「自分の人生に集中できる生き方を提供したい」――JINSがThink Labにかける想い【ユニリーバプレミアムフライデーセミナー】#02

2018.05.10 ライター: 藤田 隼

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2018年1月26日、株式会社ジンズのセミナールームおよび同社の手がける「Think Lab」において、ユニリーバ・ジャパンが主催する「第10回ユニリーバプレミアムフライデーセミナー」が開催されました。テーマは『集中を科学する ― 生産性を考える』。ファシリテーターはユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長の島田由香さん。そして、ゲストスピーカーは「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」の著者である株式会社ジンズ・JINS MEMEグループマネジャーの井上一鷹さんです。

2時間以上にわたる充実の内容を、全5回に分けてお届けします。

2本目となる今回は、世界一集中できる場を目指し進化し続ける会員制ワークスペース「Think Lab」に迫ります。

世界一集中できる場所を目指し日々進化する「Think Lab」

井上さん:それでは後ほどご案内する「Think Lab」についてですが、まずは動画をご覧いただきたいと思います。

井上さん:ありがとうございます。ちょうど昨日、声優の方に何とか間に合わせてもらって作った動画になります。

島田さん:じゃあ、すごい新しいんじゃん(笑)。

井上さん:そうなんですよ(笑)。「Think Lab」の概要としては今動画で紹介した通りですが、そもそも「Think Lab」を作った背景を紹介します。

JINS MEMEで測ってみると、JINSのオフィスでの集中度をみんなで測ってみると、僕ら9時半始業で18時半退社なんですが、オフィスにいる時間に集中していないんです。僕もそうです。

でもこれって仕方なくて、今のオフィスって、コミュニケーション重視で設計されていることが多くて、しょっちゅう話しかけられる、つまり「集中するためにできている場所」じゃないんですよ。

新しいものを生み出しているクリエイティブ職系の方に「集中して仕事したい時、どうします?」って聞くと「本気の日はオフィスに行かないよね」みたいな話をするんですね。つまり、本気で集中して何かに取り組みたいのであれば、「自分の集中する場所」を持つ必要があるんです。

で、集中するために、JINS MEMEでいろいろデータを見ていくといろんなことが分かってきて、集中を高める方法としては25種類ありますよと。

そういうことが見えてきたので、それこそ島田さんのユニリーバを含めて18社に参画いただいて、「Think Lab」という世界で一番集中できる環境を“作り始め”ています。

“作った”ではなく“作り始め”と言ったのにも意味があって、この「Think Lab」自体、「本当に集中できる場所か? 集中が上がるのか?」ということを「JINS MEME」によって定量的に計測し、そしてフィードバックをして、日々良くしていこうというと考えています。

高野山をイメージされたThink Labの入り口は、高野山の高野槇(コウヤマキ)の爽やかな香りが漂い、心地よく刺激してくれます。

AI時代に求められる非定型な働き方。「ひとりで集中できる時間」がイノベーションのカギ

井上さん:「Think Lab」の監修には、予防医学の医学博士・石川善樹さんに参画いただきました。

彼は、ヘルスケアをかなり広義に捉えていて、いわゆる病気や不調な状態を普通に戻すというヘルスケアだけじゃなく、普通を好調にするというプラスサムのヘルスケアだと捉えていて、なので、「集中を作る」ということにも切望していらっしゃいます。

「自分の時間をちゃんと持つ」ということ

井上さん:彼は、1年間に1回「Think Week」という、誰からも干渉されない場所に行って、自分が考えたいことだけを考えるっていう時間を取るそうなんですね。やっぱり新しいことにチャレンジしたり生み出している人に共通しているのは、「自分の時間をちゃんと持つ」ようにしているんです。自分の時間を持ちながら、自分が最高に集中できる環境さえあれば、集中して何かを生み出したりイノベーションを起こすきっかけが出てくるんだと思うんですね。

石川さんが言ってくださったんですが、いま世の中で議論されている「生産性を上げよう」という話は、既に定型化された業務を効率的にやろうという話に聞こえやすいと思っています。「生産性」という言葉自体が、メーカーの製造ラインや生産ラインなどの「成果物が決まっている世界」の中で、どれだけ効率的にアウトプットできるかという時に使われる言葉なので。

じゃあ、僕が知的生産活動をしている身として、例えばチームメンバーに「生産性を上げてください」と言ったとします。この語感は相手に何を感じさせるかっていうと、「あなたの知的生産活動のアウトプットとしては恐らくこの辺だろうから、その中で効率的にやれよ」と。ある種馬鹿にしているようなものなんですね、言われる側からすると。

なので、このような場合に「生産性」という言葉を使うのは不適切だなと思っていて。インプットの効率の話だけをしちゃっているんです。

第二次産業での考え方を、第三次産業で無理やり当てはめちゃっていると。

人間が担うべき「非定型」な業務

井上さん:だけど、今後皆さんもご存じの通りAIやロボットが登場してきます。そうなった際に、定型的な業務から代替していってくれるんですね。じゃあ、僕ら人間に残される仕事が何かっていうと「非定型的な業務」です。

そして、新しいものを生み出そうと思った時に、新しいものはチームから生まれるのではなく、一番最初は1人が凄く深く考えた結果として着想に繋がり、その着想から仮説やアイデアが生まれ、チームとしてみんなで議論してカタチになっていきます。

でも「コミュニケーション」が神聖視されるあまり、現代のオフィスはひとりで集中できる環境がない。イノベーションが起きないとしたら、この「ひとりで集中できる」時間を取れてないことが非常に大きいんじゃないかというのが、石川さんとの議論であがりました。

