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労働者派遣と業務委託の違いは?それぞれのメリット・デメリットも解説

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目次

弁護士法人ALG&Associate大阪法律事務所の長田です。「労働者派遣」と「業務委託」とは、どちらも会社が直接雇用しない労働形態ですが、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いやメリット・デメリットを見ていきましょう。

労働者派遣と業務委託の定義と特徴

労働者派遣

労働者派遣とは、派遣労働者の労働力を必要とする者(派遣先)が、厚生労働大臣の許可を得て労働者派遣事業を行う派遣元事業主(派遣元)との間で、「労働者派遣契約」を締結し、当該契約に基づき、派遣元が雇用する派遣労働者を派遣する労働形態のことをいいます。

派遣労働者は、派遣元との間で雇用契約を締結し、派遣先との間では雇用契約を締結せずに、派遣先から指揮命令を受けて派遣先において働くことが特徴です。

労働者派遣は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)により規定されています。

この労働者派遣法は、私人間(しじんかん)の権利義務関係を直接規律するものだけでなく、行政取締法規としての性質が強いことが特徴です。

したがって労働者派遣法には、派遣先や派遣元事業主の一定の行為を禁止する規定や罰則規定が含まれます。

業務委託

他方、業務委託は通称的なもので、法的には「請負」や「(準)委任」に分類されるものの総称になります。

業務委託も、労働者が現実に業務が行われる会社との間で雇用契約を締結していない点は労働者派遣と同様ですが、労働者が当該会社から指揮命令を受けない点が大きく異なります

業務委託であるにもかかわらず、労働者が当該会社から指揮命令を受けると、労働法規を潜脱するものとして、偽装請負にあたる可能性があるので注意が必要です。

労働者派遣と業務委託(請負)の区分

上記のように、労働者派遣と業務委託とは、労働者が業務を行う場所において指揮命令を受けるか否かという点が重要なポイントになります。

とくに労働者派遣と請負の区分に関するより明確な基準としては、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区別に関する基準」(昭和61年4月17日労働省告示第37号)があります。

労働者派遣と業務委託のメリット・デメリット

労働者派遣のメリット

労働者派遣のメリットは、繁忙に応じて業務の効率化を図れる点にあります。

また、派遣先は派遣労働者に対して直接指揮命令できるので、細かい指示を出しながら業務を遂行させられるため、請負のように具体的な指示を出せないまま仕事完成時に想定していたものと異なる結果になる危険性は低くなるでしょう。

さらに、派遣労働者の仕事は、派遣先における中核的な業務ではないノンコア業務や専門技術が必要な業務であることが多いことが挙げられます。そのような仕事を派遣労働者に従事させることで、派遣先の社員をコア業務に集中できるため、人的資本を有効活用できます。

労働者派遣のデメリット

まず労働者派遣について、建設業務や警備業務、病院等における医療関連業務などの適用除外業務は、労働者派遣を行うこと自体が禁じられているため(労働者派遣法4条、労働者派遣法施行令1条、2条)、そもそもこれらの事業では労働者派遣という労働形態はできません。

また労働者派遣の場合、派遣先の事業所やその他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣労働者を受け入れることができる期間は、原則として3年が限度とされています(労働者派遣法第35条の2、第40条の2第1項本文・第2項)。

したがって、派遣先の事業所等を単位として、3年を超えて同一事業所内で派遣労働者を受け入れることが原則的にはできません。

これに違反した違法派遣を行った場合には、違法な状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して、派遣労働者の派遣元における労働契約と同一の労働条件を内容とする労働契約を申し込んだものとみなされます(労働契約申込みみなし制度。労働者派遣法第40条の6)。

なお、派遣先が3年を超えて同一事業所等に派遣労働者を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所等の過半数組合等の意見を聴く必要があります(労働者派遣法第40条の2第3項)。

さらに、派遣労働者は派遣先からすれば、自社の従業員ではないとはいえ、派遣労働者に対して安全衛生管理、雇用安定措置、キャリア形成支援措置、同一労働同一賃金への対応等が必要となるため、単に派遣労働者を受け入れるというスタンスでよいわけではありません。

加えて、労働者派遣契約の費用が高額になる場合があることや、派遣先の従業員との関係性構築が難しいことなどがデメリットとして挙げられます。

業務委託のメリット

業務委託の仕事を請負等の契約でアウトソースすることにより、自社の社員をコア業務に集中させることで、人的資本の有効活用を図ることができるという点は、労働者派遣と同様のメリットといえます。

また、専門性がある分野を業務委託で外注すれば、教育コストを低減できますし、仕事における品質の一定以上の維持を期待できるでしょう。

業務委託のデメリット

業務委託契約では、業務を発注した注文者が請負人に対して指揮命令できないため、業務に細かな指示が必要な仕事には適していません。

仮に外形的には請負契約を締結していながら、注文者が請負人に対して指揮命令を行った場合には、上記のとおり偽装請負となる可能性があります。

また業務委託で行わせた業務は、注文者である会社にノウハウや技術として蓄積されないこと、請負代金報酬が高額になる場合があることなどがデメリットに挙げられるでしょう。

労働者派遣と業務委託のメリット・デメリット

労働者派遣と業務委託のメリット・デメリット(SmartHR Mag.編集部で作成)

まとめ

労働者派遣と業務請負は、どちらも自社の従業員以外の者を受け入れ、仕事に従事させるという点では同様ですが、直接指揮命令ができるか否かという点が異なることを理解していただけたかと思います。

また、メリットについても両者はほぼ同様ですが、労働者派遣は労働者派遣法が適用されるためより厳格に規制されることから、デメリットに違いがあります。

労働者派遣と業務請負のメリット・デメリットを比較しながら、会社にとってより適切な労働形態を選択すべきでしょう。

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