明書です。
関東ITソフトウェア健康保険組合(関東ITS)の場合は、7日程度で発行されます。ただし、手続き書類が大量にある場合は、1か月ほどかかる場合があります。また、保険証の代わりになる書類はありません。
協会けんぽから保険証が発送されるのは、通常、日本年金機構での審査確認完了日の2営業日です。しかし、入退社が多い4月などの繁忙期は、審査に時間がかかります。
そのため、保険証の発行までに1か月以上かかる場合もあります。もし、入社後1か月以内に病院を受診する予定があるならば、早めに健康保険被保険者資格証明書を申請することをおすすめします。
上記以外の健康保険組合に加入する場合は、それぞれの健康保険組合に確認してください。
保険証が手元にない場合、医療費負担が必要なケースも
保険証がない場合は以下の2つの方法があります。
- 医療費を全額(10割)負担し、払い戻しの手続きをする
- 保険証の代わりに「健康保険被保険者資格証明書」を提示する(協会けんぽの場合)
(1)の場合は一度医療費を全額負担し、あとで自己負担分との差額を返金してもらいます。保険証が届いたら、医療機関に保険証と領収書・診療明細書を持参しましょう。医療機関によって払い戻しの手続きが異なる場合があるため、事前に確認が必要です。医療機関で返金してもらえない場合は、健康保険組合に必要書類を提出すれば、払い戻しを受けられます。
また、病院によっては窓口で同月中に保険証を持参可能であれば、通常の3割負担で処理される場合もあります。一度、来院前に確認しましょう。
(2)の場合は、健康保険被保険者資格証明書を申請しましょう。証明書は、年金事務所窓口に申請すれば即日発行されます。郵送の場合は1週間前後での発行が目安ですが、所轄の年金事務所窓口に確認しましょう。ただし、健康保険被保険者資格証明書が必要となる際は、急を要するケースと想定されますので、窓口での申請を推奨します。
加えて、健康保険被保険者資格証明書は、医療機関での受診が必要な場合のみ発行可能です。「保険証を紛失したときのために念のため申請しておこう」という理由での申請はできません。
協会けんぽ以外の健康保険組合では、資格証明書の有無が異なります。利用している健康保険組合に確認が必要です。
(参考)従業員に健康保険被保険者資格証明書を交付するときの手続き – 日本年金機構
保険証の代わりとなる証明書を発行する方法
代用できる証明書の発行は、ケースによって対応が異なります。それぞれのケースで必要な手続きやポイントを押さえましょう。以下のフローチャートをもとに、詳しく説明していきます。
すぐに必要な場合
すぐに健康保険被保険者資格証明書が必要な場合は、保険証の交付を受ける本人が以下の流れで進めましょう。
1.勤務先の人事・労務担当者に、以下を確認する
- 健康保険被保険者資格証明書は、年金事務所で発行可能か
- 「被保険者資格取得届」と「被扶養者異動届」は提出済みか(未提出の場合、相談して提出を依頼する)
2.勤務先を管轄する年金事務所の所在地を調べる
年金事務所ごとの管轄区域は、下記のページから検索可能です。勤務先に複数の事業所・事務所がある場合は、人事・労務担当者に、行くべき年金事務所について確認してください。
3.申請にあたり、必要な書類をそろえる
- 健康保険被保険者資格証明書交付申請書
- 本人確認書類(身分証明書)
健康保険被保険者資格証明書交付申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロード可能です。
本人確認書類は、1つでよいものと2つ以上必要なものがあります。
1つ提示すれば足りる本人確認書類
- 運転免許証
- 個人番号カード
- 住民基本台帳カード(写真付き)
- パスポート
- 身体障害者手帳
- 国または地方公共団体の機関が発行した資格証明書(写真付き)
- 特別永住者証明書
- 在留カード
上記の身分証明書を用意できない場合は、下記の身分証明書を2つ以上用意しましょう。
- 被保険者証
- 児童扶養手当証書、特別児童手当証書
- 公的年金の年金証書または恩給証書
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
- 改定通知書
- 住民基本台帳カード(写真なし)
- 金融機関またはゆうちょ銀行の預(貯)金通帳、キャッシュカード、クレジットカード
- 印鑑登録証明書
- 学生証(写真付き)
- 国または地方公共団体または法人が発行した身分証明書(写真付き)
- 国または地方公共団体が発行した資格証明書(ひとつで足りる資格証明書を除くもので、写真付き)
(出典)従業員に健康保険被保険者資格証明書を交付するときの手続き – 日本年金機構
4.上記の書類一式を、年金事務所の窓口に提出
一度に多数の申請があった場合や混雑した場合などを除き、原則的には当日中に証明書が交付されます。当日中の交付ができない場合は、窓口より交付予定日が通知されます。
急がない場合
証明書の発行を急がないのであれば、人事・労務担当者が申請する場合と本人が申請する場合で対応がわかれます。
人事・労務担当者が申請する場合
1.健康保険被保険者資格証明書交付申請書の作成
申請書の書き方は後述の記載を参考にしてください。
新入社員が多い時期、人事・労務担当者は多くの書類を作成し、手続きをしなければなりません。入社手続きを効率化するサービスなどを導入するのもオススメです。