もちろん「コミュニケーション」は大切なんですけど、集中して深く練られた仮説をもって「コミュニケーション」しなければ、あまり有意義なコミュニケーションはできないと思います。でもそれを実践できれば、良質なアウトプットや、イノベーションを起こすことに繋がっていきます。

“知の深化”と“知の探索”を備えた「両利きの経営」が大切。しかし・・・

井上さん:イノベーションの研究を実際にされている経営学者、入山章栄(いりやま・あきえ)先生をはじめ、「知の深化 」と「知の探索」を備えた「両利きの経営」が重要だと言われています。この「知の深化」と「知の探索」という2つのベクトルを両方持っていない組織は、イノベーションが起きにくいという研究があります。

「知の深化」は先ほど申し上げた、石川善樹さんの「Think Week」の例のように、いかに集中して考えるか。一方の「知の探索」は、簡単にいうとコラボレーションやコミュニケーションです。

井上 一鷹さん。株式会社ジンズ。慶応義塾大学理工学部応用化学卒業後、新卒でADLに入社。大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。現在は株式会社ジンズにて、JINS MEMEグループマネジャーを務める。2017年7月、「JINS MEME」を活用したアイデア・ソリューション「JINS MEME OFFICE BUSINESS SOLUTIONS」で、「HR-Solution Contest ―働き方改革×テクノロジー―」のグランプリを受賞。同年11月には「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」を出版。また、世界一集中できる場を目指し進化し続ける会員制ワークスペース「Think Lab」も手がける。

「僕らは集中しようと思っても、集中する場所が無いんです。」

井上さん:例えば、僕が「何年間かかけてこんな事業をしていますよ」って話をさせていただくと、皆さん全く異なる経験を持っていらっしゃるんで、「自分だったらこう考える」っていう意見をもらうことで、既知のものと既知のものが組み合わさり、イノベーションは起きます。これは確かなんです。なので、コワーキングスペースができたり、コミュニケーションを主体としたオフィスができたりということは、方程式としても正しいんです。

なんですけど、先ほど申し上げたように、今のオフィスはコミュニケーションを主体にしすぎているし、手元のスマートフォンが頻繁に鳴るんですね。これによって、「集中」が目減りしてしまっているんです。

僕らは集中しようと思っても、集中する場所が無いんです。本当に「集中難民」がいるんですね。

それの最たるものがGoogleの例だと思っています。

Googleという、ICT(Information and Communication Technology;情報通信技術)を最大限高めてきた組織が、今本気で取り組んでいるのは「マインドフルネス」なんですね。コミュニケーションに振りすぎることによって集中が目減りしてしまう。でも同じくらい大切な「知の深化」にも焦点を当て、目下マインドフルネスに取り組んでいますよと。

もっと身近な例では、つい「ちょっと来週ブレストしません?」という魔法の言葉。1回も集中して考えられた仮説が無い状態で集まって「知の探索」を試みても、イノベーションを起こすような発想は生まれないんで、やっぱり「知の深化」から始めないといけないと思うんですね。

Co-workは、仮説を持ってから臨むという姿勢がとても重要だと思います。

なので僕らJINSは、「知の深化 ― Deep Think」が足りない世の中において、ここに注力をした上で、「知の探索 ― Co-work」もできる場所「Think Lab」を手がけたんです。

「自分の人生に集中できる生き方を提供したい」

井上さん:「Think Lab」の紹介の結びとしてちょっとお話をしたいのが、僕らはこの「Think Lab」を通じて、「空間を提供したいかの?」っていうと、そうではないなと。

何をしたいかって言ったら、今の「働き方改革」に対する僕らの1つのアンサーとして「自分の人生に集中できる生き方を提供したい」と思っています。

これは、何でかというと、去年の夏、高野山に行った時に住職さんと知り合って、その方と話しながら、「どうやったら人は集中できますか?」って聞いたんですね。

すると彼は一瞬で答えてくれて、それは何かと言うと「如実知自心(にょじつちじしん)です」と。如実に自分の心を知るという仏教用語を教えてくれたんです。

「自分がしたいことを言語化できなければ集中できるはずがない」

井上さん:自分が何をしたいかを考えられない、言語化できない人が集中して取り組めるわけがないということですね。

なのでやらされ仕事を全部取っ払い、定型化できる仕事は全部AIに任せて、ちゃんと自分がやりたいことに集中できるような人生が送れたらいいなと思っています。半分は綺麗事かもしれませんが、自分の人生に集中できる生き方を提供できるような場所にしたいなと。

「Think Lab」はそういう場所だと思っていただければと思います。

ちなみに今、二酸化炭素濃度やばいんです、一旦離れないともう集中できないと思います(笑)。是非見学がてら「Think Lab」でちょっとリフレッシュしましょう。


「会社都合の生産性」ではベストパフォーマンスを発揮できない につづく)

【編集部より】人事労務から始める「働き方改革2018」

働き方改革を始めるその前に
SmartHR 働き方改革

実は落とし穴も潜む「働き方改革」。働き方改革を始めるその前に是非ご理解いただきたい前提知識を、スマホでも読みやすいサイズとデザインでまとめました。

【こんなことがわかります】

    ・なぜ今「働き方改革」なのか?
    ・働き方改革 3つの落とし穴
    ・働き方改革を成功に導く「経営者のコミットメント」
    ・人事労務から始める「働き方改革2018」
藤田 隼

SmartHR mag. 2代目編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトのディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。ウェブ解析士。
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