また、日頃からの人事・労務業務を効率化するヒントを以下の資料にまとめたので、ぜひご活用ください。
ここで、SmartHRで“できること”をご紹介します。
SmartHRでは、以下の3ステップで入社手続きが完結します。
- 従業員に入社情報の提出を依頼する
- 従業員自身が情報をPC・スマホで入力する
- 自動作成された手続き書類を申請する
入社手続き・雇用契約機能を利用すれば、オンラインで雇用契約書の手続きも可能ですので、紙に捺印・手書きの署名も必要ありません。健康保険被保険者資格証明書交付申請書も同様に必要事項を入力するだけで、簡単に作成可能です。詳しくは、以下のページからご確認いただけます。
2.作成した申請書の提出
提出方法は、年金事務所の窓口に提出するか、年金事務センターに郵送するかのどちらかです。
人事・労務担当者が提出する場合は委任状が必要です。委任状には、事業主または保険証の交付を受ける本人が、人事・労務担当者に委任していることを明記しましょう。また、人事・労務担当者の身分証明書も必要です。前述の身分証明書一覧を参照してください。
注意事項
健康保険被保険者資格証明書交付申請書と一緒に提出する「被保険者資格取得届」または「被扶養者(異動)届」は、健康保険被保険者資格証明書の交付を申請者の届けと、それ以外の届けをわける必要があります。
郵送の場合、上記の書類を事務センターに送ってください。封筒に記載するのは、郵便番号と送付先の事務センターだけです。事務センターの所在地は、以下をご参照ください。
本人が申請する場合
本人の場合は、下記の流れで申請手続きを実施します。
1.人事・労務担当者に、「被保険者資格取得届」または「被扶養者(異動)届」を提出済みか問い合わせる
未提出の場合は手続き依頼が必要です。加入手続きとあわせて、健康保険被保険者資格証明書を申請したい旨を伝えましょう。
2.健康保険被保険者資格証明書交付申請書の作成
申請書は日本年金機構のホームページからダウンロード可能です。
3.作成した申請書を事業所の所在地を管轄する事務センターへ郵送
資格証明書交付申請書の郵送申請の場合、添付書類は不要です。
4.郵送の場合、7営業日前後で証明書が到着
申請が会社からの場合は会社に届き、本人が申請した場合は自宅に届きます。
健康保険被保険者資格証明書交付申請書の書き方
健康保険被保険者資格証明書交付申請書には、以下の項目を記入しましょう。
1. 申請年月日
申請する年と日付を記入しましょう。
2. 事業所
勤務先に確認を取ってから、事業所整理記号と事業者番号を記入してください。
3. 被保険者
本人の氏名とフリガナ、生年月日と性別、資格取得年月日(勤務先で被保険者となった日)を記入しましょう。
4. 被扶養者
扶養者がいる場合、氏名、生年月日などを記入します。「被扶養者となった日」は、資格取得年月日と同じ日付です。
5. 事業所所在地
勤務先の住所を記入しましょう。
6. 事業所名称
勤務先の名称を記入します。
7. 事業主(被保険者)氏名
勤務先が申請する場合には、事業者(代表者)氏名を記入します。本人が申請する場合は、自分の氏名を記入します。
健康保険被保険者資格証明書の有効期間は、証明年月日から20日以内です。
保険証を待つ従業員への対応を、よりスムーズにするために
従業員を雇用する際には多くの手続きが必要であり、人事・労務担当者の業務は煩雑化します。従業員から保険証の発行日数や発行されるまでの対応について多くの質問を受けることも予想されるでしょう。そのような場合に備えて、以下のような取り組みも検討ください。
- 入社手続き開始時に、保険証の発行日数の目安を提示する。
- 保険証が発行されていない時期に病院で受診する人に向けて、証明書発行の案内をする。
- 社会保険加入手続きの際に、証明書が必要な従業員の証明書申請を済ませる。
上記に加えて、労務手続きをペーパーレスで完結できるサービス「SmartHR」を利用すれば、担当者の負担を大きく軽減できます。SmartHRでは、従業員が直接入力した情報をもとに書類が自動作成され、そのまま電子申請が可能です。
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人事・労務担当者向けに、各月の対応が必要な実務や法改正情報をまとめました。各月のポイントを解説していますので、1年間のスケジュールとやるべきことを計画する際にお役立てください。
FAQ
Q1. 保険証が本人の手元に届くまで、だいたいどのくらいかかりますか?
A.協会けんぽなら7日から10日ほど、関東ITSなら即日発行が可能(状況に応じて即日発行できない場合もあり)です。協会けんぽでは、繁忙期に1か月ほどかかる場合がある点に注意しましょう。
Q2. 保険証がなくても病院は受診できますか?
A.保険証がなくても、病院の受診は可能です。医療費を全額自己負担(あとで療養費の払い戻しが可能)するか、健康保険被保険者資格証明書を発行してもらい、保険証の代わりに提示するか、どちらかを選びましょう。
Q3. 保険証の代わりとなる証明書が必要なとき、申請作業を行うのは誰ですか?
A.健康保険被保険者資格証明書は、申請をして交付されます。すぐに証明書を発行する場合は、本人が申請します。急ぎではない場合に申請作業を行うのは、本人あるいは事業主(人事・労務担当者)です。